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[ 文庫 ]
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超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)
・東野 圭吾
【新潮社】
発売日: 2004-04
参考価格: 460 円(税込)
販売価格: 460 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・東野 圭吾
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カスタマー平均評価: 4.5
文学界を舞台としたブラック・ユーモアが炸裂! 本作は、短編小説8作からなります。
いずれも、推理小説の執筆事情を垣間見せながら、
強烈なブラック・ユーモアをかましていく快作であり、
著者が今やこの分野の第一人者とも言えることから、妙に説得力があります。
ちなみに、「黒笑小説」の文壇モノの短編を読んでいても感じたのですが、
江戸川乱歩賞受賞後、「秘密」のスマッシュ・ヒットまで共に不遇を囲ったからでしょうか、
登場人物の描き方を通して、著者の編集者に対する愛情が伝わってきます。
反面、巻末の短編で「ショヒョックス」に翻弄される姿を描くことで、
評論家に対する恨み(笑)を晴らしているようにも…。
おもしろい! 推理作家の目線で、小説を楽しめる作品。一章の超税金対策殺人事件は、特に自虐的な要素とブラックユーモアがきいていて、非常に面白い。
超理系殺人事件では、物語をすこぶる理系で責めておいて、わかったふりをした読者を脾肉る。だから、最初に読み飛ばせといっただろうと。超犯人あて小説事件では、出版関係者に毒を吐いているが嫌味がないから、ヤラレタ!という程度でニヤリとさせられる。
これまでの東野作品は、筆者と読者という風に二人称で楽しめた。だが本書は、次元も目線も、主人公すら自在に変えてより複雑に楽しめる。要所には伏線を張って、ギャグに変えてしまうし、東野圭吾の引き出しの多さを体験できる。他作から入ると、ある意味裏切られた感はあるだろう。だが、結局、東野圭吾はなんて頭のキレる作家なんだろうと、改めて尊敬する一作。 よくわからない 初めて読んだ東野圭吾作品。「容疑者X」が話題になっているので、本屋のランキングで上位に並んでいたこともあり購入。推理小説なのか、ギャグ小説なのか、想定してる読者層はどこなのか、全然わからない。
おもしろくないか、と問われればおもしろくないこともない。が、たぶん2回は読まない。私の好みにあわないだけかもしれないが、評判高い作者だけに大きく肩すかしをくらった気分。
あくまで暇つぶしの娯楽作品として☆3つ。それ以外なら☆ひとつ。 超・出版界批判 映画、ドラマ化の常連となりすっかりベストセラー作家となった東野さんの超ブラックユーモア短編集。
とにかく面白い!税金対策のための涙ぐましい(そしておかしい)努力、大作と印象づけるための紙面稼ぎと表現の水増し(こんな作品たくさんありますね・・・)、割と本格派の犯人あて、「本の批評なんて、よくも悪くもどうとでも書ける」ことを証明し、批評家をおちょくる超読書機械のお話などなど。どの作品も「そうそう!」と共感し、笑ってしまう作品ばかりだ。
アマゾンのレビューも「おべんちゃら」モードから「酷評」モードで書かれたものまでいろいろありますが、本作品はおべんちゃらでなく、大おすすめの作品です。東野ファンはもちろん、ミステリー好きならクスリとすること間違いなし! 東野圭吾のユーモア おもしろかった。東野圭吾の才能はすごいと思う。 主に通勤の電車の中で読んだので、笑いをこらえるのに苦労した。
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[ 文庫 ]
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ジウ〈3〉新世界秩序 (中公文庫)
・誉田 哲也
【中央公論新社】
発売日: 2009-02
参考価格: 740 円(税込)
販売価格: 740 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 220円〜
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・誉田 哲也
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カスタマー平均評価: 4
壮大なストーリー。 率直な感想。面白かった!
