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   山本一力
   司馬遼太郎

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司馬遼太郎

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新装版 軍師二人 (講談社文庫) 燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫) 関ヶ原〈上〉 (新潮文庫) 坂の上の雲〈1〉 (文春文庫) 二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ) 峠 (上巻) (新潮文庫) 花妖譚 (文春文庫) 世に棲む日日〈1〉 (文春文庫) 夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫) 竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)
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新装版 軍師二人 (講談社文庫)

[ 文庫 ]
新装版 軍師二人 (講談社文庫)

・司馬 遼太郎
【講談社】
発売日: 2006-03-15
参考価格: 770 円(税込)
販売価格: 770 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 378円〜
新装版 軍師二人 (講談社文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
どれも面白い
戦国時代を中心にした歴史短編集です。 関ヶ原前後から大阪夏の陣まで 短編で周囲の人物を描くことによって 全体の時代の雰囲気が浮かび上がるように 感じました。 今回のテーマは、戦に強い男は 女にも強いということなのでしょうか。 どの作品も面白いですが、 特に渡辺勘兵衛を取り上げた話がよかったです。
うっかり一冊が軍師二人なのかと早とちりしたが
幸村や後藤又兵衛関連の話を読みたくて、うっかり「軍師二人」という話だけの作品と思って買って、短編の一つだと分かってちょっと早とちりしたのですが、 読んでみると他の話もおもしろく、雑賀衆の話や関ヶ原の時のある男女の話など、戦国のたくましい女性をめぐる短編が意外と楽しめる作品で満足でした。
面白いっていうのは
最低の誉め言葉なので使いたくないんですが。 長編をいくつも書いて調べ物をしていくと、盛り込めなかったエピソードとか後でわかったこととか出てきてしまうんでしょうね。それを短編にしました、みたいな短編集です。それぞれ何を書いている時のだろうと考えながら読むのがよろしい。 司馬さんはやっぱり家康は嫌いだったんでしょうか。
司馬文学を凝縮した短編集
戦国期の様々な局面・武将に焦点をあて、濃密な考証に基づく時代背景を 情景豊かに記された、珠玉の短編集だと思います。 登場人物一人ひとりが大変魅力的で、生き生きと描かれており、司馬文学の 魅力の一端を感じられました。 筆者の心へ、特に強い印象を残したものは「侍大将の胸毛」でした。 筆者は個人的に、この短編集の主人公は、すべて「女性」であると感じて おりまして、特に、この章の内儀の「心の揺れ」の震えは、いまだに鮮やかに 筆者の心に残っております。 オオトリの「軍師二人」も、優秀な部下にも、有能な上司がいないと・・・と 現代社会にも投影される戒めを感じつつ、その一方で、大きな影を落として いたのが、あの「女性」であったか・・・と、感じました。
司馬遼太郎の超大作だけでなく短編集も面白い
戦国時代を生きた武将にまつわる短編を8つ収録。表題作の「軍師二人」は、大阪夏の陣で活躍した二人の軍師、後藤又兵衛と真田幸村の葛藤とそれぞれの心理を浮き彫りにしている。またこの二人をうまく御することができずに、大阪方崩壊への決定的方針を作った大野治長やその取り巻きも詳しく描かれている。歴史の転換点を作った器量の差、施策の差をまざまざと見せられる。「雑賀の舟鉄砲」では、本願寺・別所・毛利の連合軍と、秀吉(信長)の攻防に居合わせた雑賀の鉄砲傭兵が主人公。当時の鉄砲傭兵がどのように雇われ、生計を立て、活躍していたのかが垣間見られて面白い。他にも、関ヶ原の戦直前に、家康の側室を大阪城から無事に連れ出す(地味な)役目を与えられた佐野綱正の苦悩と忍耐、最期を描いた短編も興味深く読んだ。

