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歴史・時代小説

  アイテム一覧
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冬桜ノ雀―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫) 楊令伝 九 坂の上の雲〈1〉 (文春文庫) 利休にたずねよ 坂の上の雲〈3〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈4〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈2〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈5〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈7〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)
冬桜ノ雀―居眠り磐音江戸双紙 .. 楊令伝 九 坂の上の雲〈1〉 (文春文庫) 利休にたずねよ 坂の上の雲〈3〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈4〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈2〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈5〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈7〉 (文春文庫) 坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

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冬桜ノ雀―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)

[ 文庫 ]
冬桜ノ雀―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)

・佐伯 泰英
【双葉社】
発売日: 2009-04-16
参考価格: 680 円(税込)
販売価格: 680 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 210円〜
冬桜ノ雀―居眠り磐音江戸双紙 (双葉文庫)
佐伯 泰英
カスタマー平均評価:  4
まさか夢の中での戦いとは!
居眠り磐音江戸双紙シリーズの最新刊で、29冊目となる一冊です。  山本耕史と中越典子でドラマ化もされていて、着実に国民的人気作に近づいているシリーズですが、今回はかなりまたぶっとんだところに路線が進みます。今までも、一介の元浪人が江戸一の剣法道場の師範になったり、幕閣と知り合ったり、次期将軍の家基と昵懇の間柄になったりとどんどんスケールアップするところがややもすれば揶揄されてきましたが、今作では、伝説の剣士であるとともにまるで妖術使いのようなタイ捨流の剣術遣いまでが登場! 話がさらに無茶な方向に触れています。タイ捨流といえば、この磐音シリーズではたびたび悪役が遣う流派として出てきては、その遣い手が次々と斬り斃されてきたまさに噛ませ犬的な流派なわけですが(例えていえば「北斗の拳」の泰山流の拳法家のような)、ここまできちゃうかとのけぞってしまいました。  でも、剣術活劇小説として考えれば、敵方にわけのわからない超人的な能力者や忍者が出てくるのは山田風太郎先生からのある意味由緒正しい物語展開ともいえるわけで、そう思えばこういう無茶も結構楽しいかも知れません。なんてったって、そういう妖術遣いのような剣術家に対して、主人公の磐音は夢の中に潜り込んで戦うというような事までやっちゃいますから、おおらかな気持ちで今回の戦いは読むのがいいでしょうね。  さて。そうした冒険活劇風の話の中でちょっとしんみりというか伏線かな? と気になったのが、今小町のおこんさんが赤ちゃんが欲しいと言った話。まぁ、当然といえば当然な話で、磐音に家族が増えるのはファンとしても嬉しいところですから、このままいくとあと何巻かで二人の赤ちゃんが登場するかも知れませんね。

楊令伝 九

[ 単行本 ]
楊令伝 九

・北方謙三
【集英社】
発売日: 2009-04-24
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
 Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,175円〜
楊令伝 九 ※一部大型商品を除く
北方謙三
カスタマー平均評価:  5
宿命のライバル,ついに雌雄を決す。
 ついに激突する梁山泊軍と宋禁軍。  各部隊が肉弾戦を繰り広げる中、楊令と童貫はひたすらその時を待つ。  麾下の部隊が消耗しようとも、互いに見ているのは相手の動きだけだ。  戦の喧騒から隔絶したかに見える二人の間に、潮が満ちるように その時が訪れる。  戦いを描いて迫真の筆を見せる著者が、いくさの後の民生や政治まで 描いてゆく。  まさに北方ワールドというべきか。
一つの終着点
水滸伝から続く、長きにわたる死闘がついに決着! 依然最強を誇る憧貫に苦戦する梁山泊軍で、楊令から史進への、一度きりの、たった一言の伝令が発せられます。 水滸伝ファンなら誰もが痺れてしまうこのシーンより、最終的な決着にいたるまでの数十ページはまさしく手に汗握る展開です。 軍としての対決は一旦終結し、金軍の南下、岳飛の活躍、梁山泊の今後など、物語は広く展開していきます。それはそれで楽しみですが、正直この後どんなふうに物語が進んでいくのか、自分には検討がつきません。
童貫戦ついに決着
対童貫戦がついに決着。 ある瞬間から甕が壊れるように、一気に結末へとなだれ込んでいく。 その数行にこめられた作者、そして読者の思い。 打ち震えるような気持ちで読んでいただきたい。 そして、物語は終わらない。 朽ちゆく宋、攻める金、交易で新しい国の在り方を目指す梁山泊。 不気味に動く青連寺。 裏主人公的存在となった岳飛。 次巻が待ち遠しくなる展開だ。

