善かもしれなかった。 西太后側につく春児。 その対極につく親友梁文秀
清で一番の近代的な軍隊である北洋軍の李鴻章。
勢力が割拠しつつ、世の中を変えようとする若き力 が活躍を始める。
王逸と梁文秀と順桂のそれぞれの動きと春児の活躍 3巻が楽しみになる展開です。
中巻で一番印象に残ったのが福沢諭吉との出会い。 福沢と継之助は似ている。侍の時代が終わると予言していたこと、封建制度の限界を感じていたことなどがそれだ。 これほど似ている二人なのに、同じ結論に到達できなかった。福沢は「幕府が勝とうが、薩長が勝とうがどちらでもいい」という結論だった。しかし、継之助は、「私は長岡藩の家老で、長岡藩の独立を守らなければいけない」という結論だった。
「人は立場で生きている」 と継之助は言った。
もし、継之助が福沢の立場だったら、もし、坂本竜馬のように浪人の立場だったら今の日本はどうなっていただろうか。 そう考え巡らすと歴史は面白いなと、思う 政治的な側面が強い印象。中巻では河合継之助が藩政をあずかり、戦乱に巻き込まれていく越後藩をどのように動かしていくかが描かれています。
その中で興味深いのが継之助の政治観。
当時の諸藩はその時勢にのっている側につく、といったその場その場でものを考えるところが多かったようですが、継之助はむやみに人に語りはしませんが明確なvisionをもち藩政にあたっていました。
その政治観は現代を生きる私達も大いに学ぶところがあるのではないでしょうか?
また武士の美的精神もところどころに垣間見ることができます。
もちろんそれは河合継之助流の美的感覚で当時の武士が必ずそうであったかはわかりません。
江戸末期は混迷の時代でしたが、現在も変革が激しく難しい時代です。ただ流されて生きるのは簡単ですが、情報があふれかえっている時代の中で、どう決断し何のために生きて行くのか、そういった私達が生きるうえで重要なものとは何かをこの小説は私達に示唆しています。
本当にお勧めです。