|
[ 文庫 ]
|
ニーベルンゲンの歌〈前編〉 (岩波文庫)
【岩波書店】
発売日: 1975-01
参考価格: 735 円(税込)
販売価格: 735 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
|
カスタマー平均評価: 4.5
圧倒的な力強さ 他の方が書かれているとおり、あまりにも有名な古典的傑作。そのダイナミックなストーリー、勇敢で情熱的な登場人物、行動に滲み出る思想精神の圧倒的な力強さに引き込まれ、飲み込まれてしまう。男の私からすれば、向こうの女性はかくも強いのかと驚嘆させられ、その嫉妬心には恐ろしくなる。鴎外の描く日本の女性の強さともまた違う。
登場人物の強さは超人的である。精神の高揚とともに、また物語の展開によってその強さもダイナミックに変化する。多少の矛盾などあざ笑うかのように力強く突き進む。
この物語は、血、血、血の嵐である。血が飛び、血が流れ、血が飲み干される!これほどまでに血なまぐさい物語もそうないのではないか。この物語は、至るところに熱き血潮が通っている。それは脈打ち、噴出し、地を覆いながら、しかしそれでも尽きることがない。
今の時代を舞台にしてこのような物語が物語として成立することは不可能だろう。それだけに物語として読まれ続けるだけの価値がある傑作。 悲恋のブレンヒュルト 13世紀ごろの成立で「ゲルマーニア」と共にドイツ最大の古典文学と言われる本作、日本では主にファンタジー好きやゲーム好きが高じてこの世界に入っていく人が多いと思います。ネーデルラント(後のオランダ辺り)の皇子ジークフリード(北欧ではジグルド)やドラゴン(ファブニール)退治の名剣バルムンク、イースランド(後のアイスランド辺りではないかと言われる)の女王ブレンヒュルト(北欧ではワルキューレの一人です)とクリエムヒルト(北欧ではグドルーン)の長いドロドロの人間模様を描いた本作は、歴史的には5世紀ごろのブルグント国とフン族の争乱に北欧神話の話などが混ざり合い生まれた物だろうが、原典がいろいろあってブレンヒュルトも出典によって違った姿を見せているので興味を持った人は色々調べてみて下さい。個人的には最古の「エッダ」のジグルドを殺させて自らも命を絶ち、ジグルドと共に火葬される悲恋のブレンヒュルトが好きです。後半のグドルーンのフン族に嫁いでの鬼の様な復讐劇はあまり好きではありません。余談だがジークフリードの弱点の背中(葉っぱがついた為、そこだけ無敵にならなかった)の話は漫画「闘えラーメンマン」の中でも使われていました。日本のRPGファンは色々引用される「ゲルマーニア」「フィン・マックルー伝説」「エッダ」「グレティルのサガ」「王妃グドル?ン」などの北欧神話なども読んでみる事をお勧めします。 愛の人ブリュンヒルド この本には,二人のヒロインがいます。クリームヒルトとブリュンヒルドです。 『ニーベルンゲンの歌』では,クリームヒルトの方が目立っていますが,ちょっと,ブリュンヒルドのお話を。この話の原典ともいえるゲルマン神話伝承では,クリームヒルトよりブリュンヒルドの方が主役です。さらにゲルマン神話伝承では,ブリュンヒルドはジークフリートの恋人で,ジークフリートの火葬の際に,自分も火の中に飛び込んで果てる烈婦です。 そちらを先に知っていた僕は,「ブリュンヒルドはジークフリートが好き」という意識が常に働いてしまい,彼女のセリフの一つ一つを裏読みしていました。つまり,彼女の行動は,屈辱からではなく,愛と嫉妬ゆえの行動だというわけです。 当然,作家は原典の伝承を知っているわけですし,あながち間違った読み方とも思っていません。 この本の後編では全く活躍しませんが,2度目に読むことがあったらは,クリームヒルトではなく,ブリュンヒルドに注目して読み直してください。 