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[ 文庫 ]
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ノーザンライツ (新潮文庫)
・星野 道夫
【新潮社】
発売日: 2000-02
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 600円〜
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・星野 道夫
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カスタマー平均評価: 5
何度読んでも新鮮 昨夜暫らくぶりに“星野道夫”さんの本が読みたいと思い、久方ぶりに帰ってきた。
なんなんだろう。彼の本を読み返すのは1度や2度ではない。
ただその度ごとに新鮮な衝撃を与えてくれ、必ず泣かされる。
内容も知ってるはずなのに、である。
彼の本に共通する一貫した根底にある流れは、圧倒的な“やさしさ”であることは、周知のとおり。
それは、北風の寒い日に家の扉を開けた途端「お帰り」と言ってくれる母の声であり、
肌寒さをかき消してくれる、フワッとした毛布であり、
汗ばんだ体を冷ます一陣のそよ風のようなもの。誰もが知っている、懐かしい記憶。
察するに、自然と人、アメリカ、アラスカと日本人である自分という明確な立場を、
彼は意識してか無意識なのか常に精緻に嗅ぎ分けていて、そして誤りが無い。
ぶれがない。
的確に自分のいる場所であり、やっている事であり、おかれている立場をピンポイントで“わかっていた”。
それに、(一般的な)入植者と違い、神道の流れをくむ、日本人である彼は自然を征服する相手と捉えず、
自然の中で生かされている人間という立場をもきちんと“わかっていた”。
だからこそ彼の、大自然の営みに対する畏怖の念や、家族、隣人に対する温かい心遣いや、
アラスカの歴史や未来、自然と人を考える姿を前にして、私たちは圧倒的な憧れと共感を嵐のように受けまくる。
細胞が理性よりうんと先に反応してしまうのだろう、きっと。
私は、良本に出会うと読む前も、読んだ後も“ありがたい”という、思いで一杯になるが、
星野さんの本も完全に出会えてよかった、“ありがとう”と感謝で一杯になる。
星野さんを紹介してくれた義理の妹、ありがとう。
10年後に読んで 著者星野道夫氏が他界されて今月でちょうど10年。それを先日まで知らず偶然にもこの本と出会い数日間で読み終えた日に、著者とも深い関連があるシシュマレフで環境侵食が進んでいるというニュースを耳にした。
この本は、アラスカという土地がどういう歴史を歩んできたのか、ということが凝縮された本だと言える。我々日本人とまったく無関係に思われる極北の地、アラスカ。しかし、21世紀に入り世界中があらゆる問題を抱えている中で、アラスカの歴史は私たちに様々なことを教えてくれ、勇気を与えてくれる、そんな1冊だと思う。 宝物になりそうな本 図書館でふと手にして読み始めたら、すぐに引き込まれてしまいました。著者に関しては、アラスカに詳しい写真家さん、というくらいの認識しかなかったのですが、その卓越した文章力に唖然!「本当に写真家の人が書いたの?作家じゃなくて?」という感じでした。 アメリカの経済社会に組み込まれ変貌しつつあるアラスカを愛し、そこで生きていく人々の心の機微がとても丁寧に描かれていて、繊細なのに圧倒される、とてもパワフルな本です。アラスカの自然の描写も美しく、写真も多く載っていて興味深く読みすすめられます。 アメリカ政府による核実験の実験地にされかかったアラスカの町を、その危険性に気付いた人々が救っていくというエピソードは、事実なだけに胸を打つものがあります。 なぜか読んでるあいだずっと胸に熱いものがこみ上げてくるので、少しずつ読み進めました。ぜひ大勢の人に読んでもらいたいです。装丁が黒いのは、きっと喪に服する意味なのでしょうね。亡くなられたのが残念です。 アラスカ紀行 星野さんの文章には力があります。 それは読むものに対して強制してくるようなものではなく 気づいたときに星野さんの世界観にどっぷり浸かってるようです。 ポッと心に灯がともる感じがします。 それもアラスカの静寂の中に灯る光のようです。 北からの光が照らすもの アラスカという北の大地に根を張りながら、 毅然と生きている人々の姿が生き生きと描かれ いて、あたかもそれらの人々が自分の親しい人の 様に感じられます。 この本は丁度自分自身が病に倒れて入院している 時に出会あい、自分に生きることの素晴らしさと いうものを思い起こさせてくれ、勇気付けてくれた 大切な本です。 星野さんの新しい作品にもう触れることは出来ま せんが、残された本から彼の考えや経験と言った ものにふれることの出来ることはとても幸せなこと と思っています。 とにかく、読後アラスカに行ってみたい衝動に駆ら れることを請け負います。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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ぼくは猟師になった