シリーズ完結編ということで、今までのパズルの欠片のようなストーリーが一つずつ明らかに。
久しぶりに次が気になり、夢中になった。 急展開の3巻目・・・細かなディテールがもっとあれば・・・ 3巻それぞれ違った特徴があるので、それぞれ違った評価をしたいと思います。
まずは共通して言えるのは、読み始めたら一気に読みたくなるほどの、ハイスピードで急展開なストーリーです。
活字で読んでいても、映像の世界にしたら誰がこの役をやればいいだろうか、なんて思っちゃうほど映画向けのストーリーです。
3巻目・・・。え?なんでここまで・・・。ってくらいにまさに新世界というか、話の流れが変わっていきます。
どんどん小説が現実味から離れて行ってしまいます。
歌舞伎町で行われる市街地戦、基子の葛藤など興味深いところはありますが、なぜここまで多くの人間がこのような行動に加担するようになったのかなどの説明が非常に薄弱で納得がいきにくいのが事実です。また黒幕の未来像っていうのも、頭の良い人だと思うのに全然意味不明だし・・・。
2巻であそこまで黒幕などの過去をグロく振り返る暇があるなら、もう少しこのように導けたディテールを書いて欲しかったです。
途中までの作品の流れが良いだけにあまりにももったいない感じがしました。
評価もよって2巻より下げたいため★★になりましたが、本当はそこまでの低評価ではありません。
こう来るか! ジウ(1)は誘拐という現実感のあるストーリーで終始し、(2)では「新世界秩序」という宗教かかったキーワードが見え隠れした。
その方向に行ってしまうと竜頭蛇尾になるのじゃないかと心配してましたが、まったく杞憂でした。(3)は現実感をなくさない工夫がいくつかされていて、一気に読みました。
詳しくは書けませんが、基子は元気に生きて欲しいです。 犯罪のスケールが…(ネタばれあり) ジウ完結編。一気に読了しました。
一気に読ませる筆力はさすがだと思います。
2巻までは、なんとか、現実感があったのですが、3巻は犯罪スケールがでかすぎかも・・・
負傷者千人単位、死亡者の人数も多いかも・・・広げすぎかなあ。
基子の美しさと孤独さは伝わりますが、美咲の魅力はいまひとつ伝わらないかもしれないですね。
ともあれ、ストロベリーナイトからファンになった誉田作品ですが、つい、ひかれていつも読んでしまいます。
最後泣いた ジウ2は、残虐なシーンが多く、読むのがつらかったが
最後までこのシリーズを読んでよかったという
展開&ラストでした。
スケールの大きい犯罪の展開。
そして、ヒロイン2人の相反する「強さ」。
そして、闇をかかえる犯罪者ジウ。
最後のほう、泣けました。
感動の涙です。
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[ 文庫 ]
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壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2
・浅田 次郎
【文藝春秋】
発売日: 2002-09
参考価格: 700 円(税込)
販売価格: 700 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・浅田 次郎
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カスタマー平均評価: 5
生き抜く苦しみ 盛岡南部藩を脱藩して新撰組に入った庶民の視点から見た幕末を描いている。
テーマはたった一点、生き抜くこと、だと感じた。
飢饉や戦のために、当時の想像を絶するほどの死の身近さを感じる。
とりわけ、命懸けの真剣での勝負や切腹の介錯をする時の気構え、
当時の飢饉の酷さ等々、死に直面する時の人間の気持ちの描写が生々しい。
人間は弱肉強食の世界に生きる動物で、心がある分、苦しみが大きい。
現代、人間は長寿になり、その分、生への真剣さが失われたが、ほんの少し前まで、
人間はこの様な世界に生き、自分達にも、その血は受け継がれている筈だ、と驚愕した。 長編では、浅田さんの本で一番好き! この本を読んで、浅田さんにはまり、40冊以上読んできましたが、長編ではこの本が一番好きで完成度も高いと思います。以下、2007年9月に「下巻」の方のレビューに書いたものを少し修正しました。
武士道=家族愛という破天荒な価値観を何と新撰組に持ち込んで読者を納得させてしまう作者の筆力に驚愕してしまう。インタビューの形を通して、吉村貫一郎の人物像を浮かび上がらせる一方で、インタビューを受けるさまざまな人の人物像+時代背景まで浮かびあがらせてしまう。それがあまりにリアルなので、ノンフィクションかと思うくらいだが、実はフィクションなのである。
また、最後の大野次郎右衛門の手紙には、国家主義批判が隠されている。人は、自分の妻子のためになら死ねるのであって、主君や国のために死ねという風潮がはびこると国は亡ぶと読める。最後をあえて漢文調にしたのは、作者のこの思いを控えめに主張することを目的としたと思われる。この主張は、「蒼穹の昴」「珍姫の井戸」「天切り松闇がたり」「日輪の遺産」「シェエラザード」にも脈々として流れている。浅田さんは自衛隊出身でもあり、そのヒューマニズムは付け焼き刃ではない力強さがある。 盛岡に帰りたい(泣) 感想に関しては皆さんと同じ。泣きました。
他の方々とは違う泣き所がもう一つ。
私の実家が盛岡なんです。
やっぱり仕事をするとなるとこんな田舎では、と考えて盛岡を離れました。
作品中にでてくる山や橋、地名、城跡、そして石を割って咲く桜(石割桜)。盛岡の方言とおせっかい過ぎるほどの(失礼)人々のやさしさ。はっきりと思い出して泣きそうになりました。非常に丁寧な描写だと思いました。
ちなみに雫石から盛岡の城下町ってかなり遠いんですよ。
幼い「みつ」が兄に付いてきたところでまた涙です。 義士 義(あるいは正義)とは何なのだろう.正義対悪の単純な二元論で満足していた幼少時代.反体制的なものあるいは滅びの美学とでも言うべきものに惹かれていた青年時代.見方を変えることで誰が振りかざす正義にも言い分があり,何が正義なのか分からなくなってしまった今日この頃.そんな私だがこの本には感動に値する義が書いてあった.