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-01
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 142円〜
坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
司馬遼太郎の最高傑作
司馬遼太郎といえば、「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」が双壁であるが、こちらの方が、大人向けかな。日本人がいかにして、今日の日本を形作ろうとしたのかを、筆者が渾身の力で書き上げたのが実感できる。まさしく名作。
混迷する現代日本の進路を司馬と対話しつつ考えはじめた
明治という時代、日本人、特に若者が、新しい社会を作ろう、その力になろうと張り切って生きた姿はしばしば見聞きしてきました。しかし、当時の日本は、自由民権運動への弾圧にみられるように、民主的な国づくりをめざすのではなく、日清・日露の両戦争を中心にした歩みに示される通り、富国強兵のスローガンを振りかざし軍国日本の道を歩んだのでした。 その姿を秋山好古、真之兄弟に象徴的に見て取ることが出来ます。進取の気風に溢れる若者は、しばしば時の国家の方針に大きく影響されてその才能を振るうことになります。司馬遼太郎は、両兄弟をはじめ、主として当時のエリート軍人、つまり軍の指導者が、もてる力をどう発揮したか、あるいはできなかったか、をことのほか力をこめて描いています。乃木将軍の無能振りも掘り下げて描かれます。また、正岡子規の才が、両兄弟との交わりの中で互いに淡く影を映すところも描かれます。 現代日本は、明治とは全く違う形で戦後という時代を経験しました。それは、新しい出発を、可能性として明治維新と同じ程度に準備していたといえましょう。しかし、どうでしょうか、明治以後の延長線上にしか、その可能性を生かし切れなかったのではないでしょうか。経済は高度成長を経験し、自衛隊は憲法の制約下でも世界で有数の力を持っています。ごく最近になって小泉首相は、その梶を大きく切ろうとしたのかも知れませんが、その方向が、アメリカ流の新自由主義路線という富国強兵を推し進める路線であって、決して日本とそこに住む人民大衆の幸せへの道ではなかった、このことは、小泉路線を失敗に終わらせた決定的要因だったのではないでしょうか。・・・とはいえ、現代日本の評価は、現在進行形でもあり、人により違っていっこうに構わないことではあります。 が、いずれにせよ、日本の指導者の多くは、混迷する日本の進路を図りかねています。そのようなときにあたって、司馬の描く明治維新後の有能な若者の生き様と戦争の時代の推移を通して、これからの日本と日本人の有り様(よう)を探ることが出来れば、それは、この本のひとつの有効な読み方といえるのかも知れません。私は、この物語を反芻しながら、坂の上の雲を見上げては、今日も司馬遼太郎と対話をしています。
日本の近代史入門書
明治とは、どういう時代だったのか。明治に活躍した人たちは江戸時代に生まれたわけだが、階級社会であった江戸時代にどういう立場にいた人たちだったのか。外国の情報が乏しい中、日本人はどうやって外国の文化を取り入れ、外国の政府と交渉したのか。優れたリーダーとは、一体、どういう人なのか。本書は、日露戦争を題材に、実在の人物を通して、これらの疑問に答えてくれる。 目的があって読み始めたわけではないが、あまりの面白さにあっという間に8巻全部を読み終えた。 徳川という旧い秩序の崩壊は、下級武士たちから生活の保障を奪い、生きる方法を模索させたと同時に、実力さえあれば出世のチャンスがある大きな空白を生んだ。明治時代、冒険心に満ちた優秀な人材が続々と頭角を現したのは、このためではないか。しかし、完全に階級を無視した自由競争が存在したわけではない。政治や軍事の分野で高い地位についたのは、倒幕を推進した薩摩藩、長州藩の幹部たちだで、中にはダメなリーダーもいた。また、出世競争に参加できたのは江戸時代に寺子屋に通って基礎的学問を身に付けた武士の子どもたちだった。他方で、軍隊の末端で従順に上官の命令を遂行し、虫けらのように命を落としていった兵隊たちは、農家の次男坊、三男坊が多かったのではないか。 わずか100年前、日本人が何をしたか、日本がどんな国たったかを知ることは、今の私たち自身を知る大きなヒントになると思う。
小説というよりも口頭伝承。
明治時代。 文学者、正岡子規と 日本騎兵の父といわれた陸軍軍人、秋山好古、 海軍中将、秋山真之の 秋山兄弟を中心に、 松山出身の三人の生い立ちから 日露戦争終焉までを描いた歴史小説。 開国後、明治時代の青年達が それこそ明日なろうとするかのように それぞれ迷いながらも、 真直ぐな思いで生きるその様に、 爽やかな印象を受ける。 何も無いところから、 何かを打ち立てることの気持ち良さやら、 上に立つ者達の態度やらも、 社会人生活を送る上でも同様に 当て嵌まることも多く、興味深い。 読み物として、とても面白い。 内容については面白いので、さておき。 僕が気になったのはこの本の描かれ方で。 新聞で連載小説の形式で書かれたせいもあるであろうが、 前半は正岡、秋山兄弟の三人を中心に描かれているが、 後半は日露戦争を中心にした関係人物の群像劇となり、 前半とは別の小説と言っても過言ではない内容になってくる。 このように、纏まりが無いように見える形式の小説で、 ここまで有名な本を僕は知らない。 普通であれば、これくらい長い小説では 背骨が通っていなければ全体として、 何を言っているのかが、判りにくいものに なってしまうのが常だと思うが、それでもなお、 この話が面白いのは、 虚構ではなく、作者が十年かけて調査した 歴史的事実が面白いからだろう、と思う。 あとがきで、作者が、 『小説とは要するに人間と人生につき、  印刷するに足るだけの何事かを書く  というだけのもので、  それ以外の文学理論は私にはない。』 と言っている。 このようなことを明確に書くということは、 作者としてもきっと、この話の形式について、 思うことがあったのだろうと考えられる。 この物語の話者は、 作者、司馬遼太郎になっている。 司馬遼太郎はこの本では、 個人的には、小説家というよりは、 口頭伝承をするストーリーテラー、 といった方が近い気がした。
明治の勇士
松山出身の歌人正岡子規と軍人の秋山好古・真之兄弟の三人を軸に、維新から日露戦争の勝利に至る明治日本を描く大河小説。 日露戦争での日本人の気概に圧巻です。

