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[ 大型本 ]
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永遠の都ローマ物語―地図を旅する
・ジル シャイエ
【西村書店】
発売日: 2009-03
参考価格: 2,940 円(税込)
販売価格: 2,940 円(税込)
Amazonポイント: 29 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 2,450円〜
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・ジル シャイエ ・Gilles Chaillet
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カスタマー平均評価: 5
冗談抜きで凄すぎる!! 途方もない時間をかけて、個人が古代ローマを完全再現しちゃったよ!!
全ページオールカラーで総製作時間8000時間を費やして描かれた本。
この本から得られるのは、ローマの詳しい知識や精密な資料だけでなく、まさに前向きな情熱!
どのページからも愛と熱意が伝わってくるすごい本です。
ローマ・ファンでない私も、思わず即購入してしまった、なんというかパワー全開の本です。
この完成度で2800円+税なんて、ありえないっ!
少なくとも5000円。常であれば十分10000円以上はするレベル。
著者は9歳の頃に古代ローマを再現することを心に決め、30年研究を重ね、5000時間かけてイラストを描き(これがまたウォーリーを探せ!も顔負けな…もんのすごい緻密な都市の図!)、奥さんがそれに3000時間費やして彩色し、完成に至ったという。
いろんな視点で驚きのある本なのですが、個人的には本の誕生させるまでの根気強さと妥協のなさが大変気に入ったオススメ本です。
学術的資料としてはもちろん、建築関係者や舞台美術、イラストレーター、マンガ家さんの資料としても申し分のない一冊で、出会えて良かったと心から思える本です。
ぜひ全国の図書館や図書室に置いて貰いたいなぁと願います。
この本に出会ったら、もしかしたら人生が変わる人も出てくるかも。
P.S.参考までに、ほんの一部をイメージ画像としてアップロードしています。
でもぜひ、生で見てみてね!
いかにわかりやすく配慮して構成された本か実感できるはずです。 古代ローマの街が精緻なイラストで再現 書店でたまたま手に取ったのですが、とりあえず適当に開いたところで「これは買うしか」と思いました。そこには、古代ローマの街並みのイラストがカラーで描かれていました。一軒一軒、詳細に、びっしりとページを埋め尽くすように。
そしてページをめくっても、めくっても、そうした街並みのイラストが続きます。カラカラ浴場、アウェンティヌス丘、トラステヴェレ、コロッセウム・・・。
どきどきしながら本を閉じ、裏表紙を見ます。さあいくらか。いくらまでなら出そうか。4800円くらいならなんとか。でも全ページカラーだし、たぶん6,000-8,000円、あるいは10,000円コースという可能性も、と定価を見ると、……「2,800円+税」。
なんでしょうね。この値段は。A4全ページカラー、ハードカバーでアリエナイ。ゲーム攻略本じゃないんですから。
さて、帰って落ち着いてみてみると、本書は4世紀初(314年)のローマを再現しており、本全体としては、フラウィウスというその時代の人物がローマを訪れ、ローマ各所を診て回ったときの手記という、これまた面白そうな体裁をとっています。この見聞録的な文章と、最大の売りである街の地図のイラストと、現在の写真から本書は成り立っています。
素晴らしい本です。ローマに興味があるか、ヨーロッパの地図や街が好きか、歴史に興味があるか、それ以外。このいずれかにあてはまる人であれば文句無くお奨めです。
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[ 単行本 ]
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大韓民国の物語
・李 榮薫
【文藝春秋】
発売日: 2009-02
参考価格: 1,950 円(税込)
販売価格:
中古価格: 2,886円〜
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・李 榮薫 ・李 榮薫
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カスタマー平均評価: 5
勇気ある知性の爽やかさ 本書の読後感は、実に爽やかであった。
読者は、韓国史における「意外な歴史的事実」の数々とともに、筆者が「事実」と向き合う姿勢の真摯さ、骨太な知性の逞しさを知ることとなる。
