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[ 文庫 ]
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風の男 白洲次郎 (新潮文庫)
・青柳 恵介
【新潮社】
発売日: 2000-07
参考価格: 420 円(税込)
販売価格: 420 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・青柳 恵介
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カスタマー平均評価: 4.5
白洲次郎の業績を世に知らしめるきっかけになった記念碑的な書物 白洲次郎の遺言はあまりにも有名である。
葬式無用
戒名不用
のたった2行。
この遺言のため、大々的な葬儀は行えなかったが、それでは白洲次郎の数多い友人たちが納得しない。
ということで、1年後の命日、「白洲次郎を偲ぶ会」が開かれた。次の年も開かれ、語録を出してはどうかということになった。
そこで、正子夫人から白羽の矢が立ったのが、当時の成城大学の講師の青柳恵介氏である。年は若いが生前の白洲次郎氏と面識があった点も理由の一つだった。
白洲次郎には英国式の不思議なユーモアがあり、人の記憶に残る語録がたくさんあったが、いざ集めてみると、その場の雰囲気や時代背景なしには面白味が伝わらない。
青柳氏は苦労の末、大量の戦後資料を読み込み、伝記、小説、語録の融合した白洲次郎伝を書き上げることになった。
本書の魅力はなんといっても、白州正子夫人をはじめとして、生前白洲次郎氏と親交の深かった人たちの全面協力を得ている点で、人間白洲次郎を表すエピソードが多数収集されている。
また、構成もよく練られ、ビジネスマン時代の白洲次郎が横浜からサンフランシスコに向かう大洋丸で、帝国軍人の辰巳栄一と出会い、軍部への悪口をふっかける印象的なシーンから始まっている。
本書は読み物としても第一級の書物だ。
一陣の風が通り過ぎたかのような清廉の士 終戦直後、米国の統治下にあった日本。欧米人に対してとかく卑屈になりがちな我が国にあって、臆することなく言いたいことを言った男。歯に衣着せず、ずけずけとした物言いはするけれど、これと信頼した人物に対しては面倒見の良かった義の男。信念をもって己を投げ出すことのできる男。白州次郎は、そういう男だ。
一陣の風が通り過ぎたような清々しい生き方を貫いた白州次郎の人となりが、彼と関わった人たちの証言から伝わってくる評伝集。いくつもの印象深いエピソードのなかでも、英国のケンブリッジ在学中、終生変わらぬ友情を結んだロビン・ビングとの再会、そして最後の別れを記した場面には胸がいっぱいになって、涙がこぼれた。
若き日の白州が車の運転席に座った写真や、親友ロビン・ビングとのツーショット、白州次郎を大いに買っていた吉田茂を撮った写真をはじめ、白黒写真が多く掲載されていたのも、彼らの人となりを身近に感じる上で、とても有難かった。
本書刊行のいきさつについては、白州正子(白州次郎の妻。文筆家)の「まえがき」ならびに、当時、成城大学の講師だった著者の「あとがき」に記されている。
著者「あとがき」の後に置かれた両角良彦(もろずみ よしひこ)の解説、「天衣無縫の気概」と題した文章も素晴らしい。的確で、心のこもったその文章から少し引用させていただく。
<ひと口に言えば、人間として立派であった。およそ遺徳を偲ばれるには、地位や財産などではなく、人間性そのものに根ざすなにかがなくてはならない。この人にはそれがあった。毅然とした反骨精神というか、強者に追従しない独立心である。書中に詳しいが、全能の占領軍司令部を相手取って一歩も退かなかったいくつかの挿話からもそのことは納得できよう。> GHQ占領下、時代に役割を果した規格外の男の物語 第二次世界大戦での日本の敗戦後、占領当局GHQとの交渉の最前線を担った白洲次郎の言わば公式評伝である。
家族の要請と協力もとでの伝記ではあるが、規格外の男・白洲次郎の足跡を多くの彼の友人・知人のインタビュー、そして資料から浮き彫りにする。
現在も時折政治的争点として浮上する憲法問題、戦後の復興政策・産業政策等々に関わり、そして鮮やかな引き際を示した男をしる入門書といったところである。
本書に政治的な思惑等は特には見受けられず、歴史の中で人の果す役割・果した役割を知る上で必要な一冊といえると思います。 天下一の傾奇者 上司が飲み会で熱く語っていた「白洲次郎 」。ということで上司からお借りして読んでみました。いや?、戦後の日本復興にこれほど影響を与えていた人がいたとは知りませんでした。高校日本史の教科書くらいに名前は出ているのだろうか?(私は世界史だったので全く知りませんでした)。また、戦後復興当時の日本とGHQのやりとりも非常に興味深く読ませてもらいました。
もう、ほんと、漫画の主人公になりそうなくらい、痛快で破天荒で真直ぐで情に厚い人柄が伝わってきました。「たら・れば」はよくありませんが、もし白洲次郎が生きていたら、今の世の中をどう見るだろう?とついつい考えてしまいます。それにしてもすごい人がいたもんだ。
そう、まるで戦国時代に活躍した天下一の傾奇者、前田慶次が重なってきます。