利休にたずねよ

[ 単行本 ]
利休にたずねよ

・山本 兼一
【PHP研究所】
発売日: 2008-10-25
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
 Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,129円〜
利休にたずねよ ※一部大型商品を除く
山本 兼一
カスタマー平均評価:  4
美しさのしょうもなさと、しょうもないものが美しさを生んでしまうということ
読ませる本である。 利休切腹の日から始まって利休のうちに「美」という病を生ぜしめた若き日の事件へと時間をさかのぼっていく。 この間、多くの人物の目を通して様々な角度から利休の追い求める美の姿を浮かび上がらせていくさまは、細かな伏線や言葉遣いという技術的な意味でもなかなかに良く練られた小説である。 読ませるのである。 著者の伝えたいことが強いせいかあざとさは感じなかった。 大事なのは歴史的な事実ではない。 前半を読んでいるときには、寂があるのは荒ぶるものがあってこそと感じた。 中盤を読んでいるときには、美の絶対性と同時にその脆さ・危うさを感じた。 そして最後に、人間を突き動かすものは、実はしょうもないことであったりするということを感じた。 話してしまえばしょうもないこと。 ただ、内に沈んだことで恐るべき力となって人を突き動かすもの。 歴史に名を残したような人物・事件であってもそのようなものは多い。 美もまた美しくないものから生まれているのである。 いや、「美」自体が気づいてしまえばさして美しくもないもの、なのかも知れないとさえ思えてくる。 この小説には綻びもある。矛盾もある。それでも敢えて☆5つをつけた。 どんな大人物の人生であっても、所詮人生などうたかたにすぎない。 しかし、うたかたにすぎなくとも、しょうもないものから始まっていようとも、美しいものは美しいのである。 そう感じずにはいられなかった。
結局読み終わって一番印象的だったのは秀吉
終盤にさしかかるまで、☆5つにしようと思っていた。引き締まった文体、一席でその人物の人となりを浮き彫りにする構成、歴史上有名な人物が語る「茶の湯」観…、実に熟練の技…と思い読んでいたのだが、何か後半、秀吉の章が多過ぎて飽きてしまった。後半でも「三毒の焔」や「白い手」などは良かったのだが。利休の侘び寂びの底辺には、美(それの象徴が高麗の女人)に対する生々しい憧れ(執着)があったのでは…?ということが主題なのだろうが、いかんせんここに描かれる秀吉像が強烈過ぎて、読み終わると秀吉の本を読んだような気になる。秀吉というのは、ことほど左様に強烈な個性の持ち主なのだから、こんなに頻繁に登場させない方がよかったのではないだろうか?その秀吉像に対抗できる程、利休の人となりがくっきりと像を結ばなかったとも言えるのだが。圧倒的な美は人を従わせるという「美至上主義」な利休に対し、茶席を人心掌握の道具として利用する秀吉や、茶道具に遣う金があるなら有為の者を召し抱えるのに遣うべきという黒田官兵衛など、様々な人物の「茶の湯」観が、最も興味を惹かれた部分。表題になっている古田織部や家康以外に、石田三成なども登場してくる。彼らの「茶の湯」観が、すなわち人となりを表している。
いろいろと考えさせられる作品です
「利休にたずねよ」とは、何を尋ねるのであろうか。それは利休自身の自らへの問いである。問いの中身とは、茶ではなく美である。では、利休にとっての美とは何であろうか。というところがこの作品の勘所である。ある意味これはこじんまりと成功し、また大きく失敗している。作品の構成としては、死の当日から青年時代の過去へとさかのぼる道行であり、その中で出会う様々な人々との語らい、かかわりからこの主題を多声的に奏でるというわけなのである。 蓋し、美とは利休にとっても我々にとっても存在を超えた絶対的なもの、とついあげ奉りがちであるが、実は真実は、野卑、下品、禍々しきものであり、自らがつながっていた胎盤のような見たこともない不潔で不気味なものである。