・千松 信也
【リトル・モア】
発売日: 2008-09-02
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,080円〜
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・千松 信也
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カスタマー平均評価: 5
現代の猟師生活 若い猟師が、猟の仕方、獲物の解体、調理法をカラー写真付で説明した、稀有な本。
農業に関する本は山と出版されているが、猟師に関しては野蛮とのイメージからか非常に少ない。
猟師としては、東北・北海道で古い方法を用いて集団で狩猟を行う狩猟者集団=マタギが有名だが、元々縄文人は、土着の狩猟採集民であり、日本人は農耕民族と解されているが、祖先は狩猟民族であったのだ。
動物の殺生は、食用であれ野蛮と思われながらも、近年、屠場の本もチラホラと上梓されるようになってきた。
都会で切り身だけを見ていれば、実際の動物と食肉との関係を忘れてしまいがちではあるが、欧米では家畜以外にも野生種が今も食べられており、人は植物だろうが動物だろうが、生の営みを戴いて自身の生を維持している事を、本書は思い出させる。
猟師のイメージとして真っ先に思い浮かぶ鉄砲猟を、著者はしていないので、ワナ猟についてしか書かれていないが、鳥の網猟、休猟期の川・海などでの漁と、多彩な猟について触れられており、読者は、自然と人との関係を“捕って食う”の原点に戻って再確認するだろう。
答えは僕たち自身で出すべし。 かつて「肉」は高価で貴重な存在でした。
「食糧としての肉」が工業生産品と同様に「いつでも・どこでも」入手可能となった現代において「狩猟」の意義とは?
それはただの「道楽」なのか? だとすると反発を感じるべきなのか?
飾り気のないタイトルが示すとおり、京都に暮らす若者がふとしたことから「狩猟」の魅力にハマっていく過程が割と淡々と描かれております。
ユニークなのは著者が野生動物を狩る目的をはっきり「食べるため」としている点。
あくまでも「趣味」としてのハンティングではないのです。
著者はとうとう、自身のライフスタイルを狩猟生活に合わせるまでに至ったわけですが(住居の選択や融通のきく職場を選ぶなど)ことさらに狩猟の魅力を読み手に向けて強調するようなことはしません。
傍からはうかがい知れないその活動の詳細をイラストや写真も交えて詳しく描くことで貴重なルポとして十分読むに値する作品となっております。
猟師=ハンター=「銃を使った狩猟」という先入観を裏切る「わな猟」を通して獲物との駆け引きを繰り広げる様子には殺伐さはあまり感じられません。
だが、初めて罠にかかった生きた獲物(野生の鹿)の命を奪う際に心中を去来する様々な感情を描いた部分は非常にリアルで真摯さを感じました。
その後の解体→精肉までの一連の工程も飛ばさず描かれているのが興味深いですね。
本書は自然環境保護の視点から書かれたものではありませんが、山野で野生動物と向き合う中で生じる感情や感想には当然のようにエコロジカルな色調も強くなっており、経験に基づくだけに説得力も強い。
そうした点を踏まえた上で読み手に対して色んな事を考えさせずにはおかない本になっております。
「刺激的」な本をお探しならお薦めです。 ワナ猟を始めの一歩から垣間見て 著者が自ら「ワナ猟師」になると決めて、一から獣を獲って行く過程が描かれていて、緊迫感と驚嘆を持って読み進めることが出来ました。
家畜が飼育され、流れ作業で処理されて、スーパーの食品棚にパックされて置かれている肉が当たり前になっている現在においては、多くの人達が無縁となった「猟師の世界」を見せてもらい、自然の営みの中に人間を置く事によって、より生々しく、生命の尊さを身近に感じながら、自然の中に暮らしている人間(猟師)の姿を知る事が出来ました。
獲物は簡単に取れるのではなく、相手との一対一での知恵比べと、毎日の見回りと観察と言った地道な行動が結果につながり、旬の時期に自然の恵みを美味しく頂く事の喜びに溢れた世界を感じました。この本には、鴨猟も紹介されています。人間が昔から行ってきた本質的な猟が描かれていて、面白い本です。ただ、もう少し多くの例とかエピソードが書かれていると、もっと面白かったかも知れません。
まさしく狩猟生活の美学です。 わな猟という狩猟を中心にそのイロハをカラー写真による解説と共に狩猟に対するポリシーを熱く語る本というのは今までにないカテゴリーであり、興味津津で没頭して読みました。
香港などに行くと腹開きした豚や牛の肉塊、生きている鶏などをみかけるのですが、今の日本では、肉といえば薄くスライスしパックに入れられたものが店頭に並べてあり、そのものの形というのを魚でさえ見なくなりました。
自助自立で獲物を捕らえ、さばき、いのちの大切さを認識した食べ方はまさしく生きるという一流の美学そのものです。
シシ肉は獣臭がきついというイメージが刷新され、また鰹ではなく鹿肉のたたきなど、読者側にもその芳醇な味わいが伝わってきます。