白洲次郎をいろんな側面から見ることができます 本書は白洲次郎の夫人である白洲正子さんの要望により書かれた本であるため、白洲正子さんのコメントが多く、他の本よりも素顔の白洲次郎に近いもののように感じました。
関係者に対してもよく取材されており、当時の様子というのが伝わってきます。
読んでいて、リアリティを感じるものでした。
特に第一章の辰巳栄一氏との関わりの部分は非常に興味深く読めました。
内容としては多少時系列でないところもあり、ある程度の歴史的背景を知った上で呼んだ方がいいと思います。
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[ 新書 ]
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明治人の姿 (小学館101新書)
・櫻井 よしこ
【小学館】
発売日: 2009-04-01
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 735 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 450円〜
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・櫻井 よしこ
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カスタマー平均評価: 1
「不平不満を口に」(p31)しているだけ 1.内容
武家出身の明治人の生き方に共鳴する著者は、地元が同じの(新潟県長岡市出身)杉本鉞(えつ)子さんの『武士の娘』(ちくま文庫)を中心に、武家社会や明治人の高潔さを礼賛する内容になっている。
2.評価
この本で評価できるのは、p188?p190(杉本さんの略歴、本の案内)だけである。内容全編ダメ。たとえば、自分の気に入らない人などに対する酷評(内定取り消しの人や権利を主張する人など)は何なんだろう。「どちらが優れているかという問題では」(p92)ないだろう。それぞれの時代を精一杯生き抜いているだけではないだろうか。また、やたら日本人を評価するあまり、外国人が劣っているとも読める表現(たとえば、p159「日本人はいかに子供を大切に」。外国人は子供を粗末にする?)もダメである。そんなに昔がいいならば、本なんか書いてないでタイムマシンでも作れよ!と言いたいほどのお粗末な出来である。ついでに書くと、礼賛はいいが、外国人が劣っているかのように書いた本を出したから、今後外国には行けないだろうな。以上、星1つ。
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[ 文庫 ]
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ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)
・リチャード P. ファインマン
【岩波書店】
発売日: 2000-01
参考価格: 1,155 円(税込)
販売価格: 1,155 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 539円〜
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・リチャード P. ファインマン ・Richard P. Feynman
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カスタマー平均評価: 5
センセったら、もう冗談ばっかり! リチャード・ファインマンのこの本は、物理学はもちろんの事、物理を離れた周辺雑記風なことやらを思うままに書き綴った自伝風味のエッセイ集である。
タイトルにもなっている「ご冗談でしょう? "Surely,you're joking,Mr.Feynman!"」というのは、ある茶会でのとあるセレブ婦人の「ホホホホホ!」という冷笑とともに発せられたお言葉だった。
彼はこの前の戦時中ロスアラモスでのマンハッタン計画に参画していた。本人いわく、ファインマン氏は原爆実験の爆発を「肉眼で見た、唯一の人間!」。彼はこのロスアラモス時代に最初の妻を結核で亡くしている。
しかし、原爆に関する記述は(上)(下)を通じてこの部分だけ。自らがその開発に携わったにもかかわらず、むしろ、その成果に満足しているような風なのが気になる。
「サングラスを掛けず、肉眼で原爆を見た唯一の人間」かどうかしらないが、少しは良心の呵責に耐えるということはなかったのか。
同じ日本の風呂を使った湯川博士は、その生涯を通じて原発反対の最先端に立ってきたというのになあ、もう! 「ホホホホホ」と笑われた事を忘れずに・・・・・。
彼の言動はまさに「ご冗談でしょう」と言いたくなるほどだが、読みやすい日本語訳とともに(下)でも我々を飽きさせない。 ファインマンが伝えたかったこと。 物理学者というと「お堅い」イメージがありますが…
・物理学の話になると超お偉いさんにもほぼタメぐちになっちゃう
・友達の部屋の「ドアを隠す」いたずらをしちゃう