風雲急を告げる幕末,吉村貫一朗が貫いた義は多くの人が二分された倒幕でも佐幕でもなく,武士としての矜持でもなかった.藩校の助教を勤めるほどの知性と類まれなる剣術の技量という文武の才を持ちながら,生活に逼迫し家族を養うために脱藩.新撰組に加わったのは志からではなく給金が良いため.金に意地汚く,他者からは「出稼ぎ浪人」と罵られ様とひたすら家族に送金を続ける.鳥羽伏見の戦いで誰よりも勇敢に戦いながら,討ち死にを潔しとせず旧主である南部藩の屋敷に逃げ込み幼馴染に助けを求める.今一度家族に会いたいという想いを果たすためだけに.
彼が最後まで貫いた家族愛に元ずく正義.涙無しに読むことはできなかった. 2008年、この本に出合えて良かった。 「壬生義士伝」
タイトルから察するに、切った張ったの剣劇小説 ・・・と思いきや・・・
浅田次郎さんって、こういう小説を書く方なんですね。 嬉しい誤算でした。
新撰組、最強とも謳われた吉村貫一郎。
故郷に残した家族への仕送りの為、彼は剣を振るう。
「わしは死にたかね。死にたかねから、人を殺したのす…」
「…わしは一所懸命に働いて、 必ずや銭こば送るゆえ、しばし辛抱して呉ろ」
読み慣れない南部訛りは何時しか耳に馴染み、
盛岡の美しい山野さえ目に浮かびました。
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[ 単行本 ]
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ベイジン〈上〉
・真山 仁
【東洋経済新報社】
発売日: 2008-07-18
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 通常4〜6日以内に発送 )
中古価格: 819円〜
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・真山 仁
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カスタマー平均評価: 4.5
引き込まれます 登場人物の魅力、アジアを舞台にした
スケール感、容易に全体像が見えてこない
物語の構成。
すっかり引き込まれました。
まだ上巻ですが、下巻が楽しみです。 やっぱりスゴイ!! 『マグマ』と同じ、エネルギー問題に切り込んだ作品ですが、前者以上の物語スケールや登場人物への肉薄等、物語を読み進める中で大いに圧倒されました。
エネルギー問題に関する深い洞察を織り交ぜ、『マグマ』の地熱にしても『ベイジン』の原子力にしてもテクニカル面での精緻な調査もされており、真山氏らしいリアルさがを追求されておりました。且つ相変わらず魅力的な登場人物が醸し出す強烈な個性のハーモニーを奏でています。しかも、それらの濃重厚な構成にもかかわらず、物語のテンポは異常なほど軽快ときているとは。。
やっぱりスゴイ!!
北京オリンピック開会に照準を合わせた緊迫のドラマのはじまり 縁起のいい「8」の連なるこの日に向け、2つの国家的プロジェクトが中国ですすめられていました。
ひとつは北京(ベイジン)オリンピック。もう一つは、世界最大級の出力を持つ紅陽核電(原子力発電所)の建設です。
オリンピックの開会式場に特設された「和諧の光」へ送電を開始しようとしたとき、一人の日本人が原子炉を止めるように指示しました。技術顧問として原発建設に協力していた田嶋伸悟です。
中国側の総責任者のドンは、運転を続行させようとします。
なぜこのタイミングで停止させるのか。
ドンの質問への田嶋の答えは、
「絶対的な安全が確認できない以上、停めるしかない」
というものでした。
停電時に起動するはずの非常用ディーゼル発電機が規定の300倍の失敗率。なのに報告書には規定をクリアしたと嘘が書かれている。自家発電の軽油が何者かに抜き取られている。何より気になるのが、施設内の清掃がこの期に及んでも徹底されない。
田嶋が理由をならべあげましたが、所員たちも呆れるばかりです。
掃除が不十分だからといって原子炉をなぜ停めなければならないんだ。
とうとう、責任者のドンは田嶋の身柄を拘束し排除することを命じました。
「事故が起きた時、誰もあんたを庇ってはくれないんだ。
私の判断を信じなさい」
不吉なことばをのこして、田嶋が連れられていきます。
オリンピックの開催という実際のできごとに、国の体面をかけた原子力発電所の建設というフィクションを交えた、緊迫したドラマの幕開けです。
もう北京オリンピックは終わってしまいましたが、この緊迫感に変わりはありません。
お勧めです! エネルギー問題の入門書? マグマと合わせて読んで欲しいですね。
実際にこれからのエネルギーをどうするのか?
