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評論・文学研究

アイテム一覧
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リスク〈下〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫) アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫) ヤバい社会学 ヤンキー進化論 (光文社新書) たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫) 罪と罰〈上〉 (岩波文庫) 世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ) 川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫) 失楽園 上   岩波文庫 赤 206-2
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リスク〈下〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)

[ 文庫 ]
リスク〈下〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)

・ピーター バーンスタイン
【日本経済新聞社】
発売日: 2001-08
参考価格: 750 円(税込)
販売価格: 750 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 582円〜
リスク〈下〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)
ピーター バーンスタイン
Peter L. Bernstein
カスタマー平均評価:  4.5
不確かな未来をより確実にするための、科学的アプローチ。偶然を必然にするために。
リスク(未来に対する不確実性)をマネージメントするために、 過去の科学者や数学者たちがどのような思惟を巡らせていたのかを、 歴史的時系列に沿って紹介をしている本。 上巻では、かなり古代にまで回帰して、 - 数学の基本的な諸概念(ゼロの概念) - 確率論の確立。 - 実際にサイコロの目を振ることがなく、将来を予測できる  (リスクマネージメント)の初めの一歩。 神様の運命によってではなく、ヒトの構築した理論で、 自分たちで運命を決定したり予測したりできるようになった、 その所以について。 ここで、上巻は終わっている。 おそらく具体的なリスクマネージメントや金融工学への応用は、 下巻で明らかにされるのかと思う。 リスクについての基盤がしりたいだけなのであれば、 いきなり下巻から読んでも特に問題はなさそうな本。 文庫本として発売されているが、内容はそれなりにテクニカルで、 それなりに興味がないと、読んでて結構大変だと思う。 運命に身を任せることに抵抗を感じる人には、 すごく知的にスリリングな本だと思う。
リスクの概念というより歴史
歴史が好きな人は知的好奇心を刺激されると思う。 手っ取り早くリスクについて学びたい人には不向き。 数学がいかに実学としても役にたってきたのかを知ることができた。 人名がたくさん出てくるが、学生時代に目にした人が多い。 最後のほうで、デリバティブ(金融派生商品)がなぜ登場したのか、 何に有効で何をしたから問題になったのか、わりとわかりやすく 記載されている。(門外漢でもなんとなく理解できたつもりになった) 訳文がとてもしっかりしていて読みやすい。 文庫本でこれだけの内容を学べるので、買って損はしないと思う。
「偶然」を如何に手懐けるかに関する思想史的批評!!
人間には制御できるはずのない現象を 如何に人間に知覚可能で、再現可能な理論とするか、 あるいは、制御できるはずのない現象を、 如何に人間に知覚可能で、再現可能な標準とするか、 こうした近代科学を推進してきた力強い動機は、 科学の発展と同時に、陰ながら現代の投資理論の伏線となっていた、 とりわけ、リスク管理の重要な補助線となっていた… バーンスタイン氏が過去の科学者たちを多数登場させたうえで、 彼らの独自の理論をいわば叩き台にしながら、 株式・為替市場における「リスク」を主軸にして論じていく様は、 学術研究と呼ぶには、エッセー的要素が強いにしても、 いわば、投資理論における「リスク」概念の思想史的変遷ということはできるのだと思う。 個々の理論の思想史的な位置付けは読んでいただくしかないものの、 すべてではないことを承知で、以下に簡略化すれば、  1 カルダーノ    賭博  1 パスカル     三角形  2 ガウス      正規分布  3 ゴールトン    平均への回帰  4 マーコビッツ   共分散  5 ベルヌーイ    標本抽出  6 アロー      普遍的な保険  7 ラプラス     確率論  8 ポアンカレ    因果関係の潜在力  9 アインシュタイン 相対性理論 10 ライプニッツ   自然界の謎 11 ケインズ     確率論と合理性 といった人物と代表的な思想が叩き台にされる。 不確実性の中で意思決定を図るとはどのようなリスクがあるのか、 完全な、確実な情報がない中でどのように判断するのか、 リスクを見極めることに鋭い感覚をお持ちならば、 該当の思想かなり考え方なりだけでも、 ピンポイントで巻末の索引で検索にかけて、 そこだけ、じっくり読むほうがいいのかもしれない。 本書すべてを通しで読んだ身としては、 全部を読んでる間に、大きな株式・為替相場でのチャンスを うっかりと逃してしまうほどに時間がかかるというデメリットがある。 分量的にも内容的にももう少しスリム化できたならという希望を込めて、 「★★★★★」ではなく「★★★★」とさせていただきます。
(上)は統計学の本(下)はリスクマネジメントの本
 表題の「リスク」はどちらかといえば概念・総論を表す言葉であり、(上)では、その 歴史について、まずは統計学的なところから紐解いている。  ただ、(下)まですべて読み終えないと「リスク」全般にかかる総論までは、たどりつかない。  (下)の終盤で著者が述べているリスクマネジメントの未来の話は大変興味深い。
統計学の参考書としても有効
わかりやすいし、面白い。 統計学の発展史として私は読みました。投資に限定するのはもったいないと思います。 統計学の教科書としても、最高レベルだと思います。