夫のために一族皆殺しにするクリームヒルトより,嫉妬のために好きな人を殺してしまったブリュンヒルドの方が,むしろ共感できるかもしれません。 名誉、美徳、高慢そして復讐 英雄である夫ジーフリートを卑劣な策略によって殺された、美しくも気高い妻クリエムヒルトによる復讐の物語。 前編では、絢爛豪華なジーフリートの栄華と美徳が、女どおし(クリエムヒルトとブリュンヒルト)の些細な虚栄心から、もろくもうち砕かれる様が描かれ、後編では、復讐に燃えるクリエムヒルトと、その復讐の火に焼かれ、自らと一族の滅亡の運命を予言されながらも必死に抵抗しようとする騎士ハゲネの姿が描かれます。 神話的な英雄の世界、名誉と美徳を重んじる中世的な騎士道精神、そして、高慢から身を滅ぼすこととなる人間の姿が絶妙にブレンドされて、リズムのよい叙事詩として描かれています。 不思議なのは、どちらかというとクリエムヒルトに同情的に描かれている前編に比べ、後半は、その敵であるハゲネの活躍を中心に、クリエムヒルトが徳を失った単なる復讐者として描かれていることです。 現代的な小説の感覚からすると、あくまでクリエムヒルトの復讐を美徳として描く方がしっくりとするのですが、これは時代と文化的背景の違いなのでしょうか。 同様の登場人物が、違う役割で登場するワグナーのオペラ「ニーベルングの指輪」も併せて観てみると面白いかもしれません。 ゲルマン民族の心象風景−蘇る英雄たちの面影 「ニーベルンゲンの歌」は世に名高いゲルマンの英雄譚であり、不世出の英雄ジーフリト(ジークフリート)の冒険と、その妃クリエムヒルトによる復讐の物語です。絢爛にして豪華、勇壮にして悲壮な数々のエピソードによって彩られていますが、この物語の全編を貫く縦糸として「運命の影」ともいうべき重低音が基調をなしているように思います。人々は運命の見えざる力によって絶えず支配されているのであって、楽しい祝宴や武技競技など今日の栄華を描く場面なども、やがて訪れる滅びのための前奏曲であるかのように、そこはかとない緊迫感をもって語られています。 また、免れ難い滅びを目前にしつつもなお死力を尽くして戦いを挑む勇者たちの姿は、運命の力に雄々しく抗おうとする気高さを象徴しているように思われ、この物語の英雄主義にいっそうの華を添えています。読みすすめるにつれ思わず力が入ってしまい、自然にシリアスな気分になってしまいますが、そうした点も含め、ゲルマン民族の典型的な心象風景が描き出す華麗なタペストリーと言えるのではないでしょうか。 なお、「フン族のアッティラ」といえば中世欧州を恐怖のどん底に陥れた恐るべき異教の大酋長というイメージが一般的だと思いますが、この物語ではエッツェル(アッティラ)王は高潔で仁慈の騎士として描かれており、この扱い方に興味を覚えました。これもやはり異教時代のサーガの痕跡なのでしょうか。
|
|
[ 文庫 ]
|
吉野弘詩集 (ハルキ文庫)
・吉野 弘
【角川春樹事務所】
発売日: 1999-04
参考価格: 714 円(税込)
販売価格: 714 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 340円〜
|
・吉野 弘
|
カスタマー平均評価: 4.5
詩の良さ 初めて詩集というものを買いました。短い文章の中で、端的に自分の感情や見たものを表現するのは難しいことです。文章力や表現力の勉強になりました。
「そんなこともあるのだろう 他人には見えて自分には見えない幸福の中で 格別驚きもせず 幸福に生きていることが 『虹の足』」 ピアノの旋律と共にこの詩人の世界を この詩人大好きです。僕はこの詩は音楽から入ったのですが、いいようもない感動を経験したからです。
