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[ 単行本 ]
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レッドゾーン(下)
・真山 仁
【講談社】
発売日: 2009-04-24
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,349円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 3.5
待ってました! 「ハゲタカ」シリーズのファンで新作を待っていました。
真山氏のほかの作品と比べるとこのシリーズは力の入れ方が違う気がします。例によってシニカルな主人公が日本の魂とでもいうべき自動車メーカーの対する中国の買収を阻止し、最終的にはハッピーエンドという話ですが、エンディングに向かうにつれ、良くこれだけ思いつくというくらい話の展開がめまぐるしく一気に読めてしまいます。
芝野の登場などどうしても必然性があると思えない部分もあり途中少し間延びしてしまうところもありますが、それも多分著者がハゲタカ以来の登場人物に対する愛情のような気もします。それも考慮して4つ星とさせていただきました。
どちらにしろフィナーレでの鷲津の台詞「大内さんもやるじゃないですか」というシーンが私的には大好きでここに到達するためにこの本を読んでただきたいと思います。
次回作でまた鷲津やサム、リン達に会えるのを楽しみにしています。
なんだかな? ハゲタカ1、ハゲタカ2と結構楽しめましたので今回も発売日に購入、上下巻を2日で読み切りました。感想は? なんだかな?って感じです。買収者と防衛者の英知を絞った対決を期待しましたが変なサスペンスというかスパイ小説というか訳のわからない結末でした(上巻はまだしも下巻は酷い)。 現実にはこういった筋書きもあるのかも知れませんが小説ではもう少しスッキリと纏めて欲しかったです。それにしても「巨大投資銀行・黒木亮」は面白かったな、と思ったのは私だけでしょうか。
ハゲタカ、バイアウトの読者であれば読むべき 前々作、前作に続いて登場人物が泥臭くからむ人間ドラマに見ごたえありです。
鷲津政彦はじめとする登場人物たちのキャラの濃さとかっこよさも光っています。
息のつまるような交渉シーンや互いの駆け引きの面白さという点においては本作も文句なしです。ただ、前作で提示されたアランの死の謎など重要な点について終盤であまりにもあっさりと謎解きがされて終わってしまうのがあっけない印象でした。
しかしながら、ハゲタカ、バイアウトを読んで非常に面白いと感じた読者であれば本作も楽しんで読めることは間違いないと思います。 そろそろ苦しくなってきたか・・・? あとがきに「本書はフィクションである?」と強調しているが、真山作品の楽しみかたの一つは、
やはりモデル(であろう)企業や人物を想像しながら読むことだ。
アカマは言わずもがな、序盤のTOB裁判や、SWFを推し進める冨岡議員など、「あーあーコレコレ」と、
ニヤニヤしながらページをめくってしまいました。悲しいかな、鷲津や柴野の実在のモデルは浮かびませんでしたが・・・・
本書は08年3月から連載された小説のはずなのですが、アメリカの疲弊や中国の躍進、不動といわれた
自動車産業の勢力地図激変など、連載時期を考えても、作者に予知能力があるとしか思えない設定には、
本当に驚かされます。
終盤のビッグスリーに対する『ある作戦』は、まさに今のアメリカの自動車産業を取り巻く環境そのものでした。
詳しく書くとネタバレになるので控えますが。
作者の資料分析などは100%感服させられるのですが、肝心のストーリー展開はマンネリを感じさせられました。
1作目、2作目、3作目と、舞台はどんどん大きく広くなるのに、それと反比例してストーリー展開は終わってみると、
案外こじんまりとしたものでした。
シリーズ通して登場するレギュラー陣が登場するたびに、少しうれしくなるのですが、たいした絡みもなく
いつのまにかフェードアウトしていくので、読者サービスのつもりかなぁと白けてしまった。
逆に無理やり絡ませたら、それこそ不自然かもしれませんが。
あと、ハゲタカ2(バイアウト)から引きずっていた謎も、あらかた解決します。しかしそれも、悪い意味で拍子抜け。
確かに面白いです。上下巻一気読みさせるパワーとテンポは、そこらの小説とは一線を画しています。
しかし読み終えると、余韻より「なんだかなー、なんだかなぁ・・・」と、無い物ねだりする気持ちを抑えられません。
