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[ 単行本 ]
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レッドゾーン(上)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2009-04-24
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,280円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4
典型的な続編。しかしアランの死に決着が…… NHKドラマ化でブレイクした経済小説の映画版原作。ただし元々映像版と小説版はかなりの差異があり、今回は時勢を考慮した脚本変更等もあったため同一ではない。
経済小説にハードボイルド推理のエッセンスを混ぜた『ハゲタカ』シリーズの最新作ですが、今作は規模はでかいもののドライブ感には欠けます。
というのもすでに描き切られた鷲津や芝野にとっては今回の主事件は基本的に他人事な訳で、周囲の絶賛に対し二人ともが「どうして私が……」「どうして俺が……」と首をかしげながら参入してくるからです。そして二人の去り方を見ても、事件を解決するためだけに現れた名探偵のような雰囲気で、かつてのようにお互いの身を斬り合うスリル感はありません。
また今回鷲津には公私二つの敵がありますが、その双方が無軌道でとりとめのない動きをするため、鷲津は最後まで“ルール探し”に翻弄されます。
これはいわば推理小説の動機捜し物のような展開で、合理性の果てに急転直下するようなライブな経済バトル小説の枠組みとは相性が良くないように感じます。鷲津自身がそのことに気づいていて、作中で何度も「こういうのは苦手だ……」と苦笑する様は、予想外の事態に担ぎ出されたメディア展開のことを自嘲しているかのようです。
そういうわけで作品としては、巌窟王的な『ハゲタカ』や格闘ものの『バイアウト』とは異なり、あくまで“その後の鷲津たち”の風景でしかありません。しかしキャラクターとしての彼らが好きであれば、不似合いに祭り上げられたサムライたちのその後を見るのは悪くないと思います。
映像を見て小説に興味を持たれた方にはまず『ハゲタカ』シリーズの文庫版をお薦めします。そしてシリーズのファンになられた方にはこちらを。鷲津の主動機が前作のキャラクターの死にまつわる謎であることもあり、初めての人が一冊目として読むにはいささか不向きだと思います。ぜひ前作からお読みください。遠回りでも損はしません。 シリーズ最高・・とまではいかないまでも面白い。 ・これまでの2作品と同じように、限りなくリアルな世界の中で、
さらに強大な相手に対しても限りなく冴えを見せる鷲津を堪能できました。
・世界観は同じままの続編なので、これまで2作を読んで「面白い」と思った方、
ハゲタカに没頭し、熱くなった日々を取り戻すことができるでしょう。
・感想ですが、シリーズファンとしては、今回はリンもサムもフルサポートですが、一方、
石岡や堀さんといった、「チーム鷲津」の面々があまり表に出てこないのが
少し寂しく思ったりはしています。
・肝心の作品についてですが、
ハゲタカシリーズの面白さは、バイアウト業界、というか
まさに企業の生き死に統合の現場のリアルが描かれている、というのと同時に
魅力的なキャラクターにあると思っています。
特に鷲津の生き方。
「武士は死ぬために生きるのではなく、
いつ死んでも悔いのないように生きるのが武士である」
という、武士の生き方そのものである彼を、
これ以上なく魅力的なキャラクターを楽しみに読んでいて、
今回もそれは節々に感じられたものの、本作の一部にもある
「鷲津の迷い」のようなところに、少し煮えきらなさを感じて星4つとしてあります。
(作者としてはそれを描きたかったのかもしれないのですが。。。)
とはいえ、待望のハゲタカ第3部。
あまりの好きさ故に少し辛口になってしまいましたが、間違いなく面白い。
2作まで読まれた方は是非。 尻の青い小説 幸田マインの脳天気で間抜けさはないが、国際ビジネスを扱う小説としては、尻の青さが目立つ小説である。鷲津のキャラ設定も一昔前青春小説のひ弱な主人公像から出ていない。黒木亮の小説のようなドライさはないため、私自身は嫌いであるが、一般受けはするのであろう。 シリーズ3作目で初めて・・・ 「ハゲタカ」、「バイアウト」の続編で、シリーズの中ではじめて架空の日本企業の買収劇が物語の中心におかれています。産業構造としては無理がある設定ですが、その分ストーリーが自由に展開しエンターテインメント性を高めています。
過去2作に登場した人物も多く登場しますが、無理に登場させなくてもよかった人物がいたりするのが残念でした。 引き込まれる鷲津の世界 ハゲタカ、バイアウト(ハゲタカ2)に続く第三弾です。
ルールの違う中国ファンドとの闘いに思わず引き込まれました。
今回は国家的謀略(戦略?)もからんでくるので、少々金融の世界から
離れていますが、それを気にさせないほどのスピードでストーリーが走ります。
(アカマ3000のようです)
上下巻を一気に読んでしまいました。それだけの力のある作品です。
鷲津という主人公を設定した時点で、このディールでは
作者の勝ちは決まっていたのかな、と思わせられました。
再読すると無理があると思われる筋立てですが、鷲津にイカレテイル私は
素直にゴールデン・イーグルの世界で遊ばせてもらいました。
映画が楽しみです。
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[ 単行本 ]
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レッドゾーン(下)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2009-04-24
