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[ 単行本 ]
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エネルギー(下)
・黒木 亮
【日経BP社】
発売日: 2008-08-28
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,165円〜
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・黒木 亮
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カスタマー平均評価: 4
すさまじい取材・分析の成果物 エネルギー源価格が高騰し各国がその囲い込みに走る中でタイムリーなテーマであるが、本書では原油、天然ガスをめぐる投機の動き、イランやサハリンにおける開発の動きなどが政治的な動きを含めてこれでもかというくらいに緻密に述べられており、ほぼノンフィクションといってもよいくらいの内容。新聞などで報じられている表面的な事実の裏で、エネルギー源をめぐって国際的にこんな動きになっていたんだということがよく理解できた。ただ、構図が分かってますます我が国のエネルギー安全保障の脆弱性に危機感を持ってしまった。内ゲバに興じている場合ではない。 ■黒木さん、相変わらずキレ味鋭いです。 ・面白かったです。黒木亮ファンなので著作はほとんど読んでいます。
・個人的には下巻では”第14章 破綻”が面白かったです。
・かの有名な”CAO経営破綻事件”を取り上げています。
?中国国営の航空燃料供給大手の中国航空油料集団の子会社CAOがデリバティブ取引で約560億円の損失を出した事件をリアルに再現しています。事件は確か2004年だったと思いますが、構図や親会社とのやり取りがどこまでがノンフィクションで、どこからがフィクションなのかは全く分からないほどです。
?その当事者であるCAO社長の苦悩もさることながら、日本のサラリーマンの中では狡猾であろうと思われる住友銀行マンがいとも簡単に嵌められていく様、商品相場の根本的な構造変化を理解せず損を重ねる様々な関係者の思惑がリアルに描かれています。エンロンにせよ、CAOにせよ、破綻する直前まで世界の優良企業と持て囃されていたのこともぞっとします。
・今回も購入して損はしない作品に仕上がっていると思います。
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[ 単行本 ]
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責任に時効なし―小説 巨額粉飾
・嶋田 賢三郎
【アートデイズ】
発売日: 2008-10
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 861円〜
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・嶋田 賢三郎
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カスタマー平均評価: 4
当事者が語るカネボウ事件 粉飾決算の責任を自社以上に担当の会計士にかぶせているように読めるのは若干いただけなかったが、当事者が率直な語り口で事件の全容を語っていて類似の事件が再発しないように、とのケーススタディとして価値が高いと感じた。 コーポレートガバナンス:粉飾に気づいた役員としての対処の悪例 汚名挽回ならず、です。内容は粉飾に巻き込まれた一役員の間違った対応で、惨憺たるものでした。この対応例は、将来コーポレートガバナンス・ケーススタディの悪例として教科書に載せられるかもしれません。あとは、飛ばしのスキーム図を見たい人には読んでみると良いかもしれないという程度です。
数十年もの間続いた未曾有の粉飾に経理プロフェッショナルとして立ち会って、主人公の番匠は為すべきことをしませんでした。告発、退職、然るべき選択肢はいくらでもあったはず。他の当事者に発言の機会を与えない、このような形での出版には悪意に満ちた暴露本としての意味しか持たず、自己正当化に帰結しているのが残念でした。「責任に時効なし」、この言葉をそのまま著者にお返しします。
それでも、上司に苦言を呈したというだけで、イコール「権力と戦った」、日本のサラリーマンには読んでいて胸のすく思いがするのでしょうか。女性にもてると思いこんでいる主人公も滑稽です。この本は当然検察もチェックしているでしょうし(02年決算の記憶がない、の部分も含めて)、読者には、暴露本というものは概ね著者に都合良く書かれていることを念頭において読むことをおすすめいたします。 リアリティある(と思わせる)内容 粉飾のテクニックや、企業内、会計士とのやり取りなど、実務を経験した人でないと書けないような内容が随所に見られ、「これは本物だ」と感じ、グイグイと引き込まれていきました。
