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[ 文庫 ]
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三国志〈4〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 682円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 5
ごめんなさい 三国志〈1〉 (吉川英治歴史時代文庫)僕は孔明という人物は凄い策略家と思ってました。こんな凄い人物というか人間らしい人とは知りませんでした。吉川さんの考えと趣味が色濃くでているのでしょうけど。でも本当に知りませんでした。何度も書きますけど本当に今の日本に孔明のような人々の幸せを世の中の平和を考えて 自分の生涯をかけるような才能のある人物が欲しいです。 関羽の心、そして三顧の礼 1989年4月11日リリース。『孔明の巻』と『赤壁の巻(前半)』からなる。まさにこの巻は『三国志』全体のクライマックスとも言える部分だろう。特に劉備の家族を守るために曹操の元に身を寄せた関羽の一途な心に唸ってしまう。曹操のいかなる厚遇にも関羽の心は動かされない。一方、曹操の武人の心根にも感じ入る。正に男と男の世界である。
中間部でついに諸葛孔明が登場。ただその登場のさせ方に念が入っている。所謂『三顧の礼』をもって孔明を迎え、ついに劉備の周辺に『人』が揃う。そして孔明が一気にその全能力を知らしめる『赤壁』へと突入。まさに映画『レッド・クリフ』は最も『三国志』で濃密なここを題材としている。
おそらくは全中国国民にとって最も語られる史実はここではないか、と思える。その全容を余すところなく描くダイナミックな筆に唸るばかりだ。 孔明登場! 曹操は北方の袁紹を破り領土を一気に拡大。
その一方で劉備は有名な三顧の礼をもって遂に孔明を迎え入れます。
徐庶から孔明の名を聞きついに出会い軍師に迎え入れるまでのくだりはついつい時間を忘れ、夜を明かして読んでしまいました。
いよいよ孔明ひきいる劉備軍の快進撃が始まり、読み出したらとまらないおもしろさが加速していくのは間違いありません! 詩的なほどに美しい、曹操と関羽の覇陵橋での別れ 「江東の小覇王」孫策が若くして病に倒れ、さらに若い弟の孫権が呉を引き継ぐ。中原に目を転じると、曹操が河北の袁紹を遂に滅ぼし、中華制覇の野望をその視野に入れる。劉備は国力、兵力ともに相変わらず微小で、天下から程遠い位置にありながらも、「三顧の礼」をもって、諸葛亮を軍師に迎え入れることに成功する。いよいよ、「三国志」の型が形成され始め、物語は佳境へ突入していきます。
この第四巻には、そうした歴史の激動とともに、この物語のターニングポイントとなる幾つかの印象的な邂逅と別離が描かれています。曹操と関羽の覇陵橋での別れ、曹操の姦計による劉備と徐庶の別れ、そして言わずもがなの「三顧の礼」。この中でもとりわけ、曹操と関羽の別離の様は、詩的といえるほどに美しく、息を呑みます。関羽の旧主劉備に対する不変の忠義、彼の武と義をあまりに愛するがゆえ、見送らざるを得ない曹操。彼はこうなることを分かっていながら、一縷の望みを賭けてひたすらに関羽を渇望し、そんな曹操の胸中を察する関羽もまた見事なまでの武人らしい信義を通した上で、袂を分かちます。曹操のような男に仕えたい、あるいは、関羽のような男を手中にしたい。男であるならば、ある種の羨望交じりにそう思わせる、個人的には三国志で最も好きなワンシーンです。
孔明はスゴイ! 孔明登場。孔明が活躍する様が描かれ始める。これまでも、劉備だけでも素晴らしかったが、天才軍師が出てくることがいかに凄いことか、まざまざと見せつけられる。戦の読みは恐ろしく深い。
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[ 文庫 ]
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坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)
・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-01
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 297円〜
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・司馬 遼太郎
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カスタマー平均評価: 4.5
日清戦争を契機に俄然注目される日本 意外な勝利となった日清戦争であるが、この勝利により、日本国民は国家という存在を体感し、諸外国から注目されると同時に、ロシアの壁にぶち当たった。