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,349円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 3.5
待ってました! 「ハゲタカ」シリーズのファンで新作を待っていました。
真山氏のほかの作品と比べるとこのシリーズは力の入れ方が違う気がします。例によってシニカルな主人公が日本の魂とでもいうべき自動車メーカーの対する中国の買収を阻止し、最終的にはハッピーエンドという話ですが、エンディングに向かうにつれ、良くこれだけ思いつくというくらい話の展開がめまぐるしく一気に読めてしまいます。
芝野の登場などどうしても必然性があると思えない部分もあり途中少し間延びしてしまうところもありますが、それも多分著者がハゲタカ以来の登場人物に対する愛情のような気もします。それも考慮して4つ星とさせていただきました。
どちらにしろフィナーレでの鷲津の台詞「大内さんもやるじゃないですか」というシーンが私的には大好きでここに到達するためにこの本を読んでただきたいと思います。
次回作でまた鷲津やサム、リン達に会えるのを楽しみにしています。
なんだかな? ハゲタカ1、ハゲタカ2と結構楽しめましたので今回も発売日に購入、上下巻を2日で読み切りました。感想は? なんだかな?って感じです。買収者と防衛者の英知を絞った対決を期待しましたが変なサスペンスというかスパイ小説というか訳のわからない結末でした(上巻はまだしも下巻は酷い)。 現実にはこういった筋書きもあるのかも知れませんが小説ではもう少しスッキリと纏めて欲しかったです。それにしても「巨大投資銀行・黒木亮」は面白かったな、と思ったのは私だけでしょうか。
ハゲタカ、バイアウトの読者であれば読むべき 前々作、前作に続いて登場人物が泥臭くからむ人間ドラマに見ごたえありです。
鷲津政彦はじめとする登場人物たちのキャラの濃さとかっこよさも光っています。
息のつまるような交渉シーンや互いの駆け引きの面白さという点においては本作も文句なしです。ただ、前作で提示されたアランの死の謎など重要な点について終盤であまりにもあっさりと謎解きがされて終わってしまうのがあっけない印象でした。
しかしながら、ハゲタカ、バイアウトを読んで非常に面白いと感じた読者であれば本作も楽しんで読めることは間違いないと思います。 そろそろ苦しくなってきたか・・・? あとがきに「本書はフィクションである?」と強調しているが、真山作品の楽しみかたの一つは、
やはりモデル(であろう)企業や人物を想像しながら読むことだ。
アカマは言わずもがな、序盤のTOB裁判や、SWFを推し進める冨岡議員など、「あーあーコレコレ」と、
ニヤニヤしながらページをめくってしまいました。悲しいかな、鷲津や柴野の実在のモデルは浮かびませんでしたが・・・・
本書は08年3月から連載された小説のはずなのですが、アメリカの疲弊や中国の躍進、不動といわれた
自動車産業の勢力地図激変など、連載時期を考えても、作者に予知能力があるとしか思えない設定には、
本当に驚かされます。
終盤のビッグスリーに対する『ある作戦』は、まさに今のアメリカの自動車産業を取り巻く環境そのものでした。
詳しく書くとネタバレになるので控えますが。
作者の資料分析などは100%感服させられるのですが、肝心のストーリー展開はマンネリを感じさせられました。
1作目、2作目、3作目と、舞台はどんどん大きく広くなるのに、それと反比例してストーリー展開は終わってみると、
案外こじんまりとしたものでした。
シリーズ通して登場するレギュラー陣が登場するたびに、少しうれしくなるのですが、たいした絡みもなく
いつのまにかフェードアウトしていくので、読者サービスのつもりかなぁと白けてしまった。
逆に無理やり絡ませたら、それこそ不自然かもしれませんが。
あと、ハゲタカ2(バイアウト)から引きずっていた謎も、あらかた解決します。しかしそれも、悪い意味で拍子抜け。
確かに面白いです。上下巻一気読みさせるパワーとテンポは、そこらの小説とは一線を画しています。
しかし読み終えると、余韻より「なんだかなー、なんだかなぁ・・・」と、無い物ねだりする気持ちを抑えられません。
いろいろな意味で“惜しい”小説です。 シリーズを意識しすぎてか・・・。 「ハゲタカ」、「バイアウト」に比べると読みやすくなっていますが、ちょっと余韻を残しすぎたような・・・というのが読み終わっての感想。
「バイアウト」で残した大きな謎が呆気なく流れてしまったのも残念。
とは言え、一気に読んでしまいたくなる話の展開は変わっていないので、読んで損はないはずです。
個人的に「鷲津シリーズはこれで最後」と思っていましたが、まだ続きそうな雰囲気で、スピンアウトも多く出てきそう。楽しみです。
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[ 文庫 ]
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ハゲタカ(上) (講談社文庫)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2006-03-15
参考価格: 820 円(税込)
販売価格: 820 円(税込)
( 通常4〜5日以内に発送 )
中古価格: 377円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
ドラマとは別の面白さ! ハゲタカと呼ばれている会社からお給料をもらっています。。。
ドラマにハマったものの、原作には興味がなかったのですがこちらで書評を見て手にしました。
ドラマとは鷲津のキャラが違いますし、設定も違うのですが引き込まれるように読みました。ドラマでは印象の薄かった「金髪」も、とても魅力的な描写がされており楽しめました。
よくこの原作であのドラマの脚本が書けたな?と脚本家の手腕にも感心しつつ、原作が素晴らしいからこそ、創造できたドラマだと思えました。 「商いの基本」の教科書 主人公・鷲津のビジネス展開(読み、根回し)に脱帽です。
