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[ 単行本 ]
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仮想儀礼〈上〉
・篠田 節子
【新潮社】
発売日: 2008-12
参考価格: 1,890 円(税込)
販売価格: 1,890 円(税込)
Amazonポイント: 18 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,300円〜
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・篠田 節子
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カスタマー平均評価: 4.5
新興宗教ビジネスはちょろいのか? 篠田節子作品で読ませるのは、私見では一に『女たちのジハード』であり、『夏の災厄』がこれに続く。
高評の嵐のような本作については、途中で退屈して投げ出してしまった。
まず思ったのは、えげつなさも含めて、これよりは新堂冬樹の『カリスマ』のほうが上ではないか?
この2つは、同じように新興宗教を取り上げてはいるが、なるほどテーマは異なる(過激な新興宗教教祖のパーソナリティを描く新堂作品と普通の人々が新興宗教にはまるお話)。
とは言え、新興宗教群像のエンタメモノとしては、新堂に面白さがあろう。好き好きと言われれば話はおしまいだが。何も別に新堂作品を褒めるわけではないが、篠田の本作を持って「ヒューマニズム」や「社会派」を云々されても困ってしまうのである。
たとえば、ドン・デリーロの『マオ2』のような集団的な宗教的熱狂への描写があるわけではない。ふと顔を出す狂気が支配する恐怖もほとんど描かれないし、描かれても中途半端だ。銭儲けを目的とした落ちぶれた一般人が、新興宗教をビジネスとして始めてしまうという設定なのだから、それでもよいとは言える。それはよいとしても、宗教ビジネスが覗かせる人間のおかしさの描写にしても際立っているところはひとつもない。それに、ビジネスであればもっと過酷な面があると思うがなあ。まずもって、上下2巻は長すぎるのである。
それでも、貫井徳郎あたりのゆるーい因果モノ(『乱反射』など)あたりと較べれば、大人にも読めるものかもしれないので星2つ。大甘ではあろうが。 虚業のリアル 怖い。
新興宗教に限らず、宗教というものが全く信用できないウチが、この作品はどうしても読んでみたくなって購入しました。
公務員だった男が作家になる夢につけ込まれ、気がつくと家族も職も失ってしまう。唆した男を責めながら目撃してしまった9.11、ワールドトレードセンタービルディングが崩壊する中、二人は「宗教」を事業として起こすことにする。
ゲームブックと各種宗教の組み合わせた事業としての癒し、宗教を求める様々な人、どんどんと大きくなっていく宗教団体、そして小さな綻びからの転落。宗教の持つ胡乱さと、それをどうしても求めてしまう人の思い。
ステロタイプな登場人物が、逆に作り物じゃなく思えてしまえて、とんでもなく怖い。
上下巻900ページにも及ぶ長編は、グッと鷲づかみにされるほどの強烈さで一気に読み進められて、教団がふくらんでいくと過程に高揚し、転げ落ちていく過程に恐怖を覚えてしまう。ジェットコースターのように揺さぶられ続けて読み終えてしまった。
穏やかそうに見えるラストでも、信者に潜む心の内がやっぱり怖い。 宗教はこころをもてあそぶのか、それとも、心を救うのか 環境にメスを入れるのが工学技術
心のメスを入れるのが宗教
工学技術が環境を改善する一方では、破壊もする。
宗教も心を癒し育てる一方では、心を破壊もする。
宗教の2面性を見事に描ききった好著
お薦めです 本書の構成は、俗の敗者が、聖を利用して俗に反撃を試みたところ、一旦は勝利するもののまたたくまに反撃をくらって、再び一敗地にまみれるという単純なものです。少なくともエピローグの前までは。しかし、最後の数頁で勝負は逆転します。聖中の俗、転じて俗中の聖が忽然として立ち現れるのです。
掉尾の一文字を書き下した時、本作家の脳裡には一体どのような感慨がよぎったのでしょうか?もうひともうけできるという欲でしょうか?あるいはどういった批評が下されるのかといった不安なのでしょうか?