日清戦争の勝利は、日露戦争へのスタート地点に過ぎなかったのである。 正岡子規のすごみ 日清戦争前後のお話。
こういう時代にあって、秋山真之は留学を重ね軍人として着実に成長しています。
一方、学生時代には移り気で何をやっても物にならない正岡子規ですが、
俳句というものに出会い、文人として一気に大成しました。
特に死を意識してからの彼の行動は鬼気迫るものが感じられます。
人間、熱中できるものを見つけた時の力を思い知った気がしました。 時代のうねりが伝わってきます。 日清戦争以降の時代の大きなうねりの中で、秋山好古、真之、正岡子規がそれぞれの境遇、立場の中で、感じ、行動する様の対比がおもしろい。
滅び行く清や、日本の前に立ちはだかろうとするロシア、そしてそのような状況の中で日本はどこへ行こうとしているのか、時代背景が手に取るように伝ってくる。 子規の実像と明治人気質 この巻では主に、闘病しながら文筆活動を続ける正岡子規と、軍人として活躍を始める秋山真之を中心に描かれています。
正岡子規に関して小学校の教科書レベルでしか知らなかったので、過去の俳句や短歌を検証し、新たな作風を作り上げていった彼の功績を初めて知りました。それにもまして結核を患いながらも壮絶なまでに創作活動を行う彼の執念に胸を打たれます。
一方、秋山真之という人物の資質は、欧米に追いつき追い越そうとする明治日本になくてはならないもののように感じます。「飛ぶが如く」で描かれた大久保利通もそうでしたが、この時代には物事に強烈なこだわりをもった人物が必要だったのでしょう。
なお、この巻の最後の章は、ロシアに関する記述になっていますが、欧米でもなくアジアでもないロシアという国の性格が見事に表現されていて、大変ためになります。先に「菜の花の沖」を読んでおけば更に楽しめると思います。 日清戦争へ 時代は日清戦争へと突入してゆく。
秋山兄弟は戦地へ赴く一方、正岡子規は病と闘いながらも・・・
明治の時代に青年たちが、それぞれの境遇の中で青春を謳歌する話。
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[ 文庫 ]
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三国志〈5〉 (吉川英治歴史時代文庫)
・吉川 英治
【講談社】
発売日: 1989-04
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 400円〜
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・吉川 英治
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カスタマー平均評価: 5
喬公の二名花と『レッド・クリフ』 1989年4月11日リリース。『赤壁の巻(後半)』と『望蜀の巻(前半)』からなる。映画『レッド・クリフ』のPart2にあたる部分がこの巻だ。
なんと言っても読み応えがあるのは諸葛孔明が単身呉に乗り込み、三寸不爛の舌で孫権を説き伏せ、魏の曹操と戦わせるシーンだ。実にスゴイ。それ以外にも最終巻ラストで謀反を起こす魏延の謀反を既に予知するなど全編に渡り、諸葛孔明とはいかになる人物であったか、を堪能できる。
また、『レッド・クリフ』では編集変更された感のある『喬公の二名花』も登場。そして三国志史上最大の決戦『赤壁の戦い』の結末シーンと驚くばかりの濃密な内容に圧倒される。 曹操軍粉砕!赤壁の戦い 強大になった魏の曹操軍が呉をうちにゆく赤壁の戦いの巻。
孔明の弁により魏と全面対決することとなった呉の周瑜は火計を用いて魏軍を粉砕するもののその後孔明の才を恐れて多くの策を弄します。
ギリギリまで追いつめられた状況で全力をもってこれを克服した呉ではありますが、大勝ののちは余計なことをして空回りの連続です。
結局空回りする周瑜は孔明に翻弄されるのみで最後はこの世を去るはめに。
実生活に照らし合わせてみると、呉の行動には多く学ぶべきところがあるような気がしました。
吉川三国志のハイライト 世に名高い「赤壁の戦い」が最大の見所。若き二人の知将、孔明と周瑜が、曹操のお株を奪う見事な計略をもって大勝利を飾り、魏一強時代の終焉を高らかに世に示します。ただ、この戦いを見るにあたって、戦術面だけに着眼するのは、もったいない。戦いの裏で進行する「政治的な戦い」もまた、さながら戦場のごとき熱を帯び、注目に値します。
魏と対峙して、がっちり手を結んでいるかに見える劉備と孫権。が、それぞれの看板軍師、孔明と周瑜は、お互いの大義と実利を絡ませあいながら、早くも「赤壁後」まで見据えて、丁々発止の「知の戦い」を水面下に繰り広げます。敵か味方か定かならぬ、なんという外交の奥深さ。多くのビジネスマンが部下に読ませたい本として推すのも、まさにこのあたりの「交渉事の深淵」を体感してほしいからでしょう。