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

[ 文庫 ]
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

・司馬 遼太郎
【新潮社】
発売日: 1972-05
参考価格: 780 円(税込)
販売価格: 780 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
あこがれの人
読書嫌いの私が、読書を始めて間もない頃、何となく知っていた司馬遼太郎という名前、燃えよ剣という題名に惹かれ、手に取ったのが、20数年前。以来何百冊という本を読み継いできたが、この本以上に感銘を、影響を受けた本は無い。大局的に見たら、歴史にささやかな抵抗を試みたに過ぎない土方だが、世がどう流れようと、周りが寝返ろうともひたすらに己の筋を通す。筋金入りの生き方をしている人間が少ないなかで、時代が変わっても輝いている。
新撰組に興味のない方にもお勧めです
上下巻合わせて読みました。もともと新撰組にさして興味があるわけでもなく、たまたま知人に紹介され軽い気持ちで購入したのですが、いざ読み始めると、これが面白いのなんの。江戸時代の庶民の生活、男女の関係などディテールがしっかり描写されており、どきどきさせられることがあるかと思えば、一方で徳川慶喜の判断によっては薩長を中心とする新政府樹立が為されなかったであろうこと(今に続く歴史が大きく違っていたであろうこと)も、この小説で初めて知りました。何より土方歳三の軸がぶれない生きざまは、今後の人生の指針となるものであり、この本を読んだ後、人生観がブラッシュアップされたような気がします。
本を手にした瞬間から
先ほど宅配便が届き暇が出来たらゆっくり読破しよう! と、パラパラと捲っている内に既に物語の中へ・・。 気がついたら2時間強が(立ち尽くしたまま)過ぎていました。 さすが司馬ワールド! 自分が思い描いていたとおり、いやそれ以上に魅力的な土方さん、沖田さんにもう夢中です。 今晩は一睡も出来そうにありません♪ 土方ファンには陶酔モノの作品、傑作です!
土方歳三カッコいいホレちまった
司馬遼太郎はいままで手を出せずというか勝手に難しい印象をもっていましたが、これは面白い!幕末というか歴史に疎い人にも是非読んでみることをお勧めします!函館五稜郭に行く前に読んでおくべきだったと後悔しています。(ラッキーピエロのハンバーガーしか記憶にないなんて・・・) 今は「項羽と劉邦」を読んでいて気づいたのですが、この方の小説は登場人物を俯瞰していて一見突き放した印象を受けるのですが人物像の陰影がドラマチックに描写され物語の進行につれてグイグイ引きこまれてしまいます。
美学
その男の生き様を語るためには、その死に様を見よ。 自分の信念を貫き、その信念の為に死んでいく土方歳三。 ここに男の美学を見る。 「男の美学」と聞くと、すでにかなり陳腐で時代錯誤な印象を持たれる人もいるかもしれない。でも、日本人の男なら、いや女性も「美しく生きたい」、心の中ではそう思っているんじゃないだろうか。 世は平成となり、昭和以上に「男」が美しく生きにくい世の中になった気がするが、この作品を読むたびに今の自分を振り返ることができる。 人には「守りたいもの」と「守らなければならないもの」がある。 「守りたいもの」とは自分の外にある大切なもの。家族であったり、恋人であったり。とにかく身をていしても守りたいものである。 では「守らなければならないもの」とは何か? それは「信念」や「誇り」など自分の内に燃えるものだと思う。その「守らなければならないもの」の存在に気づきながらも素知らぬ振りをして、つい愛想笑いを浮かばせて誤摩化してしまうのが常なんだが、そこで「ちょっとまてよ」と、諭してくれる。「燃えよ剣」とはそういう作品なのだ。

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

[ 文庫 ]
関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

・司馬 遼太郎
【新潮社】
発売日: 1974-06
参考価格: 740 円(税込)
販売価格: 740 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 250円〜
関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  4.5