上司に粉飾を要求され、拒否し続ける主人公。早く辞表を出せばいいのに、などと感情移入してしまいました。
一方で、小説として読むなら極めて面白いのですが、カネボウの元常務さんという著者の立場からすると、どうしても、著者以外の関係者の悪行を暴露するという形になってしまっており、本当に真実がこの本のとおりなのか、他の人に弁明する方法のない、このような方法で暴露することが果たして適切なことなのか、という点に疑問を感じました。
また、主人公は女性にもてもて、という感じに書かれていますが、他の部分が事実を元にしていることが見え見えなのに、女性関係だけがフィクション見え見えで違和感がありました。 自己の正当化? 期待して読んでみたのですが、主人公以外の人は皆馬鹿で、主人公だけが正しくて、主人公は全ての被害者だ、と言っているだけ、に読めました。経済暴露本としては面白いかもしれませんが、小説と呼ぶほど面白くはありません。 名門企業も舵取る人達の倫理観で沈む。 明治の半ばに設立され120年の超名門企業の一つ「トウボウ」は、兵頭忠士社長と桜木英智副社長のコンビが嘘に嘘を厚塗りし、しかも昔から歴代のトップが粉飾に手を染めてきた腐りきった組織の内輪話だ。一応架空とはしても誰もが知っている大事件をそのまま名前を置き換え、臨場感に溢れ、読みやすい文体で560ページの大作も読者を飽きさせない。しかしそれにしてもエンロン事件以降、新会社法、金融商品取引法にて企業に更に網を掛け、企業統治だ、内部統制だ、企業コンプライアンスだ、Going Concernだと、言葉が先走り氾濫しているが、これで「トウボウ」のような企業犯罪はなくなっていくのだろうか。段々米国的に株主に眼を向けるようになり株主の為のみに経営を行なっているような昨今、四半期の近視眼的な業績に血眼になり、業績不振を責められ、赤字どころか債務超過に陥るような瀬戸際には、「トウボウ」のように倫理より利益を選んでしまう企業や経営者はなくならないのでは。また米国とまではいかないが、代々トップは経営責任より役員報酬、役員慰労金に興味あり、不祥事はそのまま後任に受け継がれる企業もなくならないのでは。兵頭社長や桜木副社長から「決算数字を何とかしろ」と厳命を受けるように、一般企業も経営トップの不法行為に敢然と阻止できない管理部門責任者も出てくるのでは。結局は社長の資質の低さ、倫理観の欠如、統帥権の使い方の誤り、それに保身が邪魔をし、内部通報も機能せず、監査法人の監査自体も限界があり、監査役会は未だに機能しないという、これら全てが合わさればまたいつかエンロン級とは言わなくとも「トウボウ」級はすぐ次にそっと控えているか。
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[ 単行本 ]
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ハゲタカ〈上〉
・真山 仁
【ダイヤモンド社】
発売日: 2004-12
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格:
中古価格: 809円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
楽しめました。 会話部分が多く、描写も凝っていないので、
比較的読みやすい経済小説だといえるでしょう。
読んでいて感じたのは、
1.ストーリーの構成バランスが悪い…。
2.名称の付け方が萎える…。
という点です。
個人的には、
「なぜ、ここにページ数を使うんだろ…」
「なんで、ここを省略するんだ!?」
と思う部分が多々あり、バランスの悪さが特に気になりました。
とはいえ、
全体でみると十分楽しめるデキだったので評価は星4つとさせていただきました。 大型新人の登場を予感させる人物描写とストーリー展開 本書は、経済小説の通例として、不良債権とは何だったのか、ハゲタカとはどういう存在だったのかを分かりやすく教えてくれます。
しかし、それだけではありません。人間ドラマの部分もよく書き込まれていて、企業を立て直そうと命を賭ける人々と不良債権でポロ儲けするファンド側の主人公が織りなす物語から目が離せません。
本書はバブルの崩壊直前の1989年からスタートします。
冒頭、なぞの人物が「おのれ! 大蔵省!」と叫んで割腹自殺します。場面はニューヨークに飛び、なぞの人物の息子と思われるピアニスト志望の青年が登場。アルバイトでバイヤーをやっているうちに投資家としての才能を開花させた青年が、父の割腹自殺の知らせを聞いて、ピアノを捨ててハゲタカ投資家になることを決意します。