・ストリップショー好き
…などなど、エピソードを読んでいくにつれその堅いイメージはスッと消え、時々笑いがこみあげました。ノーベル賞受賞してなかったら、普通のおっちゃんやん。と思うくらい。
とはいっても、やはり「天才」と言われるだけあって随所に見られる『考え方』にとても強いものを感じました。「理解する」ということへの認識、物事をとことんまで知ろうとする好奇心、そして、本質を見抜こうとする姿勢には、ただ「すげーな」と思うばかり。
そして、彼の「伝えたいこと」「想い」をいちばん強く感じられるのが、下巻のラスト「カーゴ・カルト・サイエンス」。1974年のカリフォルニア工大卒業生への祝辞だそうです。
いたずら心やユーモアたっぷりのそれまでのエピソードを読んで、最後にたどりついたこの「想い」には、とても心を揺さぶられました。
サクッと読めるのでおすすめ。 他人にも自分に正直に、そして楽天的に生きていくこと ファインマンのいたずら満載の自伝。
彼の行動の原動力は、好奇心。とにかく何でも自分でやってみる。・・・とここまではいいけれど、読心術を試してみたり、金庫破りに精を出したり、バーで殴り合いまでしたり。誰もが思い描く典型的な「物理学者像」と比較して、「この人、本当に物理学者?」と疑いたくさえなる。それが、ファインマンだ。
この本を読んだとき、私はちょうどプレッシャーやストレスなどを感じ始めて少々ナーバスな時期だった。だが本書から、「他人にも自分に正直に、そして楽天的に生きていくこと」を学び、肩の力が抜けた気がする。憂鬱の悪化を防ぐ即効薬。 自叙伝の最高峰 機知とユーモアの人、ファイマンさん。
他の多くのレビューに私も、たびたび同感。
本書の秀逸性を改めて、述べる必要はありませんね。
特に興味深く読ませていたのが、「二人の金庫破り」の章。
機密文書を保管するあらゆる金庫を開錠しまくり、その安全管理のずさんさを痛烈に批判。
この頭のキレ具合は、痛快。
あなたじゃなきゃ、安全ですって(笑)。
おもしろすぎます、ファイマンさん。
声を出して笑ってしまう これまで読んだ本の中でトップ群に入るおもしろさでした。
天才の思考回路をかいま見れます。
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[ 新書 ]
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白洲家の流儀 (小学館101新書)
・白洲 信哉
【小学館】
発売日: 2009-04-01
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 735 円(税込)
Amazonポイント: 7 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 1,644円〜
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・白洲 信哉
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カスタマー平均評価: 5
祖父母の本としてでなく、著者本人の魅力を感じる。 3人の祖父母(白洲次郎、白洲正子、小林秀雄)の思い出や、孫だからこそ知る素顔を綴ったエッセー。
当初は白洲本のひとつとして手に取りましたが、意外にも著者の生き方や感じ方、子育て論に大いに共感を覚えました。
細川護煕・元総理の公設秘書も務めた経歴を持つ氏の生き方は、血筋以上に一個人としても憧れます。
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[ 単行本 ]
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吉田茂 ポピュリズムに背を向けて
・北 康利
【講談社】
発売日: 2009-04-21
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,560円〜
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・北 康利
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カスタマー平均評価: 4.5
今の時代にいて欲しいと思う政治家像 吉田茂は、おそらく日本で歴代最も人気の高い首相と思われるが、既に没後40年以上経っており、彼の偉業や当時の日本の置かれていた環境なども人々の記憶から薄れつつあるのではないかと懸念する。そんな今日、戦前から戦中の日本の状況と戦後独立を回復するまでの経過を吉田茂という人物を中心にして、本書は分かり易く、見事に描いている。
吉田は米国の軍人・外交官から戦前「外交感覚のない国民は必ず凋落する」と言われる。外交官出身にして首相となった吉田にとってこの言葉は忘れられない言葉であっただろうが、今日の日本に照らし合わせて果たして我々は健全な外交感覚、或いは客観的かつグローバルな視点を持っているかと自問する。世界第二位の経済大国となった日本であるが、戦後の占領時代を経て再び独立を獲得したあの時代、先達の苦労を忘れてはならないことを思い出させてくれる一冊である。
