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[ 文庫 ]
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油断! (日経ビジネス人文庫)
・堺屋 太一
【日本経済新聞社】
発売日: 2005-12
参考価格: 750 円(税込)
販売価格:
中古価格: 470円〜
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・堺屋 太一
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カスタマー平均評価: 5
世界初の予測小説 本書が書かれたのは1975年で30年後に加筆されたものが今回出版されているのだけれど、本書にも書かれているようにこの本は世界初の予測小説です。予測小説とは仮想でもなくノンフィクションでもなく、あるデータや研究に基づいた上で小説化されたものです。ご存知のように堺屋さんは官僚出身で、この本の基データは実際に堺屋さんたちの研究結果でもあります。日本に石油が無くなったら、たった1年足らずで何百万人もの命と何百年もかけて近代化してきた文明が音を発てて崩れ落ちていく恐怖心に襲われました。本書を読んでいて、ふと顔を上げると、いつも通りの石油エネルギーのある現実にホッとしたということが何度もありました。それくらいリアリティのある本です。
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[ 文庫 ]
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座礁 巨大銀行が震えた日 (朝日文庫)
・江上 剛
【朝日新聞出版】
発売日: 2008-06-06
参考価格: 672 円(税込)
販売価格: 672 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 265円〜
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・江上 剛
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カスタマー平均評価: 5
第一勧銀の総会屋事件を題材にした、ノンフィクション小説。 一気に読ませます!! 1997年に日本中を騒がせた、第一勧銀の総会屋事件を題材にしたノンフィクション小説である。広報部次長である著者が壮大なドラマを臨場感あふれた見事な作品にしている。
そのため、一気に読ませてくれる1冊だ。
当時、この事件で「呪縛」という言葉が有名になったが、大きな組織が対面を維持しようと
無理をすると、どこかで「呪縛」にはまってしまう。
本書の最後の部分で太田副頭取が、自分の担当以前に日銀考査で銀行が隠蔽した行為を
自分の担当の時、日銀考査で隠さず明らかにせよ。と指示したことを頭取就任記者会見
で正直に話したところ、それを問題視し、太田副頭取の頭取としての資質に疑問があると
面白おかしく騒ぎたてたマスコミの無責任な姿勢には強く疑問を感じた。
過去に隠蔽していた事実を自分の担当の時に正直に表に出すことを批判されるなら、
過去を含めていろいろな問題を抱える企業は、正直にやり直すことができないではないか。
このように大義に生きる姿は非常に魅力的であるが、こうした生き方が
会社などの組織体にあっていかに困難であるかを考えさせられた。
映画よりもこちらを! 著者が経験した総会屋事件をつづった小説です。
解説にもある通り、ノンフィクションと言ってもいいほどの内容だそうです。
総会屋事件を題材にした小説や映画がありましたが、
そちらよりも本作を読まれることをオススメします。
何よりも当事者が生々しく書き表した世界を感じられます。
時間の経過などが克明に描写されており、とても臨場感があります。
主人公の渡瀬正彦が呪縛に真っ向から立ち向かい、
大義に生きる姿は非常に魅力的であると共に、
こうした生き方が会社などの組織体にあっていかに困難であるかを考えさせられます。
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[ 単行本 ]
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世界デフレは三度来る 下 (講談社BIZ)
・竹森 俊平
【講談社】
発売日: 2006-04-21
参考価格: 2,730 円(税込)
販売価格: 2,730 円(税込)
