中で語られている長井雅楽の航海遠略策を読み、「この時代でもここまで見通せる人物がいたのだ」と驚きました。 この策の正当性が時代に受け入れられなかったのがとても悔しいです。 松陰から晋作へ伝えられる志し第二巻にて、松陰の死というかたちで、主人公が晋作へと移り変わります・・・。幕末というと、坂本竜馬や新撰組といった面々が、とかく取り上げられがちですが、この動乱期に大きな仕事を成し遂げたのは、やはり長州藩出身の志士達ではないでしょうか?彼等の多くは、明治維新を迎える前に、その命を散らして逝きます。
歴史の大きな節目に立ち合えなかった、真の歴史の立て役者・・・。そんな長州の若き志士達の物語りをぜひとも多くの人に読んでもらいたいです。
薩摩軍の2将、桐野と篠原には全く作戦も戦術もなく、軍の指揮官というよりも1個のサムライであった。これでは物量がものをいう近代戦はでは到底勝てない。300年前の関が原でさえ、勝てなかったのではないだろうか。そういう人物を近くにおき将にした西郷に、人を見る眼は果たしてあったのだろうか。西南戦争は、戦争というより、無謀なサムライの一揆だったのだ、という印象を強く受ける。
さらに西郷の征韓論を叩きつぶして半年もたたないうちに、台湾出兵を自ら主導した。このあたりはどうも、いきあたりばったりの観が否めない。やはり謎は多い。 この国のかたち その原型を探る 全10巻にわたり、近代国家として産声を上げたばかりの明治維新期ニッポンの姿を、若き舵取り役の群像を通して描く巨編です。 当時、国を動かしていたのは、いずれも30代から40代の人たち。 幕末の血なまぐさい時代を経て、世界に伍する国をどう作ってゆくのか。権力の座にある者も、また現状に満足しない者も、文字通り血の滲むような模索を続けていた時代。小説は、緻密な歴史考証と、フィクショナルな叙述を、作者一流の筆致で繰り広げ、現代日本にまで受け継がれた様々な功罪を惜しげもなくさらして余りあります。