およそ、政治的言説と不可分となりやすい歴史認識において「事実を事実として論じる」ことが容易であったことはめったにない。我が国においても言論の「こわばり」に類することはいくらでもあった。筆者が「事実を事実として論じた」あとに起こったことどもについて本書は淡々と報告しているが、知性には「勇気」の裏打ちが必要であることを、教えられる。
本書が、日韓の多くの人に読まれることを願ってやまない。 真摯に歴史を見詰ると、 現在の韓国では、「穏健保守」、「経済至上主義」というあたりに属する論考だろうか。
ノ・ムヒョン政権を担った三八六世代の歴史観が、1980年代に韓国で出版された『解放前後史の認識』6巻本なるシリーズ書籍の影響下にあったことの指摘と、この『…認識』派史観に対する実証主義的批判が、本書の主なテーマ。
日本人としても傾聴に価する指摘が多く、立場や史観の違いを超えて一度は眼を通しておくべき1冊だと言える。
とくに重要なのは、植民地朝鮮の時代について、韓国の教科書にある「歴史」の多くが、じつは日本敗戦後(解放後)に、実証的検証を経ることなく、ムード的あるいは政治的に形成されたものという事実の指摘だ。朝鮮総督府の統治は、近代化という装いのもと効率的かつ巧妙に仕組まれたものであって、粗暴な剥出しの権力行使にばかり眼を向けてしまう『…認識』派の歴史認識では、却って支配・被支配の本質的関係を見逃してしまう方向に作用するとの批判が論点。
この『解放前後史の認識』は日本で出版されてないため僕は未見、また本書に拠る限り、仮に出版されても、ソ連崩壊後の現在では、後出しジャンケンにすぎないので読む気にもなれないから断定はしないが、日本でも、かつて風靡した唯物史観のもとで形成された歴史理論ではないかと思われる。だからと言って、あの『…認識』を棄てないことには、絶対に日韓のあいだに友好関係が築けないとも思わないけれど、たしかに日韓関係を冷静なかたちで正常化するには、何はさておいても、歴史事実の実証的研究が前提的に必要なことは認めざるを得ない。しかも、日本側についても、これは同様に言えることでもある。
文庫本化し広く読者に提供してもらいたい1冊だといえよう。
ただし、本書に異論を称えるとすると、李承晩の「自由主義」に対する著者の見解について。
彼の反共主義は、強固なプロテスタンティズム、つまりキリスト教信仰に由来するもので、経済的自由主義とも、政治的な民主主義とも別物ではないか。
著者は高く評価しているが、やはり、彼は開発独裁型統治を志向していたと見るのが至当であり、敗戦直後に朝鮮半島に進駐した米軍GHQ軍政府内のニューディラーたちと、ことごとく齟齬を来たした(一見、民族主義者のような彼の振舞い)というのも、その点で食い違ったのが真実だったのではなかろうか。
今では考えられないことかも知れないが、1950年代当時の米国の指導者たちのアジア観は、きわめて独善的(キリスト教徒なら、すべて善人?)であって、大半が仏教徒の南ベトナムにカソリック教徒ゴ・ジンジェムを大統領に押込んだり、国内の実情を何も知らない亡命生活40年のプロテスタント・李承晩を韓国統治の中心に据えたりなど、およそ、東アジアの現実を完全に読み誤ったとしか思えない選択だったと言えよう。
彼の家父長主義的支配体制は、南北分断状況のため止むを得ず押出されたものというよりも、本質的に彼自身の世界観に基づくものであり、従って彼もまた、朝鮮半島に分断国家を形成した責任者の一人たるを免れないと思うし、あの4.18における彼の末路も、李承晩自身のクリスチャン・ファンダメンタリズムが引出した必然の結果だったと僕は見ている。韓国的ネポティズムばかりの問題ではないと思う。
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[ 単行本 ]
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天地人〈上〉天の巻
・火坂 雅志
【日本放送出版協会】
発売日: 2008-11
参考価格: 893 円(税込)
販売価格: 893 円(税込)
Amazonポイント: 8 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 178円〜
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・火坂 雅志
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カスタマー平均評価: 2.5
おもしろかったです 歴史物には興味がなかったんですが、「軍師の門」が面白かったので、同じ作者のこの本も読んでみました。
直江兼続という人や上杉家のことが良くわかりました。
茶道の裏千家の中の千利休と、この本の中の千利休とのギャップにびっくりしました。 ☆1しかつけられませんが、大河ドラマより遥かにまとも 上杉景勝の謀臣で石田三成の親友だった直江兼続の一代記です。
ですが!!