他に、銀行の仕事に限界を感じて企業再建家を目指すようになったエリート銀行員や、親の放漫経営に厭気がさしつつも、実家のホテルの経営危機を救おうとする女性主人公も登場します。
ハゲタカの鮮やかな手腕が発揮され、青年は安く企業を買って高く売り抜け、利益を蓄えます。
舞台が2001年に飛び、いよいよ3人の主人公がクロスしはじめて……。
続きは下巻を読んでのお楽しみ、ということになりました。
ぶ厚い本なのに、読者を飽きさせません。
人物の生き方にも深みを予感させます。
読み応えのある書き手を見つけました。 綿密な取材を踏まえた生々しい描写が魅力 特定の主人公を置くわけではなく、アメリカのハゲタカファンドの日本人社長と、経営破綻したスーパーを再建するために友人に請われて邦銀からスピンアウトしたスーパーの社長と、これも経営に行き詰まっているホテルを建て直そうとしている女社長の三者の生き様をそれぞれ描く独特のスタイル。三者とも金融問題に直面している、そして日本に対する高い愛国心を持っているという共通点があり、同時並行でそれぞれのストーリーが進んでいく中で、相互に影響し合う。バブル前後の日本経済の状況を忠実に描写し、また、実在の企業をモデルにしているので、ノンフィクション性の高いフィクションであると言える。バブル期の金融機関の経営やコンプライアンスがどれほど緩んでいたのか、バブル後の金融機関の貸しはがし、貸し渋りでどれだけ地方の中小企業が影響を被ったのかなどといったことについて、アウトサイダーとしてはこれまで実感が湧かなかったのだが、本書を読むと、そのあたりがかなり生々しく描写されており、知的好奇心が刺激されてついつい引き込まれてしまう。かなりの長編小説であるが、中だるみもなく、興味深く読ませてもらった。 バブル崩壊後の日本経済のダイナミズムを描く バブル崩壊後の日本社会で、次々と潰れていく企業。そしてそれに伴い増えていく不良債権。護送船団方式で保護されてきた日本の金融機関はその増え続ける不良資産を金に換える術を持たない。しかたなく二束三文で外資系金融機関に売りつけるのだが、そこはまさにハゲタカが死肉を漁る修羅場と化している。結局、それを金のなる木に変える数少ない錬金術を持つのが主人公の一人である鷲津が率いる外資系プライベートエクイティーファンドなのである。邦銀から買い取った債権を使って、安閑としていた放漫経営の企業を建て直し、あるいはばら売りし、邦銀では出来ないようなリターンを上げる。今でもしがらみの中に生きる邦銀ではどこまでやれるか分からない。 バブル崩壊後のこの10年余りの間にこの日本という国を舞台に起きた経済闘争を、小説を通じて如実にあらわしている傑作である。限りなく真実に近いと思われる筆者のプロットは非常に面白く、エキサイティングであると同時に金融関係者や企業経営者などの専門家の世界で起きている事象を分かり易く伝えてくれている。 イケテます!痛快で、興味深しこと多々の話でした アメリカで、「ゴールデン・イーグル」と恐れられた凄腕の日本人買収屋が主人公。その日本人が、投資ファンドの社長として、日本へ帰国。日本で、倒産(寸前)の会社を、安く買い、企業価値を向上させ、あるいは分解して、高く売ることで、日本で金儲けを狙います。知力、政治力、財力等を尽くす、主人公は、日本で成功できるのか、そして、隠された目的は??? 主人公のファンドが、メガバンクや放漫経営の中小企業等を狙って、銀行や他のファンド、政治権力等と闘っていきます。 同時に、架空のメガバンクの不良債権処理を中心となって担う熱きビジネスマン、老舗ホテルの立て直しに挑む若い女性の後継者、かれら3人の運命が、重なっていきます。 興味深いこと多々でした。フィクションなのでしょうが、外資の怪しげな(??)投資会社って、こんな仕事してるのか、メガバンク内の政治ごっこ、企業のターンアラウンド、企業間の情報戦等など、いろいろな面で、勉強になります。 また、小説としても、かなりイケテル!感じです。プロットも興味深いし、主人公たちも、魅力的です。知力を尽くした「ばかしあい」で、法律の範囲内の「コンゲーム」を楽しんでいるような本でした。 一気に、上下巻読みました。全然この分野については、素人ですが、相当楽しめました。
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[ 単行本 ]
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ハゲタカ〈下〉
・真山 仁
【ダイヤモンド社】
発売日: 2004-12
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 通常2〜4週間以内に発送 )