Amazonポイント: 27 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 2,702円〜
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・竹森 俊平
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カスタマー平均評価: 5
経済学は道徳の問題ではない 金本位制の調整メカニズムが持つ、デフレ・バイアス・・・
「金本位制」が主要国経済を通貨面で緊密に結び付けており、ひとたびデフレが国際経済の中心地で起これば、
それを世界的な規模のものにする原因となった過去の二つのデフレ(ヴィクトリア朝デフレ、大恐慌)。
「失われた10年」・・・。
「バブルを見込んでしゃにむに投資に走った企業家に「退路」を与えることが、金融システムの安定のためにも、
「不良債権問題」の早期解決のためにも必要であったのに、政策当局は退路を与える代わりに、それを断ったのである」
「これまでの政策にどこにも間違いがなかったと言って責任を放棄する政府と日銀の態度が、問題の解決を遅らせているという、
1992年における宮尾の指摘(宮尾尊弘「週間東洋経済」(1992年12月12日号))は、いかに正しかったことであろうか」
「供給量を自由に変えられる不換紙幣による貨幣制度の下で、しかも主要国が変動相場制を採用し、
他国からの衝撃を通貨面で遮断できる状況」にあったにも関わらず、
「世界デフレの発生が現実の可能性として浮上した」21世紀初頭・・・
「東アジアの貯蓄超過(「貸し渋り」)」・・・
「東アジアの国々において貯蓄意欲だけが依然高いまま、投資意欲が減退したという状況」が、
世界不況を引き起こす・・・
「調整のための主たるイニシアティブを債権国から引き出す(ケインズ)」しかない。 大部であることが全く苦にならない。 とにかく面白い。下巻になり、白黒からカラーになったようなタッチの変化があり、重厚感は薄れたような気がしたが、橋本龍太郎や宮沢喜一の右往左往は、リアルタイムでは、まったく認識できなかっただけに、強い印象が残った。まるで、コメディである。
それにしても、上巻でみた、高橋是清の骨太の指導力と比較して、現代の政治家の線の細さは、何とかならないのだろうか。
ただ、回復に長い時間はかかったが、高橋是清後には、太平洋戦争が待っていたが、宮沢喜一後にその予兆ない。平和は、維持されている。それでよしと考えたい。 歴史ロマンは現在につながった 上巻では、歴史物語としておもしろかった。下巻では、これが現在の経済活動につながってくる過程が示される。
グリーンスパンをカバーにした下巻は、宮沢、三重野の回想録から始まる。
二人は、失われた十年の中で、能力は認められながらも、反面教師としての役回りである。
日本は、ドッジライン、所得倍増論、為替変動相場制、列島改造論、狂乱物価、バブル崩壊、デフレ突入、と様々な経済変動を体験する。そこでの金融、政治に関わった人達の賞賛と批判が、当時の証言を基に、筆者の意見として曖昧さを排除して語れる。これは、痛快であるとともに、経済の舵取りには、専門性、慧眼、そして何より毅然とした実行力が必要とされることを思い知らされた。
対比として、米国における舵取りは、ニクソンショック、FOMCの独立性の確保、グリーンスパン役割発揮など、その機能発揮までの道のりが比較的的好意的な口調で記されていく。たぶんこれは、日本のバブル崩壊に対する取り組み方が、あまりに情けなく、筆者の忸怩たる思いを反映した結果であろう。
振り返れば、バブル崩壊の時には、確かに、有効な経済政策を模索すると言うよりは、その責任を地価高騰や、銀行、証券会社の責任とし、それを懲らしめれば、経済は良くなる的な単細胞的発想が横行していたのは確かである。このような、大衆受けする内容と、経済を適正にするというプロセスは峻別さるべきであり、かつ、その施策の意味を的確に説明していくことが、日銀を含めた財政担当者に求められることを筆者は切々と訴える。
本書は、経済史が、どのような道筋を通って、現在につながって来たのかを見事に描ききってくれた。上巻の序によれば、3度目の世界デフレは未遂に終わりそうであるとのことである。それは喜ばしいことであるが、政策機構が過去の教訓を真摯に受け止め、その決定プロセスを見直し、より効果的に機能していくことを期待する。 ああ宮澤喜一 上巻につづいて、持つのも読むのも大変なボリュームの本ですが、まったく飽きがこず、一気に読めます。まさに大河小説です。
さて、大河小説たる本巻の主人公は表紙の写真の通り、グリーンスパンであるし、これは上巻の表紙の高橋是清とパラレルになっている趣向です。しかし、実は裏の主人公は宮澤喜一であることが読めばわかるようになっています。