凡人の私でも実に考えさせられました。
エピローグが読みたいような読みたくないような・・。 日本の技術屋の心意気 一気にとはいきませんでしたが、数回に分けて短期間で読み終えました。
2人の主人公が登場するのがこの小説の特徴でしょうか。
日本の技術者と中国の若手官僚。
この二人がそれぞれの立場で苦しみながら、最後には人間として共通の考えに達し、友情を芽生えさせるという物語です。
小説なのでフィクションのはずなのですが、読後も読んでいる最中も、この小説の舞台になった場所が現実のどこかにあると感じられてしかたがありませんでした。
北京オリンピックの興奮が冷めやまない今だからこそでしょうか…
それだけではなく、作者の描写力が読者にそう感じさせているような気がします。
ドライでテンポの良い文章で読み手を飽きさせませんし、内容もなかなか知ることのできない中国の官僚社会が垣間見られて非常に良い小説だと思います。
ただ、少し残念なのは、主人公を取り巻くヒューマンドラマに欠けたかなと感じさせる点です。
日本人技術者の家族について(特に主人公を影ながら支えているはずの奥さんについて)、中国人官僚の生い立ちについて、もっと知りたかったというのが本音です。
別の章を立てて詳しく書いても良かったかもしれません。
ただ、そうなると長編大河小説になりかねないので著者はあえてそうしなかったのかもしれませんね。
その点を踏まえると、テーマを絞った小説としては冗長であり、大河小説としては物足りないというのがこの小説の評価になるのでしょうか。
ラストの終わりかたといい、もう少し違う構成のほうが良かったかな。
なので、星4つです。
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[ 単行本 ]
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世界が愛した日本
・四条 たか子
【竹書房】
発売日: 2008-07-28
参考価格: 1,365 円(税込)
販売価格: 1,365 円(税込)
Amazonポイント: 13 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 940円〜
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・四条 たか子
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カスタマー平均評価: 5
日本人として生まれてきてよかった イラン・イラク戦争の時にイラクに残された日本人を、臨時便まで出して脱出させてくれたトルコ人、阪神・淡路大震災の被災児を招待してくれたポーランド、関東大震災の直後に多額の義援金を送ってくれたベルギー……。
それらすべての行為の陰には、かつて日本人が何の見返りも得ずに各国の人々のために尽くしていたことを覚えていたからだった。
トルコ、ポーランド、ベルギー、ユダヤ人、インドネシア、韓国、ドイツの一部の人々とだけかもしれないが、昔の日本人のヒューマニズムに心動かされて恩返しをしてくれた事実について描かれています。
最近の冴えない日本の外交を見ると、なんだか負い目を感じてしまいますが、私たちの祖先(よりはもうちょっと近いかな)はこんなに素晴らしいことを他の国の人たちにしてきたんだという自信を持って生きて行ける、日本人であることを誇りに思える一冊です。 日本人という事に誇りが持てました 普段、自分が日本人である事を恥じて生きてきました。旅行が大好きで海外に行く事も多いのですが、「日本人?」「何処から来たの?」と聞かれる度に、“YES”“JAPAN”と答える事を躊躇してしまう自分がいました。しかし、この本を読んで日本人である自分に誇りを持っていいんだ!!という気持ちになりました。世界を良くしようと世界中の人々の為に頑張っている日本人の姿を見ていると、日本人も捨てたもんじゃないなと思いました。この本を読んで古き良き時代の日本を思い出してほしい、たくさんの日本人に読んでもらいたいと思いました。そして、「恩」というものは決して忘れてはいけないものだと痛感しました。 桜が咲き誇る美しい国、日本 ポーランド人は、日本のことを「桜の咲き誇る美しい国」と形容するそうです。日本人は宗教心がないと言われますが、日本人は、道端の小さな花にも愛情を持つ優しさと感性を遺伝的に持っているように思います。生まれながらにして美しい心をもった日本人には、特定の宗教は必要ないのです。その証の一端がこの本に書かれています。本書は、特に若い人に読んで欲しいと思います。そして、素晴らしい国に生まれた幸せと日本人であることに誇りを持って生きて欲しいと心から願っています。 母国を愛せる人こそ、他国を愛することができる 個人的に、近代史の本はかなり読んでいるので、本著で取り上げられたエピソードは全て知っていたため、新たな発見はなかった。
しかし、それでも、コンパクトに簡易に、これまでの私の知識より詳しく記されたそうしたエピソードを読みながら、改めて感動で胸を熱くしてしまいました。
イラン・イラク戦争の混乱期にイラク在住の日本人を救うために飛び立ってくれたトルコの飛行機の第1章の逸話はいつ読んでも格別ですし、大東亜戦争を単なる「太平洋戦争」(侵略戦争=東京裁判史観)と思っている人は第5章を読んでみてくれ!って思いが強いです。
こうした史実を知ってこそ、トルコやインドネシアなどに対する親近感と友好感情を生み出し、国際的な友好関係のための必須の知識だと思うのですが、歪んだイデオロギーを持つ日本のメディアでは全く取り上げられずに、日本を憎め!と主張し「世界平和」を唱えます。
(過去の歴史・慣習・文化・民族性すべてを否定して、「世界は一つ」(世界革命)になって、「世界平和」が実現すると信じているのでしょう)
本当の近代史を知らない人たちにぜひ読んでもらいたい本ですが、ただ、第6章だけは違和感を感じました。他の章は先人たちの行いに感動し、他国の人たちに感謝の念を抱くものでしたが、第6章を読んでいる時だけは苛立ちを感じました。別に単に韓国・韓国人が嫌いというわけではなく(親しくしている韓国人もいます)、「世界が愛した日本」のテーマにそぐわないように思えました。