中古価格: 979円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
バブルに何も手を打たなかった日本に猛省を促す「ハゲタカ」 いよいよ3人の主人公がクロスしはじめたところで、上巻は終わりました。
下巻は、ハゲタカ投資家の青年が、老舗の中堅菓子メーカーの債権を買い取って経営権を手に入れる過程からスタートします。経営に失敗して多額の負債を負っているというのに、この会社のオーナー一族は、自分たちの豪奢な生活を会社のカネでまかない続けることを当然と考えています。
あまりにどん欲で身勝手なオーナー一族の姿を見せられるうちに、なんだかハゲタカ青年が正義の味方のように見えてくるから不思議です。
「そうだ、そんなごう慢なやつらは会社から追い出してしまえ!」
労働組合や他の関係者のあと押しを得ながら青年がオーナー一族を追放し、読者は青年が悪人ではないことを確信します。
青年は次のように指摘します。
経済成長自体は、間違いなく日本が世界に誇れたことですから。
ただ問題は、その翳りを見落としたことであり、それ以上にバブル
以降に何もしなかったことです。
つづいて、栃木県の代表的地方銀行である足助銀行の破綻をきっかけに、中禅寺湖、日光を舞台にした、老舗ホテル経営権の攻防がスタート。ホテルを手に入れようとするハゲタカファンドの青年と、老舗ホテルの経営再建に腐心する女性主人公が対峙し、いよいよ、全ての伏線がつながりはじめます。
上巻ではピアノに近寄らなかった青年がピアノの名演奏をかなでることで物語が展開しはじめ、父親の割腹自殺の真相がとうとう明かされます。ホテル買収のゆくえと、ハゲタカ青年の胸に去来する想いとは……。
上巻で感じた名作の予感を裏切らない終章でした。
下巻だけで300ページ以上ある長編が、不思議とが長く感じません。 綿密な取材に基づいた生々しい描写が魅力 特定の主人公を置くわけではなく、アメリカのハゲタカファンドの日本人社長と、経営破綻したスーパーを再建するために友人に請われて邦銀からスピンアウトしたスーパーの社長と、これも経営に行き詰まっているホテルを建て直そうとしている女社長の三者の生き様をそれぞれ描く独特のスタイル。三者とも金融問題に直面している、そして日本に対する高い愛国心を持っているという共通点があり、同時並行でそれぞれのストーリーが進んでいく中で、相互に影響し合う。バブル前後の日本経済の状況を忠実に描写し、また、実在の企業をモデルにしているので、ノンフィクション性の高いフィクションであると言える。バブル期の金融機関の経営やコンプライアンスがどれほど緩んでいたのか、バブル後の金融機関の貸しはがし、貸し渋りでどれだけ地方の中小企業が影響を被ったのかなどといったことについて、アウトサイダーとしてはこれまで実感が湧かなかったのだが、本書を読むと、そのあたりがかなり生々しく描写されており、知的好奇心が刺激されてついつい引き込まれてしまう。かなりの長編小説であるが、中だるみもなく、興味深く読ませてもらった。 エキサイティングな一冊!企業の再建で救いはあるのか? どこまでがフィクションでどこまでが事実をベースにして書かれたのか判別が出来ないくらいに迫真の筋書きが続くこの下巻。上巻以上にエキサイティングな続きである。本書を読んでいて思った。数年前に日本の長信銀や地銀が破綻後に外資系買収ファンドに買収されたが、何ゆえ破綻銀行は彼らのターゲットになったのか?また、ごく最近、外資系投資銀行や政府系機関が地方の温泉旅館を立て直しているが、現実の背後にある経済論理はなんなのか?こういったものがこの下巻では多く描かれている。私にとっては目から鱗だった。 さらにこの下巻では、主人公達の心理の奥底まで迫っていく。潰れかかった企業を再生させるといことがどういうことなのか、企業経営をするとはどういうことなのか、当事者達の心理の綾を交えながら語っている。 この過酷な物語に救いはあるのか?!最後はご自身の目で確認して欲しい。 難しいテーマをこれだけ面白く書けるなんて 非常に丹念に調べたのだろうなあ、と思いながら読みました。知っているようでよく分からないテーマを、実にわかりやすく書いているので、経済に関して、頭がよくなったような気がしてきます。 ただ、主要な人物3人の話が面白すぎて、ページ数から言うとちょっと詰め込みすぎの気も。個人的には、ホテルの再生話をもっと読みたかったのだけれど。
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[ 単行本 ]
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反乱する管理職
・高杉 良
【講談社】
発売日: 2009-01-27
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 649円〜