軍師が前面に出た「赤壁」の一方で、猛将の胸躍る見せ場「長坂坡の戦い」もあります。ここでの主役は、関羽の陰に隠れがちであった張飛と趙雲。魏の大軍の中からただ一騎で劉備の子を救出してみせる「趙雲の一騎駆け」。たった一人で、長坂橋の上に立ちふさがり、彼らしからぬ思わせぶりな演出と、実に彼らしい豪胆な一喝で曹操を退けてみせる、「張飛の仁王立ち」。彼らの名声を不動のものとした、あまりに有名なこの大活躍をもって、劉備は滅亡を免れ、形勢逆転の足がかりを掴みます。
超人的な知略と武勇、そして、盛者必衰のダイナミズム。戦国の世を彩るあらゆる要素が凝縮されて、読者を飲み込む、恐らくシリーズ八巻中で最も華やかな一冊です。 描かれる赤壁の戦い 赤壁の戦いが描かれる。三国志最大の戦いとあって、その様は凄まじい。単なる兵力より、兵法や戦の流れ、環境の正確な分析が大きくものを言うことがよくわかる。栄華を気づいた魏が傾いていく。これにより、三国志の行く末が面白くなる。 落ちつつある曹操、孔明との攻防 いよいよ赤壁の戦いが始まります。しかし、こう裏ばかりかかれるとなんだか曹操が気の毒に。孔明ファンですが曹操も好きなので、ここまで自信満々にされると何だか憎たらしくなります。
一時とはいえ世話になった曹操を討つに忍びなく、見逃してしまう関羽の真情を読んでいながら、関羽の訴えを受け入れて一網打尽にできる場所へ関羽を派遣する孔明。関羽・曹操・孔明3人の立場と心情が見もの。
周瑜がとうとう消えてしまうのも、何だか寂しい。
赤壁の戦い自体はあれよあれよという間に曹操方が追い詰められ、結末を知っているせいか思ったよりも臨場感がない感じがしてしまいました。両陣営の登場人物の描写の方が面白いです。
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[ 文庫 ]
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海の底 (角川文庫)
・有川 浩
【角川グループパブリッシング】
発売日: 2009-04-25
参考価格: 740 円(税込)
販売価格: 740 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 300円〜
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・有川 浩
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カスタマー平均評価: 5
番外編が嬉しい 「空の中」に続く、メディアワークスから出版されたハードカバーの文庫版。
基本的にはほとんどハードカバーと変わらない。
詳しい内容はハードカバーの方を見てもらえばいいとして、ここでは番外編について少し。
「海の底 前夜祭」は以前携帯サイトで配信されたものだが、当時読むことができず、いつ読めるのかと待ち続けていたところ、文庫に収録ということで、迷わず手に取った次第だ。
内容は期待に背かず、本当に有川氏にぴったりなシーンだと思う。
ハラハラドキドキの駆け引きと緊張感を持った闘い。
登場人物二人の性格も上手く出ていて、本編を読んだ人は確実に楽しめる。
こんな自衛官がいるなら、日本も大丈夫かもしれないと思わせてくれる作品だ。
同じ登場人物が出てくる番外編としては、「クジラの彼」がある。
読んでハマった方はそちらもおすすめ。
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[ 単行本 ]
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院長の恋
・佐藤 愛子
【文藝春秋】
発売日: 2009-01
参考価格: 1,550 円(税込)
販売価格: 1,550 円(税込)
Amazonポイント: 15 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,160円〜
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・佐藤 愛子
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カスタマー平均評価: 5
-毒と笑い- 佐藤文学健在 中高年、老人が主人公の短編集。
佐藤愛子の持ち味が爆発。
笑いと毒。
85歳の精神にこのような力強さが宿っていることに驚く。
傑作は、「沢村校長の老後」。
老人の偏屈さとプライド、
家庭のもつ欺まん、
人間の厚かましさがふんだんに書き込まれています。
その人間描写の確かさとぴりっとくる毒がたまりません。
ラストシーンに笑います。
しかも登場人物それぞれがおかしい。
第一級の文学です。
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[ 文庫 ]
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坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)