その経験は、日本の大作曲家の故人高田三郎氏が、吉野氏の詩に曲をつけた合唱組曲「心の四季」を聴いたときが更にそうでした。特に「風が 桜の花びらを散らす」と始まる詩の、人は見えない時間に吹かれている、という人生の儚さをうたうことばは非常に美しく、またそれを現に浮かび上がらせたのが高田氏の音でした。
そこから思うに、吉野氏のつむぐことばというのは、音楽にすれば旋律の美しさの中に、儚さや生きるたいへんさをしのばせさせるような、世界なのだと改めて思うわけです。日本語の響きを大切にし、抒情的な美しさが心にしみます。
安易なことばがなく、丁寧に選ばれたことばの世界です。
ちなみに上の詩は中島美華が歌う「桜色舞う頃に」の詞を作った女性に、大変なインスピレーションを与えたと思います。詩の構成が彼女の詞に活かされているからです。 詩を初めて読む人にも。 全体的にやわらかい。難解な語句はほとんどなく、容易に読むことができます。それでいて、谷川俊太郎とは違った感覚で、日常に潜む、奥深い感慨をしっかりと味わうことができます。一度、詩集でも読んでみようかなと思っている人にもお手軽な一冊です。 結婚式の祝辞で 結婚式の祝辞でこの詩集から詩を読んでくれた友人がいました。 「祝婚歌」という詩です。「二人が仲睦まじくいるためには 愚かでいる方がいい 立派すぎない方がいい」で始まる、この歌は、これから結婚する人にとっては結婚というものが何なのか、結婚している人にとっては自分の結婚を振り返るいいきっかけになると思います。 この本の他の詩もいいけれど、この詩をもう一度かみしめてみたかったので、この本を手に入れました。
|
|
[ 単行本 ]
|
恵みのとき―病気になったら
・晴佐久 昌英
【サンマーク出版】
発売日: 2005-03
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
Amazonポイント: 12 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,011円〜
|
・晴佐久 昌英 ・森 雅之
|
カスタマー平均評価: 5
泣いていいよ 彼のお母さんは、長年ガンに苦しみ、
看病にあたる彼も、とてもつらそうでした。
愛する人が苦しんでいるのに、何もできずもどかしい日々。
そんな時、この本の存在を知り、彼に贈りました。
病気はつらい、だから我慢したりしないで、
大声で泣いて、愛する人を呼んで、
ぎゅっと抱きしめてもらいなさい。
そんな温かいメッセージが伝わってきました。
病気で苦しんでいる人も、日夜看病にあたる人も、
愛する人に「泣いていいよ」と抱きしめてもらえたら、
どんなにこころが軽くなるでしょう。
まもなくして、お母さんは他界しましたが、
愛にあふれたこの本を読む度、彼のお母さんを想います。 シンプルさ心にスッと入ってきます 大人になるといろんな役割やら、こうしなきゃいけない、ああしなきゃいけないと縛られて、世界が複雑になったように思うけど、本当は、真理はいつもとてもシンプルであることを晴佐久神父様は語りかけてくれます。
シンプルだから、強い。シンプルだから心にスッと入ってくる。
清い澄みとおった水のような神父様の言葉は乾いた心を潤わせて、子供の頃のあなたに戻してくれます。 ブラザーサン・シスタームーン 至玉の一冊です。詩に、絵に、エッセイに、泣きました、何回も。 泣くたびに、自分の何かが洗われていくのを感じながら。 昔、大好きだった『ブラザーサン・シスタームーン』というアッシジのフランチェスコの映画を思い出しました。 そういえば、あのときのドノバンのうたごえが聴こえてきそう。風も吹いてきそう。 ありがとう。本の前で手を合わせました。 今日はしばらくぶりでぐっすり眠れそう、素敵な夢を見そうです。 ブラザーサン・シスタームーン 至玉の一冊です。