おかしいなあ…幾らでも史実から面白い展開が導き出せるのに
フィクションの人間ドラマばかりで正直いって面食らいます。
これが本当の直江兼続だと思ってもらっては困ります。
戦国有数の謀臣で忠臣の男がこんなに出しゃばりだったらどう思います?
策士策におぼれるって感じの人物像になっているのはキツイ。
もっとも兼続以外の登場人物は全員アホ扱いなので・・・。
ですがこんな男、正直言って史実の秀吉は欲しがりませんよ。
史実の黒田勘兵衛の秀吉の扱いをみればわかるものです。
真田幸村のお姉さんが兼続君に深く関わりますが彼女は何歳なんだ??
ちなみに兼続君と真田昌幸さん(幸村父)の年齢差は13歳しかないぞw
…とまあフィクションもいいけど、きちんと事件や人物の年齢を考えて
小説を書いて欲しいものです。
正直言ってここまで変なのは「超三国志(歴史IF小説で最初からフィクション)」以来です。
ただこの本を原作にした大河ドラマは「もっと惨い」です。
ここではあえて書きませんが、もう原作とはまったくかけ離れた上に、内容は遥かに改悪w
初音さんの設定も、もっとトンでもになっていますしw
ドラマが成立していない状態です。
ドラマかこの小説かどちらを選ぶと聞かれれば、文句無しに小説を選びます。
☆一個の評価だけどw 何という駄作・・・ 多くの人がそうでしょうが、自分も『花の慶次』で兼続を知り、興味を持ったクチです。ドラマの主人公が兼続になり、また火坂さんの作品に以前から興味があったこともあり本書を手にしました。が・・・
花の慶次の断片的かつ脚色されたイメージではなく、より史実に近い兼続を知ることは出来ました。しかしこれは歴史小説ではありません。セリフが書かれている教科書というのが適切な評価かと思います。
さる歴史小説家が『歴史小説は史実とフィクションを如何に融合するかが腕の見せ所』と仰っていましたが、その観点からすると10点です。本書の特徴を列記します。
・架空人物が物語に何の影響も与えず、存在が不要。
・人物像が不明瞭。セリフからイメージがわかない。
・説明文が教科書的である。
・物語の緩急がない。
直江兼続という人物に着眼した点は慧眼ですが、如何せん文章が素人の私でも書けるレベルというのが情けない。保坂さんの他の作品は読んでいませんが、少なくともこの作品に限って言えば『駄作』の一言です。
少なくとも、兼続の内面的な葛藤、『愛』に至るまでの苦悩は描いて頂きたかった。この文章では『あ、忘れていたけど、兼続は義の代わりに愛を掲げたんだってさ』と書いているだけです。
幸いにもドラマでは脚本家が魅力的な設定や人物像を付加してくださり、俳優の努力もあり、とても魅力的な作品になっていると思います。しかしこのドラマの原作と名乗るのは気恥ずかしい。参考文献と表示すべきです。ただ『天地人』というタイトルは良いと思います。
値段も手頃なので、手っ取り早く兼続の略歴を知るにはよいかと思いますが、歴史小説として読むのであればお奨め出来ません。 教科書? 教科書的に直江兼継を紹介した作品。
歴史を舞台としたユートピアや物語性はまったくなしでした。無色な感じを受けました。それゆえに大河ドラマの脚本化は、自分のオリジナリティを出せるかもと思いました。
文体は丁寧だけれども、淡々とストーリーが進んでいて、作品に引きずりこまれる感覚は得られませんでした。 ドラマ化するにはあまりに稚拙 今年の大河ドラマの原作ということで読みましたが、正直何故この作品が大河に選ばれたのか不思議でなりません。
小説の主役に選ぶくらいなので、作者も何かしら直江兼続という人間に思い入れがあるかと思うのですが、それが全く伝わって来ませんでした。そもそも、兼続に限らず登場人物たちの人物描写・心理描写が不足している感があり、生々しさに欠けています。そのため、本の内容にいまいち入り込むことができず、読み終わった後も「・・・それで?」という感じで読後感が残りませんでした。
大河ドラマといえば歴史だけでなく人間ドラマとしても濃い要素が求められるはずですが、原作がこれでドラマが今後やっていけるのか不安です。
評価できるのは文字が大きくて行間が開いているので目に優しいことくらいでしょうか。
同じ直江兼続を扱った作品なら、藤沢周平氏の『密謀』の方がよほど魅力的な兼続
が読めるかと思います。
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[ 単行本 ]