泣ける映画より素晴らしい史実があるってこと 2005年から調査している『良い影響を与えている国』で3年連続でトップを維持している国『日本』
その日本の国内にいると平和な事を含め当たり前なことが当たり前に過ぎ去り日本人自身が日本に誇りを持てずに見失っているような気がする
全7章からなるストーリーはどれもが感動的でカネをバラまく事だけではない本物の外交を知る・・・。
こんな大切な史実をなぜ教育の現場では伝えていかないのか?
授業のコマ数が足りないからか?
受験では点数になり辛いカリキュラムになるからか?
ハッキリ言って知らなかったのが日本人だけという事実を恥じるべきで道徳の時間や世界史・日本史の中に組み込むべき大切な話でしょう
年号と事件の表面的な暗記だけの歴史教科書なんか窓から投げ捨ててなぜ世界に日本が愛されたのか?
その時に日本人の先祖は何を想いどんな行動をしてきたのかを歴史から学ぶべきであろう
通読中は熱いものが込み上げて来るので読む場所には注意が必要です。自分の場合・・・(汗)
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[ 文庫 ]
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フラッタ・リンツ・ライフ―Flutter into Life (中公文庫)
・森 博嗣
【中央公論新社】
発売日: 2007-11
参考価格: 680 円(税込)
販売価格: 680 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 352円〜
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・森 博嗣
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カスタマー平均評価: 5
生へ 空にいるときは、鮮明に。地上では、霞のような感覚。 いろんな人に読んでいただきたい本 今まで読んできたスカイ・クロラシリーズの中で一番感動しました。
主人公の周りにいるさまざまな人の心情も想像でき、心の葛藤なども上手く表現されていたと思います。読んでいて、無理なくスッと感情移入できました。
また、情景を表す単語が羅列的に並んでいるページもあり、一枚の絵を見ているかのように感じたところもあります。
情景描写と感情描写とが入り混じって、読み手に大きなインパクトと細く長くの余韻を残してくれます。読んで損は無かったです。 ミステリーです。 私だけか??ミステリーだと思うのは。いつも、読み始めてしばらく経つまで、主人公が誰だかわからない・・。これって私の解読力がないから?って戸惑ってましたけど、これが「わざと」かかれてるんだよね??と思いました。いやはやもうこの本を読んでる頃には、このシリーズにはまっていて、特に哲学的な思考っていうのかな?主人公の回想とでもいいますか?そこが、読んでて潔くてきれいと感じました。いつ死んでもいい・・というかその覚悟ができている戦闘機乗りの思考・・・。なるほど・・と。この本を読んで、本当にあ・・・これってミステリーなんだね??と思いました。興味深いです。この映画のアニメのイラストがさわやかでかわいらしい表紙ですが、いやいや・・・深いです。 この話が一番好きです。 このシリーズの中では、この本の主人公だけが何にも囚われていない、すべての関心が、ただ飛行機と空にだけ向けられていると思います。
だから読んでいて、とても気持ちがいい。
他の4冊は幾分主人公が他に関心や執着を持っている感じがするのです。
この本の主人公は自分の周囲で起こる、自分を含めた出来事をあるがままに受け入れるだけ。
抗いもしない。疑問も持たない。
これってある種、究極の生き方のような気がします。
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[ 単行本 ]
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夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)
・海堂 尊
【東京創元社】
発売日: 2007-10
参考価格: 1,575 円(税込)
販売価格: 1,575 円(税込)
Amazonポイント: 15 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 800円〜
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・海堂 尊
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カスタマー平均評価: 3
毒にも薬にもならない 「チーム・バチスタの栄光」シリーズの愛読者で、一連の登場人物を知っていれば、そこそこ面白い。
ただし「そこそこ」である。
お馴染みの街を舞台にして、お馴染みのキャラクター達が繰り広げるドタバタ喜劇といったところであろうか。
暇つぶしとしての娯楽なら十分合格点だが、「チーム・バチスタの栄光」のような現代医療に関する問題提起などもなく、心に残る箇所は何もない。
ミステリとしては平均以下。
桜宮市を舞台にした一連のシリーズの愛読者なら一読してもいいと思うが、そうでない人にとっては、この本単体で読んでも暇つぶし程度にしかならないだろう。
やはり海堂氏には医療小説を書いて欲しいと思う。
本筋よりも 今回の主人公は、医学のたまごの主人公・薫クンの同級生平沼クンのお父さん・平沼平介。
主人公の父・暴走職人親父(でも愛すべき人物なのです!)がある日「宇宙に溶鉱炉を持っていきたい!」と言い出した。
いくら理論上は可能でも先立つものが…と思っていた矢先に現れる、かつての悪友と「黄金地球儀」!