ずばり、宮澤喜一はバブルから「失われた10年」にいたるこの大事な局面でどうして、「昭和恐慌」における高橋是清になれなかったのか?あるいは、グリーンスパンとどこが違うのかが、下巻のテーマとなっていると思います。
経済的センスにおいてはまったく遜色のない彼が(それが証拠にアジア経済危機に関してはIMFはだめだめで、彼の決断によって乗り切ったことが書かれています。)どうして、こんなことになってしまったのかが、彼個人に足りなかった資質=政治家としての能力(辛辣に批判されています。)と、それにもまして、海外の危機救済はOKなのに、国内の銀行救済は許さなかった日本というシステムの問題が指摘され、この本が深い問題を提起するものとなっています。
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[ 単行本 ]
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消失 第4巻―金融腐蝕列島【完結編】
・高杉 良
【ダイヤモンド社】
発売日: 2008-09-27
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,000円〜
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・高杉 良
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カスタマー平均評価: 1
評価出来ない。 作品を発表するごとに内容が低下していく。ほとんど妄想に近い不倫話し(作者の願望?)はご愛嬌としても、四巻まで引っ張る内容だったのか。一作目の「金融腐食列島」と比較すら出来ない。 題材は良いが、長すぎる・・・ 竹中大臣の「大手銀行外資売り飛ばし計画」のターゲットになったUFJ銀行が三菱東京銀行に合併された事件は日本の金融史のなかでも外すことのできない重要なことであることは間違いないと思う。この件を小説として読めたのは良いと思うが長すぎる。
レビューを見ても巻が進むにつれて評価が下がり、またレビュー数も減っている。4巻に関しては発売後1か月以上たってもレビューがまったく書かれていなかった。
この辺りからもこの本の評価の低さがうかがえる。
4巻もの長編ではなく、2巻程度にまとめられていればもう少し評価も違ったのでないかと思う。
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[ 文庫 ]
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エンデの島 (光文社文庫)
・高任 和夫
【光文社】
発売日: 2009-04-09
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 250円〜
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・高任 和夫
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カスタマー平均評価: 0
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[ 単行本 ]
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世界デフレは三度来る 上 (講談社BIZ)
・竹森 俊平
【講談社】
発売日: 2006-04-21
参考価格: 2,730 円(税込)
販売価格: 2,730 円(税込)
Amazonポイント: 27 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,958円〜
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・竹森 俊平
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カスタマー平均評価: 5
貨幣の構造的問題 19世紀、金銀の相対価格の変動を通じた「金本位国/銀本位国」の景気の変動(デフレ/インフレ)。
(実体経済とは関わりのない)貨幣的要因が、景気を大きく変動させることが、よく実感できました。
併せて「決して普遍的に最善な通貨制度というものがあるわけではない(増田孝(三井物産専務理事))」ことも・・・。
「時間差をともなった支払いの手段」貨幣(利便性)の代償・・・
「契約が結ばれた時点における当事者の予想とは異なってくる」
国内経済よりも国際為替の安定を優先させた金解禁(1930年)・・・