吉田茂のルーツと成果 最初4分の1は、吉田茂のルーツといえる実父や養父、家庭環境などの話。次の4分の1は、外交官時代の話。そして、戦後に初入閣して政界で活躍していく話が次の4分の1で、最後は、サンフランシスコ講和条約中心の話となっています。
私は吉田茂に関する本を読むのは初めてで、当時のようすなどまったく知らず、時代背景の不勉強さから分からないところもありました。しかし、全体としてまとまりがあったこと、及びおもしろおかしい逸話が随所に紹介されていたことなどから、全体として興味深く読ませていただきました。
断片的に印象に残っている部分を書けば、たとえば最初のあたりで吉田茂の養父の紹介があります。彼はこれからは英語の時代だといって、英国に密航を計画。密告は成功して、2年間イギリスに滞在することになります。明治維新前の時代に、命をかけて密航して英語を学ぶ、そういう気概のあった養父だったらしいです。吉田茂はあまり養父と接する機会は少なかったといいますが、それでもこうした雰囲気が吉田茂の性格形勢に与えた影響は大きかったろうなと思ったりしました。で、養父は英語力を利用して、ビジネスで成功。しかし若くして亡くなり、その遺産は吉田茂に転がり込みます。この莫大な遺産が吉田茂をつくったという感じらしいです。
政界に入ってからの吉田茂を紹介する部分では、本書のタイトルにもあるように、有権者におもねらない政治家としての逸話が興味深かったです(選挙区に赴かないことを提案したり、選挙区からの鉄道建設の以来をにべもなく断ったりするなど)。
欲を言えば、講和条約が日本外交上どれほどの意味があったのか、ということをもう少し説明していただきたかったという感想は持ちましたが、吉田茂という人物の性格や気概といったものを十分にイメージでき、まったく知識のなかった私にも伝わってきて興味深く読ませていただきました。
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[ 文庫 ]
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私にとっての二〇世紀―付 最後のメッセージ (岩波現代文庫)
・加藤 周一
【岩波書店】
発売日: 2009-02
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,894円〜
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・加藤 周一
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カスタマー平均評価: 4.5
戦争はもういい この文庫は、どういう理屈をこねようが、「戦争はいけない、ダメだ、容認できない」という主義・主張に貫かれた一冊である。
この文庫は、「第二部 加藤周一、最後のメッセージ」に収録された2006年12月8日に東大駒場キャンパスで行われた講演「老人と学生の未来」と、2008年8月4日に行われたNHKの取材を基にしたQ&Aである。
この文庫は、知の巨人・加藤周一が人生の最後にどうしても言っておきたかった事、未来に語り続けなければならない事を必死の思いで搾り出した文字通り「最後のメッセージ」である。
第一部は、なぜ戦争をしてはいけないのかが未だもって解らない輩に何とかして解らせようと願う加藤の必死の思いが伝わってくるが、解らないものが多いのだなあ。
「ああいえばこういう」という論理に対して加藤のほうも「こうすればこういおう」なる様々な理屈を繰り出す手練手管は、やはり加藤に分がある。
第二部だけで十分に彼の思想は伝わってくるので、ここだけで充分じゃないかな。 加藤流20世紀の遡行 待望の名著を文庫化したものです。様々なエッセイに加藤周一の思想を存分に
味わえる魅力ある分筆です。
その中でも根底にあるのは
・社会主義の誕生と衰退、崩壊
・米国の身勝手な他国への干渉
・インターネットは21世紀前半はリードしていく
・20世紀の後半はコンピューターと分子生物学の世紀だった
以上です。
この中でも特に2番目と3番目に関しては本書の単行本が刊行されてからも、
それ以前よりも顕著になったと痛感しています!
それ故本書を現在読まれても実感のいく内容だと強調できます。
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[ 単行本 ]
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旅する力―深夜特急ノート
・沢木 耕太郎
【新潮社】
発売日: 2008-11
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 944円〜
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・沢木 耕太郎
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カスタマー平均評価: 4.5