いろいろな意味で“惜しい”小説です。 シリーズを意識しすぎてか・・・。 「ハゲタカ」、「バイアウト」に比べると読みやすくなっていますが、ちょっと余韻を残しすぎたような・・・というのが読み終わっての感想。
「バイアウト」で残した大きな謎が呆気なく流れてしまったのも残念。
とは言え、一気に読んでしまいたくなる話の展開は変わっていないので、読んで損はないはずです。
個人的に「鷲津シリーズはこれで最後」と思っていましたが、まだ続きそうな雰囲気で、スピンアウトも多く出てきそう。楽しみです。
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[ 単行本 ]
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運命の人(一)
・山崎 豊子
【文藝春秋】
発売日: 2009-04-24
参考価格: 1,600 円(税込)
販売価格: 1,600 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,239円〜
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・山崎 豊子
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カスタマー平均評価: 5
やっぱり山崎豊子 国が、政治家らしい人物をそろえていた時代。
新聞記者が、少なくとも記者魂を抱いていた時代。
この本を手にとって、この事件を境にそれらが姿を消したのだと痛感した次第。
大変な事件だった。
機密漏洩という不祥事もさることながら、「情を通じ」という時代がかったことばの生々しさが強く印象に残り、それまでの新聞記者のイメージが失墜した。
そういえば、あれから、この新聞社は祟られたように衰退していったのだった…
山崎豊子はその著書で必ず時代を鋭い感性と冷徹な観察眼で浮き彫りにし、読者にまざまざと見せつけてくる。
昭和40年代に起きた古い事件を描くことによって何が浮かび上がってくるのか。
「新聞だけは批判をされない」といわれた時代の凄腕の記者が遭遇した事件の正体を見極めるために、わくわくしている。
さすが、山崎豊子。腕力がある。面白い。その時代を知っている人は楽しめるはずだ。
それにしても政治家もジャーナリストもケチくさい人物ばかりになったが、互いの傲慢さは年月を越えて変わらないようだ。
それを改めてかみしめながら、届いたばかりの2巻目をこれから読む。
ネタばれあり 山崎豊子の待望の新作ということで書店で見かけた途端、1、2巻あわせて買いました。
1巻では主人公で政治部の新聞記者・弓成亮太が沖縄返還に伴うスクープを血眼になって求める様が
最初に描かれる。また返還の影に行われた密約が行われるシーンもある。
外務省事務官である三木昭子との関係は1巻では特にセンセーショナルには描かれず、問題の密約の
証拠を入手するシーンも省かれていて、何時の間にか弓成が入手している。もちろん実際に入手した
シーンは後で挿入されるのだが。
当時の政治家がほとんど実名に近い仮名で描かれ、誰が誰なのかを調べていくのも面白い。
あっという間に読み終わった。
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[ 単行本 ]
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告白
・湊 かなえ
【双葉社】
発売日: 2008-08-05
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 700円〜
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・湊 かなえ
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カスタマー平均評価: 3.5
今考えてます 後味の悪さはなかったです。
確かに最初から面白く、引き込まれました。心理描写は「すごい」というより「よくできている」と思いました。「AがこうだからBはこうした」「BがこうだからAはこうした」といった、まるで数学のようです。読んでいくにつれ、それが段々と分かっていくので、終始飽きなかったです。
ただ、全く感情移入できない人物もいました。上村君の母親やウェルテル先生などです(笑)。「キャラ設定として割り切れ」ということですかね?。