そうではないと思います。おそらくは、人として普通に生きるということの尊さといったものが特別の光に彩られるというわけではないにしても、何かしら言葉で掌握できる範囲を遥かに超えた深いたなびきのようなものを帯びつつ静かに流れてゆくのを茫然として見送っていたのではないでしょうか。私にはそう感じられます。
久しぶりに「文学とはヒューマニズムである」という言葉を思い出すことができました。
ビジネスとしての宗教は成り立ちうるのか 本書は「読み始めたら止められない」極めて優れた娯楽小説であり、読後感も決して悪くない。
支払った「お代」以上のものを返してくれる、ちゃんとしたエンターテインメントだ。
しかし、本書を読み終わった読者は、それぞれに考え込むことになる。
この「豊かなあまりに人と人との関係が薄くなった世の中」で、「サービス業としての宗教」というものが成り立つのか?という問いに対するひとつの回答を著者は本書で示したと言える。
著者による回答は極めて説得的だが、人によっては違う回答もあるだろう。
少なくとも本書の主人公が言うように、現代は過去とは違う。
「昔の宗教は確かに存在理由があった」「家は貧乏、嫁ぎ先じゃいびられる、子供は病気で死んじまう。そういう女なんかに、神様が憑いた。」「しかし今じゃ、退屈した人間が自分の精神を玩具にして、宗教はそのためのワンダーランドだ。笑わせてくれるなよ。」(上巻93頁)
本書は、そういう時代の宗教とは何なのかについての、思考実験であるとも言える。
本書を読んで高橋和巳の「邪宗門〈上〉 (朝日文芸文庫)を猛烈に読み返したくなった。「宗教が宗教らしかった時代」、日本が貧乏にまみれていた時代の新興宗教の物語である。実に残念なことに絶版となっているが、図書館には必ずある本なので借り行くつもりだ。戦前の日本の想像を絶する貧苦の中から立ち上がってくる宗教のパワーを、これほど迫真性に満ちて描いた作品は、他にはない。
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[ 文庫 ]
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MORI LOG ACADEMY 13 (モリログ・アカデミィ 13) (ダ・ヴィンチブックス)
・森博嗣
【メディアファクトリー】
発売日: 2009-03-25
参考価格: 777 円(税込)
販売価格: 777 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 400円〜
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・森博嗣
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)
・海堂 尊
【宝島社】
発売日: 2007-11-10
参考価格: 500 円(税込)
販売価格: 500 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・海堂 尊
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カスタマー平均評価: 4
チームバチスタの栄光 - 評判だったので読みました。 原因不明の医療事故を、第三者機関の人間と調査することになった、一医師の物語。 心理戦の構成がわかりやすかったので読みやすかったです。 はじめはキャラクタのためかと思っていましたが、全体に渡って、セリフや表現の、臭さや嫌らしさが気になりました。 人物設定がたくみでおもしろい 新人のデビュー作品とはとても思えません。
設定、シチュエーションがたくみです。
特に人物設定が巧みで、文中の人物すべてに興味をそそられて
いきました。
なかなか面白いです。 初めから、「死因不明社会」を刊行した方が良かったのでは 「死因不明社会(AiのPR本)」を発表するに当たり、文名を上げておこうとの意図で本シリーズを書いた由。本作はその第一作だが、先頭頁から受ける印象は文章力の拙劣さ。これで、面白い医療ミステリが書けるのか不安な出だし。
上述の事情から、現在の大学病院・厚労省の体制批判の部分は真摯に、肝心の物語はオトボケ調でと言う進行。要はバチスタ外科手術チームの連続失敗の原因を探ると言うものだが、失敗が故意であっても過失であっても手術中に起こっている筈なので、手術の内容を一般読者にどう説明するか難しい所だろう。所詮、コップの中の嵐だが。語り手兼探偵役は、"愚痴外来"担当の風変わりな田口。田口は作者の代弁者と言える。田口に依るチームのメンバの事情聴取は、病院の実態の内部告発のよう。田口は、その後の二例の手術に立ち会うが、二つ目は失敗に終る。結局、上巻は病院の体制批判に終始する。この分量で二分冊にする必要があったのか ? そして、厚労省の異端児白鳥の登場。だが、白鳥の造形・捜査方法(命名だけ珍奇)に新鮮味は無く、素人作家の限界を感じる。舞台を除けばミステリとしては三流で、単にAiの効果を訴えただけ。