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文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
・ジャレド・ダイアモンド
【草思社】
発売日: 2005-12-21
参考価格: 2,100 円(税込)
販売価格: 2,100 円(税込)
Amazonポイント: 21 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,516円〜
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・ジャレド・ダイアモンド
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カスタマー平均評価: 4.5
文明の崩壊を考察し、導いた結論は… 上巻より続く第2部の残りで過去から存続している社会へ目を向けることから
下巻ははじまります。
ここでは、ニューギニア高地、大西洋南西部のティコピア島、そして、森林資源が
損なわれた江戸時代初期の日本を取り上げ、危機的状況に陥りながら、存続へ向けた
舵を切ることで、結果として現在も維持されている社会として取り上げています。
社会的な要因とともに、世襲制が比較的安定していた江戸時代に「環境問題への
社会の対応」の面から、建造物資材、緑肥、薪などに使われる森林資源の利用を
持続可能な管理方式へと幕府というトップダウンにより実施されたことなどが
功を奏した、と考察されています。
続く第3部では、「現代の社会」の例に目を向け、ルワンダ(近隣の敵対集団)、
ドミニカとハイチ(環境被害)、中国(環境問題への社会の対応)、オーストラリア
(友好的な取引相手、環境問題への社会の対応)を詳細に観察し、主要因から
引き起こされる悲劇的状況に真っ直ぐ目を見据えながらも将来への明るい兆しを
付け加えることを忘れません。ここまでで環境面が主効果とされる流れができています。
更に第4部の「将来へ向けて」で、著者の持論が展開され、現在を生きる私達は
いかなる未来を創造するかという選択を迫られます。しかしながら、ここへきて、
やや性急に答えを求める余り著者の意見が環境面に偏りすぎる傾向があることは
否めません。
それでも、現代の複雑かつ相互に関係する集団(国家)の各々および総体へ向けて、
崩壊へ至る各段階、(問題の予期の失敗、問題の発生の検知の失敗、解決案の
立案・実施の失敗、実施内容自体が失敗)の内容を上巻からの多数の事例を元に
丁寧に導き、解決するべき問題を12挙げ、解決策が「最も重要な問題を
解決するだけにとどまらないこと」という、私達の安直な姿勢を戒めることを
忘れておらず、問題のどれかひとつでも未解決のままに残されれば、私達
(すべての国家)は甚大な被害を被ることになる、という重要な警告を発した
意義は大きなものだと思います。 過去に学ぶということが、今のわれわれにとって重要であり、これが人類にとって貴重な財産であると思った。 いろいろと考えさせられる本である。
本書の上巻では、五つの閉ざされた過去の社会の崩壊の物語が披露される。
南海の孤島イースター島の繁栄と崩壊。ピトケアン島とヘンダーソン島、マンガレヴァ島三島の交易と消滅。アメリカ南部に築かれたアナサジ遺跡が語る環境と旱魃。マヤ文明の環境破壊による旱魃と戦争。ノルウェー領グリーンランドに持ち込まれた中世ヨーロッパ型社会の崩壊。
いずれも、人間が入植し自ら環境破壊をし尽くして文明を極めた後、突然の崩壊が見られる事例ばかりである。
これを踏まえて下巻では、ルワンダの大量虐殺の背景にあるもの、同じ島にある二つの国ドミニカ共和国とハイチの環境の対比、大国中国の抱える環境問題、オーストラリアに進行しつつある危機などなど、現代社会のいたるところに見られる環境破壊を考察している。
その上で、最後に将来の展望を記している。著者は「慎重な楽観主義者である」として、この本を人類への警鐘の書として送り出したものであると結んでいる。