獲物のしとめ方に「どつく」という言葉がありますが、これは「叩く」という軽い音がする打ち方ではなく、「殴る」でもなく、鈍くて重い打ち方を表現しています。
男の野趣な生き方を示した本であり、自然環境とマッチングした本来あるべき生活といった生き方の原点を教示しています。
普段のありきたりではない生活ぶりに対して大いに魅了されました。実におもしろい本です。 猟をしたことの無い日本人は必読 初めから精肉された牛や豚や鳥を食べている僕たちこそ読むべき書。そもそも「お肉」はスーパーやお肉屋さんに並ぶ前に、誰かがその生き物を殺して、様々な工程を経て僕たちの食卓に並ぶのです。あたりまえです。小学生でもわかります。でもその「お肉」を食べる僕たちはその「お肉」を身体として保有していた牛や豚や鳥を「殺している」という感覚が無い。その感覚は麻痺どころか、無くなってしまっている。殆どの人は見たことありません。そこで起こっている、血や叫びや臭いなんか全部捨てられた、無機質の「お肉」しかみたことないからです。本書の作者は正しく「食べるために」獣を「殺して」「解体」して「肉」にする。そこには「キャー」っていう要素が一杯ある。写真もある。でも僕たちはそれを正視し理解しなければならないのです。それが、僕たちの生き物に対する「義務」です。
そして本書のもっといいところは、生きるために猟師をやっている、という明確な立場があることです。ライフスタイルとして「狩猟」やってます、というものじゃなく、そこにあるのは「食べるため」という立場はすばらしいく、潔い気持ちが現れています。そんな作者のところへ来た見学者が、インスタントラーメンに獣肉を入れて食べている作者をみて幻滅するそうです。狩猟へのいびつな思いが幻滅させるのでしょう。でも作者は食うために狩猟をおこなっているのです。
こんな時代だからこそ読むべき書です。老いも若きも男女問わず必読ですね。
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[ 文庫 ]
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シュリーマン旅行記清国・日本 (講談社学術文庫 (1325))
・H.シュリーマン
【講談社】
発売日: 1998-04
参考価格: 840 円(税込)
販売価格: 840 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 266円〜
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・H.シュリーマン
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カスタマー平均評価: 5
読むと、元気が湧く本です。 不景気だし最近いいことないな、誰かに肯定されたいな、と思ったので「そうだ、日本と日本人を褒めてる本を読もう!」と思い、読んだ1冊。目的達成。シュリーマンに褒め倒され、元気になりました。
でも、今の私たちじゃなくて幕末時の日本人を褒めてるだよな、と思うと反省のほうが多い。この頃の日本人と今の日本人は別ものです。それが何故かはもちろんこの本に書いてないし、この本の感想にはならないのでパスしますが、二十歳以上ならば各々考えてみたほうがいい。
ところで、この本をタイムマシンと書いている方がいますが、その通りです。当時の日本人の生活や風俗をとても生き生きと描いている。
とは言え、観察者が外国人であるため首を傾げる記述もあり、江戸期がかなり遠くなったことから事象のアレコレが少しわかりにくかったりもします。求めるものが「理解」であるなら、幕末期や江戸風俗について書かれた本を並列して読み進めることを勧めます。
翻訳ものとしてはとても読みやすい、平易な文章なので、歴史好きならばオススメです! 驚きと感動 あのシュリーマンが幕末の日本を訪れていたなんて・・・
まず、そのことに素直に感動です。
そして、幕末の日本で見たこと聞いたこと体験したことについて
実に鋭い観察眼で日本を見ていることに感銘すら覚えます。
シュリーマンの見ていた日本は、今の日本には失われたのものば
かりのような気がしてなりません。
日本再発見の本です。 コンキチ&ナターシャの絵本ナビ 貿易などで発掘に必要な資金を用意できると
さっさと事業をたたみ世界旅行に出かけた時の
旅行記がこの作品です。
思い込みや間違いも多いですが、独特の審美眼で
清国と日本の風俗を観察し、イザベラ・バードの
ような西洋の目線で東洋を語るのではなく道具や
生活習慣にまで食い込み描写する様はまるで自分が
その場所にいるような錯覚を覚えるほどで不思議な
感覚になり読ませます、日本の質素で合理的な家や
食器などの道具を絶賛し、風通し良い世間といえる
社会構造がこの国の最大の魅力だと言っています。
あー江戸時代のほうが今の日本よりもしかしたら
幸福だったのかもと思ってしまうほどの褒めようで
恥ずかしくなるほどです。清国の旅行がよほど
合わなかったらしいことからの落差もあるでしょう。
楽しい読書もたまにはいかがでしょうか?