詩を見て泣き、絵を見て泣き、巻末のエッセイを読んで号泣しました。 泣くたびに、知らないうちにこんなに溜まっていたのかと驚くほどの何かが 自分の中から洗われていくのを感じながら。 昔好きだった、アッシジのフランチェスコのきれいなきれいな映画を思い出しました。あのときのドノバンのうたごえが聴こえてきそう。 風が吹いてきそう。 ありがとう・・本に手を合わせて、今夜は気持ちよくぐっすり眠れそうです。 恵みのとき 病気になったら この本の詩には、病気であることは悪いことではないのだということが書かれています。 私にとって、自分が病気であってもそのことを肯定するのは、言い訳をしているような気がしてなかなか難しいことでした。でも、この本を読んでそのような後ろめたさはなくなりました。 頼りになる理解者を得たような安心した気持ちになれる本です。
|
|
[ 文庫 ]
|
マザー・グース (3) (講談社文庫)
【講談社】
発売日: 1981-09
参考価格: 440 円(税込)
販売価格: 440 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
|
|
カスタマー平均評価: 0
|
|
[ 単行本 ]
|
月末の勇者達へ―To brave men at the end of the month
・森田 正巳
【文芸社】
発売日: 2009-04-01
参考価格: 1,050 円(税込)
販売価格: 1,050 円(税込)
Amazonポイント: 10 pt
( 通常2〜5週間以内に発送 )
|
・森田 正巳
|
カスタマー平均評価: 5
想いのある方にお贈りしたい一冊です 想いのある方の心に響く、力強くも温かい言葉で満ち溢れた詩集です。
100編の詩の中に必ずあなたの心にも響く詩があるはずです。
自分の想いが間違っていないことを確かめられるお薦めの一冊です。
|
|
[ 単行本 ]
|
ドラえもん短歌
・枡野 浩一
【小学館】
発売日: 2005-09
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
Amazonポイント: 13 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 483円〜
|
・枡野 浩一
|
カスタマー平均評価: 5
「ドラえもん」世界に関する短歌のアンソロジー 現代短歌の新鋭枡野浩一さんの選んだ「ドラえもん」に関する短歌のアンソロジー。内容にくらべて値段が高い気もしますが、とにかくおもしろい。
気に入ったのは、
自転車で君を家まで送ってたどこでもドアがなくてよかった
ジャイアンがもうこの町にいないのは空き地が消えたせいなのだろう
「たけコプターは力学的にありえない」野暮な男と朝焼けを見る
しずかちゃん・ジャイアン・スネ夫の3人でバンドを結成しそうな気がする
中学にはいり変声期をむかえ剛田たけしの歌に深みが
ドラえもん無しでここまで生きてきた自分をもっと褒めてあげたい
ドラえもんがさらに好きになる ドラえもんを通して、人生が見えてくる一冊、といったら大げさか?
すーっと心にとけ込むような短歌が素晴らしいです。
「ドラえもんがいたら・・・」とか「あの道具があったら・・・」と思ったことがある人は多いと思いますが、不便が楽しいことだってありますから。
読むのは簡単。詠むのは難しい。 タイトルの通りですが・・・。
この本に書かれている短歌を読むのは簡単です。
でも、詠むのは難しいです。作者の皆さんの苦労が伝わってきます。
ドラえもんって面白い!だけじゃなく、こうして短歌にして表現してみると
なかなか奥が深い作品なんだなぁと実感しました。
この本を読んで少しでも短歌に興味を持った方は応募してみてはいかがでしょうか?