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・高杉 良
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カスタマー平均評価: 4
すこし迎合しすぎ? 東邦生命が外資に吸収されてしまう経緯を社内の若手幹部の視点から書かれた本。(ただしフィクション)
城山三郎さんが、気骨の人だとすると、最近の高杉さんは、少しエンターテインメントの比率が増えてきた感じがします。
この本も、ああ、会社の社長や役員でなくても、がんばって信念に基づいて仕事をしていれば、ちゃんと神様は見てくれているのだ?という感じで、読んでいて爽快な気分になれるのかもしれないが、私のようなひねくれ者は、何だ小説だからこんなうまく行くが、実際にはちょっと…と引いてしまう。
実話の部分とフィクションの部分をうまく混ぜ合わせてあるので、ある実在する生命保険は、このような推移で外資に吸収されてしまったのか…とその内情を現実に起きたのであろう事象として疑似体験できる。
本当は、ノンフィクションにしたほうが書きやすいし、読み手も面白いのだろうが、多分すべてが事実というわけではなく、かなり高い確率で正確なのだが、微妙に違うというところを相手側から裁判に訴えられるというリスクを避けて、このような経済小説になってしまっているのは致し方ないものなのか?
また島耕作ではないが、その小説の所々に、別に会社の吸収とはあまり関係のない女性とのやり取りが描かれているのが、何か大衆に迎合しているとでも言うか、売らんかな?のこびた感じがして抵抗がある。何かとてもリアルな女性との関係なのだ(笑)。これが水戸黄門の由美かおるの入浴シーンとか、それこそ古谷一行(チェ・ゲバラ)の名探偵湯煙殺人事件の、混浴の露天風呂シーンなら、笑って済ませるが…。
これを読んで、よし私も社長に物申してやろう!!といきり立つより、とりあえず仕事で実績を出せば、うちのような中小零細は意見がすぐに言えるようになるから、まあ楽はらくだが。ただその意見がオーナーの逆鱗に触れで、今後一切口を聞いてくれないとか、窓際に飛ばされて…というリスクはあるが…。 大衆小説としては面白かった この著者の作品は久しぶりに読むが、少し辛目に言うと「こんなに薄っぺらいストーリーを書く人だったかなあ」という感じがしました。確かに事実に基づいた内容で、わかりやすく読みやすいのですが、もう少し業界の課題や金融と行政、国内外の関係など掘り下げたものが欲しかったように思います。
どちらかと言うと目をひいたのが、サービスシーン?で、これは出版側が「このくらいの頻度で濡れ場をお願いします」と頼んでるのかもしれないけれど、こんなに描写する必要があるのかという気もします。旅館の女将が迫るシーンなんで、どこのH小説だというくらいで・・
まあ私も含めて男性読者はそこをまた鼻の下伸ばして読むからなんでしょうけれども。
そういう点も含めると清水一行のような雰囲気も感じましたが、それなら思い切ってフィクション部分を増やして、もっと勧善懲悪風にするのもありでしょうか。でもそうなると経済小説ではないんでしょうね。
ハードカバーで買わなくてもよかったかなという読後感で星3つにしました。 タイムリーな出版物 2009年1月、最高のタイミングでありなるべく早いうちに一読を勧める。
小説の結末に若干の不満はあるが、登場人物に実在人物を重ね合わせながら読むことが容易なので一気に読みとおせる。願わくば、主人公の「その後」のほうが知りたくなる作品だ。 リアリティ 当事者でしか知りえないだろうレベルにまで踏み込んだ、きわめてリアリティの高い内容だに10年前のT生命の破綻を題材にしているが、社員の極めて硬直した体質の愚鈍さ、行政官庁と政界の、まさに腐敗しつつある屍肉にむらがるハイエナのあさましさが、鼻につく。本書が今日出版されたのは、10年後の今日においても、未だ生保各社が、自己改革できなず、まさに自身の体の重さに耐えかねて絶滅しつつある恐竜の如き断末魔を迎えている業界への警鐘に違いない。
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[ 単行本 ]
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マネーロンダリング・ビジネス
・志摩 峻
【ダイヤモンド社】
発売日: 2009-03-06
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,002円〜
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・志摩 峻
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カスタマー平均評価: 4