ドイツ語、英語、フランス語、オランダ語
スペイン語、ポルトガル語、スウェーデン語
イタリア語、ギリシア語、ラテン語、ロシア語
アラビア語、トルコ語と文章の丸暗記により
他国語を自由に操り旺盛な好奇心と冒険心で
トロイアの遺跡も彼の功績のひとつです。 幕末日本の庶民の様子を伝える貴重な見聞録 トロイア遺跡の発見で有名なシュリーマンは,その偉業を遂げる前の数年間,世界漫遊をしていた.その際,幕末の日本も訪れており,本書はその時の見聞録.
シュリーマンが当時の日本人に対して受けた印象は,礼儀正しい・親切・高慢不遜さがない・たいへん清潔とのことで,その前に訪れていた清国との違いに,たいへん驚いたらしい.また,西洋との文化の違い,例えば人々が家の中に家具類をほとんど置かない(持たない)ことなどについて,色々と彼なりの解釈・考察を繰り広げ,つぶさに記しているところが面白い.
シュリーマンが見た,今から五世代ほど前の日本人が持っていた習慣,あるいは美徳と言えたかもしれない性質は,今はもう失われてしまったのだろうか?それとも,普段意識しないようなところで生きているのだろうか.私たち自身を知るうえでも,貴重な本かもしれない. 本を開けば、一気に1865年の江戸の町へワープ! 1865年、江戸末期の日本。当時の日本について私がおぼろげに知っていたことは、教科書に書いてある非日常的なことや、時代小説の中の想像の世界に限られていました。しかし、シュリーマンが書いたこの旅行記は、私達を生きた江戸時代へそのまま運んでくれる、まさにタイムマシンです。秀逸な和訳(原文は仏語)による所も大きいのでしょうが、細やかで読みやすい描写が当時の日本人の息づかいや体温まで生き生きと感じさせてくれます。
日本を訪れたことのある知人達から何度もその素晴らしさについて聞かされていた著者は、日本へ行くことを永年夢見ていました。類まれな商才と語学力を生かし、やがて世界をまたにかける貿易商として成功、巨万の富を築きます。そして、その潤沢な資金を元に、43歳の時に世界漫遊の旅へ出発し、ようやく念願の日本へ。今この稀少な見聞録を手にしている私達にとって幸運だったのは、この著者が旺盛な好奇心、執拗な探究心、さらに異文化を暖かく受け入れる広い心の持ち主だったことです。
日本に滞在した期間はほんの1ヶ月程度だったようですが、その取材力と行動力は驚嘆に値します。聞くもの見るもの全てに興味を示し、それらをなるべく克明に記録に残そうとしています(雑貨類の細かい寸法まで!)。そして何より興味が尽きないのは、そんな著者の暖かい目に映った、純粋で愛すべき私達の祖先の姿です。貧しいながらも清潔で配慮の行き届いた生活ぶり、外国人である著者に無邪気な好奇心をあらわにしつつも懇切丁寧に接する町の人々、また決して賄賂を受け取ったりしない高潔な役人たち。銭湯が全て混浴で、性に対して大変おおらかな国民性に著者が新鮮な驚きを感じるあたり、いつしか自分もこの外国人著者と同じ視点に立ち驚きを共有していることに気づかされます。
そして読後に残る、心の痛み。それは、かつて存在したそんな日本と日本人の美徳に対する喪失感に他なりません。
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[ 単行本(ソフトカバー) ]
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中村江里子のわたし色のパリ
・中村 江里子
【ベストセラーズ】
発売日: 2009-03-14
参考価格: 1,575 円(税込)
販売価格: 1,575 円(税込)
Amazonポイント: 15 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,300円〜
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・中村 江里子
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カスタマー平均評価: 4.5
自然でエレガントな人 とても興味を持って楽しく読めました。この方の考え方は無理してつくったものでない、本当に育ってこられた環境の中で身についた自然な品格が感じられて好きです。生活にも人にもとても温かく丁寧に接していらっしゃり、ご本人のイメージどおり素直さと清潔感がにじみ出ていて・・。しっかりした意見を言っていても決して偉そうでなく、読んでいるうちにダラけていた心が無理なくシャンとして、さわやかな気持ちになれました。 質素堅実な江里子さん 個人的に江里子さんのファンですので、
フランスで生活する様子を伺う事ができ、嬉しく
楽しく読むことができました。
あっとういう間に、さらっと読めちゃいます。
以前出版されたエッセイは、江里子さんのブログが
そのまま本になっただけでがっかりな内容でした。
今回のエッセイは、カラーグラビアはやや少なめですが
ブログにも雑誌にもないものだった様に思います。
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[ 単行本 ]
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やっぱし板谷バカ三代