私のお気に入り作品は「自転車で 君を家まで 送ってた どこでもドアが なくてよかった」です。 ドラえもん短歌は「藤子不二雄B」である! 現存する世界No.1の男性歌人・枡野浩一がプロデュースした、『ドラえもん短歌』。一読して、うなってしまった! これはまさに、「ドラえもんブルース」、それこそ、「藤子不二雄B」である!! 漫画&アニメのドラえもんでは決して表現できないであろう、ある意味ダークサイドのドラ・ワールドを表現した短歌の数々・・・・。 黒いドラえもんという側面で例えれば、まさにB系ドラえもん! (そう言えば、ドラちゃんもジャイアンもB系ヒップホップ・ファッションが似合いそうだ。ジャイアンは歌手でなく、リアル・ギャングスタ・ラッパーを目指せば、大物になるかも・・・・)。 そして、短歌によってこれほど多様な世界を提示してくる『ドラえもん』という物語世界の強靭さに、やはり脱帽してしまうのだった。 英訳は無論、アジアの国々にも、訳して広めて欲しい一冊です。
|
|
[ 単行本 ]
|
ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi
・穂村 弘
【小学館】
発売日: 2003-05
参考価格: 998 円(税込)
販売価格: 998 円(税込)
Amazonポイント: 9 pt
( 通常2〜4週間以内に発送 )
中古価格: 207円〜
|
・穂村 弘
|
カスタマー平均評価: 4.5
短歌中級者?上級者向けの歌集 「土曜の夜はケータイ短歌」のゲスト歌人としても有名な穂村弘さんのベスト版歌集。
いままでに発行された歌集から穂村さんが選んだ短歌や、この本のために書き下ろした
新作短歌、エッセイなど、たっぷり収録されています。
あまり短歌の経験の無い初心者の方には解釈の難しい短歌も収録されていますので、
自分の短歌の幅を広げたい人や、もっと色々な形式の短歌を読んでみたい人にはぴったり。
私はこの歌集を読んでから短歌のとらえ方が変わりました。 心地よい軽さ 心地よい軽さ。ことば、発想の生み出すユーモラスな世界。穂村さんの短歌はポッポスの味わいです。好きなのは、
耳で飛ぶ象がほんとにいるのならおそろしいよねそいつのうんこ
桟橋で愛し合ってもかまわないがんこな汚れにザブがあるから
こんな目に君をあわせる人間はぼくのほかにはありはしないよ
蛍光ペンを爪に塗って「マニキュア」ってやったあの感じ 好きな言葉を、好きなように蛍光ペンでマークできていたのは、もういつのことになるだろうか。 本来なら自由に、その色が、赤が、青が、黄色が、緑が、そして彩られた言葉たちが光るのを楽しんで然るべきなのに、現在の私たちは、来週のテストの試験範囲や、旅行の日程や、役立つ就職情報や、重要な経済用語などといったつまらないものに、その用途を限定している。 果たしてこれでいいのだろうか?穂村弘は、誰もが忘れ去っていた幼少時の素直な高揚を、鮮明に描き出す。デビュー歌集『シンジケート』の代表的な歌に、既にそれは顕われている。 子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」 秘密基地、犯罪組織といった言葉が持つ、不思議な幼児性。著者はこのように、普段見落としがちな言葉の魅力を、ラインマーカーでチェックしていく。 また、この本はあくまで「Best of Homura Hiroshi」なので、それだけではなく、多様な一面を見せてくれる。 ウェディングドレス屋のショーウィンドウにヘレン・ケラーの無数の指紋 のように「三十一文字の小説家」としての技量を示したり、著者への手紙という形の「手紙魔まみ」では、 完璧な心の平和、ドライアイスに指をつけても平気だったよ のように無邪気な愛の全能感、そして痛みを描いたりと、他にも紹介しきれないが、微笑ましいものから怖いものまで幅広く収められている。 短歌に興味はあるけど、ちょっと取っ付き辛いなあ……という人にこそお薦めという意味で、まさにベスト盤だと思う。 男性歌人の、詩歌もいいよねえ 短歌集である。 形式にのっとり、伝統的な技法を使いながらも、現代的なことばと、現代的な情感を歌う、穂村弘が、ぼくは、気に入っている。 