そのとおり、過去の崩壊した社会はいずれも、ほかに情報のない世界であった。過去に学ぶということが、今のわれわれにとって重要であり、これが人類にとって貴重な財産であると思った。 地球という井戸の中の蛙 高校で物理学を最初に教わるときには、「無限のフラットな空間の中に、大きさゼロの質点ががあるとする」というかなり無理な設定からスタートしました。こういう無理な設定は日常感覚とは相容れないのですが、学問というものは「学問としてシンプルに分析できるものを対象とする」か「現実とは多少違ったとしても、議論しやすいように単純な系を仮定する」ことを前提としているのでしょう。そういう環境に長く深くかかわると、マインドセットがそういう仮想空間こそ現実だと感じるように切り替わってしまうのだと思います。
下巻では、上巻で紹介された失敗例と対比できるような”成功例”がでてきますが、よく考えれば両者にあまり差がないことに気づきます。失敗例は、歴史的に既に失敗して文明が散逸してしまった事例でした。一方、成功例のほうは、ある期間それなりにうまくやっていた事例でしかありません。けっして永遠の成功ではないのです。あくまでもある期間の話です。失敗するまでは成功しているというだけです。
いずれの例でも数百年単位でみれば再試行が可能だったということでしょうか。前提として、「環境全体に比較すれば、その社会・文明のサイズは十分小さい」という理想系の想定が現実に近かったからでしょう。
さて、今の人類社会の状況は、この仮定が成り立たない段階にきています。恐竜の歴史を博物館ではなく日常で感じることになっても不思議ではないかもしれません。 胡錦濤もこの本をよめ! 上巻で語られた過去の文明崩壊と同様に、己の欲望のみに突き動かされる愚かな人類は、自分を生かしてくれている環境と生態系を破壊しつくし、資源をむさぼり枯渇させ、いまこの瞬間にも坂を転げ落ちるように滅亡に向かっている! 人類よ、過去に学べ!未来を見ろ! とりあえず、この本を読め!
長くて読めない、という人は、この本はどこから読んでも構わないので(下巻からでも可)、ルワンダあたりから始めてみてください。 存続のための処方箋も 克明な各文明の分析については他の方のレビューに譲り、下巻の巻末で持続可能な社会への具体的な処方箋を記述していることを特記したい。
製品選択や投票行動、政府や議員への資源管理への要請、もっと身近なところでは「環境保全なんてやはり建前」という知人に「いや、もうそうは言ってられない状況だろう」とこたえることでも事態は変わりうる。我々が黙認し続ければ、事態は破滅的になるだろうし、何かを始めることで回避できる可能性は高まるだろう。
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[ 文庫 ]
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新訂 福翁自伝 (岩波文庫)
・福沢 諭吉 ・富田 正文
【岩波書店】
発売日: 1978-01
参考価格: 903 円(税込)
販売価格: 903 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 80円〜
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・福沢 諭吉 ・富田 正文
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カスタマー平均評価: 5
福沢諭吉は歴史の一作品であった。 偉人の自伝というものは、十中、八九我々凡夫は見習わないほうがいい。見習おうにも端からできっこないから偉人なわけで、こればかりは努力、奮起ひとつではどうにもならない。つまり偉人達というのは他ならない歴史が作ったひとつの作品だからだ。諭吉は幕末の波乱に富んだ時代に出現して然るべき人物だった。藩の小士族という武士のなかでも下級に属していた諭吉の、封建制度への不条理な鬱屈と西欧思想の漠たる憧憬が相まってアメリカへの初渡航が成就する。これを可能にする環境に諭吉が居合わせたことも歴史の僥倖であろう。諭吉は淡々と語っているが、並大抵のことではなかったずだ。たとえば、何かの役に立つかと思い、ひょいと遊女の嗽(うがい)茶碗を盗んできて大嵐の航海中に飯を入れて汁をかけて皆で立って食ったのが重宝し、唯一の宝物になったというエピソードなど、まことに豪胆にしてシニカルな感性が清々しい。こういう些事をあえて口述にするところなど、韜晦趣味というか面目躍如といった小気味よさが読者の笑いを誘う。なにより行動力そのものが目を瞠る。