初めから、「死因不明社会」を刊行した方が良かったのではないか。 文章表現が陳腐。そして設定にうんざり “いつもは昼行燈なのに実は凄い実力を持った人”
という設定が日本人は好きですね。
この主人公の田口もそんなキャラを匂わせた設定です。
そんな設定から既にうんざりです。
現役のお医者さんが書いたとのことで、医療シーンはテンポよく
迫力があって面白いです。ただ日常のシーンの表現は陳腐でテンポが悪く
つまらないです。長々とつまらない文章が続くことにうんざりします。
設定や推理のこじつけ感も否めません。
また探偵役の白鳥のキャラに「またか」という印象を受け、ここでもまたうんざりです。
そして文庫本のあの薄さで上下巻というのにまたうんざりです。
それでも前半までは楽しめます。後半は期待しない方がいいです。 話は面白いが文章に無駄が多い。 俺は医療関係者じゃないから細かい専門知識の設定の矛盾を指摘する気はないし、そんなスキルもない。話として面白いし最後までそれなりに楽しめた作品だ。が、やはり本職作家ではない上にこれが処女作ということなんだろうか、文章が素人くさいことこの上ない。
一言でいうと無駄に酔った文章が多すぎる。要するに推敲がちゃんと出来てない。そのせいで、読み手に与えなくてもよいストレスを与えてしまっている。無駄な表現を省けば、中途半端な厚みの上下巻二冊にもならないで400ページ前後文庫本一冊でまとめられたはずだ。
もっと文章におけるプロフェッショナルな仕事とは何か、ということを考えて欲しいと思った。
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[ 単行本 ]
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ZOKURANGER
・森博嗣
【光文社】
発売日: 2009-04-21
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,100円〜
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・森博嗣
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)
・東野 圭吾
【講談社】
発売日: 1999-05
参考価格: 620 円(税込)
販売価格: 620 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 50円〜
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・東野 圭吾
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カスタマー平均評価: 4
犯人を当てるのは読者 シンプルな推理小説である。容疑者は二人。ある女性が殺され、その親友と元恋人が容疑者となる。男と女。どちらにも動機はある。そして、犯人を見つける手がかりとなる物証も提示される。真犯人はどちらか。
私はこの本を読んで、アガサ・クリスティーの「ひらいたトランプ」を思い出した。おなじみ、名探偵エルキュール・ポアロが活躍する。ある部屋で、一人の男が殺される。容疑者はたった4人。トランプのブリッジをやっていた人々が容疑者となる。ポアロは、そのブリッジの記録を見て、その進行の仕方から人々の心理を読み、見事に真犯人を見つけ出す。状況や推理の仕方は違うが、的確で論理的な推理によって読者が真犯人にたどり着けるという点では共通するものがある。また、「ひらいたトランプ」で容疑者を少なくしたのは、読者に対する挑戦だと思われる。ずばりと真犯人を当ててみろと。
驚いたことに、この小説では最後まで犯人の名は明かされない。推理のためのヒントは巻末にあるが、それがなければ犯人を当てることは難しいだろう。上質のフーダニットと言える。 一度目の読後にも楽しみが残る読書好き・推理好きにはたまらない ただいま一度目の読後です。
袋とじの解説も読みましたが、まだ犯人が分からない状態。
(ニブイですかね…?)
そして、それがとっても嬉しいのです。
というのも、普通、読み応えのある作品って、
読み終えるのが悲しくて仕方ないから。
「もう終わってしまう?!!」と惜しみながら読み終えるのが常です。
こんな風に、読み終えてなお、二度目を読む楽しみを残した推理小説に
わたしははじめて出会いました。
読み終えてなお、ワクワクさせる、すごい小説!
二度目を読み終えたらまたレビューを書きます!