それに、女性歌人が元気な昨今、同じ男性として、応援したいという気持ちもある。 やっぱり、男性歌人の歌の方が、共感できる点が多いような気もしないではない。 年齢も、ぼくより7つ若いくらいだから、歌人がおじさんになって、自分への悲哀みたいなものがただよっているのを感じてしまう。 そして、甘さも優しさも、女性歌人のそれと、ちょっと違う。 なんか、まっすぐな甘さというか、木製の家具の優しさとでもいうか。 表現力がないので、これ以上、伝えられないが。 でも、力強さ、激しさもあるんですよ。 軽い毒と自己批判、刹那的な美 これまでの歌集の中の選りすぐられた歌が収められている。丁度、大切な部分をラインマーカーでマークするみたいに集めたというのが、タイトルの意味であろう。ちなみにこの本の表紙絵もラインマーカーで描かれている。 この歌人の歌の中には宗教的な匂いを持つ言葉が繰り返し登場する。それは、「許す」であり、「神父」「天使」「パイプアルガン」「洗礼」「馬小屋」である。これらはかなり歌人自身の宗教的なバックグラウンドと関連しているのではないかと思わせる。そして、この対極にあるのが、スカトロジックな露悪趣味である。宗教的な「善」的要素に対して、光と陰のような、この「悪」的要素が必ず出てくる。これらがこの歌人の歌の味となり、歌を深くしているものと思う。ショートストーリーも塊??められているが、やはり、短歌の方がずっと良い。 こわくなることもあるよと背を向けたまま鳥かごの窓を鳴らして(p.32,シンジケート) 恋びとの腋剃りあげて口づける夜明けの中に夏がきている(p.132,ラヴ・ハイウェイ) 穂村弘さんの歌には軽い毒と自己批判、刹那的な美を認める精神がある。何度も繰り返し読める歌集である。
|
|
[ 文庫 ]
|
シェイクスピア全集 (3) マクベス
・W. シェイクスピア
【筑摩書房】
発売日: 1996-12
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 114円〜
|
・W. シェイクスピア ・William Shakespeare
|
カスタマー平均評価: 4
悪人夫婦の対比が面白い マクベスとマクベス夫人の対比が面白い。最初は夫人に背中を押されて鼓舞、さらに罵倒されることでしか悪事に向かえなかったマクベスが、終盤には夫人をも圧倒する存在になり、逆に夫人はすっかり弱気で妄想に取り憑かれてしまうと言うキャラクターの入れ替わりが非常に作為的ではあるが面白い。
魔女の予言で「女の股から生まれたものはマクベスを倒せない」「バーナムの森が動かないかぎり安泰だ」といわれたマクベスが、どのように滅びていくかというのも非常に興味津々だった。これは読んでいて、なるほどと感心してしまう仕掛けだ。
物語を語る単調なドラマではなく、いわゆる「ボケ」「突っ込み」などが溢れる喜劇的なやりとりの中に、真情を吐露する独白が混じったり、セリフに文化的な教養や時事性、痛烈な皮肉があるのには驚いた。さらにセリフに溢れる罵詈雑言、猥雑さに驚き、「ライブ総合芸能」としての演劇のエネルギーというかエンターテイメント性に感心した。実際には衣装、舞台装置や照明、そして客の反応を見るような間が演出されたりするのだろうが、あまり馴染みがなかった「演劇」にがぜん興味が湧いてくる。
原典が古いうえ何通りもあること、さらに解釈が色々あるのが古典の常だが、国内外の前例を踏まえた丁寧な脚注や解説がそれらを補ってくれている。こちらは文学という学問ジャンルへの取り組み方の認識が改まるところだ。
水の上の泡 水の上の泡のように、出てきては消える魔女達の戯言にそそのかされた忠臣マクベス。野望に向かって、いくつもの悲劇を繰り返す彼の姿は、浅慮などという言葉で片付けるには、あまりにも悲しすぎる。 いつの時代にも起こりうる悲劇を、簡潔にshape upした戯曲、Shakespeareがいつまでも読み続けられる理由なのでしょう。
|
|
[ 単行本 ]
|
もしも世界が明日終わるとしたら
【PHP研究所】
発売日: 2006-01
参考価格: 1,155 円(税込)
販売価格: 1,155 円(税込)