作中の彼の言葉を借りれば「これはアメリカンスタンダードなんて話じゃないですよ。船場の商いでも、これくらいのことはします。ただ、我々は、経済成長という幻想の中で、頭を使うことを忘れたために、商いの基本を失っただけです」(下巻64ページ)
小説としても大変おもしろく、秀作だと思います。 注意喚起 ドラマ版のハゲタカをご覧になり、本書を読もうかどうか検討されている方へ。
単刀直入に申し上げると、ドラマ版と本書は全く別の作品です。ドラマ版のような感動を本書に期待するとその期待は見事に裏切られるでしょう。ドラマ版の鷲津は冷酷な仮面の下に優しい素顔を隠し持った非常に魅力的な人物でしたが、本書の鷲津は陰険、狡猾、強欲、傲慢なハゲタカそのものです。また、全体的に怒り、憎しみ、復讐といった感情が流れており、読んでいてあまりいい気分はしませんでした。
本書から材料として使われている部分はありますが、ドラマ版においてイニシアティブをとったのはこの著者ではなく全く別の方だと推測されます。ですから、ドラマ版とは全く異なる作品であるということを理解した上で読むかどうかを検討されるといいと思います。
ものすごく「当たり」 NHKでドラマをやっていたのを番組表で見て気になって読んでみた。
軽いテイストの本か,故なきハゲタカ批判の本かと勝手に思い込んでいたが,実は骨太な企業再生,日本再生に燃えて,それを実現するために奔走する人たちの本である。
また,ハゲタカとイヌワシの違いも知らなかった自分が恥ずかしくなった。
どこまでが実話かは評価できないが,当時起こった事象が有機的に繋がっているため結構真実味があり,現実もあたらずとも遠からずではないかと想像する。企業名も推測可能な名前になっているのがおかしい。
ハゲタカというと死肉をむさぼるというイメージがあるが,実は事業再生,産業再生ビジネスの本質はそうではない。
本業が健全であるにもかかわらず同族による乱脈経営で窮地に陥っている例も多い。そのような中,不採算事業を切り捨て,債務を切り離し,経営者の一新を図り,新たに資金を入れて設備の更新を図って事業を再生するビジネスの実際的な有効性は,本書を読んで初めて理解できたと言っていい。
一方,最後まで企業にしがみつき,それをしゃぶりつくそうという同族の「欲」という業の深さも余すところなく語られる。
再生ファンド,M&A,DIP等のファイナンスはさまざまな本で手順が語られるのを自分なりに読んできたが,これをこのような切り口から法律や各種の制度を理解しながら,鮮やかに物語として語っていく著者の筆力はただものではない。株式や債権をどの程度持っていると何ができるのかという辺りのノウハウはハゲタカしか持っていないだろう。
あと,興味深かったのは,産業再生の現場は,権謀術数渦巻く戦いの場であるということである。人脈,情報を駆使したもののみが勝者になれる厳しい世界である。ただ,このようなダイナミックな世界に若い人はあこがれるのではないだろうか(成功報酬で報われるわけであるし。これに比べると普通の大企業は退屈でしょうがないものであろう)。 面白い!これは買いです。 私は最初にNHKのドラマを見て、テーマが面白く、原作を
手にとりました。
ドラマとは違うストーリー・価値観があり、別のものとして
面白く楽しめます。
経済小説なのですが、純粋なフィクションとして楽しめます
し、肩肘張らずに読めます。
ストーリーテラーとしての作者の腕前は確かなものと、偉そ
うではありますが感服しています。
ご一読をお勧めします。
但し、実際のファンドや会社(多くは問題会社なのですが、
多かれ少なかれ、どの会社にも内在する問題意識です)とは
当然違うものなのだ、ということを踏まえて、楽しんでほし
いと思います。
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[ 文庫 ]
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ハゲタカ(下) (講談社文庫)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2006-03-15
参考価格: 770 円(税込)
販売価格: 770 円(税込)
( 通常3〜5日以内に発送 )
中古価格: 428円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
ドラマと違って鷲津に感情移入できませんでした 先日テレビドラマの再放送を見た後、本作を読みましたが、
あまりにも設定が違いすぎるので、衝撃を受けました。
ドラマでは以前、三葉銀行に勤めていたときに 「 事件 」 が起きたという
鷲津の過去があるため、彼に感情移入できましたが、
本作の鷲津には、特に感じるものがありませんでした。
また、貴子という女性の父親が娘が退陣しろと言っても承服しないのに、
彼が敬服している元首相の前だと舞い上がってしまうというのは、
このような親子関係など、読んでいて鬱になるものでした。
この世界に生きている人たちの仕事に対する思いというのが私には全く理解できないので、
作品世界に入っていきにくかったです。
元々、本作のような世界にあまり関心がないという理由もありますが
( 実在の人物が出てくる 「 小説 東急王国 」 や 「 小説 小林一三 」 は大変面白かったのですが ) 、
個人的には、それほどの引きは感じませんでした。
企業再生という題材は 「 お勉強 」 にはなりますが、
あまりにもドラマチックな作りだったドラマと比べると、 「 普通 」 の作品という認識しか持てませんでしたね。 続編を前提にして書いているのではないか 企業再生ファンドを基にした経済小説
解りやすい文書で一気に引きずり込まれるように読みました.
下巻は,上巻よりも金融の知識が少なくなり経済小説を楽しむというよりも
経済を基にしたミステリーという色合いが濃くなっています.