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

[ 文庫 ]
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

・アガサ クリスティー
【早川書房】
発売日: 2003-12
参考価格: 777 円(税込)
販売価格: 777 円(税込)
( 通常2〜5週間以内に発送 )
中古価格: 375円〜
アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ クリスティー
Agatha Christie
カスタマー平均評価:  4.5
フェアだと思う
 この作品は3回読みました。犯人を知っていると、犯人を知らないときとは別の楽しみ方ができます。  この作品には「フェアかアンフェアか」という論争が絶えないようですが、僕はフェアだと思います。
ぜひ読んでみてください
新訳ということで約20年ぶりに読みました。字も大きくなり、非常に読みやすくなっています。また、超有名作品であるが故に、そのトリックについて論争も巻きおこっています。しかし推理小説ファンならこれは読んでおくべきです。似たようなトリックが氾濫する中、この推理小説こそがその旗手なのです。何の予備知識も無く読んで騙されてああ面白かったというのが最高の読み方だと思います。この作品の評価が低い方は、似たような小説を先に読んでしまっていたか、もしくは推理小説の定義が狭い方ではないでしょうか。少なくとも、後世に多大な影響を与えた小説であることは間違いありません。
クリスティーの本格物の最高傑作!
クリスティーなら本書と「そして誰もいなくなった」、この2作を読めば充分だろう。他の作品はこの2作から格段に落ちる。といって、クリスティーの他の作品が悪いのではなく、この2作品が群を抜いて優れているからだが。 後に執筆された作品群の多くが、エラリー・クイーンやディクスン・カーの作品に較べるとどうしても本格推理ものとしては落ちる感じがするのは、読者に与える手がかりが少なく、その一方で(犯人が探偵に対して仕掛けるトリックではなく)作者が読者に対して仕掛けるミス・ディレクションによって誤魔化される感が強いからだが、本書は読者に充分すぎるほどの手がかりを与えながら(アンフェアだという人は、いったいどこを見てアンフェアだと言ってるのだろう?)、最後の最後であっと驚かせる趣向がすごいのだ。 この驚愕のラストに匹敵する作品は、私が知る限りでは、クイーンの「Yの悲劇」と「レーン最後の事件」、カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」、それにモーリス・ルブランの「813」だけだ。
ぎりぎりフェア
ミステリー好きな私ですが、アガサ・クリスティーの長編作品を読むのは初めて。 ポアロの引退後の話でしたが、予備知識もいらず楽しめました トリックについては、ぎりぎりフェアなだけに「どうなんだろうか?」と考えてしまいましたが、やはり彼女が書く作品には独特の切れ味があります。 この作品のトリックは日本の作家にも応用されていることが多いので、感動が少なかったですが、原点ともなる作品なので流れの構成、完成度が素晴らしいと感じました。 あと、日本語に翻訳する時点で表現力のクオリティダウンしていることは明らかなので、表現力を感じる点から、英語で読むことが重要なのではないでしょうか
「フェアかアンフェアか」を超えて
発表当時、メイントリックがフェアかアンフェアかを巡って物議を醸し、問題作扱いされた本作。 しかし、トリック自体には、すでに前例があり、趣向そのものが問題というわけではありません。 本作がミステリとして成立しているか否かは、以下の二点から考えることができます。 ひとつは、読者に事件を推理するための手がかりが十全に与えられているかどうか、ということ。 もうひとつは、犯人の行動が、その時その時の彼(彼女)の心理状態と矛盾しない、ということです。 つまり、前者が〈犯人当てミステリ〉として求められる論理的整合性の観点、 後者が犯人が当然持つべき心理的一貫性・必然性の観点、ということになります。 個人的に本作は、前者に気を配るあまり、後者がおろそか となり、不自然さを露呈してしまった、という印象です。 ただ、現代に至るまで、本作を雛形として改善が試みられた、 同趣向の作品が数多く生み出されている、という現実があります。 ゆえに、いくら瑕瑾があったとしても、本作の歴史的価値が揺らぐことは決してないのです。 ◆本作のバリエーション作品   ・『第二の銃声』(アントニイ・バークリー)     ・『夜歩く』(横溝正史)

アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)

[ 文庫 ]
アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)