Amazonポイント: 11 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 441円〜
|
|
カスタマー平均評価: 4.5
今の貴重さに気づく 私たちはこの平凡な幸せが明日も続くという前提で
日々をすごしていますが、
それは本当なのかと自問させられる本です。
(大丈夫と思っていなければ安心して過ごせないという
こともあるんですが)
今の時間の大切さに気づき、
より良い選択をすることができたら
いいのだろうなあと思います。
ややキリスト教的な文章が入っているかなと
思いましたが、最後に聖書から二カ所
引用されています。
今日が人生最後の日なら、さてあなたは
何をしますか、という問いかけを思い出しました。
1時間もあれば読み通せます。
本書の花々の写真に、美しさを感じ感動できたら
かなり大丈夫だと思います。
すぐに注文しました 友人の家で「写真がいっぱいで、いい詩がいっぱいですぐに読めるよぉ」って言われてすぐに注文しました。
「あの日が来るのを知っていたら。。。」大切な人がいなくなってしまうのをなかなか考えたくない,認めたくないけど、この詩を読むと、周りの人にもっと愛を配ろうって思いました。 明日が訪れますように・・・ 世界が終ってしまう、自分に明日が来ないとしたら、明日で全て終わりだと知っていたら私は何をするのだろう、何を考えるだろう。今日という日に何をしておくのだろう。
いってらっしゃいと玄関で見送った人が電車事故で帰らぬ人となり、さっきまで一緒にご飯を食べた人が交通事故で命を落とし、学校からただいまと帰ってくる子供が無残な姿となって無言の帰宅となる。災害に遭遇し、地域の防災に対する認識の薄さから人為的な事故と思われる痛ましい事故に巻き込まれる可能性もあって、いつどこで何が起こるかわからないのが現実でもある。
もしも、この世から自分がいなくなる事や大事な人がいなくなる事がわかっていたら、もしも、家族ともう二度と逢う事が出来ないのだとわかってさえいたら…。太陽が昇って沈んで一日が過ぎていく時の流れの中で「もしも…」と少しだけ心に留めて、今の気持ちを伝えてみよう。愛する人に想いを伝えておこう。そして大事な人を腕の中で抱きしめてあげよう。人の一生はどんなに頑張っても限りある時間だから大切に使いたい。だから今日という日を一生懸命に生きようと思う。
この本の中には、数十編の「わかっていたら…」の詩がある。強がっていても、哀しみを隠していても、愛を押し込んでいても誰もが心の隅に遠慮がちに息づかせている素直な気持ちを今、伝えてと願う本だと思う。今日の私に、今日の貴方にいつも幸せだと感じられる時間がたくさんありますように…そして、素敵な明日がまた訪れますようにと願いをこめて。
考えさせられました。 この本を友人から誕生日に貰いました。はじめ読んだ時には目に留まらなかった事も、二回目三回目になると目に飛び込んできました。
愛する人に・友人に読んでもらいたい本です。又、悩んでいる方・毎日に疲れてしまっている方にお勧めします。読んでいくうちに、自然と涙がこぼれ落ちていました。この本をくれた友人の気持ちが良く伝わり、毎日を大切に生きて行こうと。優しい気持ちになる本です。 心に染み入る詩 ふと開いたページに、控え気味に載っている詩を読んだとき、写真の影響もあるのでしょうか、心が温かくなるような、それでいて泣きたくなるような、そんな気分になりました。
「わかってさえいたら・・・」時間が戻らないのは分かっていても、それでも後悔せずにはいられない。
これが最後の電話だとわかっていたら/もう二度と会えないとわかっていたら/これが最後のキスだとわかっていたら・・・。
儚い文章を静かな風景が後押しする。
詩のもつ独特の雰囲気を、心のどこかを刺激する写真と共に味わうことが出来ます。
たまには物語ではなく、感情そのものに触れてみてはいかがでしょうか。
|
|
[ 単行本 ]
|
高柳重信読本
・高柳 重信
【角川学芸出版】
発売日: 2009-03-11
参考価格: 2,100 円(税込)
販売価格: 2,100 円(税込)
Amazonポイント: 21 pt
( 在庫あり。 )
|
・高柳 重信
|
カスタマー平均評価: 0
|
|