評価が5でないのは経済の色合いが薄れたためであり,感情などの
小説的な内容を楽しむ人にはとても楽しい本ではないかと考えます.
元々が新聞記者であった作者の性格か,丹念に調査し
調査からのイメージを基に作品を作っているところが随所に
感じられ,とてもすばらしいと思います.
脇を固める登場人物も丹念に書かれている本作品を映像に
するのは中々難しい,それほど良い作品だと思います. 上下一気によめます。 メガバンクの不良債権問題も複雑に絡まってる問題で、
これまで現実では分かりにくい事も多かったが、
実は単なるお金の戦いだけでなく、人対人である部分も多く、
またどこと手を組むかで結果が大きく変わる。
大半が現実社会で起きていることだけに恐ろしい感じもした。
「ファンド」は、何を目指し、どういう役割を果たしているのか 実際に日本で起こっている企業の「再生」「合併」「買収」など、きれい事ではすまないドライな経済競争・経済戦争が、自分のような素人にもピリピリしたせめぎ合いを実感できるほどに、丁寧に描かれています。
特に、現実社会でも「ハゲタカ」として忌み嫌われている感のある「ファンド」が、何を目指し、どういう役割を果たしているのかが分かります。
それを象徴する鷲津という存在が、下巻の途中以降、さまざまな思いや背景が明らかになる中で、浮き彫りになってくる課程が、読者の「ファンド」に対する理解と重なるのは当然でしょう。 下巻も当然ドラマと別物! 下巻もドラマと全く別物の展開で、またびっくり。NHKさん…これだけテンポの良い
原作をあんなに重苦しいドラマに変えてしまうなんて…。フジテレビor日本テレビ
あたりで改めて原作重視のドラマを作って欲しいくらいです。
下巻も上巻同様に面白い。この巻は東ハトをモデルにしたとおぼしき太陽製菓買収の
話と上巻の続きでミカドホテルの話…そして上巻の冒頭に大蔵省で切腹した人物と
鷲津の意外な関係までが描かれている。
テンポ良く話が進んでいく上に、最後の大どんでん返しに息を呑む。もちろん下巻も
上巻同様の臨場感が「ハゲタカ」の身上。そして続いていくバイアウト(ハゲタカ2)
にも大いに期待です。
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[ 文庫 ]
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ハゲタカ2(下) (講談社文庫)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2007-03-15
参考価格: 800 円(税込)
販売価格: 800 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 500円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4
現代版ラストサムライ 鷲津さんは誰がなんと言おうと自分の信じる道をとことん突っ走っていきます。そんな鷲津さんをサムライのようだ。自らが抜いた刀に全てを賭ける潔さ。自らの哲学を守る為なら鬼にも悪魔にもなると評しているセリフがあります。ほんとその通りでホライズンキャピタルの会長職をクビになった時も何億という退職金を断り最後に脅しをかけてさっさと辞めていきます。気持ちよい程の潔さ。だからかつて一緒に働いていた人達もそんな彼を慕ってごっそり辞めて彼に付いてくるのです。鷲津さんと一緒に仕事がしたいからと言って。 それと聞き慣れない経済用語(クラウンジュエルやパックマンディフェンス等々)が色々出てきて勉強にはなりますが理解しながら読まないとあとでまた出てきた時になんていう意味だった?となるのでその辺りが大変ですが魅力的な登場人物がいっぱいのエンターテイメント小説でした。最後に付け加えるなら私はしたたかで気の強いリンも好きです 「村岡」を笑えるかどうか。 激しい駆け引きを繰り広げる登場人物の中で、要領だけでお気楽かつ怠惰なサラリーマン生活を送る「村岡」。
あまり本筋にも関係なく完全に脇役扱いですが、個人的には影の主役と思っています。やたらと熱量の多い登場人物たちに囲まれた中で、初めて彼を見ると思わず侮蔑を感じずにはいられないのですが、ふと自分を思い返してみると果たして彼を笑えるかどうか。
ふつうのサラリーマンから言わせて貰えば、「村岡」がスタンダードに近いでしょ。彼のことを笑えるような会社員ってそんなに多くないはず。だから、彼が辿った末路については複雑な心境です。
ストーリーについては前作と同様スピード感もあり、一気に読ませます。けれども後半はなんだか「大スペクタクル ハリウッド超娯楽大作!」といった大味な感じなので少し減点。
現実感の乏しい経済小説 前作は読んでませんが、テレビで放映されたのとは話がずいぶん違うのでそれなりに面白さはありました。しかし話が大きくなりすぎていること、主人公がカッコよすぎることで経済小説としては現実感がなく途中で白けてしまいました。現実の経済活動はあくまで利益至上主義であって社会正義や死んだ部下のために巨額の退職金を蹴ってファンドを立ち上げるというのはありえない話に思われます。題名がハゲタカだけにもっと生々しくリアルな企業買収劇を読みたかったです。 続編の悲しい性のような出来 もともとの題がバイアウトだった長編経済小説の下巻
私に限らずハゲタカは皆,高い評価だったのにも関らず,続編である
このハゲタカ2は低い.
多分,上巻の伏線であった,軍事政商のやっつけかたや,あるサラリーマンの
最後,なによりメインの企業再生について,新しさが見られないためでは
ないかと思う.
また,殺人とも思われる重要な人物の死が下巻で解決している
訳ではなくさらに続編で解決されるような伏線が感じられるのは
不完全燃焼のくささを感じる.