・エンリケ バリオス
【徳間書店】
発売日: 2005-09
参考価格: 720 円(税込)
販売価格: 720 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 491円〜
アミ 3度めの約束―愛はすべてをこえて (徳間文庫)
エンリケ バリオス
Enrique Barrios
さくら ももこ
カスタマー平均評価:  5
愛は宇宙を越える
愛の力で宇宙を変えてしまいます。 読み出したら止まらなくなった久しぶりの1冊です。 冒険小説であり、恋愛小説であり、啓発的小説でもあります。 個人的には2人が見詰め合うシーンが好きだなぁ ほのぼのと世界の平和や愛について考えてしまいます。
愛・希望・真実
この3日間で「アミ」の3冊のお話を一気に読みました。とても幸せな3日間でした。 みなさんにもこのあたたかな想いを味わってほしいと思います。 ちなみに・・・     ハッピーエンドですよ^^
真の愛をわかちあいたい人に
なかなかこういう話をわかってくれる人を探すのは大変かもしれません。 世の中の恋愛、もしくは結婚のほとんどがエゴや妥協の産物に見えてしまう方、 真の愛がなんたるかを知りたい方、「やっぱり自分は間違えていなかった」と 自分の愛のあり方に背中を押してもらいたい方におすすめです。 この本をちゃかさず、夢や理想論だと一笑に付さない、ということが、 わたしにとって、その人物に対するリトマス試験紙ような役目を果たしている 気がします。
私はこの本は、読んでいて本当にうきうきしてとても好きです!
アミのシリーズで、私はこの完結編が一番好きです!それはどうしてかというと、双子の魂同士であるペドゥリートとビンカが互いに異星人同士でありながら、その人生を共に歩んでいくことができるようになるからです。二人は、とっても普通に輝いてステキなのです。私は、アミもそうだし、ビンカやペドゥリートとも友達になりたいと思いました。  それに、これは小説として話が展開されてはいるものの、私自身が興味のある宇宙や、愛やシャンバラや進化のことが、これは多分大筋真実なのではないかしらん、と感じてしまうように書かれていて〔私はこの本を読んでそう感じた、という意味です。〕、フムフムと勉強になりました。私は、「ヒマラヤ聖者の生活探求」も大好きですが、アミのシリーズも大好きです。「ヒマラヤ聖者の生活探求」が好きな人も、是非、このアミシリーズ、読んでみてください。きっとアミのシリーズはなんて心がうきうきするんだ!と思われると思います。本当です。私は、昨日、この本を読み返して本当にワクワクうきうきしたのです!ではでは。  
このページを見てるあなた!ぜひぜひ買いましょう!!
まず、このページに運良く訪問されたあなた! 1巻2巻は読みましたか? 読んでなければ即購入しましょう。 著者のエンリケ・バリオスさんが描く世界は、とても感情移入がしやすく、場面の情景もとてもリアルに感じられます。 要所要所で状況がスリリングに展開し、とてもハラハラさせられます。 この3巻は、シリーズの中で一番、”ファンタジー”として脚色されているなぁという印象を受けました。 (シリーズ全てが”ファンタジー”なのだと著者は言っているが、私にはどうしてもこのアミの話は事実を元に作られてるという印象を受けるのです) 私は、ペドゥリートのおばあさんから、”信じること”の大切さを教えられました。 強い信念と継続と努力を怠らなければ、必ず願いは叶うってことです。 これって本当に大事な考えだと思います。 全体的にやさしい文章で綴られてますが、非常に深い内容です。 「地球が第三レベルから第四レベルに移行しつつあること」や「魂は永遠であること」「強く願えば叶うこと」「与えたものが受け取るもの」そして「宇宙の基本法は”愛”であること、また神とは愛であること」 これらは、多くの精神世界系やチャネリングの本などで述べられてることです。 このアミシリーズでは、そういったエッセンスがふんだんに散りばめられてます。 これを「名著」と言わずして何を名著と言おう。 アミに出会えたことに心から感謝します。 エンリケさんありがとう!そして、アミありがとう!

ヤバい社会学

[ 単行本 ]
ヤバい社会学

・スディール・ヴェンカテッシュ
【東洋経済新報社】
発売日: 2009-01-16
参考価格: 2,310 円(税込)
販売価格: 2,310 円(税込)
 Amazonポイント: 23 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 2,664円〜
ヤバい社会学 ※一部大型商品を除く
スディール・ヴェンカテッシュ
カスタマー平均評価:  4.5
一日だけのギャング・リーダー