ビギナーには難しい、でも面白い… 新聞紙面で紹介していたので興味を持ち、読んでみた。
一気に読ませるストーリー展開の面白さと書いてあったが、当たっていると思った。
ただ、米国を舞台にしているので、登場人物や会社名にやたら横文字が多く、なかなか名前を覚えられず苦労した。
それに専門用語が多いので、ビギナーにはハードルが高かった。
経済部分は80%くらいの理解だったが、主人公と黒幕の神経戦はエキサイティングで、存分に楽しめた。
もう一度読み返してみようと思う。
ただ難点を言えば、ストーリーは偶然に頼りすぎ、ややご都合主義と感じられる箇所があった。
また、玉虫色の決着は納得がいかない。
いかにも日本の企業のやりそうなことで、リアルさはあると思ったが、きちんと落とし前をつけた上で終わらせて欲しかった。
著者の出世作である「ザ・リコール」も読んでみたくなった。
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[ 文庫 ]
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アジアの隼 (上) 祥伝社文庫
・黒木 亮
【祥伝社】
発売日: 2004-10
参考価格: 630 円(税込)
販売価格: 630 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 97円〜
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・黒木 亮
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カスタマー平均評価: 3.5
題名とのギャップに注意 舞台であるベトナムないしホーチミンへの興味をかきたてられました。サブプライム危機の今、アジア危機を思い返す契機にもなりました。
ただし、「アジアの隼」ことペレグリン証券は最後まで脇役・背景でしかなく、主人公たちと直接タッチすることはありません。また、ペレグリンの栄枯盛衰については、ググれば分かる内容がほとんどです。
プロジェクトファイナンスの舞台裏は波瀾万丈というにはほど遠く、同じシンジケーション・ビジネスなら「トップレフト」の方がおもしろかったです。 混沌のアジア アジア通貨危機と長銀破綻を素材に、1990年代後半の激動のアジア経済を活写した国際経済小説。
本書の主人公は、日本長期債券銀行(長債銀、長銀がモデル)に勤める真理戸潤だ。ドイモイ政策で外国からの投資に沸くベトナムに赴任した真理戸の目を通して、賄賂が横行するアジアのエマージング(新興国)の政治風土と、ディールを獲得するためには手段を選ばない米系投資銀行の企業文化がリアルに描かれる。
バリアでの巨大発電プロジェクトをめぐって繰り広げられる大手米銀ハノーバー・トラスト(バンカーズ・トラストがモデル)の香港現地法人の松本賢治ことヴー・スアン・シン(ベトナム系日本人)との死闘は手に汗握るものだが、もう1人の主人公である、香港の地場証券会社「ペレグリン(隼)」の債権部長である韓国系アメリカ人のアンドレ・サクジン・リーと真理戸との絡みが全くないのが残念(まあ実話とフィクションの組み合わせなので仕方ないのだが)。
エンロンの栄光と転落に焦点を絞った『小説エンロン』に比べると、テーマが拡散してしまった分、ペレグリン内部への切り込みがやや甘いように思えた。 「記録」としておもろいが「物語」としてはつまらない アジア金融危機を舞台に、極めてディテールもしっかりした「記録」という面では
非常に優れているかもしれないが、
いろんな登場人物が時系列めちゃくちゃでどんどん出てきて、
ストーリーの核も見えないまま、いろんな話をぱらぱらと書き綴った上巻は、
小説として読んだ場合に非常に読みにくく、つまらない。
主人公を据えて1つの核となる物語を展開する、
書き方がなってないので、
記録としてすばらしくても小説としてはくずの部類。
題材がいいだけに下手な書き方で損をしている。
もったいない。 激動のアジアでの成功プロセス ストーリーがビジネス一辺倒でなく、日頃遭遇する出来事や商社マンの会話とか「あー、あるある」と笑いを誘う日常が描かれていて、現実にこういう場面があるんだろうなぁと想像するのが楽しかったです。
主人公たちが進めるプロジェクトがアジアの情勢とどう関わっていくのか、アジアの隼と呼ばれる企業の栄光と転落の軌跡に照らしたストーリー展開は複雑な背景を理解するのに非常に役立ちました。
立場の違う当事者たちが様々な局面で絡み、後押ししたり足を引っ張ったり、欧米流とアジア流の違い、アジアのなかでも先進国と後発国のビジネス感覚の落差、など、国際金融における各国の志向が絡み合いながら、徐々にその成果が浮き彫りになります。