犯人を推理するのは読者自身 読んでいる最中は加賀恭一郎vs和泉康正の対峙に見ごたえを感じつつ楽しんで読んでいましたが、「加賀恭一郎シリーズの1つ」という前知識しか持たずに読み始めたため、最後、犯人が明かされないまま終わったとき、ただ「何これ?」という印象しかありませんでした。
つまり今まで何冊もの推理小説を読み、自分なりに展開を推理しながら読んでいたつもりでも、実は「最後になれば、犯人を明かしてくれる」という考えの下、ストーリーに身をまかせていただけにすぎなかったのですね。
しかしこれは、犯人をつきとめるのは、加賀恭一郎ではなく読者。つまり、読みながら細部に注意を払い、自分で推理をしていく小説。
そして袋とじに、犯人をつきとめるにあたり、重要なヒントが解説されています。
ただこの袋とじ、「手引き」という割には非常に回りくどいため、読んだ瞬間に「そうか!」と、ストンと腑に落ちたかのごとくわかるものではありませんでした。
考えても見ればこの袋とじは「種明かし」ではなくあくまで「ヒント」。だから答えをそのままズバリ書くわけにもいかなかったのでしょうし、おそらく他にはないこの形式を手がけた段階で、東野氏自身も手探り状態だったのではないかとも考えられますが、同形式の『私が彼を殺した』では、袋とじの手引きはよりわかりやすさが向上していると思ったため、星を-1とせていただきました。
そんなわけで私、袋とじを読んだあと、何度も本文と解説を行ったり来たり。こんなに脳を使ったのは何年ぶり(何十年ぶり?)だろうか、という状況。
でも他にはないこのような形式、私はわりと気に入りました。また出して欲しいです。 どちらかが彼女を殺した 最後までモヤモヤするおはなし 因みにうちは分からなかった 謎解き好きなら解いてみな(・∀・)アラヨット 読者に推理させるのが売りですが・・・ 本作は、ある女性の死を巡り、
自殺に見せかけた殺人に違いないと確信した警察官の兄の執念と、
追い詰められる二人の有力な被疑者、
そして自力救済を許すまじとして立ちはだかるお馴染み加賀刑事の攻防戦を描くものです。
同じ趣旨の「私が彼を殺した」に比べると、
被疑者の数や話のシンプルさゆえ、より真犯人探しは容易であると考えます。
が、個人的に印象深かったのは、謎解きよりも生前の被害者の心理の動き、
募る孤独感と束の間の恋、そして残酷な裏切りと兄への甘えといった描写でした。
結局、哀しくも彼女は二人の被疑者に命を狙われる…。
何か被害者に感情移入させられまくりでした(涙)
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[ 単行本 ]
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スナイパーズ・アイ―天命探偵真田省吾〈2〉
・神永 学
【新潮社】
発売日: 2009-04
参考価格: 1,260 円(税込)
販売価格: 1,260 円(税込)
Amazonポイント: 12 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 700円〜
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・神永 学
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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内調特命班 邀撃捜査 (徳間文庫)
・今野 敏
【徳間書店】
発売日: 2009-05-01
参考価格: 660 円(税込)
販売価格: 660 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 600円〜
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・今野 敏
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カスタマー平均評価: 0
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[ 文庫 ]
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ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)
・ダン・ブラウン
【角川書店】
発売日: 2006-03-10
参考価格: 580 円(税込)
販売価格: 580 円(税込)
( 在庫あり。 )
中古価格: 1円〜
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・ダン・ブラウン
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カスタマー平均評価: 4
ダ・ヴィンチ・コード もう私のレビューを読む人は、ダ・ヴィンチ・コードの内容を大体はご存知だろう。
これより、はるか昔に書かれたダ・ヴィンチ・レガシーをご存知?