ベストセラー「ヤバい経済学」の1章「マフィアの経済学」部分を実際に体験した社会学者が書いた本。 シカゴの黒人貧民窟ロバート・テイラー・ホームズ団地の一部を仕切るマフィアのボスJTとの出会いを通じて、10年にわたって団地に入り込み、団地内の社会構造、マフィアの経営学を初めて明らかにした。 内容は、社会学的な考察というより、あるナイーブな青年が別世界に飛び込み、それまでなら知り合うはずもなかったギャングのボスJTと出会い、いさかい、強い連帯感が生まれ、そして別れる、という友情モノの筋。それにJTの手を借りつつ手探りで団地内の人間関係を築き上げ、今まで誰もなしえなかった「貧困層の集まる団地での社会学」という論文を書き上げる、という成長物語的な要素がからみあった作品。 特に、団地内の複雑な権力構造について、手痛い失敗を繰り返しながら探し当て、一級品の社会学的データを手に入れるまでのくだりは興味深い。 ここに出てくるマフィアの実態とか社会学的分析は「ヤバい経済学」で述べられているので、この本での新味はなく、成長物語として読むのが吉。
若き社会学者、ゲットーに飛び込む
本書は社会学に関する書物であるが、 青春の思い出を振り返った回顧録である。 1980年代の終り、 シカゴ大学の大学院生、 社会学者の卵であるスディールは、 現地調査の訓練に、 偶然にシカゴ最悪のゲットー、ロバート・テイラー・ホームズ団地を選ぶ。 そこでギャングのリーダーJTと出会い、相互理解と友情を育んでいく、 一言で言うと、そういう話である。 団地に通うようになったスディールは、 ギャングのJT、T-ボーン、自治会長ベイリー、警察官レジー。 浮浪者や売春婦など底辺の人たちと信頼関係を結んでいく。 多くの登場人物の表と裏が読み進めていくうちに分かってくる。 その事情は複雑だ。 助け合いと裏切り、暴力といたわり。 金が絡みながらすべてが回っていく。 スディールがそれらを初めて目にする時、必ず矛盾を感じ迷う。 そこが青春小説を読んでいるような爽快感がある。 ギャングの出入りを筆頭に、 ヤバいゲットーの中で告ぐ次と起こる犯罪や貧困の場面、 スディールが果たして無事にゲットーから足抜け出切るか。 回顧録なのにストーリー展開から目が離せない。 読み物としてエンターテイメントになっている。 面白い! コミュニティについて考えさせるのも、 本書の特徴だ。 ギャングはコミュニティの一員であり、 絶対的な悪というのでもない。 地域の治安を守り、弱者を保護し、娯楽を提供してるのだ。 そこにおいて自治会、警察、教会などと協同している。 日本では崩壊して久しいコミュニティのあり方を考えた。 良書です。
あくまで回顧録です
邦題にだまされて買う人もいると思うけれど、これは社会学の本ではなく、社会学者による回顧録です。だからアカデミックな視点はない。これは著者の意図でしょう。しかし、アメリカの貧しい黒人の生活やギャングの実態はよく描かれています。ギャングの話がメインになっていますが、日本のヤクザの話とあまり変わらないように思います。むしろ、行政から見放されたゲットーというコミュニティにも、それなりの知恵とルールがあることの方が興味深いです。何とか貧困から抜け出そうと夢を持っている人たちもいますし、助け合おうとしている人たちもいます。逆に、コミュニティを食い物にしている人もいる。こういう話は、実際にヤバイ橋を渡らなければ書けません。『ヤバい経済学』とは別物ですが、おもしろい本だと思います。
単なるエスノグラフィにあらず
 シカゴのギャングがいかにとんでもない人たちか、といったエピソードを読みたい人は他の本を読んだ方がいい。またギャング組織や地域住民の自治などについて、社会学的な知識を得たいのならば、ヴェンカテッシュの学術的な文献を読んだ方がいいだろう。この本はギャングのボスと知り合ってエスノグラフィックな調査をはじめた、インド系でベジタリアンのシカゴ大の院生という一人のナイーブな若者が、自分の知らない世界を体験させてくれた人たちのことを、後年になって愛情をもって描いた、人の心を動かす作品だからだ。  この本ではギャングだけでなく、ゲットーの住人たちも、人を全く信用せずに、自分の利益だけを考えて生きている存在のように描かれている。それは資本主義と家父長制の負の側面を凝縮したような環境ともいえるものだが、その渦中に飛び込んだヴェンカテッシュは、さまざまな形で彼らに翻弄されながらも、人間的に成長することになる。しかしこうした関係は一方的なものではなく、ギャングのボス、JTとの不思議な絆に象徴されているように、ヴェンカテッシュの純粋な言動によって彼らの側にも何らかのポジティブな影響があったように思える。殺伐とした人間関係を描きながらも、心の奥がどこか温かくなったのは、そんなところに原因があるのかもしれない。  
命知らず
よくもまぁ、こんなことをやったものだとまず感心する。そうそう誰でも出来るものではない。 私自身以前、シカゴ市内に仕事の都合で住んでいたことがあるのですが、ゲットーに住む黒人 たちに近づいてみようなどどまともな人なら誰も考えないことでしょう。 彼らの言葉は汚く、そもそも早口の黒人英語など我々東洋人にはなかなか聞き取れもしない。 それにしても裏の社会がこれほど凄まじいとは? 警察もギャングと癒着しているような現状。 裏社会のシステムの中で必死に生きる人々が綴られていく。 読んでいて自分の知らないことを知るという面白さはあるのですが、どうしても只の体験記 という次元を出ていないようにい思います。社会学者としての視点で書かれている部分がもっ とあったら良かったのではと残念に思います。 それにしても、この人の命知らずな行動力にはただただ感服します。