・ゲッツ 板谷
【角川グループパブリッシング】
発売日: 2009-02-28
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
Amazonポイント: 13 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 694円〜
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・ゲッツ 板谷
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カスタマー平均評価: 3.5
家族の絆 久々の板谷家ファンタジーは、大いに笑い、大いに泣ける本だった。
今までの「直感サバンナ」や「戦力外ポーク」と比べて、確かに毒はぬけたと思うが、このぐらいの毒の方が、私にとっては心地いい。
毎度のことながら、ゲッツさんの家族に対する深い愛情や家族の絆が、この作品には一番現われていた。
親が子を殺し、子が親を殺すなどと殺伐としたニュースを見るたびに、「板谷バカ三代を読んでりゃ、こんな悲しい事件は起こらなかったろうに・・・」と感じることが多々あった。
子育てや家族関係に悩む人は、是非「板谷バカ三代」シリーズを読んで、笑い飛ばしてほしい。家族の絆、そして力って、やっぱりすげぇ!
板谷バカ三代 イタッチ!!!終わったね!!!全然つまらない!!同じことの繰り返し!!!!初めて読む人はバカうけだよ。でもイタッチの本を前から読んでるもんは、もう書けないんだなー!!っておもってるよ!!つまらない!!!!!!!!!!! 決定打?! 後追いでゲッツさんの著書を昨年から読みはじめた私にとって、初のリアルタイム刊行ゲッツ本となります。
もったいなくて、まだ全部読み終えてないのですが。。。
「BESTっス!」が文字通りCDでいうベスト盤なら、本書はさしずめ「リミックスベスト盤」といった感触。
板谷家メンバーはじめ、冒頭のブカのおじさん、ベッチョ、秀吉、そしてキャームらサブキャラのエピソードいずれも既著で発表されたエピソードがチラホラ。
そこに新エピソードやあえて語られなかったエピソードを、リミックスのごとくちりばめられている。キャームの回でいえば、彼自身の病気や借金のエピソードは何度も記されてきたが、以前は語られなかった、彼の家族のエピソードが加えられている。
悪い言い方をしてしまうと、「前も読んだなあ、この話」的なエピソードがほとんどです。
前作の自動車免許講習や、ベッチョの電光石火、キャームのハトヤなどの爆笑必至・必殺の抱腹絶倒エピソードは無く、ゲッツ母の闘病エピソードを筆頭に、死や病気を題材としたウェットかつシリアスなエピソードが多い。
メジャーコードでパーティーライフ的・脳天気な歌詞ばっか歌っていたパンクバンドが、突然、人生や生と死をアコースティックギターを爪弾いてしまうような感覚に近い。
また、ゲッツ氏お得意の力技的比喩表現も全くと言っていいほど登場しない。
近年のゲッツ氏を取り巻く試練の連続からいって、本作の内容は仕方ないのかもしれないが、「やっぱし」活字で死ぬほど笑わせてくれる最強お笑いライター・ゲッツ氏の完全復活を望みます。 ん?ちょっとテンション下がってる? 以前の作品のようにホントかネタか分からないようなエピソードを
軽快な調子で面白おかしく書いてた時と基本的に変わらないのですが、
なんとなくテンションが下がっているような... いろいろあっても、それも人生 板谷家のみなさんが、それぞれに一所懸命に生きている様が感じ取れて、たいへんに好感を持てた。家族以外のメンバーも含めて、それぞれの持ち味がハーモニーを奏でているように思う。
母上への思いが綴られている所は、純粋で、ありのままで、正直で、素直で、人間らしくて、非常に心を打たれた。
本の主旨からすると書きづらい内容であっても、この箇所があることにより、非常に読み応えのある味わい深いストーリーとなったのだと思う。
板谷家の皆様の、今後の発展とご健康をお祈りしないではいられない。
最後に、ゲッツさん。ファンのためにも、ず?っと健康でいてください。
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[ 新書 ]
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バカの壁 (新潮新書)
・養老 孟司
【新潮社】
発売日: 2003-04-10
参考価格: 714 円(税込)
販売価格: 714 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・養老 孟司
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カスタマー平均評価: 3