ベトナムのいいとこ痛いとこ織り交ぜてベトナムの姿がイキイキと描かれてました。ベトナムのあっけらかんとした明るさと生命力は、心に傷を抱えた主人公が香港からベトナムへと移り、次第に明るさを増して行く変化に表れており、アジアの底辺にあるそのパワーが国際金融のなかで大いに影響したことを示唆しています。
日本経済が悪化の一途を辿っていたときの日本人の狼狽ぶりに比して、明快な自己主張と何ごとにも動じない「ズィス・イズ・ヴェトナーム」というセリフにベトナム人のたくましい国民性が象徴されていて、苦笑してしまいます。 当時のアジア発金融危機がよくわかる 90年代のアジアの開発意欲の高まり、21世紀はアジアの世紀だ!と機運も高まったのもつかのま、アジア発金融危機で混乱する国、事業会社、金融機関、特に日債銀とペレグリンに焦点をあてているストーリーです。ベトナムのドイモイ政策の内情とそのときのベトナムの雰囲気が良く伝わってきます。アジア発金融危機の中、タイ、インドネシア、韓国、日本と相当な試練が押し寄せるも、ベトナムはその波をベトナム流で対応してきているんだな・・・、アジアでの投資銀行業務(ローン屋?ボンド屋?)のことや90年代当時のアジアの様子に興味がある方はぜひ一読を薦めます。
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[ 文庫 ]
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ザ エクセレント カンパニー 新・燃ゆるとき (角川文庫)
・高杉 良
【角川書店】
発売日: 2005-09-22
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 2円〜
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・高杉 良
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カスタマー平均評価: 4.5
サラリーマンに勇気を与える 利益追求が求められる企業にあって、目先の利益よりも社員の育成に力を注ぐ主人公ならびに登場人物の姿勢に共感しました。
一人ひとりの社員を大切にする本書はラリーマンに勇気を与えるものだと思います。
こんな会社で働きたい! 筆者は、企業に対し手厳しい小説も書くが、基本的にはミドルに対する応援を書く人だ。
但し、提灯記事的文章を書く人ではない。
そんな筆者が2冊も同じ企業について書き、しかも『エクセレント』と題名にする程、東洋水産は良い会社なのだろう。
「日経の示す良い会社は、普通の会社に過ぎない」と佐高信は書いていたが、その佐高が信頼する筆者の目に狂いはあるまい。
セクハラ・ユニオン問題など失敗についてもかかれており、他の細かい部分など創作もあろうが、筆者がどうやって聞き出したのかと取材力に舌を巻くエピソードも盛り込まれ、愉しんで読めた。
佐高の解説で、再び頷き、一人ごちた。 良い経営陣 サラリーマンの底辺にいる私には、経営陣は遠い存在であるが、
東洋水産の社員の皆さんは、この本を読むと自社の経営陣を知ることが出来ると思う。
小説なので脚色はされているだろうが、オーナー社長のことを知りたければ、前作「燃ゆるとき」、現会長を知りたければ原作を是非読んでいただきたい。
アメリカにおけるカップラーメンのシェアを東洋水産が握っていることを初めて知ったが、
アメリカで仕事をする場合に最低限必要な知識もこの本で知ることが出来ると思う。 おすすめの一冊 食品メーカーが米国の工場を立ち上げ、市場シェアを上げていく様が描かれた企業小説。ぐいぐい引き込まれて、おもしろく読めます。
企業小説が好きな人も、あまり読まない人にも、お勧めの一冊です。 情熱 意欲 なんとかするぞ力 高杉良さんの小説を、久々に一気に読ましてもらいました。世間ではやれサービス残業は悪い、だのリストラで仕事は増えたが給料は増えないという不平不満が多いですが、この小説を読むとそれは「情熱」の不足だなと感じます。この小説の中心に位置する深井光司の仕事に対する情熱はすごい。人をグイグイと引っ張るものを感じる。情熱だけではなく、執念、意欲、そして何事に対しても何とかする力というものを感じる、伝わってくる。サラリーマンの内なる力というのは凄いというを改めて教えてもらった小説です。
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[ 単行本 ]
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ロロ・ジョングランの歌声
・松村 美香
【ダイヤモンド社】
発売日: 2009-03-06