「作者が伝えたかったこと」については今のところ浮かびません。あくまで「読ませる」ということに重点が置かれている気がします。しかし、ここまで暗い話だと、「人間としての善悪」については考えざるを得ないです。
最初から最後までノンストップでどっぷり浸かってしまい、「作者は何を伝えたかったんだろう」と考えているところです。
テーマは確かに重いです 本書を単なるミステリーとして読むと、異常な子供、執拗なまでの担任の復讐ばかりが表立ってしまい、確かに「本屋大賞としては?」と首をかしげる方が多いのでしょうね。
でも、私が本書を読んでまず思ったのは、現代の抱える家族の希薄さ、親の愛情のあり方でした。
思うようにならない生活に、息子に手を上げ、自分の欲求が叶うと、その場限りの無責任な愛情を残して去っていく修哉の母。母に会いたい、認められたいとそれだけを考え犯行に至る修哉の哀しみは、同じ子供を持つ母として胸を締め付けられました。
また、修哉とともに犯人とされる直樹も、子育てに無関心の父、異常なまでに直樹を溺愛する母に育てられている。その生い立ちを知るにつけ、自分の子さえよければ、という価値観で学校にクレームを言い立てる姿はやはり異常といえるでしょう。
事件そのものは、現実的ではないかもしれませんが、修哉や直樹のような母を持つ子供たちは回りにいくらでもいる。そして彼らは、そんな母であっても常に慕い続け、矛先は向けないのです。
本書のラストはそんな現代の母に対する制裁と言えるのではないか、深く考えさせられた次第。 「この本らしさ」のありようをわかって欲しいです 他のレビューにもあるように、後読感がすっきり爽やかなんてわけではありません。しかしそれも「この本らしさ」だと思いますし、僕はそれで良かったと思います。この本は何人かの視点から構成されています。その視点の人物達に自ら感情移入しきって読む、というよりかは、一連の事件の全体像を、どこか上の方から眺めているような気分でした。星を5つにしなかったのは、話にもう少し転がりがあればな、と思ったからで。それでも十分に楽しめましたし、僕なりに得たものもあります。 評価5点では足りない 小説であれノンフィクションであれ、本の読み始めにはミソギとも言うべき準備期間を必要とする。この本が何を言おうとしているのか、登場人物は誰で、どんな役割なのか。それらをまんべんなく記憶して、初めて物語に入っていくことができる。要するに、どんな本でも、読み始めは苦痛なのだ。
この本にはそれがなかった。1ページ目から面白い。アクセル全開である。そしてトップスピードのまま、ラストまで駆け抜ける(古い)。
これは技術か、幻術か。こんな本があっていいのか。新人だとか本屋大賞だとか、あらゆる形容詞を取っ払っても万人に勧められる。このレビューの満足度、5点じゃ足らんぞ。 読み物としてはおもしろいと思います。 最初に話されるじわじわとした、なんだかぬめっとした印象の文章。これがすべてかな。その際にある伏線を次の章からじわじわ進めていく・・・・読み物としてはとてもおもしろかったです。ただ、2章以降あそこまで長くはいらなかったかな。犯人の告白と被害者の告白くらいで、後は、ニュアンスに任せてもいいのでは。ちょっと間延びした感じはありました。
ただ、おすすめはともかく、最後まで読み切ったのは、久しぶりでしたので、楽しませてもらいました。
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[ 単行本 ]
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運命の人(二)
・山崎 豊子
【文藝春秋】
発売日: 2009-04-24
参考価格: 1,600 円(税込)
販売価格: 1,600 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,000円〜
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・山崎 豊子
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録
・石川 拓治 ・NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
【幻冬舎】
発売日: 2008-07
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