・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-02
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 375円〜
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・司馬 遼太郎
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カスタマー平均評価: 4.5
ついに旅順陥落。そこには敵も味方もない ついに旅順陥落。
日露両軍の兵士が「負けてもいい。勝ってもいい。ともかくもこの惨烈な戦争がおわったのだ」という感覚を共有したことに鮮烈な印象を受けると同時に、旅順を巡る戦いのすさまじさを想起させる。 旅順攻防収束 児玉の参戦により戦術を大きく転換し、勢いづく日本。
ステッセルの官僚的思考によって、余力を残しつつ降伏に傾くロシア。
それにしてもトップの人の性格や能力が、これほど戦争に影響を与えるものなのか、
っと感じさせる巻です。
日本人論 司馬は、戦争遂行における日本人の行動を見つめながら、ロシア人と日本人の違いをなんども語っている。それはひとつの日本人論の姿となっている。 人災の、滑稽混じりの恐ろしさ。 日露戦争の一つの山場である旅順開城が主に描写されている。
その司令部(乃木希典・伊地知幸介)の無能をフィクションらしく極大化し、それがドミノ式に起こしていく旅順における人災の怖さというものを見事に描き出したという点では、司馬遼太郎の文芸作品の真骨頂であると言えるだろう。
何しろ冗談のように人命が浪費されていく描写の中で、その浪費の責任者達の責任感・緊張感・現実感覚のなさを(フィクション内の事実として)くどいほど書き連ねるのである。
最初はホラー映画も真っ青の戦慄を覚えるのだが、そのうち頬が笑いながらひきつる感覚を覚えた。
能力の劣る上司を戴くという人災の、滑稽混じりの恐ろしさというのは、強烈だった。
そうそう忘れられそうにない。 児玉源太郎物語 3巻あたりから登場の児玉源太郎。
今の主人公は、彼であるといっていい。
書き進むうちに、この輝く人物をほうってはおけなくなったのだろう。
遼陽に戦い、二○三高地を落とし、旅順を攻略。
苦労しながら辛くも勝ち進む日本と同時に
バルチック艦隊の長く苦しく足並みの悪い旅路が描かれる。
多くのエピソードが示唆を与えるこの戦争は、作者も
物語を選りすぐるのに苦労したのではないか。
そう感じる5巻でした。
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[ 文庫 ]
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坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)
・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-02
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 218円〜
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・司馬 遼太郎
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カスタマー平均評価: 4.5
奉天会戦 陸戦においては、とにかくクロバトキンは全くのヘボ役者として描かれている。
司馬遼太郎の言う「クロバトキンの恐怖体質」を上手く利用して、日本軍はロシア軍を翻弄、本来であれば勝てない相手にとりあえず勝った。
この作品は本論(日露戦争)だけでなく、この戦争を取り巻く状況解説が非常に面白い。そろそろ講和の時期を探る日本に対するルーズベルトの動き、考え方などがその一例である。
この戦争を巡る周辺状況をみると、決して日本の実力だけで勝ったわけではない。喧嘩の相手も選ぶ必要がある。「敵の敵は味方」、この言葉を思い出した次第である。 奉天会戦 日露戦争における奉天会戦が一応の決着をみせます。
物量も兵士の数も極端に不足し、軍隊全体が疲れきった日本。
もはや作戦など役には立たず、ひたすら耐えて全身していく姿は、
どこか太平洋戦争時の日本を彷彿とさせます。
この戦争は勝ったというより、机上では負けるはずのないロシアが、
その官僚体制の腐敗から勝手に自滅するという幸運によって終息したもの。
これを勝利と誤解し、何事も精神力で乗り切れると誤解した所に後の悲劇が
あるのだと思うとやるせない気持ちになります。
奉天 1会戦で、両軍合わせてひとつの都市の人口に相当する兵士が
戦死した日露戦争も最終章に近づいてきた。
乾坤一擲、ぎりぎりの勝利。
日本は、人材に恵まれていたのだろう、
ロシア軍を、日本の大山のような人物がが率いていたら?