ヤンキー進化論 (光文社新書)

[ 新書 ]
ヤンキー進化論 (光文社新書)

・難波功士
【光文社】
発売日: 2009-04-17
参考価格: 945 円(税込)
販売価格: 945 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 599円〜
ヤンキー進化論 (光文社新書)
難波功士
カスタマー平均評価:  2
表面的にヤンキーを語ることで若者を理解したフリするおっさん
おっさんが職業柄(関学社会学部の教授)若者を理解しているフリを しようと若者の中でも底辺(とおっさんが思っている)ヤンキーを 題材にした漫画やVシネマ、自伝等を読みまくり、表面的にヤンキーを語れる俺ってすげぇ!と自己満足に浸っているだけの本。 それだけならまだしも、「しみったれ家族」(畸人研究会)の観察した しみったれを例にあげて、働いて妻子を養い経済的に自立しているしみったれはエライ、私もかくありたいという嘘くささ。 P237より引用====== 「額に汗して働き、とりあえず自力で食える人間たれ」という労働者階級文化のエートスが、少しでもラッズないしヤンキー文化に含まれて いるのであれば、それを私は肯定したいし、自身でもシェアしていたいし、大学生にも理解・体得してもらいたいものだと思っている。 ====引用終わり=== えーっと、それはまっとうに生きている人にとっては至極当然のことでわざわざ語ることでもないが、ヤンキーや外国版DQNであるラッズとやらには「少し」語られているだけでエライと? バカなんじゃなねーの、この教授。 資料としても別に苦労して集めたとも思えないし(ネットやブックオフなどでちょっと漁れば手に入る)、中村すえこを「カリスマ総長」と 本の宣伝文句通りにとらえて3度も使っているあたりに、あーこの人 何にもわかってないわ?感でガックリですよ。 あの頃のティーンズロードを数冊読めば、中村すえこの総長時代は1年間、同誌に数回登場しただけということがわかるのに。 資料や当時の音楽ファッションなどを作っていた人の証言であれば、 「ヤンキー文化論序説」のほうがはるかに有意義ですね。 ヤンキー漫画の変遷の項もあるけど、ヤンキー漫画界に「ポエム」を 導入した立原ブラザーあゆみ御大は一切触れず。 ヤンキーを理解して語ってるつもりで、本質は何も語られていない 資料にすらならない表層的な愚書です。買う価値なし。
ウスィー
著者自身が書いているとおり、「ハマータウンの野郎ども」に インスパイアされて、ヤンキー風俗を下層階級の文化として 描いた本ですね。 「ヤンキーってどういう人たちなの?」といった興味本位で 読むニーズにはかなり応えてくれる本だと思います。 ただ、ファッションの紹介中心だったりして、かなり 軽い読み物です。 気になったのは、著者の日和見具合というか、覚悟のなさ。 「階層的には下(と見なされがち)」という表現、括弧書きの中の 言葉はいらないと思う。 それと関西学院大学の学生のうち、ヤンキーっぽい連中に 着目して、ヤンキーは「就活」に強い、私立大学は、最広義かつ 最良の意味でのヤンキーな学生を世に送り出すべきって話で 締めくくっているのは、どうなんでしょ? ヤンキーおよびヤンキー的な人々ってのは、そのほとんどが、 どちらかというと貧しい家庭に育った中卒・高卒の人たちでしょ? 関西学院大学の学生のうちヤンキーっぽい連中が、けっこう 一流企業に入っているからって、それでヤンキーをプラスに 評価しようというのは、あまりに無理がありませんか? 貧しい家庭に育った中卒・高卒の人たちが置かれている 状況を当然知っているはずなのに、わざと目をそらして、 こういう話でごまかしているとしか思えないのが、 気になりました。