Amazonポイント: 13 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 888円〜
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・石川 拓治 ・NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」制作班
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カスタマー平均評価: 5
ノンフィクションで久しぶりに泣ける本 リンゴを無農薬で育てることに挑戦した木村さんの物語です。
無農薬で栽培ってそんなに難しくないんじゃ・・・と思って読みましたが
素人にもわかりやすい解説でリンゴの無農薬栽培の難しさがわかります。
文章はテンポよく、さくさくと読めます。
導入部を読めばその後が読みたくなるのは作者の上手さによるものでしょうか。
ページ数もそれほど多くないのでさくっと読めます。
「大きなものに出会った時は、なぜすがすがしい気持ちになるのだろう。」
茂木健一郎さんの解説の文です。読後感を見事に表現してくれています。
全編通して描かれる木村さんの一途な姿に感動し、読みながら涙しました。
ノンフィクションで感動したのは久しぶりです。
おすすめです。読んで損はないです。 奇跡です。 評価★の方は他にも苦労している方は沢山いるといいますが、他人の苦労は誰も評価できるものではありませんよ。
それにこの本は苦労したという事を伝えているのではなく、
無農薬栽培を試みて、成功へ辿り着くまでの『奇跡』の実話です。
自然力、生命力を見直すきっかけになる本だと思います。
農家の人はこの本をみて影響を受ける人もいますが、
実際無農薬栽培に転換する農家は少ないのが現状です。
無農薬栽培を何年か実践してもまた元の栽培方法に戻る人も少なくありません。
農業経営している方はその意味がわかると思います。
りんご農家だけではなく全ての農業に通じる本だと思います。 自然と共に歩むことが奇跡 不可能と言われたリンゴの無農薬栽培に挑戦し、死を決断するところまで追い込まれて辿り着いたのは、生物本来の力を引き出すために育てる環境を自然に返すことだった―。
結論を聞けば、「そう言われれば、そうかも」、と言ってしまうような、コロンブスの卵的な発想だが、自然から掛け離れた方法で行っている農業が常識である現代では、その結論に辿り着いたこと自体を”奇跡”と呼ぶにふさわしい。
土壌を自然の生態系に近付けながら、リンゴが育つ環境へ誘導していくその技術は、著者がノアになぞらえたように、神に選ばれし者の技にも見えるが、文明社会で忘れられた生物本来の生きる姿なのかもしれない。
木村さんの手法は、リンゴ栽培に留まらず、他の作物の無農薬栽培にも適用できる。
それは生物本来の強さを引き出すからであり、人間も例外ではない。
農薬が作物を外乱に弱くしたのと同じように、人間も便利さと引き換えに強さを無くしてしまった―。
この人が導いた”奇跡”に触れることで、このことに強い危機感を覚えずにはいられない。
本書は不可能に挑戦した一人の農家の物語だが、読み終えたあとには哲学書を読み終えた時のような多くの気付きと示唆を与えてくれる、そんな本です。 やっぱり感動 木村さんという方が奇跡のリンゴを作ったという話は
「涙の数だけ大きくなれる」という本にも書かれていたので自分として触れるのは2回目。
当然この本の方が深く書かれているので内容はわかるのですが、
客観的に書かれてい過ぎて誰から見た木村さんの姿なのかという視点がいまいち伝わりづらい感じがしました。
若干の違和感というか読みづらさというか。。。
著者の取材量はわかるのですが、著者自身がその取材の内容を噛み砕いて理解できていない感じがしました。(自分だけかも知れませんが^^;)
とはいえクライマックスのリンゴの花が咲いたシーンからはやっぱり感動です。
本の書き方がどうであれ、素晴らしい内容のものは感動します。 日本人なら読めと言いたい良書 無農薬でリンゴを作る、文字で書いたらそれだけの事なのに、それがこんなにも辛く、長い行程が必要なモノだなんて、本書を読むまでイメージすら出来ませんでした。
8年間も無収入になって、それでも未だあきらめずにやり遂げた木村さんの意志の力と、それに見事に応えてくれたリンゴの木に感謝です。
とにかく感動したければ、本書を読む事をお奨めします。