西欧文化の旺盛な翻訳事業、そして慶応義塾の創設、開国思想の開陳、尊王攘夷への嫌悪と暗殺の危惧、借金することの禁欲と逡巡、時の政府への批判、弱小士族のコンプレックスと権威主義への嫌悪、ネガティヴな思考をけっして悲観しないで捕らえようとする諭吉の前向きな姿勢は、幸運も手伝い、周囲の友人にも恵まれていささかのぶれもない。というか諭吉はあくまで恬淡で飄々としている。これが諭吉の真骨頂なのだろう。歴史は諭吉がたとえ暗殺されても、第二の諭吉を輩出させたかもしれない。欧米から種を持ち帰り、日本にその種を植え、花開かせ、さらにまたその種が日本全土に花を咲かせる。これだけは良くも悪しくも実に成功を収めた2009年の現在。咸臨丸がアメリカへ向けて浦賀を出航したのは150年前だった。諭吉は今日本をどう思う? 食わず嫌いせずに読むべし いわずとしれた福沢諭吉翁の自伝。大学時代には何かこう敬遠して読めなかったが、社会人生活も長くなりふと手に取ったところ、ようやく完読を実現し、「宿題」を終えたような気分。それにしても、このからっとした爽やな読後感はどうだ。この一書から学ぶべき第一は、何物にも囚われない自主自立の精神の大切さであろう。私も幕末から明治時代に生まれて、彼のように自由に生きたかった。 一つの人生で二つの時代を生きた「良識の大家」 若い人には是非読んでもらいたい。一つの人生で二つの時代を生きた「良識の大家」福沢諭吉の精神の平衡力に脱帽。内容が痛快、読んでいて素直に楽しい本でもあります。一万円札になった理由は・・・本人が知ったら悲しみますよね。" 自伝でもあるし、良質の資料 自伝文学の傑作といわれているが確かに面白い。
幕末最強とも言われる剣客ながら、
当代随一というか日本史上有数の頭脳を持った人間が、
これまた日本史上未曾有の転換期に生まれ合わせたことが、
この本の面白さを成り立たせている。
福澤は基本的には品行方正ではあると自らを語るが、聖人君子ではない。
祠のご神体をそこらの石ころと置き換えて笑い転げ、
子供の頃から酒好き、
所属の中津藩に対しては「その卑劣朝鮮人のごとし(本文小見出しより)」と、
己の行動の卑しさを振り返る。
だが、そういう自分を恥じながらも、
どこかで「それでもいいじゃん」とでも言いたげな開けっぴろげさがある。
印象的だったのが、大阪留学時代だろうか。
福澤のほかにも大村益次郎とか大鳥圭介とか人材を輩出した有名な適塾だけど、
その気風は荒っぽいというか、小汚いというか、
優秀なはずなのに破天荒で笑える。
志と能力にあふれた若者が、
こういう青春を送れたおおらかな時代がちょっとうらやましい。
特定アジア方面で福澤の評価はとても低い。
金玉均に肩入れして失敗とか、経緯はあるにせよ、
結果として福澤は支那も朝鮮を見下していることは読めば明らかだろう。
平山洋は「民族そのものをおとしめたことはなかった」という彼の主張は、
上の小見出しを見るとほんまかいな?と思う。
読むのが遅かった。 50歳になって初めて読んでいては悔しいばかりなのですが、それでもとても役に立ちました。理屈っぽいところもありますが、応酬話法の基本を感じさせてくれる喋り方は面白かったです。大変な時期に重要な助言を与え続けてきた立場の人なのですが、とても身近な印象を抱かせる普通のお酒大好きオジサンだったのが判りました。小学生高学年からでも読んでもらいたい本ですね。私の頃には野口英世やエジソンでしたけれどねぇ。誰もこの本を薦めてくれなかったような気もしますが・・。
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[ 文庫 ]
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吉原手引草 (幻冬舎文庫)
・松井 今朝子
【幻冬舎】
発売日: 2009-04
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 288円〜
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・松井 今朝子
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カスタマー平均評価: 5
花魁は何故消えた? いわずと知れた直木賞受賞作。
ある日、突然、姿を消した花魁葛城。
何故?今どこにいるのか?それとも...?