歴史のif
これを読めばいやでも「歴史のif」を考えてしまいます。「もしこのときこうだったら西軍が勝っていたかも」という場面がたくさんあり、悲運の武将石田三成にに心を寄せる人は歯がゆい思いをしながら読むでしょう。私はといえば、三成は非常に魅力的ではありますが、たとえ関ヶ原で西軍が勝ったとしても歴史が彼を新しい時代の創設者に選ぶことはなかっただろうと感じました。一方家康は鼻もちならない人物ではありますが、新時代を切り開くにふさわしい人並み外れた英雄です。理想を掲げる者、権謀術数を操る者、利益で動く者、時代に流される者がさまざまに入り乱れながら、大きなうねりとなって関ヶ原の戦いに収束していく様は、きわめてスケールの大きな歴史ドラマです。純粋な娯楽作品として読んでも大いに楽しめます。
嫌われ者 光成
歴史物が苦手な自分がこの本を読んだのは三国志を読み 次に項羽と劉邦を読み 日本物も読んでみようとたまたま アマゾンで推薦された関ヶ原を読みました。項羽と劉邦のレビューにも書きましたが司馬遼太郎の 小説でも単なる解説書でも無い独特の文章に魅せられどんどん読み進みました。今まで石田三成は嫌なイメージだけしかありませんでした。 しかし,光成なるほど今の世の中にいればおそらくヒーローになれるのではと思います。さあ 中巻を読むぞ。
家康と三成の駆け引きを描く第1巻
全3巻の第1巻では、秀吉亡き後の戦国の世で、石田光成と徳川家康がさまざまな因縁と駆け引きのなかで天下分け目の関ヶ原に突入していく背景を中心に描きます。 秀吉への恩顧と義憤から家康を討とうとする三成。一方で、豊臣家の御為と言いながら明らかに天下を狙う家康。会津の上杉氏と呼応して日本全土を舞台に家康を挟み撃ちにする大戦略をたてる三成と、その戦略を上回りあえて三成の挙兵を誘い叩こうとする家康の虚虚実実の駆け引きが見所です。それにつけても、家康とその謀臣本多正信の巧妙な謀略に三成は次々とはめられていくさまは、物語とはいえ、家康が「狸」になぞらえられるのがよく分かります。 ところで、本作は司馬作品のなかでも佳作というか中くらいのボリュームなので、表現は比較的簡潔で、各武将の人となりなどの描写も少し軽めですが、逆にそのことによって、娯楽作品として気軽に楽しめる内容になっていると思います。
これ一冊で戦国武将に詳しく
とまではいきませんが、 この小説の時代背景は、正に戦国動乱期とも言え、 出てくる武将の数も多いです そしてさすがは司馬作品と思わせる、文章 詳細で、語尾まで極めて丁寧な装飾ながら、それでいて簡潔な文章です テンポもとても良いです 途中出てくる余談は賛否あるようですが、単純に歴史の裏的な史実にも詳しくなれると思うので、自分は好きです また、司馬作品はとても話の節目がよく、目次ごとの区切りがよいです『そろそろ集中が切れるな』と思うところで、次の節がくるので、ゆっくり読むときも、非常に読みやすくて良いです しばらく読んでなくて、途中から読んでも節のはじめから、話の流れがよくわかりますいざ合戦の時もとても歯切れよく、壮大な合戦の構図がありありと臨場感と興奮を伴って 脳内を刺激するかのように 駆け巡ります 人間、三成の不完全さ 徳川家康の不気味さ 慎重さが、対比的にもよく表れています そして なんといっても小説オリジナルの人物、初芽がとても自然な感じで 三成との運命を供にするかのように物語の中核を成しながらも静かに寄り添っています
三成、必勝の布陣をしくも負けるべくして負ける
関ヶ原における布陣、大谷吉継や島左近の奮闘と戦術レベルで圧倒。 上杉征伐で家康を東北に引き付け関西で挙兵した三成が背後から討つと戦略レベルでも圧倒。 まさに負けるわけがない西軍。 しかし、現実には、10数万の会戦は1日で決着、東軍の勝利に終わり、 1603年には家康の手で江戸幕府が開かれるわけで。 なぜ西軍は負けたのか。 関ヶ原当日に至る過程を、家康・三成のパーソナリティを基点に分析し、 見事に解き明かしたのが本書。 司馬が描く三成は「観念の人」。 自分が立てた豊臣への忠誠という規範に縛られ、 当然他人もそれにしたがって動くと信じてしまう。 かたや家康は、人間の表も裏も知り尽くした古だぬき。 武将たちが何を欲しているのか、どう突けば動くのか、 福島正則も加藤清正も、彼の手の上で踊る哀れな人形にすぎません。 最終的には、敵の大将である三成すら・・・ 必勝の布陣をしきながら、負けるべくして負けた西軍。 人間の機微が詰まりに詰まった作品。 やはり司馬遼太郎は何度読んでも勉強になります。