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,039円〜
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・松村 美香
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カスタマー平均評価: 5
読者を惹きつける魅力 著者のこれまでの作品の、「ジャカルタ炎上」では吹き抜ける颯爽とした風のような読後感があり、「犬死一番の謎」では、無関係に見える様々な事象がストーリー最後になって、ピタッとパズルが完成するような快感がありました。本作は、この過去の二つの作品の良い部分がさらに洗練され、活かされ、読み始めた読者を離さない魅力のある作品となっています。また、著者が実際に携わっている日本のODAの実態にも迫る作品となっており、非常に楽しめるエンターテイメントでありながら、一般の小説とは一線を画していると思いました。次作がさらに期待されます。 社会情勢などの、予備知識がなくても、充分楽しめます。 私にとっては、関心のない国が舞台であったが、読んでいるうちに、どんどん読む速度が加速していった。国際コンサルタントという、作者のバックグラウンドのもと、国際開発の話が出てくるところでは、本当の話なのか、作者の考えなのかと、興味深く読んだ。主人公の女性のセリフ回しも、小気味良かった。作者の他の作品も読みたくなったし、次の作品もおおいに期待する。 一気に読んでしまいました 巧みなストーリー展開に加えて、
主人公の女性記者の働くことへの葛藤やODAの持つ課題や現場の現実にはリアリティがあり、ある種の共感と疑問符を追いかけているうちに自然と読み終えた。
読後感もさわやかで、作者の次回作を期待したくなる作品。 五感を刺激するミステリー 南国の美しい風景と男を見透かした描写が、巧妙なストーリ展開に織り込まれ、謎と期待に導かれて一気に最後まで読み進んでしまう。ストリーも細かな描写も以前の作品より洗練されている。原点は20歳の冬の葬儀。自分を導いてくれるはずの人との離別。アイデンティティの欠落を埋めるために、惹き合い、支え合い、傷付け合い、果ては憎しみ合う、影を背負った人々。自分の居場所を探し求めて真実を追究し、正邪の区別できない複雑な世界に敢えて踏み込んで、なおさら迷い、自分も他人も傷つけていく。人生分かってきた気がしてきた、でもなんか違う、このままで良いのだろうか、と思ってしまう30代、40代にお勧め。世界の苛烈な現実に一時思いを馳せて、無力感に浸ってから、自分にできることを考えて見るのもいい。
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[ 文庫 ]
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アジアの隼 (下) 祥伝社文庫
・黒木 亮
【祥伝社】
発売日: 2004-10
参考価格: 650 円(税込)
販売価格: 650 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 80円〜
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・黒木 亮
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カスタマー平均評価: 4.5
上巻のダルさが抜けやっと物語が展開 上巻はペースが遅く、いろんな登場人物が出てきて、
いったい、誰を主人公にした何の物語なのかちんぷんかんぷんだが、
やっと下巻になって、真理戸潤を軸にプロジェクトファイナンスをめぐる攻防という、
物語の核が見えてきて、そこそこおもしろくなるものの、
ほとんどの内容がベトナム人の賄賂を要求する腐敗さへの文句ばかりで、
ディテールはしっかりしているが、
ストーリーの核が意外とぞんざいで読みにくい部分もまだ残る。
上巻でだらだら書いてきたのに、
後半、駆け足なのが非常に残念。
クライマックスこそきちんと書くべきなのに。
題材がすばらしいだけでに
違う書き手なり編集者なりがリライトすれば
おもしろい作品に生まれ変わるだろう。
アジアの隼 もとろん上巻の続きですが、描写が細かいことから金融の知識があまりなくても十分に愉しむことができる内容でした。特に、国内における金融事情ではなく、海外における日本の金融機関がぶち当たる壁を描いています。 アジアの隼 上巻に続いて詳細が細かく、金融の専門的な知識がなくても十分に愉しむことができる内容でした。特に金融の内容については国内の話ではなく、海外における日本の金融機関がぶち当たる壁を描いています。
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