番外編として読む 『深夜特急』の著者が、駆け出しだった頃に感じていたことや、あの旅を文章化するに至った背景や過程を、現在から俯瞰する形で描き出している。
紀行文『深夜特急』は、実際の旅から10年後に書かれ始めるわけだが、なぜ旅のあとにそれほど時間を要したのかということについての著者の見解にはとても共感する。そして、文章化した時点で、その旅が自分の中で失われるということについても。
クライマーの山野井泰史との会話や、現代批評で名高い小林秀雄の文章も、旅に向き合い、旅を楽しむ著者のスタイルを描き出すうえで効果的に使われていて、読者としては「つながる」楽しさを味わうことができる。 終着駅への片道切符 昔、『深夜特急』を、旅の終着駅がどこにあるのか、そこに辿り着くまでどれほど興奮と感動が待っているか、胸をおどらせながら読んだように記憶している。
キザな言い方かもしれないが、人生は終着駅へと歩み続ける旅にほかならない。この本には、なぜ旅立ったのか、どんな状況の中で旅を始めたかが書かれている。だが、そもそも旅に特別な目的を求める必要は全くないようにも思う。若造としては、人生もまた然りとは言えるわけもないけれども。
現実の人生では、その行く末に胸を期待に膨らますよりも、その旅の長さに途方にくれることのほうが多いように思う。情況を能動的に捉えるための旅もありうるし、そこから逃げ出すための旅もありうる。沢木は、旅立って数十年を経過し、当時旅立ったことの意味を再定義しようとしているように見える。
ある評論家は、沢木が『凍』で父親のことを書いた後、彼の中で沢木の印象が大きく変化したという。私もこの本で同じような経験をしたのかもしれない。後から書いたものが、先行した作品の印象を大きく変える。そんなふうに思える。
とゆーか、若々しかった沢木も私も歳とったってことか(笑)。
裏深夜特急 私の期待を裏切らない素晴らし作品でした。「深夜特急」全巻を読んだ人は必見です。「深夜特急」の続編とも言える、まさに「裏」深夜特急です。旅の途中の機内でイッキに読んでしまいましたが、今もう一度改めてかみしめながら読み直しています。どんな時でも「旅心」は必要です。 彼を旅に向かわせたもの 何年か前に、「ミッドナイト・エクスプレス(文藝春秋刊)」を読み、遅ればせながら「深夜特急」の一夜漬けファン(笑)になりました。「旅する力」は、新聞の書評にて取り上げられており、ぜひ読んでみようと思った次第です。私的にはとても興味深く、一気に読んでしまい、もう一度、「深夜特急」を読み返したくなりました。
読了後の印象としては、これは「深夜特急」ファンのためのエッセイであって、この本を読む前に、深夜特急シリーズを読んでいないと、面白さは半減してしまうだろうなぁ、ということ。万人向けのエッセイではないので、☆四つです(まあ、この本を手に取る大半の方は、「深夜特急」を読まれていることでしょうが;;)
何が筆者を深夜特急の旅に向かわせたのか。「旅する力」は、その疑問に答えるべく、筆者が少年時代に遡って記憶を掘り起こし、旅の原点を探ろうとする、いわば「自己の記憶を遡る内面への旅」とも言え(簡単に言えば、原点回帰、ということでしょうか)、おしつけがましくない人生論としても読めなくはない。還暦を過ぎた円熟期の筆者だからこその視点で、過去を振り返るその視点そのものが、私にはとても魅力的で面白かったです。
蛇足ですが、終章の方の、猿○石ブームに関しての所感が書かれた件(くだり)に、ニヤリとさせられました。今だからこそ、チラリと皮肉を覗かせつつも、全体としては穏やかに書けるが、当時は、相当面白くなかったのだろうなぁ、と・・・(苦笑)。この辺りの事情も、人生の折り返し地点を過ぎた今だから書けるのだろなぁ?、などと、勝手に納得致しました。 これが最終便? 帯に刷られていた「深夜特急<最終便>遂に刊行!」という一文に
惹かれて購入しました。
感想としては、「肩透かしを食らった」感じです。
若い頃何度も読み返した「深夜特急」、その最終便ということで過
剰に期待していたのが原因だと思います。
この作品が「深夜特急<最終便>」だとは思えません。
当時著者がどんな仕事をしていたのか、子供の頃はどんなだったの
か、日本に帰ってきてからどうしたのか、そもそも旅の前後の心境
はどんなものだったのか、そんな著者自身のことが書かれています
が、正直に言えば興味がありません。
もちろん「深夜特急」に書かれなかったことや、ちょっとした裏話
なんかも読めるので、そこのところは楽しめました。
多くの小説がそうであるように、この本も読む人によって受ける感
想や印象は様々。
作家のファンなのか、深夜特急のファンなのか……
深夜特急の中の沢木耕太郎しか知らなかった私にとって、この本で
著者自身が書く沢木耕太郎は全く知らない人でした。
熱心な深夜特急ファン、熱心な沢木ファンにはオススメです。
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[ 文庫 ]
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新訂 福翁自伝 (岩波文庫)
・福沢 諭吉 ・富田 正文
【岩波書店】
発売日: 1978-01
参考価格: 903 円(税込)