他にも未来の桜宮市が舞台とあって、要所要所で海堂先生作品の登場人物たちのその後に逢えるので、地球儀泥棒のスリルぢつはそっちにドキドキです。
専門分野を離れると これが海堂尊の限界なのでしょうか。
医療分野と官僚批判では新鮮だけど、フツーのミステリを書こうとしたら馬脚をあらわしたって感じです。
いくらなんでも、この展開ってないでしょ…。手、抜きすぎ。
ショボい。
筒井康隆的な作品 「チーム・バチスタ…」を読んで、医療ミステリーを期待していた人には「大外れ」かもしれませんが、単純に面白いです。ストーリーはある個性的なおやじが経営する町工場を舞台にした小説。個人的には、筒井康隆の娯楽作品を読んでいるような心地よい既視感で、スイスイと読めました。楽しく読める作品を求めている人にお勧め。 超番外編 1988年未曾有のバブル景気に沸く日本では国庫から各地方公共団体に一律一億円が支給された。その使いに使い道に困ったあげく桜宮市では黄金の地球儀を作成し,深海水族館に展示した。時はたち2013年金の価値が上がり,当時1億だった金がマーケット上では1億5千万円に値上がりしていた・・・
桜宮市の平沼鉄工所で営業部長兼臨時工員の主人公:平沼平介が大学時代のチューリップハットをかぶった悪友:久光穣治からその黄金地球儀の強奪計画を持ちかけられるところから物語が展開されていく。チームバチスタシリーズの作者の著書であるが,舞台は同じ桜宮市ではるものの全く物語的には関係ない。物語もとても読みやすく,展開も速く一気に読める内容である。全くバチスタシリーズを読んでいなくても読めるが,読んでいたらちょっとした部分でほほえむことができるような点もあり,シリーズの超番外編的ものであるとも感じられた。
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[ 単行本 ]
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砂冥宮
・内田 康夫
【実業之日本社】
発売日: 2009-03-18
参考価格: 1,680 円(税込)
販売価格: 1,680 円(税込)
Amazonポイント: 16 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 699円〜
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・内田 康夫
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カスタマー平均評価: 4
青春をたどる旅 定番の浅見光彦シリーズの旅情推理小説。
神奈川県横須賀市と石川県金沢市が中心となる。
77歳喜寿の被害者の生前の足跡とオーバーラップするように青春の足跡をたどる。
お約束の恋愛模様と刑事局長の弟という身分バレのシーンがないのが寂しい。
定型的ではあるが、後半に緊張感が増し、大捕物の末、急転直下解決する。
書き下ろしらしく、無駄のない展開が、スイスイ進んで心地よい読み心地が得られる。
浅見光彦シリーズの水準作と言えるだろう。 あっさりしすぎ・・・ いつもの浅見シリーズとは違い、恋愛的要素がない。兄が刑事局長とばれることも無い。人と人との絡みもさらさらしていて味気ない感じがした。犯人も途中で予想がついた。
石川の内灘砂丘のイメージからタイトルのついたと思うのだが、全体的にイマイチでした。 砂冥宮 書き出しから、三浦半島横須賀から始まり、地元の人間として興味深々でした。
そこから、金沢、横浜、仙台と進展していきますが、息もつかせず読み終えてしまいました。昭和10年台生まれとしては、時代背景も私の知りえる範囲で面白く読みました。お勧めの一品だと思います。(横浜在住・マック)
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[ 文庫 ]
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デセプション・ポイント〈下〉 (角川文庫)
・ダン ブラウン
【角川書店】
発売日: 2006-10
参考価格: 700 円(税込)
販売価格:
中古価格: 239円〜
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・ダン ブラウン ・Dan Brown
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カスタマー平均評価: 4
黒幕が読めませんでした NASAの“大発見”を巡って、いろいろな思惑が交錯します。
レイチェル達による真相解明と、ガブリエールによるセクストンへの疑い。
完璧と思われた装いも、ひとつの綻びから、崩れていく。