貨幣的要因が、景気を変動させることが自明視される中、
新平価ではなく、旧平価(→デフレ)での復帰に拘った井上準之助・・・
「イギリス(1931年9月)を初めとして、数多くの国が金本位制を離脱したことにより、
日本一国だけが金本位制を維持することによる経済的利益はほとんどなくなった」
「金本位制を離脱したイギリスを初めとする国々は、為替レートを大幅に減価させたから、
いまだに金本位制を維持している日本の円は、そうした国の通貨に対して割高になる。
円高は日本の輸入を増加させる一方で、輸出を不利にするので、日本の国際収支は悪化して、
金による支払いが増え、金準備はますます減少する」
「一体、何に井上はプライオリティを置いていたのか。それがどうもよく判らない」 温故知新 もし、ある本に驚かされる記述が一つでもあれば、その本は読むに値すると思っている。それほど、内容のある本は少ない。しかし、この本には各章ごとに、いたるところで驚かされる。本当にこの本は、80年前の出来事を書いた本なのか?これからまさに世界が再び体験しようとしていることの預言書なのではないかと思わされる。そして、いろんなアナリストの出している予想の多くがいかに的外れなものかがよくわかる。もちろん現在は当時よりさまざまな点で進歩している。経済理論も進んでいるに違いない。しかし、人間が行うことなのである。この本を読むと人間というものが、いかに学習をしない生き物かということがよくわかる。しかし、われわれは、先人の経験を乗り越えなければならない。まずは先人の経験を学習しなくてはならない。この本は、その第一歩である。この本には恐慌に対処する回答はない。だが、何をしてはいけないのかについては記述されている。本当に多くのことを学ぶことができる。 周知のとおり、このデフレの解決は戦争に委ねられたというのが歴史的事実である。この本と対話することで、この事実を乗り越える方法を誰かが発見してくれればと願っている。 これは壮大な歴史物語だ 本編は、貨幣制度に焦点を当てた経済の書物であるとともに、壮大な歴史物語である。例えば、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでいるように、登場人物の息づかいが聞こえてくる。著者の筆力には敬服する。
物語は、日本で言えば明治初頭の英国の経済情勢から始まる。そして、金本位制、銀本位制、その併用といった貨幣制度を明治の伊藤、福沢、渋沢、松方等がどのように考えていたかにつながっていく。また米国の状況も饒舌に語られていく。有名な「オズの魔法使い」の物語は、実は当時の米国の貨幣制度の政治的状況をもじった寓話であったことも、エピソードとしておもしろい。
高名なケインズが、第一次大戦の戦後処理に関して、戦敗国を含めた世界経済の建て直しに心を痛めるも、英米の思惑のため、その政策は採用されなかった。この誤った戦後処理が、世界をして、第二次大戦への一歩を踏み出させることになったくだりは、経済面からの一面的な見方ではあるが、心に迫るものを感じる。
本書は、高橋是清をブックカバーにし、二・二六事件での彼の非業の死を持って幕を閉じる。高橋らの恐慌に対する経済政策の是非を、当時の状況を踏まえながらも、現在の経済学の視点で評価し直す過程もおもしろい。FOMCのグリーンスパンやバーナンキなど今耳目を集める人達の金融政策論と比較して、語れるその内容たるや、筆者の面目躍如というところか。
さてこれから、今度はグリーンスパンをブックカバーにした下巻を読むとしよう。 経済史は社会史!! デフレ本が誠にたくさん刊行されていたが、こうした稀な経済的経験をこれからの産業社会や、人間歴史のなかで活かして行こう、そして人間社会のよりよい明日のために学んでおこうと思わせるような書物は皆無であったと断言しておこう。ハウツー書を馬鹿にしているのではない。
それらはいつの時代にも必要である。その多くは「安心する」ためのものであったとしても。
しかし、ここに唯一の例外が登場した。竹森俊平の本書である。
『世界経済の謎』や『経済論戦は甦る』といった頗るつきの好著をものした経済学者による、歴史大著である。立花隆の『天皇と東大』も同様だが、これだけのボリュームと汗牛充棟の資料を駆使した大冊であれば、中身を熟読するだけで十分に時間がかかるが、参照文献のいちいちを覗くだけでも数年、数十年を要する。元手がかかっているのである。
ニッポンのビジネスマンとやらも、今やその多くが学士さんであろうから、それそれ「すぐわかる」とか「サルでもわかる」とかのお手軽本は卒業して、こういう大作に挑んではどうか。とまあ、おせっかいをいってみました。