とはいえ,ハゲタカ2で言いたかったと思われる,企業再生に
必要なのは,再生ファンドでもお金でもなく,意思の力というのは
ミカドホテル,シャイン,曙電機の全部で言いたかったことの
様な気がする.
今後の続編として,まだ主人公がまだ,トンネルから抜けきれて
居ないこと,現在の複雑な経済状況など題材は色々あるので
楽しみではある. 次回に続くのか ハゲタカの前作には少し劣りますが、
それでも、一気によめます。
話が大きくなり、ドキドキハラハラはありますが、
リアリティがなくなってるのは残念
ラストで次回作へ続きそうな気配も。
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[ 文庫 ]
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ハゲタカ2(上) (講談社文庫)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2007-03-15
参考価格: 750 円(税込)
販売価格: 750 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 399円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4
ドラマとは違うけど 上巻のみですが一気読みしました。人間関係はドラマとはちょっと違うので戸惑いもありますが面白くて読み出したら止められなくなっていました。小説の鷲津さんは一年間の放浪の旅から帰ってきて初めてアランの死を知らされます。このアランが成し遂げられなかったあるプロジェクトを引きついでゆくのですが。会社に対しての登場人物のそれぞれの思惑が交錯してただの経済小説とはちょっと違う感じになっています。下巻を読むのが楽しみです。 ハゲタカ1より金融色薄れるかな 上巻だけを読んだ限りでは、ハゲタカ1で魅了された企業M&Aの駆け引きが失われ、サスペンス調になっててちょっと残念。でも、鷲津や柴野などおなじみキャラがそれぞれ個性的に活躍して下巻も読みたくなった。 読んでいてつい力が入る 現実に素材を取り、数々起こった事件に一貫した一つの見方を提示している。
あえて言えば、ちょっと謀略史観的なところはあると思うが、それはそれでいいと思う。
ストーリーの精緻さだけを見れば、ハゲタカ2は多少前作に劣るところはあると思うが、それでも第一級の書物である。
上巻のターゲットは鈴紡、下巻は曙電機である。
本書(「ハゲタカ」を含めて)を読むと、日本の企業に対する見方が一変する。
ゾンビ企業とはよく言ったもので、不採算部門の整理ができず、人も切れず、何とか生きながらえるために、粉飾をする。
銀行も倒れると処理ができないので、死なない算段だけはしておく。
再投資が進まないから、イノベーションも進まず、生産性も改善されず閉塞感が漂う。
こういう事情を知らないで気の毒なのは、当の会社の従業員である。
一方、自浄作用が働かないで漂流していた日本企業に選択と集中を促し、資金を投入することで企業の持つ潜在的な能力を引き出し、リヴァイタライズさせるというハゲタカの役割の方がどうみても日本の成長という目で見ると合理的な主張であるように思え、その意味で鷲津の「日本を立て直す」ための行動には共感をせざるを得ない。
「ハゲタカ」に続き、聞き慣れない言葉があちこちに出てくる。
例えば、「FA(フィナンシャル・アドバイザー、アドバイスだけでなく、パートナー探し、資金調達、政治対応を行う)」、「LA(リーガル・アドバイザー)」、「CRO(ターンアラウンドの責任者)」、
「ベアハッグ(買収を仕掛ける会社の取締役会に、取得条件を示して回答を迫ること)」、「レブロン基準(経営者が会社を売り渡そうと決めたら、最も高い価格の売り先に売る義務がある)」、「デッドマン・トリガー(逆買収。別名パックマン・ディフェンス)」とか。
この辺をさりげに日常会話に忍び込ませれば、会話に知的な香りが漂うであろう。
本書で、わくわくする、あるいは考えさせられる印象的なシーンは3つある。
一つは、「チーム鷲津」の結成である。 プラザの報復によりホライズンを解任された鷲津の元に、ゴールドバーグを辞めたリン、 クーリッジを辞めたサム、ホライズンをやめた村上、前島など志を同じくする同志が結集する。
二つは、アランの父が鷲津に「サムライ」について語ったシーンである。
「サムライというのは死に場所を探すために生きることだと多くの人たちは勘違いしている。本当のサムライは、いつどこで死んでも悔いのないよう、どう生きるかを常に考えているのだ」と語る。
三つは、坂口安吾からの「新堕落論」からの引用で鷲津を表現するシーンである。
「堕落者は常にそこからはみ出して、ただ一人、曠野を歩いていくのである。悪徳はつまらぬものであるけれども、孤独という通路は、神に通じる道であり、善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや、とはこの道だ」