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-01
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 142円〜
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
司馬遼太郎の最高傑作
司馬遼太郎といえば、「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」が双壁であるが、こちらの方が、大人向けかな。日本人がいかにして、今日の日本を形作ろうとしたのかを、筆者が渾身の力で書き上げたのが実感できる。まさしく名作。
混迷する現代日本の進路を司馬と対話しつつ考えはじめた
明治という時代、日本人、特に若者が、新しい社会を作ろう、その力になろうと張り切って生きた姿はしばしば見聞きしてきました。しかし、当時の日本は、自由民権運動への弾圧にみられるように、民主的な国づくりをめざすのではなく、日清・日露の両戦争を中心にした歩みに示される通り、富国強兵のスローガンを振りかざし軍国日本の道を歩んだのでした。 その姿を秋山好古、真之兄弟に象徴的に見て取ることが出来ます。進取の気風に溢れる若者は、しばしば時の国家の方針に大きく影響されてその才能を振るうことになります。司馬遼太郎は、両兄弟をはじめ、主として当時のエリート軍人、つまり軍の指導者が、もてる力をどう発揮したか、あるいはできなかったか、をことのほか力をこめて描いています。乃木将軍の無能振りも掘り下げて描かれます。また、正岡子規の才が、両兄弟との交わりの中で互いに淡く影を映すところも描かれます。 現代日本は、明治とは全く違う形で戦後という時代を経験しました。それは、新しい出発を、可能性として明治維新と同じ程度に準備していたといえましょう。しかし、どうでしょうか、明治以後の延長線上にしか、その可能性を生かし切れなかったのではないでしょうか。経済は高度成長を経験し、自衛隊は憲法の制約下でも世界で有数の力を持っています。ごく最近になって小泉首相は、その梶を大きく切ろうとしたのかも知れませんが、その方向が、アメリカ流の新自由主義路線という富国強兵を推し進める路線であって、決して日本とそこに住む人民大衆の幸せへの道ではなかった、このことは、小泉路線を失敗に終わらせた決定的要因だったのではないでしょうか。・・・とはいえ、現代日本の評価は、現在進行形でもあり、人により違っていっこうに構わないことではあります。 が、いずれにせよ、日本の指導者の多くは、混迷する日本の進路を図りかねています。そのようなときにあたって、司馬の描く明治維新後の有能な若者の生き様と戦争の時代の推移を通して、これからの日本と日本人の有り様(よう)を探ることが出来れば、それは、この本のひとつの有効な読み方といえるのかも知れません。私は、この物語を反芻しながら、坂の上の雲を見上げては、今日も司馬遼太郎と対話をしています。
日本の近代史入門書
明治とは、どういう時代だったのか。明治に活躍した人たちは江戸時代に生まれたわけだが、階級社会であった江戸時代にどういう立場にいた人たちだったのか。外国の情報が乏しい中、日本人はどうやって外国の文化を取り入れ、外国の政府と交渉したのか。優れたリーダーとは、一体、どういう人なのか。本書は、日露戦争を題材に、実在の人物を通して、これらの疑問に答えてくれる。 目的があって読み始めたわけではないが、あまりの面白さにあっという間に8巻全部を読み終えた。 徳川という旧い秩序の崩壊は、下級武士たちから生活の保障を奪い、生きる方法を模索させたと同時に、実力さえあれば出世のチャンスがある大きな空白を生んだ。明治時代、冒険心に満ちた優秀な人材が続々と頭角を現したのは、このためではないか。しかし、完全に階級を無視した自由競争が存在したわけではない。政治や軍事の分野で高い地位についたのは、倒幕を推進した薩摩藩、長州藩の幹部たちだで、中にはダメなリーダーもいた。また、出世競争に参加できたのは江戸時代に寺子屋に通って基礎的学問を身に付けた武士の子どもたちだった。他方で、軍隊の末端で従順に上官の命令を遂行し、虫けらのように命を落としていった兵隊たちは、農家の次男坊、三男坊が多かったのではないか。 わずか100年前、日本人が何をしたか、日本がどんな国たったかを知ることは、今の私たち自身を知る大きなヒントになると思う。
小説というよりも口頭伝承。
明治時代。 文学者、正岡子規と 日本騎兵の父といわれた陸軍軍人、秋山好古、 海軍中将、秋山真之の 秋山兄弟を中心に、 松山出身の三人の生い立ちから 日露戦争終焉までを描いた歴史小説。 開国後、明治時代の青年達が それこそ明日なろうとするかのように それぞれ迷いながらも、 真直ぐな思いで生きるその様に、 爽やかな印象を受ける。 何も無いところから、 何かを打ち立てることの気持ち良さやら、 上に立つ者達の態度やらも、 社会人生活を送る上でも同様に 当て嵌まることも多く、興味深い。 読み物として、とても面白い。 内容については面白いので、さておき。 僕が気になったのはこの本の描かれ方で。 新聞で連載小説の形式で書かれたせいもあるであろうが、 前半は正岡、秋山兄弟の三人を中心に描かれているが、 後半は日露戦争を中心にした関係人物の群像劇となり、 前半とは別の小説と言っても過言ではない内容になってくる。 このように、纏まりが無いように見える形式の小説で、 ここまで有名な本を僕は知らない。 普通であれば、これくらい長い小説では 背骨が通っていなければ全体として、 何を言っているのかが、判りにくいものに なってしまうのが常だと思うが、それでもなお、 この話が面白いのは、 虚構ではなく、作者が十年かけて調査した 歴史的事実が面白いからだろう、と思う。 あとがきで、作者が、 『小説とは要するに人間と人生につき、  印刷するに足るだけの何事かを書く  というだけのもので、  それ以外の文学理論は私にはない。』 と言っている。 このようなことを明確に書くということは、 作者としてもきっと、この話の形式について、 思うことがあったのだろうと考えられる。 この物語の話者は、 作者、司馬遼太郎になっている。 司馬遼太郎はこの本では、 個人的には、小説家というよりは、 口頭伝承をするストーリーテラー、 といった方が近い気がした。
明治の勇士
松山出身の歌人正岡子規と軍人の秋山好古・真之兄弟の三人を軸に、維新から日露戦争の勝利に至る明治日本を描く大河小説。 日露戦争での日本人の気概に圧巻です。