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

[ 文庫 ]
たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

【岩波書店】
発売日: 2009-04-16
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 390円〜
たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)
 
カスタマー平均評価:  5
余裕ある時代の余裕ある文学の好訳
ジェイムズやモームの読みやすい翻訳で定評のある行方氏による、英国20世紀のエッセー の訳。ガードナー、ルーカス、リンド、ミルンのエッセーは、日本では大学受験から教養課程の英語の素材としてかなりの時期読まれた。英語授業の実用化が求められる中、ほとんど 読まれなくなってしまったけれど、試しに現在の学生さんに読ませてみると結構面白がるようだ。余裕ある時代の余裕ある文学の良さがかれらのエッセーにはあり、その良さが行方訳で巧みに伝わってくる。かつて四人のエッセイストの作品を読んだ方々にも、また四人の名前も聞いたことがない若い世代の人々にも、是非薦めたい。

罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

[ 文庫 ]
罪と罰〈上〉 (岩波文庫)

・ドストエフスキー
【岩波書店】
発売日: 1999-11
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 100円〜
罪と罰〈上〉 (岩波文庫)
ドストエフスキー
Fyodor Mikhailovich Dostoevskii
カスタマー平均評価:  4.5
一気に引き込まれました。
すべての人間が、「凡人」と「非凡人」にわかれる・・・凡人は、服従を旨として ・・・非凡人は、・・・かってに・・・を越える権利を持っている。 『ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ』、どこか親近感を感じることも・・・危ないかな。 カラマーゾの兄弟に続いて、この作品を読んだ。次は悪霊、そして白痴と決めていたが、しばらく、ドストエフスキーから離れたほうがよさそうだ。
これが文学だったんですね・・・
なぜか突然、初めてドフトエフスキーを読みたくなった。 ロシア文学は難しそうな気がしていたが、江川卓さんの翻訳は とても読みやすく、ぐんぐん惹きつけられた。 3日間で3冊読破しました。 人間の心の描写がここまで深くできるものかと、驚嘆するばかりだった。 それに、私は果たして主人公のようにここまで自分の存在の意味、人生を 考えてきたか・・・と考えさせられた。 これから、「悪霊」や他の作品も是非読んでみたいと思いました。
なぜ罪と罰なのか。。。
なぜこのタイトルなのか?それが知りたくて読みました。 時代背景や宗教観にちがいはありますが、現代社会においてもこの本が伝える罪と罰の真理は変わらないと思いました。 陰と陽、天使と悪魔、裕福と貧困、権力と暴力。。。時代は変わらない。 どの年代で読み返しても色々なことを考えさせてくれる一冊です。
永遠の聖女ソーニャ
僕は旅に出て、列車の待ち時間が長いときなどよく町の図書館にふらりと入って たいてい置いてあるこの小説を手に取る。そして、この本の真ん中あたりを開く。 そこにこの小説の白眉のシーンがあるからだ。ラスコーリニコフがソーニャに 自分の犯した罪を告白するシーンだ。 純真なソーニャは人間の持つ邪悪さというものを想像することさえできない。 本当に天真爛漫な人間の持つ善良さがこれほどリアルでかつ魅力的なまでに 描写される小説を僕は他に知らない。 もし現実にそのような女性がいるならば本当にめぐり合ってみたいと思う。 人生の旅とはそのようなものでありたい。
上巻の感想
ラスコリーニコフが質屋の老婆とたまたまその現場に居合わせてしまった妹のリザヴェーダを殺害してしまう。彼は、大学を辞めてからずっとその考えを温め続け、長い思索とイメージトレーニングの末にその計画を実行するが、なぜ彼がそこまでしてあの老婆を殺さなければいけなかったのかがいまいちよく理解できない。きっと、その時代のロシアの状況に関連しているのであろう。そしてまた不可解なのが、その殺人を正当化していることろである。なにか、彼にその使命でもあるのかのように思っている。ところが、殺害してみると、その正当性がいったいなんだったのか全くわからない。彼自身もよくわかっていないようである。そして、自分の犯した罪にびくびくし始め、混乱し、おかしな言動と行動を繰り返す。読んでいると自分が発狂したような気分になる。それだけ、ラスコリーニコフの混乱が続くのである。一体、この殺害の大義名分は何なのか、ラスコリーニコフは何のために生きているのか、そして、このタイトル『罪と罰』の示す意味とはなんなのか、上巻ではまだ読めないところである。時代背景をもう少しつかんで次の巻を読んでいきたい。

世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

[ 新書 ]
世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)