以上、何かと示唆に富む書物である。 極秘情報に頼らずストーリー展開できれば、もっと楽しめる。 ○読み始めたきっかけ
「ハゲタカ」が面白かったので、続けてこちらのUも読み始めました。経済小説は人間の機微と現実の社会
問題や法律なども一緒に勉強できて一石二鳥です。
○心に残る言葉
重要な場面で、こんな情報どこから仕入れたの?!というところが何カ所かあります。そのときは決まって
鷲津が「ハゲタカは情報が全てです」と水戸黄門の印籠のような決め台詞を言います。何でも、この極秘情報
がストーリーを大きく左右し過ぎのような気がしました。難しいのでしょうが、どうやってその情報を仕入れ
たのか説明するか、ないしはそういった極秘情報を使わずにストーリー展開をしたほうが、もうすこししっく
りきます。なんでも極秘情報で形勢が逆転してしまうのはちょっと納得がいきませんでした。
ハゲタカにくらべると他のレビュアーの方が指摘しているように、風呂敷が大きくなっているので、どうし
ても極秘情報をつかわないと話を展開できなかったのかもしれません。個人的には前作の方がリアリティがあ
って楽しめました。また、全般的にもう少し台詞を魅力的になればもっといいですね。筆者が新聞記者出身だ
からかもしれませんが、登場人物の台詞に今ひとつ魅力と切れがありません。それ以外はしっかりしているの
で残念です。
○どんな人に読んでもらいたいか。
M&Aについて、ちょっぴり知りたい人や経済小説に興味がある人にお勧めです。 現代の「坊や哲」 ストーリーは面白く、「ハゲタカ1」を読んだ方は是非お読み下さい、と思います。
経済小説なので、背景ややや強引な展開を指摘する方がいますが、「小説」なので
私は気になりませんでした。知的好奇心をくすぐられつつ、面白く読めると思います。
主人公鷲津はこの時代のピカレスクヒーローなのかも知れません。
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[ 単行本 ]
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ベイジン〈上〉
・真山 仁
【東洋経済新報社】
発売日: 2008-07-18
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 通常4〜6日以内に発送 )
中古価格: 819円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
引き込まれます 登場人物の魅力、アジアを舞台にした
スケール感、容易に全体像が見えてこない
物語の構成。
すっかり引き込まれました。
まだ上巻ですが、下巻が楽しみです。 やっぱりスゴイ!! 『マグマ』と同じ、エネルギー問題に切り込んだ作品ですが、前者以上の物語スケールや登場人物への肉薄等、物語を読み進める中で大いに圧倒されました。
エネルギー問題に関する深い洞察を織り交ぜ、『マグマ』の地熱にしても『ベイジン』の原子力にしてもテクニカル面での精緻な調査もされており、真山氏らしいリアルさがを追求されておりました。且つ相変わらず魅力的な登場人物が醸し出す強烈な個性のハーモニーを奏でています。しかも、それらの濃重厚な構成にもかかわらず、物語のテンポは異常なほど軽快ときているとは。。
やっぱりスゴイ!!
北京オリンピック開会に照準を合わせた緊迫のドラマのはじまり 縁起のいい「8」の連なるこの日に向け、2つの国家的プロジェクトが中国ですすめられていました。
ひとつは北京(ベイジン)オリンピック。もう一つは、世界最大級の出力を持つ紅陽核電(原子力発電所)の建設です。
オリンピックの開会式場に特設された「和諧の光」へ送電を開始しようとしたとき、一人の日本人が原子炉を止めるように指示しました。技術顧問として原発建設に協力していた田嶋伸悟です。
中国側の総責任者のドンは、運転を続行させようとします。
なぜこのタイミングで停止させるのか。
ドンの質問への田嶋の答えは、
「絶対的な安全が確認できない以上、停めるしかない」
というものでした。
停電時に起動するはずの非常用ディーゼル発電機が規定の300倍の失敗率。なのに報告書には規定をクリアしたと嘘が書かれている。自家発電の軽油が何者かに抜き取られている。何より気になるのが、施設内の清掃がこの期に及んでも徹底されない。
田嶋が理由をならべあげましたが、所員たちも呆れるばかりです。
掃除が不十分だからといって原子炉をなぜ停めなければならないんだ。
とうとう、責任者のドンは田嶋の身柄を拘束し排除することを命じました。
「事故が起きた時、誰もあんたを庇ってはくれないんだ。
私の判断を信じなさい」
不吉なことばをのこして、田嶋が連れられていきます。
オリンピックの開催という実際のできごとに、国の体面をかけた原子力発電所の建設というフィクションを交えた、緊迫したドラマの幕開けです。
もう北京オリンピックは終わってしまいましたが、この緊迫感に変わりはありません。
お勧めです! エネルギー問題の入門書? マグマと合わせて読んで欲しいですね。
実際にこれからのエネルギーをどうするのか?