二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)

[ 単行本 ]
二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)

・司馬 遼太郎 (しば りょうたろう)
【世界文化社】
発売日: 2001-02-12
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
 Amazonポイント: 12 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 880円〜
二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)
司馬 遼太郎 (しば りょうたろう)
カスタマー平均評価:  4.5
司馬先生の期待にこたえるために
他の方々が書いているように、短い文章ながら力強いメッセージがこめられていて老若男女問わず読み手に強い感動を誘う内容。流石、司馬遼太郎ということか。学生に限らず、人生の節目にある人に対する贈り物にも最適だろう。 21世紀になっても世界は司馬遼太郎の懸念を十分に解決できていない。私は本書の執筆当時の対象年齢層だった。そういう意味でも司馬遼太郎の思いを託されたと思い、折に触れて読み返していきたい。
内容は素晴らしいが・・・
内容は文句無く素晴らしい。老若男女問わず読むべき文章であると思う。ただ・・・印刷がどうも・・・。表紙を見ても伺えるが、蛍光色のようなどぎつい色で、ページを開くたびに不自然な色の自然の写真が目にぶつかってくる。心洗われるような美しい写真とともにこの文章が読めたらどんなにか永久保存にしたい本になっただろうと思うと、実に残念でならない。そのため人に贈る本としては対訳版のほうを選んでいる。
卒業祝い&入学祝に贈りたい
絵本のような大きな文字と、すべての漢字に『ふり仮名』がふってある50ページにみたない薄い本。 しかし、内容はかなり濃厚。 少ない文字数と簡単な言葉で、核心を突いた深いことをスバッと言ってのける。 “「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」はもともと一つの根から出ていて、 その根は本能ではないから、私たちは訓練をしてそれを身につけなければならない” 人間だから忘れることも、気を抜くことも、余裕がないこともある。 でも本来人間は、自分がどんな状態にあったとしても、その気持ちをけして忘れてはいけない。 ・・・忘れない努力をしなくてはいてない。 なのに我々は『昔、習得したから』といって、訓練することを やめてしまっているのではないだろうか。 やさしい人間とはなにか。いたわりの心を持つ人間とはなにか。 もう一度原点にもどって考え直してみたい。 1989年以降、この内容を国語の時間に読んだ子供がうらやましい♪ 教科書として出会わなかった自分のために、まず一冊。 さらに、大人買いして (親戚の子供も含めた)周りの人間すべてに配り歩きたくなる一冊です。
感動しました
私は中ニです。 この本は本屋でみつけて、買ってみましたが 読んでみてすごく感動しました。 この本を私の担任の先生に奨めてみたところ、また感動したらしく 道徳の授業でこの本を紹介し、朗読しました。 でも感動だけではなく、大いに考えさせられました。 私達が今いる二十一世紀は司馬さんが見たかった二十一世紀なのかと。 すばらしい世の中なのか?と。 だからこそ、若い担い手である私達が今の現状を見据え、 これからの未来を変えていかなくてはならないのだと深く思いました。 もっとたくさんの人に読んでもらいたいです。
大人も子どもも、一度は2?3回遅読すべき!
 著者は歴史小説で有名な司馬遼太郎で、小学校高学年(5?6年)を対象にした2つのメッセージを1冊の本にまとめたものである。小学生を対象にしているせいか、平易な文体でわかりやすくスラスラと頭の中に入るように書いている。  第一のメッセージでは、20世紀で生涯を終えた著者が21世紀を生きる我々に原点回帰と責任の重大さを伝えている。一方、第二のメッセージでは緒方洪庵(こうあん)を取り上げ、適塾の思想を通じて生きるべき指針を提示している。  本書で、司馬遼太郎は平易でシンプルなメッセージを伝えている。そのため、一度読んだだけではあまりにも簡単に頭の中に入ってしまうため、あまり印象に残らないことが多い。  特に、社会人になると学生時代のように時間があるわけではなく、限られた時間を有効活用しなければならない。そのため、一度に複数冊の本を同時並行で読み進めてしまい、同じ本を二度読むことは滅多に無い。  しかし、本書のような類の本は読めば読むほど奥深さが出るものである。実際、書評を書きながら2?3回読んでいるのだが、平易な文体からは考えられないほど底知れぬ教えが隠されており、時間に追われがちで不安定になりがちな心理状態が落ち着いてくる。  個人的には、後者が参考になった。吉田松陰の松下村塾と似たような方針であり、福沢諭吉や大村益次郎を輩出した適塾は、身分平等で入学試験も無く、「学問をする」というひとつの目的で集まっていた。  加えて、塾生の間で勉強を教え合い、8つの級に分け、級の代表である会頭(かいとう)と熟生全体の代表としての塾頭(じゅくとう)を設置していた。さらに、12か条の訓戒を書き、医者としての心構えを説いていた。  この訓戒を知った時、会津藩の“什(じゅう)の掟”を思い出した。「ならぬことはなりませぬ」で有名な什の掟だが、教育問題で揺れる現在の日本で最も必要な要素ではないだろうか?