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[ 単行本 ]
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無趣味のすすめ
・村上龍
【幻冬舎】
発売日: 2009-03-26
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
Amazonポイント: 12 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 700円〜
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・村上龍
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カスタマー平均評価: 3.5
はたして無趣味は幸せなのか 真の達成感や充実感は、「仕事」の中にしかないと言い切り、ジムでの運動やスパでリラックスすることは息抜きだという著者。それはその通りだし、そう思える人はある意味ラッキーなのだと思う。
・アイデアは常に直感的に浮かび上がる。しかし直感は、「長い間集中して考え抜くこと」、すなわち果てしない思考の延長上でしか機能してくれない
著者ほどの頭脳でもっても、考え抜かない限りはいいアイデアは浮かばないわけで、凡人はきっとその何倍も考え抜かないといけないのだろう。 リーダーの資質などどうでもいい 「仕事で重要なのは目標を設定してやり遂げること、成功することで品格や美学ではない。」「リーダーの資質などどうでもいい。どんなに優れた資質があっても何をすればいいのかわからないリーダーは組織を危うくする。」
そりゃそうだなと思います。品格や美学で生産性は上がんないですよね、確かに。読後、印象的に共感を覚えて残るのは、村上氏の現実的でプラティカルな視点です。組織は仕事において価値ある目標を掲げ、具体的な戦略を描いて成功に導かれること、そのことひとつにフォーカスすること。本書を貫くのは、雇用や医療、社会保障、教育、外交など様々な分野で問題が提起される中、社会においても身の回りにおいても冷静で具体的に、論理的に問題にアプローチされない限り、問題は解決されないというメッセージです。
そのことが結果的に生きがいや自己実現、夢といったものになる。ために、「大抵の人は挑戦する価値ある機会に遭遇できない。何に挑戦すればいいのかもわからない。挑戦する何かに出会うのも簡単ではない。条件は「飢え」だ。」この辺はちょっとかっこよすぎるきらいはありますが。 立ち読みで読破できるところがありがたい 村上龍は作家という仕事で経済的に成功している人間である。
そういう立場の人間のエッセイを読むときに
まだ成功していない私のような一般市民は
「成功している人間はどう考えているのか」を
“何かを得よう”という意識で読むだけだ。
村上龍が言っていることが全て正しいわけがなく、
それは、世界中誰であれ、全て正しいことを言える人などいない。
これが歴史書や、データを示す文献ならば、
正しい、間違っているという書評はあって当然だろうけど、
一作家のエッセイについて
「正しい」とか「間違っている」と指摘するのはあまり賢いと思えない。
どんな本でも、参考になるところだけを吸収し
参考にならないところはスルーする。
私達がすべきなのは、前向きな吸収であって
評論家になることではない。
内容は、相変わらずの村上節。
いまどき、この類の本に大いなる期待をもたれる方がいけない、 すべてに亘って良きことを書ける作家など居ない。作家というものは或る意味偏っているから、その存在意味がある。この著者のこれまでの人生だけから、作者未知の分野に関する箴言など“カタハライタイ!”と怒りを通り越してあきれた方も多いいでしょう。正直にいえば新聞広告に掲載された広告文の内容ぐらいでしょう良きことは。しかし、“「趣味」は、必ずその人が属す共同体の内部にあり・・・”とは言い切れません!著者の趣味が”Hobby”なのか“Taste“なのかは如何でもいいですが・・・それに続く内容に関心なさる方は(子供?を除けば)大分頼りないのです。最近、約10年間に、日本人により書かれたお手軽本(安価!)に多大な期待を寄せるのは誤りなのです。たった一つ(それが過去の哲人などに因るものでも)でも悦ばしき智慧が書いてあり”あぁ?そうだよな・・・“と思いになれれば良いのです。レビューアーは学生の折、たった数行の文章を読みたくて一万円もする洋書を買ったことがあります・・・実際、数行のみで、残りの数百ページは不用でした。でも、損をした気持は皆無でした。比較が間違ってるんだよ?とお怒りの方・・・よくお考えあれ! 村上龍の思考の解説本 村上龍の小説が好きだ。