難しそうに書いたものをありがたがるのはもう止そう 書いてあることが非論理的、独りよがり。部分的には同意できるところが多々あるが、ありがたがって読むほどとは思えない。ベストセラーになったのは刺激的なタイトルゆえか、著者の経歴のゆえか、非常に疑問。難しそうに書いたものをありがたがるのはもう止そう。 部分部分に面白さ 「バカの壁」とは,人間は自分の脳に入ることしか理解できず,自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまうことである。「バカの壁」についての考察はそれほどなく,脳,学問,意識,身体,共同体,社会のことなどについての著者の考えが述べられている。新書本なのでそこまで根拠が明確なわけではない。
なぜこれほどまでに売れたかはわからないが,やはり長年,学者をやってきた人なので,学問や学生に対する考察は面白い。
例えば,人間は日に日に変化するが,情報は不変であると定義し,「学問というものは,生きているもの,万物流転するものをいかに情報という変わらないものに換えるかという作業です。それが本当の学問です。そこの能力が,最近の学生は非常に弱い」(p164)。「(学問は)壁を一歩登って見晴らしをよくする,というのが動機じゃなくなってきた。知ることによって世界の見方が変わる,ということがわからなくなってきた。愛人とか競走馬を持つのがモチベーションになってしまっている」(p201)などである。
経済について書かれたところはやや生煮え。脳科学者だから仕方ないが。 養老孟司流”行動論” 人間の脳は自分に都合の悪いこと、知りたくないこと、自分の行動に影響を及ぼさないことを自主的にシャットダウンする。男子医学生は出産のビデオを見て「知っている。」が「わからない。」しかし、女子医学生は「わかる。」911テロは「知っている。」が「わかっていない。」
この本は単に脳の機能や社会に対する批判をした本ではない。赤ん坊が脳から信号を出して手を動かす。それを目で見て脳が確認する。「こう念じれば、こう動く。」脳への入力、外部への出力。どちらも欠かしてはいけない。入力(情報の収集)ばかりでは「わからない。」それを元にして出力した結果(行動の結果)をフィード・バックした結果「わかる。」のであって、知識は使ってみて、その結果を体験しないと本当の意味で「わからない。」
行動あるいは経験の伴わない、一方通行の知識は一元論となり原理主義を生み出す。そして「自分と違う立場のことは見えなくなる。」
話題が次々と変わって難解ではあるが、他の著作も読んでみると主張は一貫している。こんな観点で、しかも「人がわかり合えない理由」を説明した、まさに『目から鱗』の行動論の本。4年前に最初に読んでから何度も読み返した。これがわかる人には必ず良い行動指針になると思う。 いまさらですが いまさらながら(笑)
タイトルに惹かれたこととベストセラーなので読んでみました。
投げかけとしての問題提起はすばらしいです。
また現在の一元論を認識させ、二元論への提言といった流れは一般的にも言われることですが、それを身近でわかりやすく、かつ「バカの壁」というフレーズを使用したセンスもおもしろいと感じます。
ただ著者の得意分野(解剖学からの脳分析)に関しては、問題提起に対する答えとしては逆に深みがたりない気がします。
また少なからず、論理展開が中途半端でおわっているような印象や深さに物足りなさを感じる部分もあります。
しかし軽く読める本ですし、費用対効果で考えれば一読をお薦めできます。 目新しい視点とすっきりした読後感がある 本書は著者の話を編集者が文章に起こして再構成したものだ。したがって一貫性があまり感じられない面もあるが、逆に著者の思考がすぐに顔を出してくる気がする。
日本社会では「共通理解」を求められるにも関わらず、「個性を発揮しろ」という矛盾した指示が出るという話から、その結果派生したのが「マニュアル人間であり、それは実はどういう態度を表しているかという話は、非常に興味深かった。通常の捉え方から一段深いなと感じた。
また、ある宗教団体を盲信した若者を捉えた仕組みが何であったかや、生きる意味とはという古典的な話題まで、興味が尽きずにあっと言う間に終わる本だ。
法事で久しぶりにあった親戚のおじさんに説教されているような気分だが、爽快感がある読後感だ。
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[ 文庫 ]
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春になったら苺を摘みに (新潮文庫)
・梨木 香歩
【新潮社】
発売日: 2006-02
参考価格: 420 円(税込)
販売価格: 420 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・梨木 香歩
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カスタマー平均評価: 5
再読できる本。 梨木さんの小説を何冊か読んで、それはそれで感動したのですが、この本で筆者への印象は随分変わりました。再読する度、ほかのレビューにもあるように、深く人間を理解しようとする筆者の姿勢に共感します。
その幅は、国や政治、宗教の違いだけでなく、パーソナリティの問題や犯罪、あるいは働く女性と主婦との違いまで広く行き渡っています。私たちが日常生活を送るうえで、たびたび遭遇するこれらの問題はとても根深い。