デフレの3度目は回避されたというのが著者の結論であるが、政治経済的にはその判断は微妙だ。斑状の経済回復が格差の顕在化を助長しているのみならず、「戦争と平和」という古くて新しいアポリアを国際間のみならず、国内、地域社会にまで呼び寄せているからだ。
監視カメラで覆われた生活空間は、戒厳令のそれである。
居酒屋の政談や、下ネタが共謀罪に問われかねない。
中村政則の名著『昭和恐慌』以来の、経済史の不穏な道行を描いた傑作である。それは社会経済史であるほかない。 マクロ経済がよくわかるようになる 19世紀後半から現代にかけてのマクロ経済史。貨幣制度の変遷を軸にして、経済政治上の出来事を、対応した当事者たちのさまざまな議論や分析、そして現在の経済学のレベルでの検証と解析、を加えて問題を色々比較している。「歴史は現在の鏡」というが、非常におもしろい読み物になっている。マクロ経済のテキストを読むよりこの本を読むほうがずっと実態経済をマクロでどうとらえるかを体感できる。本書を購入した目的は、日米の現在の経済状況をどうとらえるべきか? という疑問に対する手がかりを得るためであった。十分に答えてくれた。
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[ 文庫 ]
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日本国債〈下〉 (講談社文庫)
・幸田 真音
【講談社】
発売日: 2003-11
参考価格: 600 円(税込)
販売価格: 600 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・幸田 真音
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カスタマー平均評価: 3.5
次世代への責任 投資目的ではなく、純粋に、日本国債とは何か?。それが知りたくて購読。
「国の借金」程度の知識しか持っていなかったが、日本国債を発行する側・買う側、
その背後にある金融業界等が広くわかる。
物語の中で、さりげなく、その辺りのことが説明され、理解しやすい。
日本国債とは国の借金。過去の借金が現在へ,その返済にまた、現在の借金を将来へ。
それが平然と繰り返される現実。
それを一人の母親の目線で見ていくうちに疑問が生じる。
借金をすることで人々は国の財政について、同じ時代の人達と同時に、
過去・将来の人々とも責任を分かち合うことになる。
母親は子供,つまり次世代の人々と最も多くの時間を接し、次世代のことを気にかける存在。
その目線から日本国債を見ることで、ことの深刻さが見えてくる。 難しい事を読みやすく書いてある点は評価ができますが・・・ 著者と同じように、外資系金融機関で似たような仕事をしていますが、最初は難しいことを大変読みやすく書いてあるため、ググっとストーリーに引き寄せられていきます。特に私も日本の政府役人たちの無能さ(というより有能な人間だったのに、親方日の丸になり、エリート意識が抜けなくなったため、駄目官僚に変異していった方たちには)大変腹が立っていますので。共感はもてました。 ただし厳しい書き方かもしれませんが、文章がまだまだ稚拙に感じるのと、後半に行けば行くほどつまらない小説に変わって言ってしまいました。厳しい書き方ですが、まだあまりたくさん書いていないわけで寸土絵、これからを期待したいと思います。 評価は後半がつまらないので後半を星ひとつ減らしました。 読み物としても国債の入門書としても出来が良い 上巻を読んでからしばらくたって、下巻を購入したのですが 純粋に上巻の続きが読みたくて買いました。この作品の中で扱われている「シンジケート団」については つい先日、作中の出来事と同じ出来事がニュースに流れました。 これを慧眼とまでは言いませんが、この小説を読む前と後では ニュース自体のインパクトや意味に対して、受け取り方が大分違っている と思いました。 そういう意味で、読んだ後にも残る本でした。 お勧め。 引き込まれた その存在は誰もが知っているが、実態となるとあまりよく 知らない日本国債の発行という意表をついたテーマ設定。 登場人物や交わされる会話、場面設定も大変よく考えられて おり引き込まれた。 小説としても成功しているうえ、日本国の財政事情がいまや 火の車の自転車操業状態である事、そのことに対して抜本的な 対策も講じず思考停止状態で問題を先送りしている政府や金融 当局の無責任ぶり。さらには、そんなシステムも意外と危うい 合意の上に成り立ているものであることなど、本当に考えさせ られるものであった。 拍手喝采の1冊でした。 国債のトレーディングをイメージするには最適の書 トレーダーに抜擢されたヒロインを中心に、国際暴落をめぐるサラリーマン反抗記かと思いきや、その裏では政治権力の影もちらほら。というわけで、話の筋は大人向けの少女漫画チックなキャラクターとストーリーで好き嫌いが分かれるところでしょう。しかし、国債という地味なモチーフ選択と実際のディーリングの現場の描写などは、国債について関心を持って学ぼうとする方の入門書としては最適だと思います。