コインロッカーベイビーズ、5分後の世界、半島を出よ、
それぞれが、現代人の生き方を根底から問う小説で、
読んだ際、頭をがつんとやられたような気がした。
本書においては、
無趣味であること、仕事をすること、盆栽をまだ始めないこと、
人生におけるやるべきことの優先順位付け、
小説を書くときの集中力、最高傑作は最高傑作を書こうとして生まれるものではないこと、
夢と目標の違い、好きという言葉の持つ曖昧さ、
日本という国の内部と外部、、、、、
村上龍の人生観・思想が表現されており、
小説で繰り返し述べられて来たテーマがあらわされている。
小説がこのような思想に基づいて書かれていた、
ということが改めて明確に意識化され、その意味では面白い。
ビジネス書としても、そこそこの内容はあると思う。
しかし、小説を読んだときのように、頭をがつんとやられる感じはない。
本書は、彼が中で述べていたような極度の集中状態で書かれてはいないのかもしれない。
村上龍のエッセンスは、やはり、小説にあらわれているように思う。
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[ 単行本 ]
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あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅
・城戸久枝
【情報センター出版局】
発売日: 2007-08-20
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 2,599円〜
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・城戸久枝
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カスタマー平均評価: 5
稀有な立ち場が可能にした新鮮な感覚 普通の日本の若者の視線と、残留孤児二世の視線という、
ちょっと特異な著者の立ち位置が、この本の魅力を
大きく支えていると思います。
普通ならかなり重厚なテーマになりそうなのですが、
日本生まれというところが、歴史への一定の距離感を
与えています。かつ、大方の読者と地続きな感覚なの
でとても分かりやすいです。
フレームは普通の日本の若者でありながら、父親の経験
から必然的に孤児について(それを巡る歴史や国につい
ても)身近に考えざるをえなかった著者。
特に著者自身の渡航体験から描かれた第二部は、等身大
の若者の感覚があふれ爽快感すらあります。
現代的な美しい日本語で書かれていて読みやすい 中国残留孤児という言葉が出来る前に、文化大革命の真っ只中、日本に何とかして帰国した、青年、その青年が帰国後結婚して、生まれた娘が、父の育った故郷まで行ったり、資料を元に
その父親の半世紀を追う。なんだか難解な日本語で書かれていて読みにくいかなあという危惧がありましたが、そても読みやすく、一気に読んでしまいました。
きっと多分、残留孤児の皆さんは中国に苦しく苦い思い出があって、帰りたくないだろう、思い出したくもないだろうと勝手に想像していたのですが
作者が接した、父の中国時代の友人や村の人など、みんな暖かい、一緒に苦しんできたからなのだろうか、また、この父親が中国人になりきって頑張ってきたからなのだろうか
また、彼と養父母の絆が凄い。
悲惨な時代の話なのに、とても心温まる話に仕上がっている。
30歳の日本に生まれた日本人の娘を通して語られる
中国からの帰国運動が盛んだった時、テレビに映り、戦争被害者だと訴える中国残留孤児を
少しでも非難する気持ちがなかったか、自分を振り返ってしまった。
読み応えアリ 中国残留孤児である父の数奇な人生をたどる著者渾身のノンフィクション。中国と日本、三世代に渡る親子の物語。はじめは残留孤児二世であることに抵抗を感じていたものの運命の糸にたぐり寄せられる様に中国に留学する著者。そこで著者は父の壮絶な前半生、養母と父の実の親子以上の関係、現地の複雑な対日感情に触れる。
ガツンと重みのある内容で読み応えあります。 同世代の方々にぜひ 読み進めるごとに胸が熱くなりました.
著者と同世代の私たちは、父、母、家族の人生についてどれだけ知っているでしょうか.