アイディアも良ければ、ストーリー運びも良い。
宗教色が無い分、「ダヴィンチ・コード」や「天使と悪魔」よりも日本人にも受け入れられやすい作品なのではと思います。
一連の事件の黒幕が出てくるシーンでは、予想していなかった人物だっただけに、「やられた」と思いました。
うまくはめられた感じです。 早く映画化してほしいですね。ガブリエールはハル・ベリーで。 作品のスタイルとしては、ラングドン・シリーズと同じく、
一つ一つの章が短く、視点人物がめまぐるしく変わるという手法がとられています。
これは、きわめて映画的な手法で、
この『デセプション・ポイント(強引に訳すと「欺瞞の極点」)』では、
魅力的な女主人公ふたりが短時間に数々の窮地をどうやって脱するか、
そして大統領選の行方がどうなるかという二点への強烈な興味によって、
読者は最後まで一気にラストまで導かれていくと思います。
薀蓄の内容も、大統領選の内幕で、あったり、
米国航空宇宙局(NASA)や国家偵察局(NRO)の実態であったり、
その分かりやすさは天下一品ですね。
『天使と悪魔』と同じく、自然科学の深い内容に言及している部分もいくらかあるものの、
読者は登場人物に感情移入して話の流れに身を任せているだけで、
十分に理解できるばかりか、新たな知識を無理なく楽しみながら吸収できます。
一晩一気に読むことになりますが、寝不足になった分しっかり楽しめます。オススメです。 面白い!! ダヴィンチコードや天使と悪魔がお好きな方ならこれもきっと好きだと思います。
最初は難しい設備や機器の名前が多くなりそうで
その方面には興味がなかったので最後までたどり着けるか不安でしたが
上巻の5分の1を過ぎたあたりから、どんどん読む早さが早くなってきました。
最後は作者にしてやられた!という感想です。
途中からは『まだ終わらないで!!話を続けて読みたい!』と思いながら、最後まで読み終わってしまいました。
この作者のウンチクの質も量も毎作品凄いと感じますが、
そういうのを多少リズムに乗った勢いですっ飛ばしてたとしても
展開にはなんら支障がないあたりも、この作者の作品が大好きな理由です。
ぜひ映画化を望みます!!
トーランドにはマシュー・マコノヒーを、レイチェルにはシャーリーズ・セロンか、
シエナ・ミラーを、などと想像しながら読んでしまいました。 誰を信じたらいいの!?というハラハラ感!! ダンブラウン作品としては「ダヴィンチコード」「天使と悪魔」の次に読みました。
34歳のキャリアウーマンが主人公なので、同世代の女性は入りやすいかもしれません。
前3作同様、前半のNASAや地質学等の小難しい説明は読み辛いものがありますが、一人殺された時点からあまりの面白さにあれよあれよと最後まで読み切ってしまいました。
本作は主人公以外、まわりのすべての人が怪しすぎて、いったい誰を信じたらいいの??と主人公同様ハラハラさせられるところや、それぞれキャラクターがしっかり描かれており、その人間関係を絡めながらの伏線がすばらしいです。
私は前2作はなんとなく犯人(黒幕)は推理できたのですが、今回に限ってはまったく予想外の人物が黒幕だったのが驚きでした。
前2作を楽しく読まれた方ならこの作品も期待通り楽しませてくれるものだと思います!! NASAねえ・・・ 解説にもあるように、私も同じく「ダヴィンチ・コード」→「天使と悪魔」経由で、
この作品に出会ったひとりである。
世に発表された順と逆送しているので、
やはり売れに売れて、映画化にまでなった「ダヴィンチ・・・」に比べれば、
ちょっと惜しい部分があったものの、
約24時間での話だから、ドキドキ感は相当なものである。
これまで宗教やヨーロッパの人物における、芸術品がメインに取り扱われていて、
この作品では「NASA」を取り上げていることに、はっきり言って意外性があり、
逆にそれが面白いと感じた。
あいかわらず、さまざまな薀蓄が満載で、いろんな(無駄ではないけど、生きていくには不要)知識を得ることができる。
どこからどこまでが本当なのか、よく分からないけれど、
確かに最近のマスコミに取り上げられているNASA情報は、「失敗」ネタが多い。
それに、あまり気にもしていなかったNASAだが、
今回、初めて気がついたのは、宇宙はアメリカが独占しているってこと。
宇宙望遠鏡の名前や、送られてくる映像は、
絶対に個人レベルでは入手できないものだし、貴重なものは分かるが、
宇宙での実験(無重力状態だと・・・なんていう類のもの)なんて、
あまり興味がないというか、莫大なお金をかけることなのかとナゾに感じていた。
大変な訓練までして、宇宙に行く理由・・・
結局は、「アメリカ様」は世界征服を考えているのか?・・・って冗談だけど。
主犯格は、意表を突かれたが、だいたい、誰が死んだとかって分かっちゃうんだよね。