読み比べてみてください。
ダ・ヴィンチ・レガシーの方が面白い。 あっと驚く駄本 パックツアーでルーブルに行った時に印象に残った部屋がこの本の最初に出てくるので、旅先で買って読みました。映画の画面を文字化したような文章で、文章に魅力がありません。また、パレスチナでイエスの子供を身ごもったマグダラのマリアがマルセイユで出産するとか、その子がゲルマン人のメロビング朝の先祖になるといった内容は、全然真実味が感じられません。欧米には色々な伝承があるのかもしれませんが。また、最後の晩餐のヨハネが女性であるというのも、ダヴィンチの絵に他にも女性的な男性像があることから、あまり説得力がありません。この本を買って読んだのは金と(貴重な旅先の)時間の無駄であり、ベストセラーには用心しなければと思いました。レビューの分母が多いので心おきなく評価させていただきます。 ミステリー作品としてもエンタテイメント作品としても楽しめる 久々に、「ハリー・ポッター」以外の海外の作品を読んだが、とても面白い。キリスト教にまつわる話なので、あまり感情移入ができない分、娯楽作品として読めた本である。
暗号の解読や謎の解明、ちりばめられた雑学、そしてキー・ストーンを求める「導師」の正体等、ミステリー作品としてもエンタテイメント作品としても楽しめる良作である。ただ、これらの話がすべて真実だとすると、キリスト教圏の人々にとっては結構衝撃的なないようだなぁ。 虚実合わせたうまいストーリー 上中下巻と聞いてボリューム多そうだなと思ってちゅうちょしてたんですが、
いざ本を手にとってみると、1冊あたりは300ページ無い感じで、通勤時間に読むのには
手頃なサイズでした。
話もスイスイ進んでいくので、上巻はあっという間に読んでしましました。
巻頭カラーで作中に出てくる絵画の写真が出てくるのがいいですね。
私は映画を既に見ていたので、話にすーっと入っていけたんですが、キリスト教がテーマなので
なじみがない方は、映画も合わせて見るといいかも知れません。
どちらが先でなきゃいけないってことはないと思います。 ストーリー良し。ウンチク最高。しかしどこまで真実? 映画を見たので旅行中の時間つぶしに読み始めましたが、上中下巻を一気に読みました。
というより、一度読み始めると止まらなくなってしまいました。
ストーリーは、敵味方の動きが激しいなど展開が早く、絵画の解釈の説明や暗号解読などにずいぶんと引き込まれます。
ただし、キリスト教やヨーロッパの文化に詳しくないせいか、最後の結末は肩透かしを食ったような感がありました。何だか「マトリックスシリーズの最終巻を見た時」と同様な印象です。キリスト教に関連した話と言うのは、最後明確な結論というのは避けるものなのでしょうか?
それはともかく、絵画の解釈、象徴の記号など明日から使える雑学のようで大変興味深い蘊蓄が詰まっています。願わくはどこまで真実かがはっきりとわかると良かったのかもしれません。
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[ 単行本 ]
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モダンタイムス (Morning NOVELS)
・伊坂 幸太郎
【講談社】
発売日: 2008-10-15
参考価格: 1,785 円(税込)
販売価格: 1,785 円(税込)
Amazonポイント: 17 pt
( 在庫あり。 )
中古価格: 1,000円〜
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・伊坂 幸太郎
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カスタマー平均評価: 3.5
まあ、魔王にオチが(一応)ついただけでも良しとしよう 魔王のオチは、作者の意図することを読み取れた読者には良かったかもしれませんが、
読み取れなかった、読解力の薄い私には、最悪に近い終わり方でした。
この作品は、その魔王の続編です。
主人公や登場人物のほとんどを引き継いだ続編ではないので、
潤也や犬養が直接出て来るわけではありませんが、
潤也夫妻があの後どうしたのかを、知る事ができます。
拷問シーンがあるなど、今まで読んだ伊坂作品よりも残虐性が強いです。
ぞっとする描写も多いので、そういうのが苦手な方には厳しいかもしれません。
あと、今回は元SEの伊坂さんならではの、
コンピュータやプログラミングに関する専門用語も多いので、
コンピュータが苦手な方には理解しにくい所も多いでしょう。
この作品も近年の伊坂作品と同じく、謎が謎のまま終わる所も多いです。