著者は長い年月をかけて、父親が体験してきた未曾有の人生を丁寧に掘り起こし、
文章に表してきたということが、この本を読んでひしひしと伝わりました、
著者が私たちと同世代ということで、尊敬の意味を込めてこの本をお薦めします. 中国と日本の歴史を今一度考え直したいと思った本 日本と中国にはこんなにも悲しい歴史があった事を
他人事のように思っていた自分がいた。
本はみんなのレビューが物語っているように、自分の歴史観
ルーツ、政治的なもの、色んなものを考えさせてくれた。
中国残留孤児の人々のご苦労が本当に
涙なしでは読めませんでした。
大地の子ももう一度読み比べてみようと思いました。
知り合いには是非読んでと勧める1冊になりました。
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[ 単行本 ]
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俺は、中小企業のおやじ
・鈴木 修
【日本経済新聞出版社】
発売日: 2009-02-24
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,098円〜
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・鈴木 修
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カスタマー平均評価: 4.5
やる気が出る 「人の能力の差は、気力・体力・努力次第で簡単に逆転する。要は『やる気』しだいだ。やる気を出せばなんでもできる」
このやる気を持続できる人が経営者となり、そして決してあきらめない人が名経営者となるのでしょう。
そして、「ビジネスは深く静かにやるのが理想。華々しいのは桜と一緒で、パッと咲いてパッと散る」と言い切りながらも、世界的自動車メーカーに対して感謝の気持ちを文章に残すところなど、気が利いている。
これこそが、弱小メーカーの生きる術なのかもしれません。
感動しました! ワンマン社長の武勇伝で綴るスズキのサクセスストーリー 現地の新聞記事を頼りに申し込もうとしたときにはすでに期限切れ。 交渉して決まったと思ったら補欠。 調査団の来日は、自らが渡米するタイミングとバッティング。 ”日本で一番になれないなら海外で。”と意気込むインド進出は幕開けからつまずきの連続。 インドにスズキ車があふれるようになるまでの展開は相当にドラマチックだが、 それに限らず、同社を牽引してきたトップ自らの行動力が数々の痛快なエピソードからわかる。 危くEUの規制違反にさせられるところを、提携先のハンガリーに乗り込んで、政府関係者を仰天させる行動で窮地を脱したくだりなどは読んでいて気持ちいい。 アルトやワゴンRのヒットだけでなく、よく知らなかった海外での成功など、同社発展の系譜を物語として味わうことができて面白い。 しかし、長期、高齢(再登板)政権でこれまでワンマンの印象を持っていた同社に対して、本書で親近感をもてただけに、一層「著者後」の疑問符が大きくなった。 身に沁みますよ 製造業の基本中の基本を改めて感じました。
社長の行動が何も難しい事とか特別な事をした訳では無いと思うのですが・・・
なかなか行動に移す事が出来ないと思います。
印象に残ったのは、冒頭で「この時代にコスト削減を協力会社に求める事はしてはいかん」
という言葉に感動しました、皆さん身の回りで同じ経験されていませんか?
そんな場面でこの本を相手に読んでもらうとスムーズに仕事が進むかも??
俺は中小企業のおやじを読んで 自分自身スズキ自動車という会社に非常に興味があり、この本が出たことはタイムリーでした。読んでみると鈴木修社長の気取らない人となりと経営哲学楽しくまなべました。 読んで感動しました テレビなどで、よくみかける、スズキ会長の今までの仕事に対する考え方や行動が良く
分かります、色々なことが経営者だけでなく、すべてのビジネスマンに参考になると思います、自分の生き方の指針にしたい 一冊です。
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[ 単行本 ]
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極北クレイマー
・海堂 尊
【朝日新聞出版】
発売日: 2009-04-07
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,000円〜
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・海堂 尊
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カスタマー平均評価: 3.5
What's new ? バチスタといえば今や心臓外科バチスタ先生よりも海堂氏のことが真っ先にあがるであろう。それくらいインパクトがある作品でした。その後の一連の作品は医療問題をうまく盛り込みながら連載フィクション小説として完成された感があります。しかしながら最近の作品は登場人物の思いや発言に自分の医療に対する主張を写し込み過ぎているのではないでしょうか?文脈を介さなければ論説文のようです。
今回は作品の結末も今ひとつしっくりしませんでした。 これが現実なのでしょうが、小説としては・・・ 確かに海堂さんが書かれているのは現場からの実直な意見であり、医師から見た現状なんだと思います。
前作、『イノセント・ゲリラの祝祭』も、そうでしたよね。
『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』『ブラックペアン1988』までのミステリー色の濃い作品が私は好きでした。
この作品、まず今坂のキャラクターが伝わりにくい。
姫宮が出てきてピオ退治するシーンは、なかなか面白く、彼女の大活躍に大満足だったのですが、それも尻つぼみで撤退。
腐敗した市民病院の現状はリアルに描かれているのですが、三枝医師の逮捕、病院再建への解決策が見出されないまま話自体も尻つぼみで中途半端。
最後に救世主として現れた世良先生。
こんなキャラでした?