凡人の私でも実に考えさせられました。
エピローグが読みたいような読みたくないような・・。 日本の技術屋の心意気 一気にとはいきませんでしたが、数回に分けて短期間で読み終えました。
2人の主人公が登場するのがこの小説の特徴でしょうか。
日本の技術者と中国の若手官僚。
この二人がそれぞれの立場で苦しみながら、最後には人間として共通の考えに達し、友情を芽生えさせるという物語です。
小説なのでフィクションのはずなのですが、読後も読んでいる最中も、この小説の舞台になった場所が現実のどこかにあると感じられてしかたがありませんでした。
北京オリンピックの興奮が冷めやまない今だからこそでしょうか…
それだけではなく、作者の描写力が読者にそう感じさせているような気がします。
ドライでテンポの良い文章で読み手を飽きさせませんし、内容もなかなか知ることのできない中国の官僚社会が垣間見られて非常に良い小説だと思います。
ただ、少し残念なのは、主人公を取り巻くヒューマンドラマに欠けたかなと感じさせる点です。
日本人技術者の家族について(特に主人公を影ながら支えているはずの奥さんについて)、中国人官僚の生い立ちについて、もっと知りたかったというのが本音です。
別の章を立てて詳しく書いても良かったかもしれません。
ただ、そうなると長編大河小説になりかねないので著者はあえてそうしなかったのかもしれませんね。
その点を踏まえると、テーマを絞った小説としては冗長であり、大河小説としては物足りないというのがこの小説の評価になるのでしょうか。
ラストの終わりかたといい、もう少し違う構成のほうが良かったかな。
なので、星4つです。
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[ 単行本 ]
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ベイジン〈下〉
・真山 仁
【東洋経済新報社】
発売日: 2008-07-18
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 979円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
読ませる本です 人物の描写と構成が面白く、
ストーリーが見える後半になっても
ぐいぐい読ませます。
特に中国という国の複雑さが
表現されており、うまいと思いました。
この終わり方は残念 上巻も下巻も非常に面白いが、最後が「これで終わり?」っと呟きたくなる内容に、何とも言えない虚しさに釈然としない気分です。 メルトダウン(炉心溶融)は防げるのか? 緊迫の最終章へ 2人の主人公は、それぞれ重たい過去を背負っています。
同僚を事故で亡くすという経験もあり、原発のおそろしさが骨身にしみている日本の技術者の田嶋。
天安門事件で拷問のはてに殺されるた兄を持ち、過激派の弟として差別を受けてきた中国共産党幹部のドン。
上司がドンに与えた指令は、紅陽核電をオリンピック開会式に合わせて完成させること。同時に、紅陽に隣接する大連市で党要人の汚職を摘発するという、もうひとつのミッションも与えられました。
本書に描かれる中国社会は、汚職と賄賂にまみれています。原子力発電所の建設には安全の粋を集めなければならないのに、耐震工事は手抜きする、機材の品質は守らない、書類は平気で改竄する。
従業員も従業員で、整理整頓しないとか禁煙を守らないのはかわいいもので、禁止されているラジオを持ち込んで作業中に聞いていたり、少し監視をゆるめると、機材を盗んで持っていってしまいます。
日本では考えられない規律の中で、田嶋とドンは協力しながら工事の障害をひとつひとつ克服していきました。
最後のさいごに2人は対立し、原子炉を停止させよという田嶋の主張は受け入れられませんでした。
かつて「チャイナ・シンドローム」という映画がありました。アメリカの原発の手抜き工事を告発した映画で、原子炉が暴走してメルトダウン(炉心溶融)してしまうと、地球の中心を通り越して中国まで達してしまう、というジョークが語源です。
田嶋の不安が的中し、突然発電所のすべての電源が止まってしまう事故(ブラックアウト)が発生しました。
自己発電装置が不完全にしか起動しない状態で、原子炉を安全に停められるのか。
「チャイナ・シンドローム」ならぬ「アメリカン・シンドローム」に至ってしまうのか……。
最後の1行まで目が離せない小説でした。
もったいない またまた剛腕の作品が読めそうだと楽しみにしたのだが…。
期待が大きすぎたのかもしれない。
上巻はわくわくさせる。
あの国のやり方に辟易した人にとってはあんなもんじゃないと口を揃えるのだが、国家システムといい、民族性(あえて国民性とは言わない)といい、宇宙人との共同開発をしているような破壊的な臨場感が描けている。
あの国で原子力発電所を建設すること自体が人類の危機だというのに、オリンピックという国威発動の場に間に合わせるというその苛酷な条件や状況がこれでもかと描かれてゆく。そのあたりは圧巻である。
しかし、だからこそ、この下巻がもったいなかった。
ラストはハラハラさせる展開なのに「え、これで終わりなの?」と驚いた。
なんだかなあ、もう少しなんとかならなかったのかなあ。
最後の着地が決まらなかったような、はぐらかされ、放り出されたような気分で爽快感が味わえず、半端な気分で読み終えた。
読み直してみると、発電所建設の専門的な部分が説明的なところが気になった。
苦労されたらしいが、作家の中で十分な熟成ができないうちに書き出したような印象を受ける。レポートを読んでいるようなところが残念だった。
テーマといい、さすがの力作だけに、もう少し時間をかけて書き上げたら、もっと凄味のある作品になっていたのではないかと、ファンとしては応援をこめて星を減らしました。
映画を見ているような快適なエンタメ。 北京五輪が終わってから読んだのですが。クチパク*竭閧ネどを先取りしたようなストーリー展開は楽しめました。ノンフィクションとフィクションと絶妙に混ぜ合わせたエンターテインメント小説としてオススメできると思います。田嶋さんと門田さんという人物設定は、まるで「プロジェクトX」を彷彿させるような良質な日本人≠感じさせてくれます。まあ、好き嫌いはあるかもしれませんが。
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[ 文庫 ]
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マグマ (朝日文庫)
・真山 仁
【朝日新聞社】
発売日: 2008-03-07
参考価格: 756 円(税込)