大功のみを考え、小節にかかわらないような人物が組織のトップに必要であることを
痛感します。
いよいよクライマックス 第7巻は陸戦のクライマックスともいえる奉天会戦と、日本海海戦までのバルチック艦隊と日本海軍の動向を描きます。
陸戦については、ロシア軍を率いるクロパトキンの官僚意識、軍人としての精神力の弱さにより、日本が勝利する様が描かれます。ただ、これはあくまでも局地的な勝利であり、日露戦争の勝利を意味しません。戦中でありながら児玉源太郎が帰京して終戦工作を行うなど、日本としては実力の限界まで戦ってやっとここまでの感があります。著者のいう「戦争における勝利の定義」というくだりを読んで、戦争とは終わらせるために始めるもの、ということをその国の指導者が認識していなければならないと痛感しました(始めないにこしたことはないのですが)。
途中、終戦工作に関する項では、米国やフランス、ドイツの思惑が紹介され、ヨーロッパ、米国、アジアの力関係や、他国をいい意味でも悪い意味でも道具として考える世界政策(外交政策)の様子がよく理解できる記述になっています。
また、後半は、日露戦争のクライマックスである日本海海戦に向けた日露双方の海軍の様子が描かれ、最終巻に向けて気分が盛り上がる一冊となっています。 陸戦の日本 日露戦争の陸戦で日本は勝ったのだろうか?
戦史を詳細に検証しなかった日本陸軍の過ちはここからはじまったのではないかと思わせる事実ばかりでおどろいてしまった。
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[ 文庫 ]
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旅をする木 (文春文庫)
・星野 道夫
【文藝春秋】
発売日: 1999-03
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 250円〜
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・星野 道夫
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カスタマー平均評価: 5
アラスカの自然を感じる 実際に星野さんが見、聞き、体験されたことが書かれており、読んでいるとアラスカの自然がありありと目に浮かぶようです。紀行文が好きな方、旅行にいきたいけれど時間の無い方、ちょっとリラックスタイムに読むと雄大な自然に身を浸した気分になれるかも知れません。
また日記、もしくは手紙のような形式で書かれているのでどのページから読んでも良いのと、読むのに区切りがつけやすいのもこの本を大変読みやすくしています。
中高生にもお勧めです。 ひたひたと胸に満ちてくるものがあるエッセイの数々 1978年にアラスカ大学に入り、アラスカに移り住んでから十五年。この地の自然と人々の暮らしにすっかり魅せられ、旅を続けてきて、いつしかここに根を下ろそうとしている著者が、アラスカでの思い出を振り返り、自分とアラスカとを結ぶ強い絆を歌い上げたエッセイ集。静けさをたたえた文章の中から、ふつふつと湧き上がり、立ち上がってくるアラスカへの熱い思い。文章の隅々まで、森と氷河の自然に包まれたアラスカの大地の息吹が浸透していて、胸にひたひたと満ちてくる素晴らしい味わいがありました。
十五年前、アラスカという未知の土地にやって来て、暮らし始めた頃の自分のひたむきな姿を、アルバムの一頁目を開くようにして綴った「新しい旅」。本書の冒頭に収められた、1993年6月1日の日付が文末にあるエッセイから、アラスカをめぐる著者の旅の軌跡に引き込まれましたねぇ。なかでも、次の文章の底に流れる著者の思い。静かに、豊かに胸に沁みる思いの深さ、澄んだ眼差しの美しさが忘れられません。
<頬を撫でる極北の風の感触、夏のツンドラの甘い匂い、白夜の淡い光、見過ごしそうな小さなワスレナグサのたたずまい・・・・・・ふと立ち止まり、少し気持ちを込めて、五感の記憶の中にそんな風景を残してゆきたい。何も生み出すことのない、ただ流れてゆく時を、大切にしたい。あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。> p.231 「ワスレナグサ」より
著者・星野道夫という人間への思いのこもった巻末解説、池澤夏樹の「いささか私的すぎる解説」と題した文章がいい。本文庫の表紙カバーの絵、ほんめ つとむの「およぐシカ」の装画も、とてもいい。 心地良いエッセイ 文明社会に浸って生きている私には、
カルチャーショックを覚えずにはいられません。
アラスカに行ってみたくなりました。
やっと心地良い安心して読めるエッセイと出合えました。
本当に贅沢で豊かな生活を感じます。 「もうひとつの時間」を感じたい 木村伊兵衛賞を受賞しているというから、カメラマンとして相当な腕を持つ人だったのでしょう。
名カメラマンが良いエッセイを書くという例は他にも見受けられます。感性の磨き方が共通して
いるのかも知れません。
そういう人たちが名エッセイストという境地に達するかどうかはともかくとして、本書は今は亡き
名カメラマンが書いた、読者の心にまっすぐ届くエッセイであり、編まれているのは名文です。
アラスカの自然をこんな平易な言葉で、光景が目に浮かぶほど、風が頬に感じられるほど、寒
さが肌に刺さると思えるほどありありと描けるのは、すごいです。
著者の言う「もうひとつの時間」は確かにある。それを感じてみたくなりました。
偶然の必然性 星野道夫のエッセイ集。
ひとつひとつのエッセイが自然、人間、つながり。
人が成長する上で、捨てていったなにかを作者はもっているようで知らない土地のアラスカであるが懐かしさが込み上げてくる名作。
今あなたが過ごしている時、他の場所のゆったりとした時間を感じる時がありますか?