ただ、魔王よりははるかにはっきりした終わり方なので、魔王を読んだ方にはおすすめです。
ただし、初めて伊坂幸太郎の作品を読むという方には、
こちらよりも、重力ピエロやラッシュライフを強く推しますが… 「人間は大きな目的に生きているんじゃない」 著者は雑誌のインタビューなどで否定しているが、れっきとした社会批評の書である。徴兵制が採用された数十年後の日本が舞台だが、ネット検索から監視が始まる近未来の姿にはドキリとさせられるものがある。
タイトルはチャップリンの喜劇映画のタイトルから。産業革命によって工業化が進み、人間が機械の一部品となる社会を風刺した作品だが、本書では「国家」がそれにあたる。機能が細分化され、全体像が見えなくなった「国家」というシステムがそれを延命させることだけに自己目的化し、暴走するありさまを描いている。
「そういうことになっている」。本書の中で繰り返し登場するせりふだが、現代日本の企業や官公庁、学校など組織と名がつくもので、このせりふと無縁のものはあるまい。
もちろん、稀代のエンターテナーである伊坂幸太郎。つぼは押さえている。著者の分身(著者はあとがきで否定しているが)を思わせる「井坂」も味がある。「勇気はあるか」と問われ、「実家に忘れてきた」といい続けてきた主人公、渡辺が最後に語るせりふはじんとさせる。
難点を挙げるならば、著者の立ち位置。本書に登場するチャップリンやジョン・レノンほど時代と向き合う覚悟が感じられないのが残念。 回帰してほしい・・・ 伊坂ファンなら,最後まで読めます.
この作品を初伊坂にするのは,絶対にお勧めできません.
初期・・・グラスホッパーや,ラッシュライフ,死神の精度,アヒルと鴨etc.
独特の伊坂節と,ストーリーの小気味よさ.
回帰してほしいなぁ・・
彼女が持っている。俺がなくしたりしないように 初出はモーニング2007年18号?2008年26号。2008年10月16日リリース。ぼくは幸せにも作者のサイン入り・落款入りを手に入れた。
作家になる前はSEをしていたという伊坂幸太郎の『過去』を生かしての作品になっている。つまりプログラムが分かる人間が読むと随所に響く。LZH圧縮が出てきて、ふーむ、やるな、と思った。LZHがここで出てきてzipやsitでないことのおしゃれさが芥川・直木賞の審査員に解るとは思えない。既に表現の多様性が従来の文学のキャパシティを超えているんだな、と痛感した。
これで現時点の伊坂幸太郎作品を全部読了したのだが、正直な気持ちを書くと、はっきり言って最近の作品は、未消化・未計画のまま世に出ていると思う。苦言を言うようだが、もう少し貯めて出すべきだろう。時間軸をずらしながら並列的に展開させるストーリーが超一流。台詞が超一流であるだけに手抜き・息抜きは極めて残念だ。そして『超能力』とかSFを書いて欲しくない。それが伊坂幸太郎の目指すべき方向性だと、言い切りたい。 ゴールデンスランバーよりも ゴールデンスランバーよりも面白く読めた。
ゴールデンスランバーは著者本人もどこかで言っていたが、
ストーリーとしてはハリウッド的な直球にあえて挑んだわけで、
それまでの伊坂作品とは異なる感じは否めなかった。
今作は、魔王 (講談社文庫)の続編でありながら、
あえてあの犬飼や安藤の存在を大きくしなかった点が、続編以上のものにしている。
権力者による煽動と隠蔽、異能者の養成施設、などは、
SPとか、Monster (18) (ビッグコミックス)
でも部分的にテーマとして扱っているが、
それが実際可能性としてそうかもしれない、と思う以上に、
でもそうだとしてもあまり驚かないのはどうなんだ、
という疑問を投げかけているように思える。
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[ 文庫 ]
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黄金豹―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック)
・江戸川 乱歩
【ポプラ社】
発売日: 2009-05-05
参考価格: 546 円(税込)
販売価格: 546 円(税込)
( 在庫あり。 )
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・江戸川 乱歩
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カスタマー平均評価: 0
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