販売価格: 756 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 439円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4
地熱発電解説書 地熱発電について、わかりやすく
解説してあり、勉強になります。
しかし、小説としては盛り上がりません。
最初の設定がすでに不可解ですし、
いつまで読んでも話が展開しません。
地熱発電について詳しい本は、
他にもあると思うので特に
この本はおすすめしません。
ハゲタカが面白かっただけに、
がっかりしました。 ちょっとありえないストーリー 「ハゲタカ」があまりに強烈だっただけに、この出来はちょっと残念。
むしろ今や世界的に原発推進の流れになっている中、欧米から「日本は原発をやめろ」というプレッシャーがかかることは現実的ではない。
また、地球にやさしいエネルギー、ということであれば、太陽光や風力はどうなのか、というところに触れずに、地熱発電だけで脱原発の新しいエネルギーを考えるストーリーにちょっと違和感を感じた。
もちろん、「ハゲタカ」で見せてくれたような外資ファンドがまごつく日本企業をぶった切る様子は爽快だし、利権をめぐる構造的問題、あるいは、理想に夢見るエンジニア魂といったところは読みごたえあり。 野上妙子に会いたい 映画をお願いしたいと思いました。
地熱発電の様子。ジオ・エナジーの記者会見。
「悩殺の微笑み」、野上妙子のふんばり。
今の女優さんで、どなたに野上妙子を演じてもらうと良いか、考えるだけで楽しみな作品です。 地熱発電の可能性を検証するきっかけに 日本の原子力発電を廃止せよという外圧に屈するというかなり無茶な展開から、日本に潤沢にある地殻変動のエネルギーを発電に利用するまでのサクセスストーリー。
地熱発電の可能性については非常に興味をもって読むことができたが、肝心のストーリーに関しては、各章毎に浪花節的盛り上げが続き、できの悪い連ドラを見ているような気がしてあまり楽しめなかった。 現実はもっとやばくないですか? 近年のエコロジーブームは異常という気がします。
プリウスに代表されるエコカーは生産に必要なレアメタルの抽出に
大量の排水汚染を作り出しているという話が雑誌に出ていました。
空気に値段つけてるとしか思えないCO2排出権取引。
バイオ燃料は食糧危機を増進させている・・・
などなど
エコロジーは何が真実か、何のためなのか、よくわからないまま
「環境のため」「地球のため」「子供達の未来のため」といった金科玉条を
ぶらさげて世界的なブームを巻き起こしています。
この小説は2006年に書かれたこのですが、石油の値段やエコロジーに対する企業のスタンスなど、現在を見事に予測しています。
エネルギーを主題にし、小説内では利権や金、栄達や名誉が入り組み、多くの陰謀が
張り巡らされ、一気に最後まで読んでしまいます。
しかし、小説内の世界では最後には発電への未来が少しだけ明るく見えました。
我々の暮らす現実の世界はこの小説よりずっと根深い利権や金や各国の思惑の果てに
なんだかおかしな方向に向かっているような気がしてなりません。
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[ 文庫 ]
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マネーロンダリング (幻冬舎文庫)
・橘 玲
【幻冬舎】
発売日: 2003-04
参考価格: 760 円(税込)
販売価格: 760 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 100円〜
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・橘 玲
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カスタマー平均評価: 4.5
最高のエンターテイメント これほど時間を忘れて読みふけられる作品は久々であった。
内容はおそらく著者の実体験を踏まえたものなのか、随所に実際的で詳しい説明がされていて、またそれはそれで新鮮な知識として役に立つ。
何より自分がこれほど容易に同化できるとは驚きで、最後まで楽しかった。
星5つとしたいところだが、途中で不自然に展開した箇所があり、しかも不自然ゆえに先読みできてしまった点が少々不満で、ひとつ減点としたが、それは人によって感想は違うだろう。
総合的に大変すばらしい作品であるとお薦めできる。
驚愕の金融小説 香港、日本、そしてカリブ海のタックスヘイブン国が舞台の金融小説。驚愕の金融小説。
超詳細な合法マネーロンダリングの方法に加え、人間の愛と欲望が描かれていて、読者を興奮から離させません。
556Pの長編小説だが、あっという間に読了してしまった。 面白い、申し分なし。 橘玲氏の本は数多く読んでいるが、本当に面白い。ビジネス書籍類でもこの小説でも気に入りました。うまいところを指摘する面など氏の本は投資の面でも参考になる。そのくせ知識をひけらかすようなイヤミの全くない氏の本はとうとうほとんど買ってしまった。氏はインテリジェントだがざっくばらんな人間性の良さも伝わってくる。マネーロンダリングは小説式だがまさにそう、そうすればいいのだと思わずにいられかった。小説として読んでも悪くない。退屈しなかった。氏の本は今後も楽しみにしようと思う。 とりあえず、橘玲は、小説を書くべきでない 小説なので、役立つ必要も、実際に存在する必要もないのですが、
マネーロンダリングの具体的な方法や、いろいろなテクニックを書いていて初めて、
橘玲のもともとのファンは、リアリティを感じて納得するのではないでしょうか。
そういうリアリティはないですので、氏のもともとの読者向きではないといえます。
ただ、一般の読者には、そんなこと長々と書いては興ざめなのでしょう。
一般の読者が読むと「マネーロンダリングという凄いものが世の中にあるんだなー」
と感心するでしょうが、
氏のファンが読むと、「突っ込みが甘い。もっと手口も含めてリアリティがたりない」
と思われるのではないでしょうか。
金融ビジネスの危うさ 小説という形ではあるが、そこには
筆者の金融の豊富な知識がちりばめられており、勉強にもなったし、面白かった。
金融ビジネスにはモノとカネのやりとりではない、一種不思議な商取引の
危うさ、難しさ、そして魅力があります。
近々始まるであろうCO2排出権ビジネスもそうですが、実態のないものの
取引に翻弄される人間のあさましさを感じました。
小説としてちょっと物足りなかったのは麗子の人物描写がタンパクで、
ただ美しいとしか書いてないのでうまくイメージできませんでした。
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