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[ 単行本 ]
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悼む人
・天童 荒太
【文藝春秋】
発売日: 2008-11-27
参考価格: 1,700 円(税込)
販売価格: 1,700 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,100円〜
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・天童 荒太
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カスタマー平均評価: 4
無関心への警鐘 人の死に視点をあて、世の中が他人に対して無関心になってきたことへの一面を書き上げた作品。読んでいく中で悼む人の心情・所作に不思議さを感じ入り込んでいく。雑誌記者の死の直前の人の死の描写は目の前で自分が体験しているかのように鮮明に映っていく。自分自身、死の直前には自分を忘れることのない人を求めるのだろうかと考えてしまう。
但し、終盤に書かれた一緒に旅をする女性との容易に想像できる交わりと、母の旅立ちとなる死の描写は現実に引き戻されて少し物足りなさを感じた。
自殺、孤独死。人への無関心も関係があるのだろうか。
自分が「悼まれる人」にならないとわかりそうもない 悼む人・・・彼のやっていることが死者にとって喜びになるかどうかは今の私にはわかりません。
この世の生を終え、自分が「悼まれる人」になった時にしかその答えはでないでしょうね。
自分が死んでも誰かに自分の存在を覚えておいてほしい。
でも、それが見ず知らずの人となると・・・・・ちょっと違うような。
かたくなに物事の一面だけをみて悼んでいる静人には違和感を覚えます。
自分の知らない誰かにまでも無償の悼むなんて一人間にできることではない。
唯一、これが許されるのは神だけではないでしょうか。
私には静人のようなことはできない。
でも、せめて自分のまわりの人の死は心から悼める人になろう。
生きてる者にとっても、死んだ者にとっても、それだけで十分なんじゃないのかなぁ。
静人の旅にはたして終わりはあるのでしょうか・・・。
むしろ私は静人の生き方よりも、巡子の旅立ちのほうに心を動かされました。 思う心 主人公の行う悼みの儀式については賛否両論あるかとおもいますが、亡くなつた人を忘れない
でいてあげる事はとても大事なのではないかと感じました。 どう受け入れるか…分かれる本 親族以外の死を体験していない人には難しい内容だと思う。
人とは、自分とはを問われている気がした。
主人公の静人が、悼む行為を自分なりに受け入れていく過程は、生きていく上で誰もが感じていることのように思えた。
1度読んだだけでは、自分の中に取り込めないのが実感。しまたしばらくしてまた読んでみたい。 心にわき起こるさざ波 本に出会うのも「縁」だと思う。
ふと手にした本がこの「悼む人」だった。
天童作品は初めて読んだ。
読み始めて心にわき起こるさざ波をいかんともしがたく動揺した。
死を悼む青年とその家族、そして縁した2人の人物も青年の「死を悼む」行為に心を揺らした。
青年は「死を悼む」旅の中で、その人がどんな状況で亡くなったかと言うことではなく「誰を愛し、誰に愛され、どんなことで感謝されたか」が人の生きた証であると思い至る。
全ての虚飾を、見栄を取り払い、唯一残されたその人の生きた証。
その人はその人に縁する人にとって「特別」な唯一無二の存在であり、そのことに触れることで「生きていた一人の人」として心に刻まれてゆく。
青年の家族(主に母)の生き様、青年に出会い、心をかき乱されながら自らの心に素直になっていく人たち。
読後感は複雑で、すっきりとはしません。
なんで・・と思える場面も多々あります。
けれども、読んでよかった。
きっと今この本に出会ったことはとても大切なことだと思える1冊です。
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[ 文庫 ]
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町長選挙 (文春文庫)
・奥田 英朗
【文藝春秋】
発売日: 2009-03-10
参考価格: 530 円(税込)