峠 (上巻) (新潮文庫)

[ 文庫 ]
峠 (上巻) (新潮文庫)

・司馬 遼太郎
【新潮社】
発売日: 2003-10
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 467円〜
峠 (上巻) (新潮文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
「文字が立ってくるまで読む」(本文から)
「なまの人間を崇敬できぬ」 「人間として人間にあこがれるという他愛さがない」 「人間は、互いに肥料であるにすぎぬ。 …人物に惚れることを怖れた。」 「万事、この男は不逞であり、可愛気がない。」 (何れも本文から) でも、だからこそこの主人公河井継之助に惚れますよ。 考える凄さ、己の意見、優れた主観で動く素晴らしさを感じます。
10代の人に読んで欲しい本!!
 司馬遼太郎作品はいろいろ読んでいるが、『峠』が一番考えさせられる   内容の著書だった。  他の方のレビューにもあったが、読んでいて途中から  『継乃助が戦死せずに明治も活躍していたらどうだったんだろ?』   とか  『なんで、先見性がある継乃助が最終的に戦に挑んだか?』 とずっと考えながら読んだ。    それは、継乃助が一番重んじた学問が陽明学で、自分自身が越後長岡7万4千石  牧野家家臣 河井家 そして、武士に生まれた事の意味と照らし合わせたからだと思う。   今の、世の中にもこういう矜持を持った人がたくさんいればいいなぁと思う。      10代の若い人たちに大いなる見本になる人物として参考にして頂きたい。   以前、『燃えよ剣』も読んで感銘を受けましたが、司馬氏の作品には毎回    やられっぱなしです。これから 『世に棲む日々』を読もうと思います。
生き方を考えさせられる本
司馬遼太郎作品の中では、メジャーな方では無いと思いますが、 かなり好きな一冊になりました。 主人公の河井継之助の他人に流されず、自分の信念を貫く姿勢や、 命は使うべきところで使わなければ意味が無いという覚悟に、影響を受けました。 また、河井継之助の考え方の基本は陽明学という学問らしいですが、 そちらの方にも少し興味を感じました。 最終的に長岡藩にとってこのような大人物を抱えたことが、 良かったのか悪かったのかは難しいところではありますが、 歴史物が好きでない方にもお勧めの一冊です。
方谷との出会い
若くして陽明学を師事し、その理念を持って自らを研鑽していく過程(雌伏)そしてそれが昇華されて悲劇といえる北越戦争に至る悲しさを感じさせる巻である。この本を幾度となく読み返したが若い頃はエンターテイメント性溢れ、戦争突入前の風雲の時勢の緊迫感溢れる下巻に心動かされたものだが、幾度と読み返すと方谷との出会いまたそこで学ぶこと。このあたりのなんともいえない河井の生き様がたまらないと思える。知行合一の知の部分の研鑽であり、その集大成としての行動の前段なのである。後半の行動に向かう前の河井の心の声が聞こえてきそうである。心中、心のつぶやきが多い男である。という言葉が文中出てくるが己の心の中を鏡のように磨き上げるという作業に費やされたこの期間が愛しく思える。後半に向かい滅びを迎えるべくして迎えるという美学をこのように計らずとも作り上げ、また時勢に巻き込まざるを得ないという運命によって悲壮という世界に突入していく愛すべき河井の姿がよく見える巻である。
「志」ある人生が放つ美
「河合継之助のような人間を持ったことははたして藩にとって幸か不幸か・・・」 作中、登場人物達により幾度か繰り返される問いである。 継之助はその卓越した頭脳と行動力により日本随一の砲兵団を作り上げ、それにより長岡藩という小藩をして一個の独立国にすることを夢見た。 しかし結果として、継之助ひきいる長岡藩は維新史上最も激烈な戦いとなる北越戦争へと突入してゆくことになる。 司馬さんは短編『英雄児』において、継之助の英雄ぶりとともに、このような英雄を持った小藩の不幸を描いた。 そして3年後、同じ河合継之助を主人公にし、全く別の視点、「武士」というものに焦点をあてた長編を発表した。 それがこの『峠』である。 継之助は福沢諭吉に劣らない開明論者で封建制の崩壊を誰よりも見通していながら、諭吉とはまったく違う道を選ぶ(この2人の掛け合いは私の最も好きなシーンである)。 自分自身の原理原則――「志」に従った結果である。 日本の文明化が諭吉の志なら、継之助の志は「長岡藩士として藩をいかによくしてゆくか」ということだった。 司馬さんはあとがきでいう。 「幕末期に完成した武士という人間像は、日本人がうみだした、多少奇形であるにしてもその結晶のみごとさにおいて人間の芸術品とまでいえるように思える」 この究極的な武士の美を描いた『峠』に、私は司馬作品の典型を感じる。 その人間の行いが歴史的にどういう意味を持ったか、未来にどのように貢献したかは、決して司馬作品の主題ではない。 司馬さんが描くもの、それは人生の美である。 ただ生き伸びるだけの人生ではなく、「志」ある人生が放つ美である。 継之助が極端なほどに貫いたものである。