・早坂 隆
【中央公論新社】
発売日: 2006-01
参考価格: 798 円(税込)
販売価格: 798 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
世界の日本人ジョーク集 (中公新書ラクレ)
早坂 隆
カスタマー平均評価:  4
著者はジョークを理解していない
「世界のジョークと、そのおもしろさを教えてくれる本」 ではありません。 ジョークから連想される昨今の社会現象について ただひたすら、筆者が悪態をつく、説教をする、批判をする、 といった内容のものです。 最初の1本目からして、なぜポーランドなのか、士官なのか・・・ そこがおもしろい部分であるにも関わらず、 そのジョークを分析はしません。 (ジョークの受け止め方に間違いが見受けられますので、  恐らくジョークを理解できていないのだと思われます) ジョークとは本来、権威や権力を嘲笑うものなのですが、 筆者は弱者を笑い、見下すことで笑うものと捉えている様です。 このような人間性の貧しい方に、笑いというものが理解できるとは思えません。 筆者と同じように高いところから他人を見下す気分を味わいたい方、 世界のジョークの資料本として読みたい方でしたら問題有りませんが、 日本人=自分自身として自嘲するには値しません。 また、ジョークでも読んでワッと笑いたいという方の求めるものではありません。
ジョークの中では比較的少ない日本ネタを集めたことを評価
「冗談は、しばしば真実を伝える手段として役立つ」(フランシス・ベーコン)。 世界にはいろいろなジョークがあります。特に、ジョーク大国アメリカでは日本人の想像もつかないくらい膨大な数のジョーク集が出ていますし、Internetにもジョークを集めたサイトがたくさんあります。英語の勉強にもなるので私はよくそれらのジョークを読んでいます。しかし、日本人をネタにしたものは、経験上かなり少ないです。したがって、ジョーク以外のコメント部分も多いし必ずしも日本人が柱になっているとはいえないものも含まれているとはいえ、日本人あるいは日本がネタになっているものをこれだけ集めたという点が何よりいいと思います。 中には洋書でよく見かける定番ジョークが、日本もしくは日本人ネタに改変されているものもそれなりにありました。しかし、汎用性の高いジョークは一般的にいろいろ形を変えて派生してゆくものなので、その点については特に問題はないと思います。ジョークで扱っているテーマも広い。また、日本ネタということで、全体を通して読むことで日本及び日本人が海外からどのような目で見られているか多少なりともそのイメージがわかる、さらには他の民族との比較ができるという点でも、面白いと思います。
期待しすぎないように読むべき本。
『世界の日本人ジョーク集』というタイトルをみると、 「日本人をオチに使っている冗談」を集めたもののような気がしてしまいますが、 日本人が“ほんの少しだけ登場するだけ”というものも多く、 タイトルと内容に、若干の違和感を感じてしまいました。 ジョークの内容は、 有名な「豪華客船の沈没」や「浮気現場」位にレベルの高い(?)ものは殆んどないので、 過度の期待して読むとガッカリしてしまうでしょう。 本全体としてみると、 ジョークと、その合間に入る著者の考察(解説?)とのバランスがなかなか良かったと思います。 (完全なジョーク集だと、さすがに飽きてしまいますしね…) 評価は星4つです。
面白いです。
日本人の評価は概ね、 勤勉で真面目だから精密なものが作れ、 それが売れてお金持ちなんだ。 というのが、世界の評価でした。 面白かったのは中国の評価です。 世界的に見て、全く良い評価が無いw 「嫌われてるんだな、中国」 って思いました。 ジョークから世界の評価を見ていくうちに、 日本に「オギャー」と生まれて 心底良かったと感じました。 我々のご先祖が努力して培った技術と、 その実力で勝ち取ってきた世界の信頼を 現代に生きる私たちは、敬い、感謝し、 未来の世代に繋げていく事が 今生きている日本人としての責務ではないかなと 思えた一冊でした。
おもしろかった!!
思わず笑ってしまうジョークがたくさんありました。気楽に楽しめるお勧め本です。

川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

[ 文庫 ]
川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

・ジョン・ハート
【早川書房】
発売日: 2009-02-06
参考価格: 1,029 円(税込)
販売価格: 1,029 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 500円〜
川は静かに流れ (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ジョン・ハート
カスタマー平均評価:  4
家族の絆を問う重厚なストーリー
 殺人の容疑をかけられ、故郷を去ったアダム。旧友の切迫した電話を受け、5年ぶりに故郷ノースカロライナの農場に帰ったが、そこでは新たな事件が待ち受けていた…。  ストーリーはミステリ仕立てだが、これは家族の絆、しがらみを問う物語でもある。重厚なストーリー展開はずしりと重く、大人の小説である。じっくり読ませる。
アメリカ人を泣かせる本
殺人の汚名をきて故郷を追われた主人公が、父をはじめとした 周囲の人間との確執に悩みながら事件を解決する話です。 心理描写はさすがと思わせるところがあります。 ただ、家族との確執、故郷に対する執着、子供の頃の心の傷、環境問題 とアメリカ作家によくある設定です。またかと思ってしまいました。 最後の犯人等に対する大甘の態度も不自然です。
うーむ。
帯に出ている北上次郎氏の「期待は絶対に裏切られない」の文といい、雰囲気が感じられる表紙のデザインといい、「これは傑作かも」と、読み始めました。 ミステリとしての完成度はそれほど高くないと思います。ある人物の目撃証言で、主人公が殺人犯にされてしまうのか疑問。  家族というものを改めて考えさせる物語と言えそうです。
一語一句が胸に染み入る、味読に値するエドガー賞受賞作
ジョン・ハートの、デビュー作『キングの死』に次ぐ第二作の本書は、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)の’08年度受賞作である。 殺人の濡れ衣を着せられてノース・カロライナの農場をあとにした‘僕’ことアダムは、5年ぶりに帰郷する。しかし、待っていたのは戸惑う家族や知人、昔の恋人だった。そして、決して歓迎されない‘僕’はまたしても新たな殺人事件の渦中に巻き込まれてゆく・・・。ストーリーは、幼い頃、母親が自殺するという辛い過去や、今なお5年前の事件の影を抱える‘僕’が、もがきながらも事件の真相を追う形で進行してゆく。最後の最後まで真実は明らかにならないが、その間にも‘僕’の周りで次々と動きがあり、‘僕’の心象風景を中心とした、結末までの話の持って行き方が実にうまい。 謝辞で著者ジョン・ハートが述べているように、この小説は、ミステリーの形をとりながら、実は、‘僕’自身や‘僕’を取り巻く人々の友情や恋愛、そして兄弟や親子の絆を哀しくやるせなく描いた、謎解きは二の次といってもいい、家族をめぐる物語である。 翻訳ものながら、読んでいて、その文章の一語一句がこれほど胸に染み入る物語はなかなか出会えないという気がした。 本書は、さすがはエドガー賞の栄誉に輝いた、味読に値する傑作である。
こういう本が面白い本だと思う
殺人事件そのものも面白いが、親子を巡る心理描写や情景描写が物凄く良く、一文一文を堪能しながら読める。最後のページの意味深さにほとほと満足して余韻を残したまま、しばらくぼーっとする時の心地よさ。たまにこういう本に出会うから本を読むのはやめられない。