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[ 単行本 ]
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貸し込み 下
・黒木 亮
【角川書店】
発売日: 2007-09-26
参考価格: 1,470 円(税込)
販売価格: 1,470 円(税込)
Amazonポイント: 14 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 433円〜
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・黒木 亮
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カスタマー平均評価: 5
■大銀行のモラルの無さと司法の矛盾に戦慄が走ります■ ・実際に著者が巻き込まれた
UFJ銀行(旧三和)の24億円脳梗塞患者への不正融資裁判
(2003年3月3日:東京地裁民事第624号法廷)
が題材になっています。
・UFJ銀行の組織ぐるみで偽証までして裁判を進める体質が赤裸々に
語られています。
・著者の考える日本の裁判制度の問題点
?1.印鑑偏重主義。本人の印鑑が押された書類は
すべて本人の意思にもとずいて作成されたものとなってしまう。
(立法の怠慢なんですよね。大正時代の作られた時代遅れの法律が
金融中心に、好き放題悪用されているというのに。)
?2.「ディスカバリー(証拠開示)」制度がないこと
欧米では裁判が始まる前に当事者間で争点に関する全情報を
開示しなくてはならない。
日本の銀行や役所相手の裁判では、銀行(役所)側はあるはずの書類を
「紛失した」と(嘘を)言い、自分たちに都合がよいと見ると
「たまたま保管してあったものが見つかった」と出してくる。
→その為、不毛な嘘の付き合いに終始する。
?3.司法の怠慢
本事件の裁判では裁判官が証人質問中に居眠りするわ、
調書はろくに読まないわ、加害者側の書面を切り貼りしただけで
「告訴」の却下を行う など
(裁判官不足によるところも大きいのだが)
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[ 文庫 ]
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起業前夜〈上〉 (講談社文庫)
・高任 和夫
【講談社】
発売日: 2005-12
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 3円〜
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・高任 和夫
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カスタマー平均評価: 4.5
タイトルのイメージとは異なるが、スリリングな展開で面白い タイトルだけ見て、あるサラリーマンが起業を志すストーリーを思い浮かべたが、全く違った。部下から大変慕われるエリートサラリーマンが40を過ぎ出向をすることが決まる。様々な会社の矛盾点に気がつき、(下)では会長に直訴するような物語展開だ。スとーリーの中で主人公の妻の役割が大きかったように思う。 理想のサラリーマン 山一證券の破綻を下敷きに、証券マンの葛藤を描いた長編。主人公が魅力的。出世欲、穏健、臆病と確かに普通のサラリーマンではあるが、仕事ができて、強い正義感があり、部下からも慕われ、仕事絡みの人脈も良好と言うことなし。憧れのサラリーマン像がある。
物語は、“飛ばし”と呼ばれる利益供与の噂を耳にした主人公が、会社の改革に孤軍奮闘するが……
上巻よりも下巻に力がる。改革の私案をまとめ、会長に直訴する辺りからテンポが速く、最後まで一気に読まされた。単に会社、仕事だけではなく、家族や友人などの人と人との結び付きなどもしっかり描きこまれていて、登場人物が立体的に感じられる。小説としての完成度は高い。
上下2巻の長編だが、少しも長く感じない、寧ろ短いぐらいだった。面白さにおいては、今までに読んだ著者の作品では一番。お勧めの1冊。 やっぱり良かった 私は高任さんのファンですが、やっぱりこの小説も良かった。