そうでもしないと、読者は「意外!」って思わないはずだから。
でも、なんだか、動機付けがゆるかったな。
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[ 文庫 ]
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パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)
・東野 圭吾
【講談社】
発売日: 1998-03
参考価格: 780 円(税込)
販売価格: 780 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 5円〜
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・東野 圭吾
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カスタマー平均評価: 4
記憶の改編という科学的にも非常に難しいテーマについても分かりやすく描かれていた 麻由子が崇史の親友である智彦の恋人の章と、麻由子が崇史の恋人の章が交互に描かれながら、真実の記憶に迫っていく物語で読み応えがあった。親友の恋人を好きになってしまい、親友と彼女のどちらを選ぶのかというラブストーリーも楽しめたが、記憶の改編という科学的にも非常に難しいテーマについても分かりやすく描かれていて読みやすかった。この作品は著者の初期の作品なのだが、2009年現在でも全く色褪せていなかった。 パラレルワールド・ラブストーリー もともと、東野圭吾の作品は好きで、何冊も持っているんですが、どうしてもミステリー小説=東野圭吾のイメージが先入してしまい、題名からなんかはずれかも…。と思い、今まで読まずにいました。まぁ、ちょとしたきかっけでこの本を手にする機会があって読んでみました。結果、泣きました。(笑)読んでいくとどんどんと作品に吸い込まれていくような感じで、最後の最後まで楽しませてくれました。また東野圭吾らしい作品になっていて読んで良かったです。東野圭吾が「書きたくてももう書けない作品」と言ったこの一つの作品、見事にやられました。 自分の知っている自分は本当の自分なのか 愛する人が自分の恋人という世界と親友の恋人という世界,この2つの世界を行き来しながら物語は進展します.序章の京浜東北線と山手線の話は,パラレルワールドへの興味をかき立てる秀逸な書き出しです.
2つの世界の中で揺れ動く主人公の心情に共感しつつも,一体どうなっているんだというミステリーへの興味でどんどん読み進んでしまいます.半分くらい読むと大体オチは読めてきたかなという気になります.さて,どんでん返しはあるのでしょうか.
一応サイエンスものですが,パラレルワールドの不思議に突っ込んだというよりは,ラブストーリー中心ですので,青春真っ盛りの若者たちにも,昔は若かった人たちにもお勧めだと思います.
序章から始まる世界観 「記憶」という難しいテーマを掲げながら、この本にすんなり入りこめるのは序章のおかげだと思う。序章という前提を置き、そこから始まる現実とパラレルワールド。専門的用語が出てきて堅苦しく感じるかもしれないが、それはおまけのようなもの。理解しなくてもすんなり読んでいける。だが全ては繋がっている。恋と友情で悩む主人公に後味の悪い結末を予想したが、最後の章を読むだけでしがらみが消えていき切なさ、爽快感すら感じた。その後の全てを事細かに記載しないところにも好感がもてる。 記憶は自分だけのもの? 謎を含んだパラレルワールドを追っている最中は面白くて、夢中になってページをめくりました。
設定や構成の妙ばかりでなく、東野圭吾さんの文章はいつも読みやすく、
特に心理描写が的確で、すうっと胸に入ってくるので、
物語に引き込まれ自然に感情移入してしまうのは毎度のことです。
が、読み終わってみたら、何だか納得のいかない感じが残りました。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、後味がもやもやした原因は、
終盤で急展開して明かされる三輪智彦のやり方にあまりにも無理があると思ったからです。
記憶や、その元となる経験は、個人の物ではない、他者との関わりの中で作られる物でしょう?と、突っ込みたくなります。
天才だって恋愛で判断力が曇ることもあるのでしょうが、その先に生じる不整合を考えないとは無謀すぎます、智彦さん…。
記憶は、自分の性格形成や行動規範の根底にある物。
そして大切な人と記憶を共有する喜び。
記憶がゆらぐことの恐怖。
「記憶」について、いろいろと考えさせてくれる作品でした。
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