花妖譚 (文春文庫)

[ 文庫 ]
花妖譚 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 2009-04-10
参考価格: 420 円(税込)
販売価格: 420 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 300円〜
花妖譚 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
司馬遼太郎への移行期の作品にみるみる吸い込まれます!
花にまつわる10作品が収められています。 華道の未生流家元出版部の機関紙に掲載されることで題材に花を選んだのでしょうか? 司馬遼太郎というペンネーム以前の福田定一で出した作品ですが、この頃から彼は 世界中の歴史に精通しており、古文書に書かれた膨大な知識や人脈を 自由に作品に投影して、史実と創作を見事に織り上げた珠玉の短編集です! その花のもつ妖艶さや可憐さ、人を幻惑する香りや秘密をそれぞれの主人公の 性や生き様に絡ませて、実に魅惑的に描いています。 ギリシャ神話やモンゴル・中国・日本の歴史の一コマにスポットライトをあてた 形式にしているので、読者も1編ごとにその歴史に浸ることができます。 著者の知識容量の深さと広さ、そして 若々しく純粋で清らかな創作の世界を楽しめます!

世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)

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世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 2003-03
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 140円〜
世に棲む日日〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  4.5
幕末史を長州藩(まずは松陰吉田寅次郎)の視点より観る
大河ドラマ『篤姫』を大いに楽しんだ一ファンであるが、幕末史を描く視点がどうしても薩摩藩中心であったため、同時代の長州藩の動きはどうであったのか、またその思想的淵源であったと思しい吉田松陰の生涯とはどのようなものであったのか等々を知りたく思い、全4冊の一読を開始。第一巻は、彼の誕生からプチャーチン率いるロシア艦隊に乗船してロシアへの密航を企てるも失敗に終わるまでを描く。 彼の終生の純粋さやストイシズムのオリジンが叔父玉木文之進の超スパルタ教育にあったことや密航の背景をなすその地理好き(プラス過書手形事件による家禄没収及び「育」(はぐぐみ)身分への転落)、女犯禁欲の意図(自ら狂夫(非常の人)たらんと欲した彼は、「おのれの欲望を解放解放することによって固有の気が衰え、ついに惰になり、物事を常識で考える人間になってしまう」(149?150頁)ことを怖れ、性欲を抑えることによりそれを達成しようとした)がよく理解でき、大変面白く読み終えた。 この他、司馬氏の達意の筆により描き出される周辺人物たちの生き様(森田節斎、佐久間象山など)も興味深い。
功山寺に行ってきました。
出張で広島に行った折り、念願の功山寺に行ってきました。 幕府と対決しようとする高杉が、必死に静止しようとする部下の頭上を飛び越えて馬で駆け下りたという、「功山寺の坂」を見たかったからです。 自分の選択が本当に正しいものと確信できるとき、他者の曖昧な意見の集約など必要ではないものなのでしょう。 そして自分の選択を即座に行動に移せるのは、稀有なことであるでしょう。 高杉晋作という存在が、今の世の中でも圧倒的に我々に迫ってくるのは、迷いのない行動にその本質があるのでしょう。
時代を作った若者の生き様をいきいきと描く
説明はいらないでしょう。 あまりにも有名な、松陰と晋作の物語です。 当時、学ぶことは書物と人からであり、自分の思想を他人に伝播し、思いを同じにしていくことが、学派でした。 その思いは人から人に伝わり、松陰の思いは形を変えて昇華し、長州の国を変えて行きます。 このふたりのヒーローの生き様はすさまじく、常人には理解したがくそして畏怖を 感じるものですが、この作品では作者は市井の商人や、時代に流され筋を通せない 日和見、幕府によって右往左往していく今は記憶に残っていない長州の人々も合わ せて書いています。 他の方のレビューにも詳しく熱く語られている二人以外にも、井上聞多や、山形有 恒など次代の明治を迷走も含めながらも作り上げていった人々も登場していきま す。 彼らの性格や判断と松陰や晋作のものは、かなり異なっており、革命前期は松陰の 狂や晋作の動が必要であり、革命の後期においては、井上や山県の慎重さが必要で あったのだろうと、時代が選んでいった人材の妙にも納得感心させられます。 幕末という日本史においても特異な時代、駆け抜けていった彼らの生き方は我々を 魅了してやみません。
長州藩の七年
司馬遼太郎が独自の解釈で吉田松蔭と高杉晋作の人物像を分析した小説。幕末の事象も長州藩の動きもこの二人の周りの事のみが詳しく記される。薩長同盟や禁門の変や池田屋事件はほとんど語られません。同じ長州でも桂小五郎や吉田稔麿や入江九一や大村益次郎や広沢真臣についてはほとんど記述がありません。久坂も高杉との対比で使われるぐらい。詳しく無い人には全体的な幕末史の勉強用としては少し不向きかもしれない。ただ松蔭と高杉の二人に関する人物分析は巧みですが、現代人の眼から見た想像上の解釈という感じがするのは否めない。二人の辞世の句を見ても、何かしっくりきません。他人がとってつけた感じがする。やっぱりその時代に生きた人でないと分からないのでしょうね。少しでも思想に近づくには孟子を十年くらい勉強した上で講孟余話を読むぐらいはしないと無理かもしれない。それはさておき、「竜馬がゆく」などでは存在が希薄だった伊藤や山形や井上、品川、山田、佐世八十郎(前原一誠)、野村靖(兄は入江九一)などの若き日の姿も描かれているし、晋作が大阪に潜伏中に徒然草を買い求めようとして幕吏に捕まりかけたエピソードとか西宮の港を守っていた籐堂藩の番侍が臆病だったという「老の思ひ出」からのエピソードも面白い。松蔭の幼年期の師匠でもあり叔父の玉木文之進はこの本を読む限り、物凄く出来た人です。玉木は維新後、前原一誠を旗頭とした萩の乱(この乱で玉木の養子の真人(乃木希典の弟)も戦死)に責任を感じて切腹します。まあこの様にエピソードも豊富ですので長州藩の事が好きな人は読んでおくべき本かも。
修羅場をかいくぐった腹の据わり方
幕末の混乱が上手く整理され、(僕のように漠然とした印象しかない人には)吉田松陰と高杉晋作の果たした役割に新しい発見があるようで面白いです。 面白い点は、革命の実行を三代に分けている視点、諸藩、特に薩摩と長州の違い、尊王攘夷思想の変遷の三点です。明治維新を松蔭の思想的根拠を築いた世代、それを乱世で実現していった世代(高杉、西郷、大久保、木戸など)、その乱世を片付け新しい権力社会をつくった世代(伊藤、山県など)で整理する視点にはなるほど、と思わせるものがあります。恐らく、第二世代の高杉は体質的に第三世代では活躍ではなかったのではないかと思われます(西郷がそうであったように)。また、長州があくまで思想団体として描かれるのに対し、薩摩が政略のみで動いた、とする洞察にも共感を覚えます。また、少なくとも晋作にとっては尊皇攘夷はあくまで倒幕のための戦略であった、という認識には(僕は)斬新さを感じました。 しかし、それにしても幕末には凄い人たちがいたものです。維新には印象の薄い、井上聞多や山県、伊藤にしてもそれなりの命を賭したリスクをおかしていることが分かります。特に井上の覚悟とここ一番の行動力はこれは凄い。明治の元老たちにはやはり、こういう修羅場をかいくぐってきた腹の据わり方があったのでしょう。

夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)