まず高任さんの小説(起業前夜もですが)、主人公が等身大であること、決して強い人物ではなく、心の弱い部分をさらけだしていること、テーマが暗いことでも読んでいて気持ちがふさぎこむようなことがないこと、などが彼の本の魅力だと思います。
この起業前夜は、主人公が会社という大きな組織に立ち向かうというような話ですが、その周りのでの出来事、家庭での問題、社内の人間関係、また若干の男女関係なども後味がよく書かれています。経済小説のジャンルでしょうが、他の小説と違い、読んだ後味がなんとなくさわやかに感じられる、そんな作家だと思います。
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[ 単行本 ]
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志高く 孫正義正伝
・井上 篤夫
【実業之日本社】
発売日: 2004-05
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 197円〜
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・井上 篤夫
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カスタマー平均評価: 4.5
インターネットの5年先が見える1冊 2008年から、どのようなインターネットの世界になるか?この1冊を読むと、彼の人となりが全てわかり、ソフトバンクグループやヤフーが、どのような「意志」で動くかわかる。それはリスクこそ最大のチャンスという企業家としての志を常に持ち合わせ、変化を恐れない気概があることがわかる。それを知るために、ぜひ、一度は読んだ方が良い本だ。 一気に読み通せる痛快ビジネス烈士伝 ニュースなどでは分からない孫正義の「ひと」が具体的な出来事を通して分かります。
一気に読み通せるくらい面白い本です。
ただ、もともとは連載ものであったためか、孫正義の活動が多岐を極めているためか、取材に制限があるためか(時間的な制限は想像に難くありません、多忙な、世界をまたにかける現役を追いかけるわけですから)、不足しがちな深みをカバーするために著者の「孫好き」が前面に出ています。これは必ずしも悪くないほど、著者は公正な書き方をしているとは思いますが、孫正義を「深堀り」したい人には物足りないかもしれません。
それでも、息抜きに読むには熱くなりすぎてしまうほど良い本だと思います。 それでも目標としたい! 次元が違うしすごすぎる。
小さいころから天才は天才だったんだと思った。
もちろん努力や集中力や気迫などは常軌を逸しておりその段階からして負けている。
小さいことにはこだわらず、
ただ高みを目指して生きている姿は爽快感溢れておりある種の痛快さをも感じる。
ここまでくれば誰も彼と自分とを比較しようとは思わないだろうが、
それでもこの人を尊敬し、少しでも近づくために努力していこうと思った。 立ち読みですが 面白くて結構読んでしまいました。読ませる文章というか、話の展開も飽きさせません。孫社長については賛否両論、色んな意見もありますが、私はこれを読んで一人の人間としてますます興味がわいてきました。 強烈な行動力と前向き思考には感服です。ボーダフォン買収など、相変わらず目を離せない孫社長を深く知るうえで、読んで後悔させない一冊だと思います。私もちゃんと購入して今度はじっくりと孫ワールドを味わいます。 +++神格化する前の孫正義がいる+++ ビル・ゲイツが金持ちから偉人、偉人から超人になり、彼の莫大な金と権力のサクセスストーリーが人を魅了し、歴史上の人物と化している。同時にその人物伝が神懸かりな超人伝になり、尾ひれが付き過ぎた伝記となるであろう。もちろん孫正義にも「スゴイ人」の印象はあった。そして、この著作にもビル・ゲイツと同様の扱いがあるのであろうと勝手な推測をしていた。しかし、ロールプレイングゲームの主人公の様な孫正義を追って行くと、失敗を努力で潜り抜けた「スゴイ人」の姿が生身の人間として書かれていた。本全体を見ても、孫正義の人生の如く、無駄な文章がなく、足りないものが感じない。まるで同じ学校のスゴイ先輩を見ているかのような錯覚すら覚えてしまう。坂本龍馬の背中を追い掛ける孫正義、その後ろ姿を垣間見るだけで読者に気力を湧かせ、自身の中で自分なりの孫正義を構築出来る、そんな著書だ。 この著書を読んだ孫正義が、いくら自分について書かれているとはいえ、心ここに在らず次の目標に向かっている彼の姿が頭に浮かんでしまった。 それが成功への鍵なのかも知れない。
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