失楽園 上   岩波文庫 赤 206-2

[ 文庫 ]
失楽園 上 岩波文庫 赤 206-2

・ミルトン
【岩波書店】
発売日: 1981-01
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 190円〜
失楽園 上   岩波文庫 赤 206-2
ミルトン
John Milton
カスタマー平均評価:  4.5
近代文学と聖書、現代文学と聖書――あるいは、芥川、太宰と町田――
 ミルトン『失楽園』を読み、近代・現代の作家三人に思いをはせた。  『失楽園』。本書は、ミルトンによる『聖書』翻訳である。少なくとも私は、そう読んだ。学生の頃、『聖書』を読んだつもりになっていたが、全然理解できていなかった。天上で起こった出来事、その似姿が地上で繰り返される、予徴論という概念を知り、『聖書』に対する知識が少し身についた。言われてみると、旧約における神(とその子イエス・キリスト)とサタンとの対立は、新約におけるイエス・キリストとユダとの対立に一脈通じているような気がする。引用は避けるが、サタンの神(とその子イエス・キリスト)への嫉妬の念は、太宰の短篇「駈込み訴え」に描かれた、ユダのイエス・キリストへの嫉妬の念を彷彿とさせるのである。  (柴田敏氏によりすでに指摘済みだが、)十字架につけられ、命を落としてから三日目に復活する、という挿話は、太宰「走れメロス」では、メロスが王のもとに戻るまでの猶予期間に、ノアの方舟の洪水のイメージは、太宰「惜別」における、「周さん」が目の当たりにした<文芸書の洪水>にメタモルフォーゼされる。  本書によって、天使というのは、男性だけである、という事実を知った。そこで私は思いついた。太宰治の小説「人間失格」のなかに、葉蔵が、女性のいないところに行きたい、と嘆く場面がある。女性のいないところとは、実は、天国なのではないか。葉蔵は、そして太宰は、天国に憧れていたのではないか、と。  偽善こそ神のみを除く誰の眼にも見えず、神の黙認によって天と地を横行闊歩する唯一の悪である(『失楽園 上』より)  イエス・キリストが地上で行われていた偽善を暴き、キリスト教を生み出したのは、やはり、彼が神の子に他ならなかったからなのだろう。私の好きな太宰もまた、偽善に対して戦いを挑んでいった作家だった。彼は、イミタティオのイエス・キリストになろうとしていたのである。彼はその一方で、自身にサタンを感じてもいた。    二つ名のある、といふのが日本の歌舞伎では悪党を形容する言葉になつているやうだが、サタンは、二つや三つどころではない。ディアボロス、べリアル、ベルゼブル、悪鬼の首、この世の君、この世の神、訴うる者、試むる者、悪しき者、人殺し、虚偽の父、亡す者、敵、古き蛇、等である。(太宰治の短篇小説「誰」より)  町田康さんの長篇小説「宿屋めぐり」、その主人公〈鋤名彦名〉は数々の偽名を用いている。彼はどうやら、サタンの末裔らしい。〈鋤名彦名〉。この名はどうやら、スクナビコナをもじったものらしい。しかし、それだけではない、と私は思いたい。  彼をあの園から他の所に追放し、彼がそこから取り出された、(中略)土を耕させることにしたいと思う。(『失楽園 下』より)  〈彼〉とはアダムのことである。ようするに、〈鋤名彦名〉は、楽園を追放されたアダムの末裔としてもあるのではないか。土を何で耕すか、といえば、それは〈鋤〉にすがるほかないからである。〈鋤〉をとり、土を耕す。それが、人類の救いの道として示されたことだった。よって、〈鋤名彦名〉という名には、救いを求める者、という含意があることが推察されるのである。「宿屋めぐり」は、町田さんが日本の神話とキリスト教とを自然に結びつけ、アウフヘーベンした見事な作品、と言えるだろう。  そのほか、こんなことも考えた。  伊藤一郎氏に、芥川の短篇「河童」において、老人として生まれ、年を経るごとに若返っていく河童に着目し、「河童」に〈寓話〉を見出した論文がある。伊藤氏は、この特殊な生をおくる河童には、〈母胎回帰〉のイメージが漂う、と述べている。そこで私は思うのだが、〈母胎〉とは必ずしも河童のそれではないのではないのか。芥川は太宰に先んじて『聖書』に強い関心を示した作家である。その彼ならば、人類のはじめの〈母胎〉としての〈塵・土〉を、〈母胎〉としてとらえていた可能性も、あるのではないか。神は土くれから、アダムを作り出したからである。芥川は「河童」という<寓話>の世界に、救いの道を託したのかもしれない。  附記。土を耕すのは、<鋤>ではなく、<鍬>らしい。とっちばれっこ。   
あらゆる意味でヨーロッパの古典なのですがー
“失楽園”は私にとって読みにくい作品でした。 聖書には簡潔に記されている天界の戦い、天地創造、アダムとイヴの楽園からの追放が叙事詩として書かれているのですが、上巻の大戦争などは、サタン以外の大天使たちは皆“造物主たるあのお方に逆らったお前が100%悪いのだから”と、完全に絶対正義の側にある、こちらが共感をよせられないロボット的性格で、そういう人物たちの繰り広げる戦争絵巻に私は興奮することが出来ません。 まったく痛みの伝わってこないハリウッドのCG大作を見ているような気がするのです。  この作品で感情移入出来るのはむしろサタンの方なので、これは筋金入りのクリスチャンが読んでも奇妙な齟齬を感じるのではないでしょうか? 他のレビュアーの方々も口をそろえて“一敗地にまみれたからといってそれどうだというのだ!?”というサタンの台詞に感動していますが、クリスチャンにとってサタンとは感動すべき存在なのでしょうかー? キリスト教の本でありながら、それと何の関係も無い古代ギリシャの神々の名が随分出てきますし、天界の大戦争もむしろギリシャ神話的で、この辺、なにか奇妙な分裂を感じさせます。 やっと佳境に入ってくるのは第9巻以降で、特にアダムとイブの罪のなすり付け合いなどはすごいです。 他にもキリスト教の本質にまつわるミルトン自身の熱い信念がかいま見られます。 ただし、そこに述べられている事(肉欲に溺れてはならないとか、神の摂理に逆らってはならない、など)は、キリスト教徒の専売特許ではないはずだと私は思います。   結局、古代ギリシャ世界、聖書の世界、すでに分裂してしまった近代人の心(サタンを前半の主役にしていることからしてもそれは明らかです)を全て含んだ、まさに正統派近代ヨーロッパ文学の古典なのですが、やはりキリスト教文学と世界文学(人種や宗教を超えて、あらゆる人間にアピールできる)の中間点にある作品なのでは?と私自身は感じました。 
日本語訳(というか研究)がすばらしい。天使と天使の力のぶつかり合いが一番おもしろかった。
非常に評価が高いのは、読んでみてわかるが、まず日本語訳がすばらしい。というか、ただの訳者ではなく、あきらかに研究者である。本の5分の1程度の頁が、訳注にあてられており、聖書との関連性をはじめ作者の意図を読み込んだ訳作りがありありとわかる。 僕は普段あまり難しい本は読まないのだけれど、この本については、少しのがんばり程度でよめる。なぜ「少しのがんばり」かというと、「詩」であるので、ものすごい技巧的な表現が多い。とても普段使わないような修飾語が多く、それをじっくり味わうつもりで読まなければ、この本の真価はわからない。 そういう意味で、自分がこの作品に5つ星をつけるのはあまりにおこがましいので、4つ星にさせていただいた。 この作品は、1600年台なので、もちろん聖書がかかれた年代から考えれば、その創世記に新たな息を吹き込んだその試みは、現代で聖書をとりあげるのとそんなにかわらないのではないか。特に面白かったのは、ミルトンはガリレオと交流があったようで、その影響か、アダムと天使の会話に、天体の話がでてくるところだ。天動説か地動説かはっきりとは書いていないけれど、要するに、神が設計した宇宙の神秘を、愚かにも人間が解き明かそうなどと考えず、神が人間に期待したように信仰にいきるのが大切だという主旨になっている。 また、上巻の善と悪の天使軍団の戦いは、日本語が超一流なので、まるで舞台か映画をみているようだ。天使が力と力でガチンコ勝負するなんていままで考えたこともなかった。漫画デビルマンの最期をつい思い起こしてしまう。というか、永井豪さん、絶対これ、よんでると思う。 もひとつ面白かったのは、アダムとイブが禁断の果実を食べた後、仲がよかった二人が、責任転嫁をし合うくだり。想像力豊かな聖書からの肉付けが楽しめる。
生きる勇気を与えてくれる
「一敗地に塗れたからといって、それがどうだというのだ?すべてが失われたわけではない」 そう喝破する盟主サタンに生きる勇気を与えて貰いました。 一敗地に塗れたら立ち上がるのさえままらないのに、完膚無きまで負けたサタンの何という雄々しさ! その反面反乱を悔やんだり人間に対し愛憎入り交じる想いを吐露するその姿には、万人が共感を覚えると思います。 作者ミルトンは目を病みしかも政権争いに巻き込まれ失墜したのに朗々と神の栄光を讃える本書は生涯のうちに一度は読んで欲しいと思っています。 人間の善性を信じるというのはこういうことなんでしょうね。 惜しむべきは、ミルトンがサタンとルシファーを同一人物(同一魔王?)と書いてしまったため後世に置いてまでこの2人が混同されいることです。
ヒロイックファンタジー。
初めて読んだ時は難しいのかな?と構えていましたが、文体が簡潔かつ美しく、スイスイと読み進められました。こんな読みやすい邦訳の古典は余りないと思います。 小難しく考えずに、男前堕天使サタン様の活躍を応援しつつファンタジー感覚で読んでみては? 因みにストーリーの面白さ、という点に置いては上巻が断然勝っています。 今後ますます認知度が高まるかもしれません。

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 更新日 2009年5月10日(日)  ※ 表示価格は更新時のものです!      メール      相互リンク

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