それにこれがこの物語の結末だとしたら、お粗末すぎ…。
不完全燃焼のまま終わった感じです。
いつもの通り、あちらで見かけた人、こちらで見かけた人が登場します。
でも、この作品ぐらいから、なんだかそれさえしていればファンは読んでくれるだろう、満足してくれるだろうといった感じがしてしまいました。
とても残念です。
作者の思いと、読者の思いがすれ違ってしまっているのでしょうか。 面白いけど、単品としてもシリーズものとしても中途半端では? これまでの著者の作品と同様、謎解きの面白さと、医療問題への鋭い指摘 を が期待して読みましたが、産婦人科の医療事故逮捕・地方自治体の破綻と市民病院の惨状・医療業務機能評価機構の問題 と取り上げたテーマが多すぎるのか、切れ味の鋭さに欠けるように思えた。
他作品のストーリーとのからみ とかもちょっと中途半端な気もして。(忘れちゃってる分もある)
登場人物の愛すべきキャラは健在で、最終章に語られる「地獄の逸話」のくだりが印象的だったので3点にしました。 全部読まなきゃ! 面白いと思います。姫宮のキャラクターも立ってきたし・・・ただ、シリーズ全部読まなきゃ、面白くないと思います。 今中先生、逃げるべきか留まるべきか、それが問題です! 週刊朝日に2008年1月から12月まで連載された小説(非ミステリー)。
崩壊する地方自治体小規模病院(夕張市立病院がモデル)の実態を背景に、
産科医療訴訟(福島県大野病院事件がモデル)が描かれています。
働く意欲に欠ける病院職員、医療を理解しない自治体職員、医師に手錠をかける警察・司法。
テーマは重く厳しいですが、おなじみ姫宮の登場場面ではユーモアありで楽しく、一気に読めました。
(なぜこの病院が臨床研修病院に指定されているのかは疑問ですが…)
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[ 単行本 ]
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欲情の作法
・渡辺 淳一
【幻冬舎】
発売日: 2009-02-18
参考価格: 1,155 円(税込)
販売価格: 1,155 円(税込)
Amazonポイント: 11 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 580円〜
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・渡辺 淳一
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カスタマー平均評価: 2.5
男たちよ、志高くあれ 燦然と輝くいい男になれ。
こんなまやかしに騙されていてはいい女は決してあなたのものにならないから。
非常識なのかもしれないと思う作品でした。 私が若かった頃、大人達が私のような青年に向かって教え聞かすような内容でした。でも、現実はとても難しい事だと思います。この本の内容のようにレッスンを進められる方は常識の中で生きていける幸運な方達だと思います。
私としては、とてもクリアできないゲームソフトを観ている様な気になったのが残念です。 木によりて魚をもとむのことわざが一冊の本に だいたい作法がないところに欲情があるわけで、欲情に作法を望むのはあまりに無理。ただ無駄にすぎないと思わせる内容である。購入すること自体、“木によりて・・・”になります。 ただしR指定にすべき 男女の性欲の違いを読み物にしたもので、女性が読んだ場合拒絶反応が出るだろう。
医者としての文章なのか、小説家としての文章なのか微妙ではあるが、結構楽しめた。
内容と表現がR指定にしてもいい感じであるが。 さすが! やっぱり素晴らしい。いろいろレビューでありますが、年の功ですね。尊敬できる内容です。男は素直に読んで感化されて大丈夫!格好つけなくていいんじゃないですか?!
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