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夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 2005-09-02
参考価格: 570 円(税込)
販売価格: 570 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 140円〜
夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
夢の途中
長曾我部元親のものがたり。 作者は、元親を、臆病さが生み出した、智謀の将としている。本書の前半は、謀略の限りをつくした土佐統一戦を、正室の菜々の視線を交えて語られる。ここでは、元親の腹黒さと対照的に、菜々が、天真爛漫な女性として描かれている。 元親は、四国統一から天下へ向けての夢想のため、戦乱をかけぬけた英雄であるが、信長からは、鳥無き里のこうもりとして軽んじられ、秀吉からも、天下人たる器量なしと断じられていたのが興味深い。 後半では、20年かけて苦心惨憺切り取った領地は、秀吉との戦に敗れ、あっさりとりあげられてしまう。元新の、秀吉という大きな器を見せつけられた衝撃、夢半ばで目覚めさせられた悲嘆は、想像に難くない。秀吉政権下にあって、恭順の姿勢に変わっていくのだが、折々に見せる悔しさは痛々しくもある。 元親と嫡男 信親の挿話は感情移入してしまうこと必定で、島津征伐での信親の最期は胸がうたれる。つづく菜々の逝去も相まって、元親が愚人と化してしまうのがもの悲しい。登場人物が魅力的であればあるほど、その死は痛ましく、元親が、お家断絶の引き金を引いてしまった事情が鮮明になる。 作者の『戦雲の夢』は、未読だが、本作とともにいつか大河ドラマ化して欲しいと思う。
それでも人生は続く
元親は結局秀吉に降伏し、二十年かけてとった四国から土佐一国にもどされ、いまさら秀吉という主をもつことになった。その痛ましい境遇を、下巻ではあますところなく伝えています。スポーツなんかでも、「この相手にはどうしてもかなわない」という圧倒的な実力差(格の違い)を経験したことのある人は多いと思いますが、元親も秀吉に対して軍事的な面でも人物としても「格の違い」を悟り、軍事的な野心を放棄してしまったように感じます。そうした諦念の中それでも人生は続くし、それは夢をあきらめた人が(私もその一人だが)夢を振り切って生きていくせつなさとダブるものがあります。
夢破れて
四国統一を目指した若き長曽我部元親、 秀吉に降伏した後の晩年の長曽我部元親、 まるで別人のようです。 天下を夢見て、戦い続けてきた。 大勢の部下の命を失ったのも、 すべて天下を目指すことで忘れてきた。 それが、秀吉に屈伏し、天下人として 圧倒的に巨大な存在を目の当たりにする。 自分は天下を取るに値するという、 人生を肯定してきたものが崩れてしまったのでしょう。 悲哀に満ちた晩年は、共感を覚えました。 信親を失ったときの悲しみが 夢破れた元親に追い討ちをかけます。 いっそのことあの時、秀吉と決戦していればと 何度思い返したことか。 読み応えのある一冊でした。
戦国武将のむなしくも数奇な人生
四国の武将、長曾我部元親の人生を描いた後編。 内面的な弱さを持ちながらも四国を平定した元親は、信長の侵攻、その死、秀吉の天下統一など、戦国時代ならでは目まぐるしい環境変化に翻弄されます。地理的に中央のパワーバランスを瞬時に知ることのできなかった彼ほど激しく浮き沈みを経験した武将もまれなのではないでしょうか? 20年かかって四国をものにしながらも結局もとの土佐一国の大名に戻ってしまうむなしさ、嫡子と愛妻を相次ぎなくし生きる意欲をなくしていく元親の心模様、感情の揺れというものが 人間臭く描かれます。 個人的な印象ですが、司馬作品は戦国時代以前を描いた作品のほうがより一層、人間性(心の内面のようなもおの)をいきいきと描いているように感じます。この作品も戦国の世で数奇な人生を歩んだ武将のはかなさをいきいきと描いた佳作と評価します。
知られざる戦国の雄
「功名が辻」を読んだ流れで土佐藩以前の高知に興味を持って読んでみました。四国統一を成し遂げたとはいえ、マイナーな扱いを受けている長曽加部元親。その人となりがよく描き出されている作品だと思います。また当時の土佐国が、日本の中でも後進地域であったことも驚かされ、「日本も広いなぁ」と妙に感心させられました。  ところで元親は天下を目指していたと語られており、土佐国に生まれていたことが彼の不運だったようなことが書かれていますが、私個人としては仮に本州に生まれていても天下を獲ることは無理だったと思います。本州には信長だけでなく、甲斐の武田や越後の上杉などがいたわけで、それらの武将と比較しても特に秀でた武将とは思えない。逆に本州に生まれていたら、早々と歴史の舞台から消えていたことでしょう。ラストはかつて四国を制覇したものとは思えない、切ない終焉が待っています。ぜひご一読を!

竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1998-09
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 440円〜
竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
いわずとしれた名作。
日本人の好きな人物の、常に3位までに入る坂本竜馬。これは、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の作品なくしては、成し遂げられなかったであろう。文句なしの名作。
因縁が、今現在にも影響
司馬遼太郎が資料集めを始めると、 関連書籍がその地域の古本屋や 古書業界から無くなるほどだった。という逸話を持つ その時代考証は深く、司馬氏自身が目の前で 見てきたかのような細かい描写に活かされている。 戦国時代から、江戸末期、明治から昭和へと続く 藩同士の因縁が、今現在にも影響していることを再認識 ↓続きはコチラ http://johnjohn.jp/blog/jb/mkt/archives/2008/03/post-129.php 「忙しい人のための楽習塾」 利益を上げる読書術とは? http://johnjohn.jp/blog/jb/mkt/
男心を刺激する
坂本龍馬が多くの日本人に愛されるキッカケをつくった本。著者自身も言っていますが、その人物像は著者のイメージによるところが大きいとはいえ、当時のあらゆる事ともに、膨大な資料から練り上げられたイメージにはリアリティを感じます。この物語には数々の英雄とその人生が描かれおり、男の命の迫力が伝わってくるでしょう。何も伝わらないようなら、君は男子ではない、そう言わせるだけの青春物語。
評するも人、評さるるも人。つまり大人物。
 勝海舟の引き寄せで、坂本竜馬が西郷隆盛と対面したとき、坂本は「大きくたたけば大きく響き、小さくたたけば小さく響く人だ」と西郷の印象を語ったそうです。それを聞いた勝は「評する(坂本)も人(大人物)、評さるる(西郷)も人(大人物)」とうなずきました。  坂本は、武家の生まれでしたが、いわゆる格が低い家でありました。だから、ストレートにいけば、武士としての立身出世は難しかったでしょう。ただ、江戸留学も含めて剣術は相当に強かった、そういう人が、海の向こうを相手にビジネスを行うことを考えていた。  その実現に、障害となるものを取り除こうとしていったのでしょう。とてつもない行動力・実行力です。  本巻では、剣術に強くなっていく青年としての坂本竜馬が描かれています。
坂本竜馬
土佐、薩摩、長州などの国ではなく、初めて日本を意識した日本人、坂本竜馬。 幕末維新史上の奇蹟を起こした坂本竜馬に男気を感じずにはいられない。



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 更新日 2009年5月10日(日)  ※ 表示価格は更新時のものです!      メール      相互リンク

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