それを作者は、安易に具現化してしまったところがこの作品の最大の失敗であり、読者をやっぱりそうか、と一気に失望させてしまう点なのである。読後余韻の乏しさはここにある。 文章は清潔であり、茶道を知らない私にも作法の細々、名物や茶室のあつらえの機微など、大変わかりやすく記述されている。しかし、一見美しくたおやかな四季折々の表現も、どこかで目にしたことがあるような、無難で定型にはまった幾分かの退屈さは否定し難い。 更に、弟子である細川忠興の記述が物足らない。今日見直されている史上稀に見る知的獰猛な怪物、凄まじい毒をもった人物である。もっとわくわくさせてほしかった。また高山右近はどうであろうか、利休の対極に立つ人である。ぜひ出させてほしかった。 最近、黒木了作の「荒木村重?惜命記」を呼んだ。 比較は野暮、と百も千も承知である。が、「利休に」は、文体の洗練された技巧では勝っていても、内容の深遠さ、茶の湯の持つ積年のどぶの様な怨念、美が本来持つ猛毒、というまがまがしいものへの到達という肝心要の点では、「利休にたずねよ」はこの大昔の地味な作品に遠く及ばないのである。
いまどきの利休感
 週刊新潮の書評に釣られて購入し、結論を言えば購入するまでもなかった。美を最優先したのはいい。その美が利得と関係している芸を指摘するのもいい。だが、美と権力の相克の掘り下げが軽い。これでは秀吉はマンガである。いたずらに政治とは醜悪なものという思い込みに迎合しているのだろう。40代前半に、無性に利休に関心が湧いて、井上靖と野上弥生子の二つを読んだ。井上のそれは権力の儚さを感じさせた。熊井啓の映画もよかった。野上のそれは、その執拗さには感心したが、それ以上に共感は湧かなかった。今回のものは、比較にならないくらい低い。著者の志も薄いように思う。ただ、19歳の李朝ヤンバンの女性との交遊は読ませる。いまどきの茶道に取り組む若い女性には評判になるのか。それにしても、これでは利休も哀れだ。錚々たる面々が弟子になっていた事実の意味するものは、この小説に記されている程度の美では収まらないはずだから。
利休が追求した「美」の深みと凄みに触れることができる傑作
侘び茶人と呼ばれた千利休について、著者が新しい解釈を加えて仕上げた1冊。 誰よりも「美」の神髄を知る男・千利休の、政治権力に屈することなく自らの美学を貫いた生き様が、研ぎ澄まされた美しい日本語によって表現されています。 切腹の日まで、利休が手元から離すことがなかった緑釉の香合。 そこから時を遡ることで、緑釉の香合の背景にあった利休若き日の恋物語が明らかになります。 小説の前半(つまり晩年)の利休の、美を追い求める冷徹な姿を「静」とすると、その奥底に隠されていた若き日の高麗の女性に対する利休の恋心の激しさは「動」であり、そのコントラストは実に印象的です。 初めからその存在は何となく見え隠れはしていましたが、特に「白い手」のエピソードあたりから、利休の「静」な部分に隠された「動」の部分が本格的に動き始め、「恋」でその「動」の部分が大輪の花を咲かせるかのごとく放出され、「夢のあとさき」で利休の激しい恋の結末として、高麗の女性に感じた「美」が茶の湯における「美」と融合し凄みを増していく様子が描かれ、終始心が震えっぱなしでした。 またもう一つ、この小説で特に印象に残ったのは、「三毒の焔」での宗陳の「信長と秀吉の(土地や金銀への)執着と、利休の(美をむさぼることへの)執着では、いったいなにが違うのか」という言葉です。 利休の美への追求に対する周囲の言葉は、もちろん尊敬の念もありますが、前述の宗陳のような言葉もあり、「なぜそこまで美にこだわる?」という疑問もあり、また「間違いがないゆえ、余計に悔しい」という「嫉妬心」もありますが、誰にも共通しているのは利休の審美眼に間違いがないと認めているということ。完璧な美を目の前にすると人は、プラスの感情のみならずマイナスの感情も湧き上がるのですね。 ただ「美しい」と絶賛する言葉のみでなくそういったマイナスの感情も登場させたことにより、利休の完璧な「美」がより深く裏打ちされたように思いました。

坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-01
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 256円〜
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
司馬遼太郎の歴史認識が語られている
 この巻で遂に日露戦争に突入するが、同時に作者の歴史認識を垣間見ることができる。  帝国主義時代に日本が列強を目指さざるを得なかった状況、大国ロシア相手に戦争を起こさざるを得なかった理由、白色人種のアジア系民族に対するサディスティックな感覚など。  また、日本の軍部指導者が第二次大戦時の指導者と比べて、いかに合理的であったかも語られている。兵隊たちの士気の高さとともに、国家として成長を遂げつつある日本の清清しさを感じることができ、とても気持ちがよいと思うのは私だけではないだろう。
日露戦争
正岡子規の死から日露戦争開戦までが描かれています。 戦争といえば、圧倒的な国力の差を気持ち一つで埋められると 考えた太平洋戦争した思い浮かびませんでした。 日露戦争も同じようなものかと思っていましたが、 国家を守るために今何をしなくてはならないのかを第一に、 冷静に状況を判断し事態に対処していく各々の姿に熱くなるものがあります。 同じ戦争でも、携わる人によってこうも性格が異なるかなと考えさせられます。
もはや成功・不成功を論じているような余裕などない
日露戦争開戦に向けての意思決定と開戦準備がテーマ。 当時大人と子供ほど国力の差があったロシアに対して、なぜ日本が開戦を決意するに至ったのか、当時の人々の深刻且つ切実な葛藤・決意が臨場感を持って伝わってきます(「このまま時が移れば移るほどロシア側に有利で日本側に不利です。今なら何とかなる。日本としては万死に一生を期して戦うほか、残された道はない」)。 国に対する愛情だけでなく客観的・冷静な彼我分析のもとに、日本がなけなしの総力を結集していく過程には思わず心が動かされます。
昭和日本軍の原点をみた
いよいよ日露戦争の戦いの火蓋が切られる第3巻。 前半部分では、戦争回避の努力もむなしくロシア側の理不尽な要求に追い詰められ開戦せざるをえなくなったプロセスが描かれています。当時の日本にとって大国ロシアと戦うことがどれだけ困難(無謀)なことだったかを思うと、大国から屈辱的外交を強いられた憤りを感じます。 中盤以降は日露戦争準備から緒戦まで描かれていますが、私が印象に残ったのは、さまざまな点で後の日中戦争、太平洋戦争との対比やそれらへの影響が垣間見えたことです。 例えば、開戦の段階で陸・海軍と政府があらかじめ戦争終結に向けたシナリオ(短期決戦での勝利で列強諸国に仲介してもらうこと)を共有化していたことは、昭和の戦争とは対照的で興味深いです。 一方、兵士個々人の闘争心や忠誠心に頼る白兵戦中心の戦闘、補給に対する意識不足など日本軍の特徴がすでにみられ、日露戦争の反省があれば昭和の戦争はもう少し違ったものになったのではないでしょうか。
まさに戦争だ!
子規は逝去。文学の周辺に関しては、この巻で終わってしまうようだ。 とうとう、日露戦争が開始され、秋山兄弟の活躍が始まる。 山本権兵衛、東郷平八郎が登場。 日露戦争の緒戦までが、本巻の内容。 ロシア側の人物に関しては、ウィッテの記述がいまひとつ定まらない感じがして、落ち着きがない。 日露戦争も佳境に差し掛かる、どう物語は進むのか?