販売価格: 530 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 200円〜
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・奥田 英朗
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カスタマー平均評価: 3.5
町長選挙 - 元気になります 型破りな精神科医の元を訪れる個性的な患者の物語。
元気になれる小説です。前2作とも同様ですが、この小説を読むこと自体が、
伊良部先生の診察にかかっているようなものではないかと思ってしまいます。
他の方が書かれているように、今回は患者のモデルがはっきりしているので、そこが人によって評価の分かれるところだと思います。 確かに全2作の勢いは無いけれど面白い物は面白いんだよね 個人的に気に入ったのは最初と最後の話。
特にオーナーは良かった。
ストーリーの為に作られたような登場人物達の小説や登場人物のために作られた小説、そのどちらにもならないキャラクターとストーリーの本当に絶妙なバランスにはいつも通り感動しました。勉強になります。
確かに全体的に見ると全二作の勢いに勝ることは無いけれど、中には劣らない物もちゃんとあります。
でもやっぱり面白いと思います。 あのニュースの裏側か・・・ 「インザプール」、「空中ブランコ」に続く第三弾なんだけど、今回は「ナベツネ」、「ホリエモン」、「黒木瞳」に似た登場人物のお話+題名になっている町長選挙が伊豆諸島の小島で行われる様子が描かれています。
相変わらず悩むのがアホらしくなる要素満載で癒された。
特にナベツネ、ホリエモン、黒木瞳は本当に本人たちに取材したんじゃないかと思える程、愉快な話です。
■読んで欲しい人
・使命感に押し潰されそうな人
・やらなきゃいけないと思っている人
・悩みがある人 最初は面白い!けど段々トーンダウン 「空中ブランコ」、「イン・ザ・プール」の順番で読んで来て、評価が微妙な今作も「ま、読んでみるか!」と手に取った。一番手の「オーナー」は、大笑い!笑いの要素だけではなく、パニック障害の原因&症状の描写に嘘臭さがなく、しっかり読ませる。前2作のように、破天荒な伊良部に振り回されているうちに、いつしか患者が自ら立ち直る…というパターンではなく、モデルのナベツネさんのキャラを立たせて笑わせ、伊良部は割と医者らしくまともにフォローして行く…という筋書き。「アンポンマン」は、セリフからしてホリエモンそのもの。ホリエモンの言動を、文字にしてみたら…まあ面白いけど、肝心の病態が「パソコンのやりすぎで、脳内ローマ字変換」って発想が、奥田英朗にしては冴えない。「カリスマ稼業」。これ、お話としてオチがない、と思うのは私だけだろうか?「町長選挙」。レビュー読んで、実際に島内シーソーゲームのような選挙が行われてる(行われてた?)島があると知り、絶句。だって凄すぎますよ、この選挙。面白いという方もいるけれど、伊良部がただのアホになっちゃってる今作は、相当がっかり。「オーナー」読んで、「こんなに面白いのに、この評価は低いよね」と不思議だったが、今は納得。最初が一番面白く、段々面白くなくなっていくのだ。終わり良ければ…の逆パターンだから、評価が低めになってしまうのだろう。そして、伊良部の伊良部たる所以が、今作では完全に失われてしまった…。3冊目で、もう彼にやらせることがなくなったのだろうか?私としては、もう一度伊良部に会いたいのだが。 少し疲れてきた? 表題作の「町長選挙」は、伊良部医師が離島にまで飛び出す奇想天外の展開で
「主人公」の相変わらずのオロオロぶり(我々しがない○○○○○○はまったく
こうだと思ってしまう)とともに、十分に楽しめた。
しかし、他の作品には正直なところ著者のパワーダウンを感じる。
特に冒頭の二作は現実のモデルがあまりにまるわかりで、筋を考えるのが面倒
だったのか!?とビックリした。まぁ、この展開に現実への鋭い風刺をこめたの
かも知れないが、いつもの伊良部病院シリーズと趣が違いすぎ、番外編として
編集するべきだったと感じる。
ところで著者と筒井康隆を比較して論じる人もあるが、病気などの人の弱みを
嘲笑的に「描きっぱなし」「書き散らしっぱなし」にしかできず、物語を
ユーモア(ヒューモア)の域まで持っていくことができない筆力の持ち主との
比較は、この作者に失礼ではないだろうか。
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