販売価格: 903 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 80円〜
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・福沢 諭吉 ・富田 正文
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カスタマー平均評価: 5
福沢諭吉は歴史の一作品であった。 偉人の自伝というものは、十中、八九我々凡夫は見習わないほうがいい。見習おうにも端からできっこないから偉人なわけで、こればかりは努力、奮起ひとつではどうにもならない。つまり偉人達というのは他ならない歴史が作ったひとつの作品だからだ。諭吉は幕末の波乱に富んだ時代に出現して然るべき人物だった。藩の小士族という武士のなかでも下級に属していた諭吉の、封建制度への不条理な鬱屈と西欧思想の漠たる憧憬が相まってアメリカへの初渡航が成就する。これを可能にする環境に諭吉が居合わせたことも歴史の僥倖であろう。諭吉は淡々と語っているが、並大抵のことではなかったずだ。たとえば、何かの役に立つかと思い、ひょいと遊女の嗽(うがい)茶碗を盗んできて大嵐の航海中に飯を入れて汁をかけて皆で立って食ったのが重宝し、唯一の宝物になったというエピソードなど、まことに豪胆にしてシニカルな感性が清々しい。こういう些事をあえて口述にするところなど、韜晦趣味というか面目躍如といった小気味よさが読者の笑いを誘う。なにより行動力そのものが目を瞠る。西欧文化の旺盛な翻訳事業、そして慶応義塾の創設、開国思想の開陳、尊王攘夷への嫌悪と暗殺の危惧、借金することの禁欲と逡巡、時の政府への批判、弱小士族のコンプレックスと権威主義への嫌悪、ネガティヴな思考をけっして悲観しないで捕らえようとする諭吉の前向きな姿勢は、幸運も手伝い、周囲の友人にも恵まれていささかのぶれもない。というか諭吉はあくまで恬淡で飄々としている。これが諭吉の真骨頂なのだろう。歴史は諭吉がたとえ暗殺されても、第二の諭吉を輩出させたかもしれない。欧米から種を持ち帰り、日本にその種を植え、花開かせ、さらにまたその種が日本全土に花を咲かせる。これだけは良くも悪しくも実に成功を収めた2009年の現在。咸臨丸がアメリカへ向けて浦賀を出航したのは150年前だった。諭吉は今日本をどう思う? 食わず嫌いせずに読むべし いわずとしれた福沢諭吉翁の自伝。大学時代には何かこう敬遠して読めなかったが、社会人生活も長くなりふと手に取ったところ、ようやく完読を実現し、「宿題」を終えたような気分。それにしても、このからっとした爽やな読後感はどうだ。この一書から学ぶべき第一は、何物にも囚われない自主自立の精神の大切さであろう。私も幕末から明治時代に生まれて、彼のように自由に生きたかった。 一つの人生で二つの時代を生きた「良識の大家」 若い人には是非読んでもらいたい。一つの人生で二つの時代を生きた「良識の大家」福沢諭吉の精神の平衡力に脱帽。内容が痛快、読んでいて素直に楽しい本でもあります。一万円札になった理由は・・・本人が知ったら悲しみますよね。" 自伝でもあるし、良質の資料 自伝文学の傑作といわれているが確かに面白い。
幕末最強とも言われる剣客ながら、
当代随一というか日本史上有数の頭脳を持った人間が、
これまた日本史上未曾有の転換期に生まれ合わせたことが、
この本の面白さを成り立たせている。
福澤は基本的には品行方正ではあると自らを語るが、聖人君子ではない。
祠のご神体をそこらの石ころと置き換えて笑い転げ、
子供の頃から酒好き、
所属の中津藩に対しては「その卑劣朝鮮人のごとし(本文小見出しより)」と、
己の行動の卑しさを振り返る。
だが、そういう自分を恥じながらも、
どこかで「それでもいいじゃん」とでも言いたげな開けっぴろげさがある。
印象的だったのが、大阪留学時代だろうか。
福澤のほかにも大村益次郎とか大鳥圭介とか人材を輩出した有名な適塾だけど、
その気風は荒っぽいというか、小汚いというか、
優秀なはずなのに破天荒で笑える。
志と能力にあふれた若者が、
こういう青春を送れたおおらかな時代がちょっとうらやましい。
特定アジア方面で福澤の評価はとても低い。
金玉均に肩入れして失敗とか、経緯はあるにせよ、
結果として福澤は支那も朝鮮を見下していることは読めば明らかだろう。
平山洋は「民族そのものをおとしめたことはなかった」という彼の主張は、
上の小見出しを見るとほんまかいな?と思う。
読むのが遅かった。 50歳になって初めて読んでいては悔しいばかりなのですが、それでもとても役に立ちました。理屈っぽいところもありますが、応酬話法の基本を感じさせてくれる喋り方は面白かったです。大変な時期に重要な助言を与え続けてきた立場の人なのですが、とても身近な印象を抱かせる普通のお酒大好きオジサンだったのが判りました。小学生高学年からでも読んでもらいたい本ですね。私の頃には野口英世やエジソンでしたけれどねぇ。誰もこの本を薦めてくれなかったような気もしますが・・。
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[ 文庫 ]
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淳 (新潮文庫)