坂の上の雲〈4〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈4〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-01
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 484円〜
坂の上の雲〈4〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  4.5
気力、運、敵失、全てが日本に味方した
 黄海海戦、遼陽会戦では敵失もあり、勝つことが出来た。その一方で旅順は膠着する。  作者がうまいのは、陸戦、海戦だけでなく、外交、スパイ、日英同盟、戦費調達など、日露戦争を巡る全ての要素を同時に進行させていることだ。  実力で劣る日本がいかにして勝てたか。勿論明治人の冷静な計算、士気が勝っていたことも確かだが、運や敵失にも助けられている。本当に薄氷を踏むような戦いだ。
乃木 希典の評価
日露戦争において英雄か凡将か評価が両極端に分かれる乃木希典。 司馬先生は凡将の立場で旅順攻略戦を描いており、 乃木の評価に対する議論を紛糾させる契機になったといわれてます。 とにかくこの本では正面から突撃あるのみです。 大将の心理を含め、日露戦争を丹念に描いています。 ロシアのクロパトキンもそうですが、 個人の感性や性格に戦局が大きく左右されていく姿に興味が惹かれました。
日露戦争に勝ったことで日本が残った。
○読み始めたきっかけ  司馬遼太郎の歴史モノが好きで、その中でも経営者を中心に愛読者の多い、 「坂の上の雲」を読んでみました。 ○心に残る言葉  日本の砲弾は、敵艦船の装甲を打ち破るのではなく、甲板で炸裂し火災を起こさ せ砲台を無力化することを目的としている。兵力の少ない日本海軍にとって、最も 効率的に戦闘する手段の一つ。  日露戦争当時では、一軍の統率は司令官がその人格力をもってやる、作戦の方は 参謀長が受け持つ。基本的にすべて参謀長に任せる。二者択一を迫られた時か、戦 況が紛糾した時のみ司令官が決を下す。 p.184 農業社会=有能無能の価値基準はなく、自然の摂理に従って、きまじめさと 精励さ嵩が美徳。  狩猟社会=それぞれの能力によって部署に配置され、全体の一目標のために機能 する。その中では指揮者が必要。この社会では人間の有能無能が問われる。世界史 的にみて、狩猟民族は軍隊を作ることに熟達している。 p.256 敵よりも大いなる兵力をもって敵を圧倒撃滅するというのは、常勝将軍と いわれるものが確立し実行してきた鉄則。  日露戦争に勝ったことにより、日本がロシアの植民地にならずにすんだ。しかし、 その成功体験が太平戦争での軍部の過信を生んだ。 ○どんな人に読んでもらいたいか。  過去の日本人の行動や歴史を知ることで、将来の日本の問題について考えるきっか けとなる。できるだけ、多くの日本人に読んでもらいたい。
ちょっとした記述が妙に面白い。
良さについては沢山のレビュアー様がおっしゃっている通り。 個人的には北進軍の中の黒木部隊の記述「まるで別の人種の部隊に率いられていたかのような強さ」というところで思わず吹き出しました。 司馬遼太郎、時々面白い表現しますよね。。
リーダーの資質が組織の運命を決める
第4巻は遼陽の会戦から旅順攻防まで。 リーダーの資質が、特に戦争といういわば極めて緊迫した状態において、いかに重要かということを思い知らされます。 旅順攻略軍における乃木・伊地知コンビ、バルチック艦隊におけるロシア司令長官について、著者は「無能」を連発し酷評しています。当然、ここでいう「無能」とは、全人格を否定する意味での無能ではなく、あくまでもそのとき置かれた状況下において能力を発揮できなかった(もしくは持っている能力が状況に適応できなかった)という意味でしょう。ただ、リーダーたるもの、ある面で優れているだけでは(例えば乃木がもつ会う人を魅了してやまない包容力など)務まらないどころか、組織全体に対して悪影響を及ぼすという事例ともいえ、企業経営などに置き換えると考えさせられるものがあります。 なお、乃木・伊地知が攻撃の失敗から反省することなく、無謀な攻撃をただ繰り返すさまは、日本陸軍がもともともつDNAなのか、後の太平洋戦争を暗示しているようで、名著「失敗の本質」が思い出されてしまいました。

坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-01
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 296円〜
坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  4.5
日清戦争を契機に俄然注目される日本
 意外な勝利となった日清戦争であるが、この勝利により、日本国民は国家という存在を体感し、諸外国から注目されると同時に、ロシアの壁にぶち当たった。  日清戦争の勝利は、日露戦争へのスタート地点に過ぎなかったのである。
正岡子規のすごみ
日清戦争前後のお話。 こういう時代にあって、秋山真之は留学を重ね軍人として着実に成長しています。 一方、学生時代には移り気で何をやっても物にならない正岡子規ですが、 俳句というものに出会い、文人として一気に大成しました。 特に死を意識してからの彼の行動は鬼気迫るものが感じられます。 人間、熱中できるものを見つけた時の力を思い知った気がしました。
時代のうねりが伝わってきます。
日清戦争以降の時代の大きなうねりの中で、秋山好古、真之、正岡子規がそれぞれの境遇、立場の中で、感じ、行動する様の対比がおもしろい。 滅び行く清や、日本の前に立ちはだかろうとするロシア、そしてそのような状況の中で日本はどこへ行こうとしているのか、時代背景が手に取るように伝ってくる。
子規の実像と明治人気質
この巻では主に、闘病しながら文筆活動を続ける正岡子規と、軍人として活躍を始める秋山真之を中心に描かれています。 正岡子規に関して小学校の教科書レベルでしか知らなかったので、過去の俳句や短歌を検証し、新たな作風を作り上げていった彼の功績を初めて知りました。それにもまして結核を患いながらも壮絶なまでに創作活動を行う彼の執念に胸を打たれます。 一方、秋山真之という人物の資質は、欧米に追いつき追い越そうとする明治日本になくてはならないもののように感じます。「飛ぶが如く」で描かれた大久保利通もそうでしたが、この時代には物事に強烈なこだわりをもった人物が必要だったのでしょう。 なお、この巻の最後の章は、ロシアに関する記述になっていますが、欧米でもなくアジアでもないロシアという国の性格が見事に表現されていて、大変ためになります。先に「菜の花の沖」を読んでおけば更に楽しめると思います。
日清戦争へ
 時代は日清戦争へと突入してゆく。  秋山兄弟は戦地へ赴く一方、正岡子規は病と闘いながらも・・・  明治の時代に青年たちが、それぞれの境遇の中で青春を謳歌する話。

坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-02
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 375円〜
坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  4.5
ついに旅順陥落。そこには敵も味方もない
 ついに旅順陥落。  日露両軍の兵士が「負けてもいい。勝ってもいい。ともかくもこの惨烈な戦争がおわったのだ」という感覚を共有したことに鮮烈な印象を受けると同時に、旅順を巡る戦いのすさまじさを想起させる。
旅順攻防収束
児玉の参戦により戦術を大きく転換し、勢いづく日本。 ステッセルの官僚的思考によって、余力を残しつつ降伏に傾くロシア。 それにしてもトップの人の性格や能力が、これほど戦争に影響を与えるものなのか、 っと感じさせる巻です。
日本人論
司馬は、戦争遂行における日本人の行動を見つめながら、ロシア人と日本人の違いをなんども語っている。それはひとつの日本人論の姿となっている。
人災の、滑稽混じりの恐ろしさ。
日露戦争の一つの山場である旅順開城が主に描写されている。 その司令部(乃木希典・伊地知幸介)の無能をフィクションらしく極大化し、それがドミノ式に起こしていく旅順における人災の怖さというものを見事に描き出したという点では、司馬遼太郎の文芸作品の真骨頂であると言えるだろう。 何しろ冗談のように人命が浪費されていく描写の中で、その浪費の責任者達の責任感・緊張感・現実感覚のなさを(フィクション内の事実として)くどいほど書き連ねるのである。 最初はホラー映画も真っ青の戦慄を覚えるのだが、そのうち頬が笑いながらひきつる感覚を覚えた。 能力の劣る上司を戴くという人災の、滑稽混じりの恐ろしさというのは、強烈だった。 そうそう忘れられそうにない。
児玉源太郎物語
3巻あたりから登場の児玉源太郎。 今の主人公は、彼であるといっていい。 書き進むうちに、この輝く人物をほうってはおけなくなったのだろう。 遼陽に戦い、二○三高地を落とし、旅順を攻略。 苦労しながら辛くも勝ち進む日本と同時に バルチック艦隊の長く苦しく足並みの悪い旅路が描かれる。 多くのエピソードが示唆を与えるこの戦争は、作者も 物語を選りすぐるのに苦労したのではないか。 そう感じる5巻でした。

坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-02
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 218円〜
坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  4.5
奉天会戦
 陸戦においては、とにかくクロバトキンは全くのヘボ役者として描かれている。  司馬遼太郎の言う「クロバトキンの恐怖体質」を上手く利用して、日本軍はロシア軍を翻弄、本来であれば勝てない相手にとりあえず勝った。  この作品は本論(日露戦争)だけでなく、この戦争を取り巻く状況解説が非常に面白い。そろそろ講和の時期を探る日本に対するルーズベルトの動き、考え方などがその一例である。  この戦争を巡る周辺状況をみると、決して日本の実力だけで勝ったわけではない。喧嘩の相手も選ぶ必要がある。「敵の敵は味方」、この言葉を思い出した次第である。
奉天会戦
日露戦争における奉天会戦が一応の決着をみせます。 物量も兵士の数も極端に不足し、軍隊全体が疲れきった日本。 もはや作戦など役には立たず、ひたすら耐えて全身していく姿は、 どこか太平洋戦争時の日本を彷彿とさせます。 この戦争は勝ったというより、机上では負けるはずのないロシアが、 その官僚体制の腐敗から勝手に自滅するという幸運によって終息したもの。 これを勝利と誤解し、何事も精神力で乗り切れると誤解した所に後の悲劇が あるのだと思うとやるせない気持ちになります。
奉天
1会戦で、両軍合わせてひとつの都市の人口に相当する兵士が 戦死した日露戦争も最終章に近づいてきた。 乾坤一擲、ぎりぎりの勝利。 日本は、人材に恵まれていたのだろう、 ロシア軍を、日本の大山のような人物がが率いていたら? 大功のみを考え、小節にかかわらないような人物が組織のトップに必要であることを 痛感します。
いよいよクライマックス
第7巻は陸戦のクライマックスともいえる奉天会戦と、日本海海戦までのバルチック艦隊と日本海軍の動向を描きます。 陸戦については、ロシア軍を率いるクロパトキンの官僚意識、軍人としての精神力の弱さにより、日本が勝利する様が描かれます。ただ、これはあくまでも局地的な勝利であり、日露戦争の勝利を意味しません。戦中でありながら児玉源太郎が帰京して終戦工作を行うなど、日本としては実力の限界まで戦ってやっとここまでの感があります。著者のいう「戦争における勝利の定義」というくだりを読んで、戦争とは終わらせるために始めるもの、ということをその国の指導者が認識していなければならないと痛感しました(始めないにこしたことはないのですが)。 途中、終戦工作に関する項では、米国やフランス、ドイツの思惑が紹介され、ヨーロッパ、米国、アジアの力関係や、他国をいい意味でも悪い意味でも道具として考える世界政策(外交政策)の様子がよく理解できる記述になっています。 また、後半は、日露戦争のクライマックスである日本海海戦に向けた日露双方の海軍の様子が描かれ、最終巻に向けて気分が盛り上がる一冊となっています。
陸戦の日本
 日露戦争の陸戦で日本は勝ったのだろうか?  戦史を詳細に検証しなかった日本陸軍の過ちはここからはじまったのではないかと思わせる事実ばかりでおどろいてしまった。

坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

[ 文庫 ]
坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

・司馬 遼太郎
【文藝春秋】
発売日: 1999-02
参考価格: 670 円(税込)
販売価格: 670 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 566円〜
坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)
司馬 遼太郎
カスタマー平均評価:  5
このような時代もあった
司馬遼太郎先生の作品は「竜馬がゆく」に続いて二作目ですが、最高傑作との評価に違わず、素晴らしい小説でした。最後の八巻では、終わるのが寂しく、わざとゆっくり読みました。今の混沌とした将来の見えづらい時代に、何かしら示唆を与えてくれる内容ですね。
今の日本に足らないもの
本著は全8巻からなる大作です。 明治の中期から末期に至るまでの日本の一般人の生き様を、精緻に縦横無尽の筆致で描いた著者が言いたかったのは、この時代の国民性にあると思います。 明治維新後に薩長閥でなかった伊予(今の愛媛県)の若者の生き様を通じて、この時代を描いていますが、当時全盛を謳歌していた薩長に属していない人間でも必死にこの国の将来を考え、自分がなすべき役割を精一杯やりぬいた結果を見逃してはいけないと思います。 むしろ、彼らを主役に据えることで、日本全体の雰囲気がよく出ていたと思います。 世界史上の奇跡といわれる「明治維新後の日本の胎頭」は彼らなくしてなしえなかった事実です。 膨大な資料や証言を元に司馬氏ならではの洞察力というエッセンスをちりばめ、全編を通じて飽きない20世紀の日本文学の名著です。 ぜひ一読したい作品です。
バルチック艦隊撃破
 本書も遂に日本海海戦で大団円を迎える。結果を知っていても8巻にわたる長編の終わりをかみ締めながら読んだ。  かみ締めるといえば、初版の解説がまとまって本巻に掲載されており、これまでの振り返りができたと感じる読者も多かったと思う。  司馬遼太郎は、戦争そのものを描くと同時に、当時の日本人像を描こうとしていたのは間違いない。恐らく、太平洋戦争における日本人との対比を考えながら、そして現代の日本人のことを考えながら・・・・。  本書がビジネスマンの間でも高い評価を得ているのは、戦中戦後の日本人が忘れかけている良き資質を思い起こさせてくれるからだと思う。  明治の指導者は、冷静で論理的、しかも外交上手。与えられた仕事場で思う存分働き、国家を強くしていく・・・・。自分たちにもそのDNAが残されているのではないかと考えると、とても嬉しくなる。
一途な精神性がうらやましい。
 こんなことを言ってはいけないのかも知れないが、当時の日本人がうらやましく思えてくる。全国民と国家が何の疑いもなく、一つの方向に向いてまい進している世界。自分の人生に疑問を持って、世界を放浪しようとするような子供はきっといないのだろうと思う。  驚きなのは、これほど多くの人が海外に出て、諸外国から良いところを学ぼうとしていたこと。自身が海外に居るだけに、当時の日本人がどのようであったのか、非常に気になる。
弱者の戦略
日露戦争のときの日本は弱小国であった。そのことを日本軍は重々承知していた。そこで日本軍は弱者の戦略を使った。限界まで知恵を絞り、今までにない方法で敵を倒す。全巻を読み終わったあとは爽快感に溢れていた。

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 更新日 2009年5月10日(日)  ※ 表示価格は更新時のものです!      メール      相互リンク

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