私たちはその問題と自分たちとは違う、と簡単に言い切り他人との間に塀をつくるか、あるいは塀をつくるな、と簡単なスローガンにしがちです。しかし、実際の問題解決は大変難しい。その難しいことをとにかく相手を受け入れるという形で実践してきたのがウェスト夫人でした。こういうひとが地球のどこかに存在しているのだ、ということが私にはとても嬉しいことでした。そして自分も常にこうなれるだろうかと自問が始まるのです。同じ場面自分ならどうしていくだろうかと。
このエッセイは、なので自分にとってはちょっと気が重く、しかし勇気付けられもする不思議な本です。 アスペルガーのジョン 「西の魔女が死んだ」と一緒に買って読みました。
この本は、ウェスト夫人を核にした著者を取り巻く人々(あるいは、つかの間すれ違った人達)を描写した、いわば文章によるポートレートです。その交遊から呼び起こされるそれぞれの人となり、それに対する著者の考えは、硬質でありながらよどみない文体によって淡々と、しかし強い思いをもって語られていきます。
エッセイとひとくくりにしてしまってはあまりにも軽すぎる、この人の観察眼の確かさ、思考の緻密さに驚嘆しました。
個人的に特に興味をひいたのは、ボーダーレス(病名ではなく、彼の行動による)のエイドリアン、アスペルガー症候群のジョンといった、世間からやや距離をおかれてしまう人々についての記述です。おそらく著者も似たような気質を持ち合わせてのでしょう。知らないものを「理解はできないが受け入れる」ウエスト夫人の姿勢とはちがい、著者は彼らに対して、深いところでつながる共感のような気持ちを抱きながら相対しているようです。
(うがった見方をすれば、著者は他人よりもややその気質が強いために非常な努力を重ねて自分に不足する能力を補い、ここまでの観察眼を身につけ、社会に溶け込んだのではないか、とさえ思えます。あくまでも想像ですが)
そして著者の共感という深いフィルターを潜り抜けて昇華された彼らの内面性は、著者の描く小説の人物それぞれの人格に鮮やかに肉付けをされてよみがえってくるかのような印象を与えます。どの登場人物が誰の気質を受け継いでいるのか、想像してみるのも楽しいかもしれません。 おとなのためのお伽噺 児童文学というのは童心を忘れない人が書くものだとばかり思っていたが、
人間の弱さや頑なな心や業をひっくるめた人間そのもの、そして生き物全般に
たいする深いまなざしと慈愛があってこそ生まれるものなのだと思った。
梨木さんの著書で小学館文学賞の受賞作でもある「西の魔女が死んだ」を読んだとき、
クウォーターの女の子が英国人の祖母の元で暮らす、その暮らしぶりに土着のものを感じ、
これは体験を通じてしか成しえない表現ではないだろうかと感嘆の思いだったが、
その意味がわかった。
エッセイと呼ぶにはあまりにも多くの物語と土地土地の匂い、人々とのふれあいに
満ち満ちたおとなのための真実のお伽噺。 温かなエッセイ・そのバックグラウンドには「地球」がある☆ なるべく相手の考えや境遇を理解しようと思って生きてきた。けれど、本文中の
「分かり合えない、っていうのは案外大事なことかもしれないねえ」という言葉に、ショウゲキ☆
この言葉も、著者である梨木さんがペンを執ると、なんてさりげない温かさを感じるものになるのだろう、と感じた。
他にも、エッセイ風のこの作品には、たくさんの人物が登場。ウエスト夫人を筆頭に、個性的かつK・・(←著者?)が接する人々は著者の類い稀なる洞察力によって、イキイキと描かれている。いろんな人を描いているのではなく、いろんな人種・その習慣を描いている。
「理解はできないが受け容れる。ということを観念上だけのものにしない、ということ。」
さりげなく温かく綴られたこの本には、地球を思う時間を与えられているような気がした。
のんびりと読んでほしい。描写を想像しながら☆
温かなエッセイだけれど、そのバックグラウンドには「地球」がある。 眼差しが深いです。 感動しました。梨木さんの下宿先の女主人、ウェスト夫人の稀に見る人となり、ウェストロードというコミュニティのおおらかな温かさ。登場人物一人ひとりが、まるで表紙の春を待つ愛らしい葉っぱたちのように、重なりながら寄り添いながら生きています。共存とは異質なもの、理解を超えるものまでも受け入れ、包み込むこと!しかも聖人君主然としてではなく、生身の人間の温かさで。そして行動する、敢然と。惚れ惚れするような潔さとユーモア。そして随所に散りばめられた思索と洞察の深さが、世界を混沌から救い出してくれるような気にさえなりました。「自分の信念に絶えず冷静に疑問を突きつけること…相反するベクトルを…一人の人間の中に内在させることは可能なのだろうか…」という一片の思索に考えさせられました。もしそれが可能であるならば、人類の未来は明るいものになるのでしょう。もし可能でなければ…信念に基づく争いがさらに生まれ続けるしかないのでしょうか。はたして私たちの精神は、もっともっと逞しく、「相反するベクトル」を内包するに耐えうるだけの、そしてさらに調和させうるだけの成長を遂げることができるのでしょうか。
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[ 単行本 ]
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ま、いっか。
・浅田 次郎
【集英社】