・土師 守
【新潮社】
発売日: 2002-05
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 100円〜
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・土師 守
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カスタマー平均評価: 5
当事者の手記の重さ 加害者の両親の手記の次に読んだ。被害者の父の手記。
子を持つ親なら覚えのある、子供が心配で心臓が破れそうな
あの感覚。
不安が最悪の現実となった事件だけに、愛児の幼少時の
エピソードから行方不明の数日間と事件後の描写が胸に迫る。
それまでの人生の喜怒哀楽あらゆる思い出が一瞬にして
ひっくり返される我が子の死。
追い打ちをかけた、無配慮なマスコミ取材、加害者保護重視
な少年法への、怒り、その後の遺族としての活動も綴られる。
また、加害者の母についてのくだりは、私はこの本で初めて
知った。彼女のずれた言動、育児責任、謝罪の至らなさ、が
被害者の父の視点で書かれている。
各手記を読んだ自分が、興味本位に情報を求めたマスコミや
当時の世間と同じまま終わらないために、どうすればよいか
自問自答している。 更なる被害の発信。。。 少年犯罪によって愛息を亡くした、父・土師守さんの手記。被害者である淳君・生前の日常と、実に愛くるしい姿が鮮明に描かれている。土師さんの悲しみと加害者とその両親に対する不信は、痛々しいほど伝わってくる。
だが良識ある冷静さと、筆力をもって一語一句丁寧に、愛息への哀悼を込めて読手に語りかけてくださる。土師さんが執筆に至ったのは、我々が、いつの時代も痛ましい事件の内容にばかり目を向けがちで、いかにも形骸化した世論であることを、警告する意図はなかったろうか。淳君の平穏で幸せな日常に目を向けることは、被害者家族の境遇を思いやることにもなる。日常が一瞬で崩壊する「犯罪」がいかに醜悪で残忍なものかを思い知らされる。
絶望の渕でマスコミからの攻撃と、傍らで心無い人からの中傷、そして何より加害者側の鈍感で誠意を欠いた言動には、読手も苛ついて仕方ない。だが、辛くともこうして被害者家族が負う「更なる被害」を発信してくださった。被害者の側面をよく知ることができ、著者とその家族の努力には、敬服するばかりである。
あとがきには、本村氏が筆を添えている。土師さんとの出会いや、本書にも登場する少年法と被害者家族が負う理不尽さを丁寧に解説されおり、こちらも読み応え十分であった。 刑罰の根拠=遺族による復讐の代理、であるべき 本書で一番印象に残っている場面は、父親が警察で淳君の遺体と対面するシーンだ。
この時の警察の対応はひどくデリカシーを欠く。もっと遺族感情、人間の尊厳を考えてほしい。
遺族にとって遺体は「物」ではない。父親は医者で親しい人物の死や死骸には慣れているはずだが、やはり衝撃を受けている。 日本の今を垣間見れる一冊です 日本中が忘れることの出来ない衝撃的な事件からすでに、14年が経ちました。
被害者の遺族の方にとって、長かったようで短かった時間だったと思います。
この本では、子どもへの思い、加害者への思いが綴られていました。
加害者の親御さんが書いた「「少年A」この子を生んで・・・」と比較してみたのですが、
もちろん親御さんの立場は対極でありますが、
悲しいことに一つだけ共通していた点がありました。
それは、両者ともメディアに追われ、苦しい日々を過ごしたという事です。
それが悲しくもあり、今の日本社会を映し出しているようでした。 ご遺族の思い、そして今後の課題。 この事件当時、私は仕事に遊びに多忙な22歳の若者でした。
当時色々な報道もありましたが、正直、「こんな凶悪犯罪があるんだ」程度にしか感じておらず、新聞もニュースも全く見ておりませんでした。
今となってはお恥ずかしい限りです。
現在、一人息子が小学生になり、少年犯罪のサイトなどに関心を持ち始め、
そのとき辿り着いたのが、この「淳」という一冊の本でした。
最初から最後まで一気に読みました。途中、読みながら体が震える思いでした・・・
「犯人が成人以上であってほしい」と願ったお父様のお気持ちが、今の私なら理解できます。
結果として、犯人は若干14歳の少年であったが故、犯罪史上稀に見る事件だと衝撃を世間に与えながらも、処罰、ならぬ、「更正」で、彼は既に世間に出ております。
ご遺族の方にとっては、少年法というのは、なんと残酷な法律なのでしょう・・・
被害に遭われた宝物である息子さんは二度と帰らないのに、加害者は数年でこうしてまた世間に戻って来られるのです。
改めて凄い憤りを感じました。
この本で触れている、「マスコミの過大報道」というのも、本当に被害者にとっては大変な苦痛です。
こんな酷い形で最愛の子供を失ったのに、追い討ちをかけるような誤報道、そして取材攻撃・・・これは本当に、今後マスコミの方にも真摯に受け止めていただきたいと思いました。
「少年A」は、更正施設にて過ごしただけに過ぎません。施設にいたことは償いではない、これからが本当の償いです。もちろん親もです。
被害者は帰ってこないという現実を一生をかけて償って欲しい。