吉原の廓周りの人々の証言を、
作者のこれまでの歌舞伎やら何やらの知識を生かして、
その生業や、生まれや育ちで書き分けていく。
その背景も見事に立ち上がり、自分が大門の中にいるかのようです。
まさにお見事!の一言。
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[ 単行本 ]
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天地人〈中〉地の巻
・火坂 雅志
【日本放送出版協会】
発売日: 2008-11
参考価格: 893 円(税込)
販売価格: 893 円(税込)
Amazonポイント: 8 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 307円〜
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・火坂 雅志
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カスタマー平均評価: 5
御館の乱以降の展開はどうなるのか? 景虎が死んだ後の御館の乱以降の展開はどうなるのか?
迫りくる信長勢力との戦い、
石田三成との友情、弟子・真田幸村との出会いなどが描かれています。
ドラマでは、小栗旬、城田優がやるんだけど、
どういう三成や幸村になるのか楽しみです。
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[ 単行本 ]
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天地人〈下〉人の巻
・火坂 雅志
【日本放送出版協会】
発売日: 2008-11
参考価格: 893 円(税込)
販売価格: 893 円(税込)
Amazonポイント: 8 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 337円〜
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・火坂 雅志
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カスタマー平均評価: 3
そこそこ読める 直江兼続との出会いは、中学生か高校生くらいに読んだ司馬遼太郎の関ヶ原。
閻魔大王への手紙とともに小者の家族の首をはねたり、朝鮮出兵時に書物をあさったり、殿中で伊達政宗と堂々とわたりあう、あるいは手玉にとる逸話、三成と家康挟み討ちの謀議をこらすシーン、そして、そして、直江状のシーン、とにかく兼続はかっこよかった。
こうしたエピソードはどこまで史実かわからないけど、火坂さんの天地人はこれらが捨象されていたり、書き込み不足だったりしているせいか兼続がいま一つかっこよくない。正直ものたりない。
ただ火坂版では司馬遼版にはない関ヶ原後の兼続に会うことができる。決して派手ではないが米沢藩の民政に大きな功績を残したり、上杉家存続のため卑屈なまでに本多正信とのコネにこだわったり、大坂の陣の真田幸村の活躍を眩しく眺める兼続は、かっこよくないけど、それなりに魅力的であり、共感を覚える。
私自身は上中下の3巻を2日程度で一気に読了してしまった。盛り上がりにはかけるけど、読みやすく、一旦読み出せばそこそこおもしろくてはまるとういうのが私の感想です。
気軽に手に取ってみてください。
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[ 単行本 ]
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NEW石川日本史B講義の実況中継 (3) 近世~近代 実況中継シリーズ
・石川 晶康
【語学春秋社】
発売日: 2001-03
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
Amazonポイント: 12 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 699円〜
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・石川 晶康
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カスタマー平均評価: 4.5
評価
まず書いておきたい点は4つ
・この参考書を選んだら教科書やその他諸々の参考書は一切必要無い
・サブノートに空欄だけでなくサンプルにもあるようにしっかり関連事項を追記をする