発売日: 2009-02-26
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 670円〜
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・浅田 次郎
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カスタマー平均評価: 5
絶品のエッセイ 浅田氏のエッセイ集はどれも非常に面白い。小説もいいがエッセイもかなりいい作家である。
自身の苦労話やその時勢に即した話がとても面白く描かれているため、いつも一気に読んでしまう。
本書は「男の本音」や「ふるさとと旅」、「ことばについて」など各ジャンル毎に章纏めされているがどの章も全く期待を外すことはない。また、面白いだけでなく、相応に教養も身に付くような気がする。
軽い話が多いのでリラックスしたい時にお薦め。
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[ 単行本 ]
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自分へのごほうび
・住吉 美紀
【幻冬舎】
発売日: 2009-03
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
Amazonポイント: 13 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 940円〜
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・住吉 美紀
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カスタマー平均評価: 4.5
珠玉のエッセイ集 まず、この本はタレント本とは一線を画している。
まったくの別ものといってもいいだろう。
久しぶりに出会った秀逸なエッセイ集である。
日常の何気ない風景を独特の切り口で表現し、それを彼女特有の”スパイス”を添えて
読者に供してくれる本作は、向田邦子のそれにも通じるところがある。もちろん本作が
一作目ということもあって、文学としての位置づけはまだ難しいだろう。しかし、私たち
がその見落としがちな日常の出来事の中に、生きる喜びを見出すその世界観と”感力”は、
新人エッセイストとしての芽を充分に予感させる。
一つ一つの文章はシンプルな文体で書かれていて、それらの積み重なりが文章全体に魂の
こもった”強さ”と”意思”を感じさせる。また、それゆえに時折見せる彼女の”弱さ”
が、読者には大きな共感をもって迫ってくるのだ。
また、本全体の構成も非常によく練られている。数か所に挿入されている詩には、彼女自身
の世界観がいっぱいに盛られており、本全体に映画のような心地よいリズムを与えている。
著者が迷い、努め、悩み、そして生きてきたすべてを、一つ一つ愛でるように紡いでいく。
今日もどこかで私たちと同じ空を見上げて、彼女はにっこり微笑んでいるのかもしれない。
読了感として、そんなことを思った。
休日の午後にお似合いの一冊 アナウンサー住吉美紀さんの、文字通り「自分へのごほうび」を綴った本です。
辛い時、疲れた時、ふと何かをやりたくなった時、やってみたことが綴られています。
ただ、それがやはり体力勝負のアナウンサーの方だけあって、普通ではない。「鼻うがいポット」にしても「ヨガをする」にしても、「素人なのにここまでやるか」という感想はあります。
ゆるゆるとした、だが少し体育会系の「自分へのごほうび」。読むのは休日がお薦めです。
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[ 文庫 ]
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たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)
【岩波書店】
発売日: 2009-04-16
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 390円〜
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カスタマー平均評価: 5
余裕ある時代の余裕ある文学の好訳 ジェイムズやモームの読みやすい翻訳で定評のある行方氏による、英国20世紀のエッセー
の訳。ガードナー、ルーカス、リンド、ミルンのエッセーは、日本では大学受験から教養課程の英語の素材としてかなりの時期読まれた。英語授業の実用化が求められる中、ほとんど
読まれなくなってしまったけれど、試しに現在の学生さんに読ませてみると結構面白がるようだ。余裕ある時代の余裕ある文学の良さがかれらのエッセーにはあり、その良さが行方訳で巧みに伝わってくる。かつて四人のエッセイストの作品を読んだ方々にも、また四人の名前も聞いたことがない若い世代の人々にも、是非薦めたい。
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