そして、少年法、マスコミの報道姿勢・・・まだまだこのような犯罪に残された課題は、果てしなく無数にあると感じました。
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[ 文庫 ]
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深夜特急〈5〉トルコ・ギリシャ・地中海 (新潮文庫)
・沢木 耕太郎
【新潮社】
発売日: 1994-05
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 51円〜
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・沢木 耕太郎
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カスタマー平均評価: 5
旅を内省的に少しずつ総括し始めた沢木耕太郎 巻末の高田宏さんと筆者の対談でも語られていますが、26歳の時に旅をして本書を書いたのが、その17年後ということです。エピソードは全て青年期のものですが、書き手の感性は壮年に突入しているわけで、そこのギャップが作品のトーンに微妙に影響を及ぼしています。
旅の始めに遭遇した香港やマカオでの熱を帯びた行動と感覚が少し穏やかになっています。数か月の旅の間に、異国での生活が慣れてきたという説明だけでは収まりのつかない変化だと感じました。歳月が経つにつれ、本来強烈だった印象も少し客観的に眺めることができますので、その要素も本書には含まれているのでしょう。
66ページに筆者の壮行会を建築家の磯崎新と彫刻家の宮脇愛子夫妻が催したと書かれています。この二人との交友も気になりますが、それ以上は書かれていませんでした。その愛子夫人から頼まれたトルコにいるゲンチャイさんへの届け物のシーンは、この旅の中でも異色であり、そこには目的がありました。放浪の旅もまた目的を帯びることがあるのです。
そのあたりから他者との係わりの記述が少しずつ増えています。
アメリカでの生活をおいて、ギリシャのスパルタへ移ってきた老人も人との関わりを求めているようでした。地中海のフェリー・ポセイドン号での亜麻色の髪の女性もまた孤独から逃れるように筆者との関わりを持とうとしています。夢か現かでの会話も人生を旅に置き換えた場合、象徴的なやり取りだと受け取りました。李賀の「飛光飛光 勧爾一杯酒」の言葉にも過ぎゆく時への惜別の情があるように感じました。
旅の終え方に少しずつ話が向かっていますが、人生の終着と同様ならば、旅の終わりは誰にも分からないと考えますが・・・。 旅と人生は似ている 旅にも幼年期、青年期、壮年期、老年期とあり、この巻では壮年期にあたる部分を描いている
確かにエネルギッシュに前へ、前へというよりは、何か心の隙間を埋めるように、それを
求めて前へ進んでいる印象を受けました。
個人的にはトルコ編はほのぼのとしていていいなぁ?と思います。香港のスターフェリーも
いいですが、こちらのアジアとヨーロッパを往復するフェリーは本当に羨ましいなと、、、
朝起きて、朝食を食べ、散歩してから食料を買いフェリーで風に吹かれぼーっとして、また
帰ってくる、たったそれだけの事がものすごく贅沢に思えてくる。
ギリシャ編では、スパルタの廃墟で出会った老人の件が感慨深いですね。年をとって好奇心
が磨耗しても人とだけは関わりたいというのがやっぱり素直な所なんだろうなぁ、、、
散歩してたらいきなりバースデーパーティーに誘われる件も、読んでて癒されます。やっぱ
人と人との繋がりはいいなと。
地中海からの手紙の章では、今までの旅の事をなかば自棄になって顧みてたりしますが、ほ
んと人生の壮年期と同じですよね(笑)。
最後にいったい何を得るのか、次の巻が楽しみです。 ヨーロッパへの旅 アジアからヨーロッパへと移動して行きます。
トルコとギリシャの旅ですが、アジアからヨーロッパへと街のようすが変わっていくのが分かります。
長旅で慣れてきたのか、現地の人たちとの触れ合いが多くなってきているように感じました。
この巻では特にトルコからギリシャへの国境を越える部分が面白かったです。 ヤース! 確かに彼にはテレビも新刊本も不必要だったろう。しかし、彼もまた人だけは必要としていたのではなかったか。 その時私は、自分が胸のうちで、彼もまた、と呟いていたことに気がついた。そう、彼もまた、と・・・。スパルタの町はずれで出会った老人を思い出して沢木さんはこう書いている。凄く、物凄く心に響く一文でした。
潔い滅び!とか、李賀の言葉とか終盤に差し掛かり、哲学的な哀愁漂う旅の中でTとCのチャイの違いに「なるほど!!」と納得してしまった私でした。 東洋と西洋の境目 この巻になると、旅の終わりを意識した著述が多くなり、
旅の向こう側に何があるのかを知りたくなってくる。
又この巻は東洋的な旅から西洋社会に入った事での
心境の変化も克明に描かれていて非常に興味がもてた。
ヨーロッパとアジアそれぞれ訪れたことがあり、その
違いは体感としてしっているつもりだったが、この
本を読むともっと泥臭いものを感じた。
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