・年表整理のため定期的にCDを聞く
・ただ猛然と講義を読むだけでなく書いて覚えるという作業をする
この4点を守らないと教科書をメインに勉強をしている受験生にはまず負けると断言できる。
なにせ1?4巻(人によっては5巻まで)でおよそ教科書の倍の2倍もいいところの
1000ページ以上に及ぶわけだから選んだからには相当な覚悟が必要である。
この本を信じて根気良く使い続ければ教科書組にはまず負けないといっていいくらいの
得点力にはなる。あとは直前期に過去問演習をすればいい。 これはいい!! 私大もこれで十分だと思う これはすごくいいです 私はこのシリーズを愛用していますが、やはり話し口調というところがいいです。教科書を読むのが嫌いな人にはもってこいです。教科書の欄外の細かい部分までたくさん取り入れてあり、それもいわゆる「欄外」というような補足的な説明ではなく全体的な流れとしてつかめるようになっているので、一つの「歴史」といったまとまりと流れを感じることができます。 史料も要所要所に取り入れてあり、チェックシートで重要語句の穴埋めができる点もすばらしいです。 私は私大志望なのですが、勉強方としてはこの本の前書きに書いてあるように @2回本文をざっと読む Aサブノートにチェックしながら読む BCDを聞く というのに加えて C教科書にチェックペンで線を引きシートで隠して確認 をしていま!す。 全部で5冊もあるので大変にみえるかもしれませんが実際は字も大きく、教科書を通読することに比べたら5冊を通読するほうが飽きずにこなせると思います。 ぜひ参考にしてください!
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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新版 底抜け合衆国 ~アメリカが最もバカだった4年間
・町山 智浩
【洋泉社】
発売日: 2009-01-29
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
Amazonポイント: 10 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 610円〜
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・町山 智浩
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カスタマー平均評価: 5
面白いし、ためになる町山本 町山さんを知ったのはあるラジオ番組で、この人言ってることが面白いなと思ったのがきっかけでした。本もそのまんま目のつけ所が面白く、まさにアメリカを底から見て考えることができるものだと思います。なかなかここまでネタが揃っている本はあまりないのでは。いまでは「カニバケツ」から「ステロイドを打つ」まで全部購入しました。やっぱ自由の国、多民族国家アメリカって面白いです。面白いけど真実なんですよね。 アメリカの底から 前著『オバマ・ショック』の前書きで、
「9・11テロ以降、アメリカはどんどん壊れていった」
とあるが、この本の方がその実相が伝わりやすい。
どれだけの影響がをもたらしたのかが。
『スーパーマン』をかいてる親子が、
「現実に悲劇が起きているのに、こんな絵空事を描いてる場合か?」
と論争したり、スーパーマンが、「私に不可能はない」と言いながら、
「でも、たった一つできないのは、漫画から抜け出して現実の不幸を救うことだ」
と語る話が書かれた短編集『9・11』について触れられていて、読んでみたいものがある。
私もいつしか、あまり絵空事のような物語を、見たり読んだりできなくなってきている。
また、マイケル・ムーアや、マクドナルドを自ら1ヶ月食べ続けた人体実験映画『スーパーサイズ・ミー』の企画・製作・監督・主演をした男、モーガン・スパーロックへの取材など色んな人から印象深いコメントを多く引き出されている。
はあ?、国のトップが違うだけで、ここまで変わるとは今更ながら茫然自失となる。
ところで「オサム・テヅカ」と「オサマ・ビン・ラディン」って名前が似ているだろうか?テロ影響で「火の鳥」出版できないかも、という出版社のコメントが気になった。(出版されたのだろうか?)二人の名前をつい何回か声に出さず呟いてしまった。
町山さんの著作では、『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』の次に好きになった。いや、いちにを争うか。
しかも、このブ厚さで価格も安いのでお得。
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